「kintoneを導入したけれど、操作マニュアルの作り方がわからない」
「マニュアルを作っても、社員がルール通りに使ってくれず形骸化している」
kintone(キントーン)を活用する上で、このような悩みをかかえている方もいるでしょう。kintoneは多機能な業務改善プラットフォームですが、機能を最大限に引き出すには、誰でもわかりやすく、常に最新の状態が保たれたマニュアルが不可欠です。
本記事では、kintoneでマニュアルを作るメリットや具体的な作成方法、作成したマニュアルを社内に定着させ、円滑に運用するための5つのポイントを解説します。kintoneでマニュアルを作成して業務の標準化と効率化を実現したい方は、ぜひ参考にしてください。
なお、ペパコミ株式会社では、kintoneの導入サポートやコンサルティングサービスを提供しています。
kintoneでマニュアルを作成して業務効率化させたい方は、お気軽にご相談ください。
kintoneでマニュアルを作るメリット

kintoneでマニュアルを作成・管理することには、2つのメリットがあります。
1つ目は、kintoneがデータベース型のツールであるため、情報を一元管理しやすい点です。 紙やExcelファイルのように情報が分散せず、マニュアルを探す手間が大幅に削減されます。 また、最新版のマニュアルを共有できるため「古い手順を見て作業してしまった」などのミスを防げます。
2つ目は、アクセス権限を細かく設定できる点です。 部署や役職ごとに関覧できる範囲や編集できる範囲を制御し、情報のセキュリティを保ちながら運用できます。
添付ファイル機能を使えば、PDFの手順書、操作画面の画像、解説動画などを一つの場所にまとめて共有可能です。マニュアルの更新履歴も自動で記録されるため、いつ誰がどの部分を変更したかが明確になり、改訂の管理も容易になります。
次の記事では、大きな組織でkintoneを浸透させるための、具体的なマニュアルや動画マニュアルの活用コツについて詳しく解説しています。自社での導入を検討した場合のイメージがしやすくなるので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:自治体でのkintone浸透へ「マニュアル」・「動画マニュアル」のコツ | ペパコミ株式会社
kintoneマニュアルで使える標準機能

kintoneには、マニュアル作成と運用に役立つ標準機能が5つ備わっています。
| 機能の特徴 | |
| アプリ機能 |
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| スペース機能 |
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| スレッド機能 |
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| コメント機能 |
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| 添付ファイルフィールド |
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マニュアルの土台から検討、作成後の共有まで、ほとんど標準機能で対応できます。
次の記事では標準機能を使って、社内の質問(FAQ)を効率的にマニュアル化する方法や、カテゴリ機能・プロセス管理を活用したQ&Aアプリの構築方法を詳しく解説しています。
標準機能を効率的に活用したい企業は、ぜひ参考にしてください。
関連記事:kintoneで質問をマニュアル化する方法!カテゴリ機能とプロセス管理で効率的なQ&Aアプリを構築
kintoneでマニュアルを作る方法

kintoneでマニュアルを作成する方法は、主に「社内向け」と「管理者向け」の2つの側面から考える必要があります。
- 社内向けマニュアルの作り方
- 管理者向けマニュアルの作り方
どちらもkintoneのアプリ機能をベースに作成しますが、目的と対象者に応じてフィールド設計や運用方法が異なります。
社内向けマニュアルの作り方
はじめに、マニュアル管理