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kintoneとkrewDataで実現する案件別予実集計の最適解とは?複数のアプリ連携と設定の落とし穴を解説

本記事では、kintoneと連携プラグイン「krewData」を活用して、複数アプリに分散した人件費・外注費・材料費などのデータを自動集計し、案件ごとの原価・利益をリアルタイムで把握する仕組みを解説。設定時の注意点や効率的な集計パターンも紹介します。

なお、ペパコミ株式会社では、「kintone」を活用した業務支援を行っています。業務効率化にお悩みの方は、ぜひ以下からお気軽にご相談ください。

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また、本記事の内容はプラグインの本来の目的や全ての使い方を網羅しているわけではない可能性があることを理解しておきましょう。実際にプラグインを導入する際は、提供元が公開している公式情報なども合わせて確認することをおすすめします。
あくまでこんなことが出来るんだ。というイメージをしてもらう目的で記事にしていることをご了承下さい。

案件別予実集計の重要性とkintoneでの課題

案件別予実集計の重要性とkintoneでの課題

日々の業務において、案件ごとの売上予測(予)と実際の費用(実)を正確に把握する予実集計は、企業の収益性を高める上で非常に重要です。

kintoneは様々な情報を一元管理できるプラットフォームですが、人件費、材料費、外注費など、複数のアプリに分散している原価情報を案件単位で集計するには工夫が必要です。

多くの企業では、案件に関連する様々な費用情報が複数のkintoneアプリに登録されています。例えば、営業担当者の日報から人件費を計算するアプリ、資材購入の記録を残す材料費アプリ、外部委託先への支払いを管理する外注費アプリなどです。

これらのアプリから必要なデータを取り出し、案件ごとの合計原価を算出し、売上情報と紐づけて予実管理アプリに反映させる作業は、手動で行うと膨大な時間と手間がかかります。また、集計ミスが発生するリスクも高まります。

kintoneプラグイン「krewData」を活用した予実集計の仕組み

kintoneプラグイン「krewData」を活用した予実集計の仕組み

krewDataで案件の予実集計を行う基本的な仕組みは、以下の4つのアプリを中心に構築します。

  • 案件予実管理アプリ
  • 人件費アプリ
  • 材料費アプリ
  • 外注費アプリ

それぞれ以下で解説します。

案件予実管理アプリ 

案件予実管理アプリ 

集計結果である案件ごとの売上、原価(社内人件費実績、材料部品台実績、外注費実績など)、利益などを一元管理するアプリです。

予算はここで手入力し、実績はkrewataで他のアプリから集計して自動反映させます。

人件費アプリ

人件費アプリ

案件ごとにかかった社内担当者の時間や費用を記録するアプリです。日報アプリなどを基に、対応時間と時間単価から人件費を計算します。

材料費アプリ

材料費アプリ

案件で使用した材料や部品の購入費用を記録するアプリです。同じ案件でも複数回購入する場合があるため、それぞれの購入金額を記録しておきます。

外注費アプリ

外注費アプリ

案件に関連して発生した外注費用を記録するアプリです。外注先への支払いや、まとめて請求が来る場合などの情報を記録します。

krewDataは、これらの「人件費アプリ」「材料費アプリ」「外注費アプリ」をデータの「入り口」とし、必要なデータを抽出します。

その後、抽出したデータに対して様々な「コマンド」で加工や集計を行い、最終的に「案件予実管理アプリ」という「出口」アプリに集計結果を書き出します。

この仕組みにより、各担当者はそれぞれの費用が発生した際に該当するアプリにデータを入力するだけで、krewDataが自動的に案件予実管理アプリに集計結果を反映可能です。

kintoneプラグイン「krewData」設定の落とし穴

kintoneプラグイン「krewData」設定の落とし穴

krewDataを使って複数のアプリからデータを集計・結合する際、陥りやすい落とし穴があります。特に、krewDataのドリルなどで紹介されているように注意が必要です。

krewdataのドリルなどでは、2つのアプリのデータを結合する例として「アプリ結合」コマンドが紹介される場合があります。例えば、案件アプリと売上アプリの2つを結合するようなケースです。

結合したいアプリの数が増えるにつれて、アプリ結合コマンドの数も増え、フローが分岐して視覚的にも理解しにくくなります。また、後からデータ削除が発生した場合などの処理も複雑になりがちです。

kintoneプラグイン「krewData」レコード結合の方法とメリット

kintoneプラグイン「krewData」レコード結合の方法とメリット

複数のアプリからデータを集計し、1つのアプリにまとめる場合には、「アプリ結合」コマンドではなく「レコード結合」コマンドを使用します。

「レコード結合」コマンドを使用すると、複数の入り口アプリから抽出したデータを1つのコマンドでまとめて結合することが可能です。これにより、アプリ結合を繰り返す場合に比べてkrewDataの設定フローがシンプルになり、全体像を把握しやすくなります。

もし、どこかのアプリでレコードが削除された場合などのイレギュラーなケースが発生した場合の処理も、「レコード結合」を使っている方が辻褄合わせの処理などが比較的簡単に行えます。

kintoneプラグイン「krewData」を活用した予実集計の集計方法3パターンを解説

kintoneプラグイン「krewData」を活用した予実集計の集計方法3パターンを解説

krewDataを使った予実集計の集計方法には、データの量や求める詳細度に応じて主に3つのパターンが考えられます。

  • レベル1:シンプルな全件再集計
  • レベル2:差分取り込みによる効率化
  • レベル3:計算根拠を可視化する

お客様の状況に合わせてこれらのパターンから最適な方法を選択しましょう。

レベル1:シンプルな全件再集計

レベル1:シンプルな全件再集計

集計元のアプリからデータを取得する際に、毎回すべてのレコードを対象とします。集計を実行するたびに、集計先の案件予実管理アプリの既存のレコードを一度すべて削除し、改めて集計したデータを新規レコードとして登録し直します。

この方法は設定が比較的容易ですが、集計元のデータ量が多い場合、処理に時間がかかる可能性があります。集計対象のデータ量がそれほど多くない場合や、シンプルさを優先したい場合に有効です。

レベル2:差分取り込みによる効率化

レベル2:差分取り込みによる効率化

レベル1の課題である処理時間の増加に対応するため、差分更新を行う方法です。

集計元のアプリからデータを取得する際に、前回集計処理を実行した後に追加・更新されたレコードのみを対象とします。これにより、集計処理の対象となるデータ量が削減され、処理時間を短縮可能です。

例えば、人件費アプリで日報を毎日入力する場合、前日までのデータはすでに集計済みとし、当日入力されたデータのみをkrewDataで取り込んで集計・更新する、といった運用ができます。集計元のデータ量が日々増えていく場合に有効な方法です。

レベル3:計算根拠を可視化する

レベル3:計算根拠を可視化する

集計結果の合計値だけでなく、その合計値が「どのレコードから来ているのか」という計算根拠や内訳も確認できるようにする方法です。

例えば、案件予実管理アプリに表示されている外注費の合計3万円が、いつ、どの外注先から、それぞれいくら発生した費用の合計なのか、といった詳細情報をドリルダウンして確認したい場合に採用します。

この方法を実現するためには、集計先の案件予実管理アプリに集計元の詳細レコードを関連レコード一覧として表示するフィールドを作成します。

kintoneの関連レコード一覧機能は、通常、同一アプリ内の別レコードを表示するために使用しますが、krewDataの「アプリコード」機能などを活用することで、別のアプリのレコードを関連付けて表示可能です。

ただし、関連レコード一覧で表示するためには、集計元のアプリのデータ構造によってはkrewDataでデータを加工する必要があります。

例えば、外注費アプリで1つのレコード内に複数行のテーブル形式で費用明細を入力している場合、関連レコード一覧で各明細を表示するためには、krewDataを使ってテーブルの各行を分解し、それぞれを1つのレコードとして別アプリに書き出す処理が必要になります。

その後、この分解された詳細レコードを案件予実管理アプリに関連レコードとして表示します。

この方法は設定の難易度がやや高くなりますが、予実の根拠を詳細に分析したい場合に非常に有効です。

kintoneプラグイン「krewData」で予実集計を確実にするデータチェックコマンドとは

kintoneプラグイン「krewData」で予実集計を確実にするデータチェックコマンドとは

データチェックコマンドは、krewDataの処理フローの途中で、特定の条件を満たしているかデータを確認できるコマンドです。

例えば、集計元のアプリに存在すべき必須データが欠けていないか、他のアプリと連携するためのキーとなる情報(案件コードなど)が正しく存在するか、といったチェックを行えます。

ここではチェックコマンドについて以下の2点を解説します。

  • 予実集計におけるデータチェックコマンドの活用例
  • エラー原因の特定を容易にするデータチェックアプリ

予実集計におけるデータチェックコマンドの活用例

予実集計におけるデータチェックコマンドの活用例

案件予実管理アプリにデータを更新する際に、更新対象となる案件レコードが実際に存在するかどうかをチェックするためにデータチェックコマンドを使用します。

例えば、集計元の外注費アプリに特定の案件コードのレコードがあるにも関わらず、案件予実管理アプリではその案件コードのレコードが削除されてしまっている場合、krewDataは更新対象を見つけられずにエラーとなります。

このような場合に、krewDataの処理の早い段階でデータチェックコマンドを使って「案件予実管理アプリにこの案件コードのレコードが存在するか?」というチェックを行います。

もし存在しない場合は、そのデータは集計・更新処理の対象から外し、エラーとして別途記録するように設定できます。なお、「存在チェック」はデータチェックコマンドでよく使われる機能です。

エラー原因の特定を容易にするデータチェックアプリ

エラー原因の特定を容易にするデータチェックアプリ

データチェックコマンドを設定すると、エラーが発生した際にその情報が「データチェックアプリ」という専用のアプリに自動的に記録されます。このデータチェックアプリは、krewDataによって自動的に作成されるアプリです。

データチェックアプリには、どのkrewDataのフローで、どのようなエラーが発生したのか、具体的なエラー内容などが記録されます。

これにより、krewDataの処理がうまくいかなかった場合に、エラーの原因(例: 担当者が誤って案件レコードを削除してしまったなど)を迅速に特定できます。

現場の担当者がkrewDataの設計者が想定しないような使い方をすることでエラーが発生することは少なくありません。データチェックコマンドとデータチェックアプリを活用することで、エラー発生時の調査や対応の負担を軽減できます。スムーズな予実集計の運用には欠かせない機能と言えます。

まとめ

まとめ

kintoneとkrewDataを組み合わせることで、複数のアプリに分散した案件関連費用を自動集計し、効率的な予実管理を実現できます。

特に、複数のアプリからデータを集計・結合する際には、krewDataドリルで紹介される「アプリ結合」コマンドを繰り返すのではなく、「レコード結合」コマンドを使用することで、設定フローをシンプルに保ち、後の運用管理を容易にすることが可能です。

また、予実集計の集計方法には、全件再集計、差分取り込み、計算根拠の可視化といった複数のパターンがあり、貴社のデータ量や求める粒度に応じて選択できます。さらに、データチェックコマンドを活用することで、予実集計の実行中に発生するエラーを検出し、その原因特定を容易にすることができます。

なお、ペパコミ株式会社では、「kintone」を活用した業務支援を行っています。業務効率化にお悩みの方は、ぜひ以下からお気軽にご相談ください。

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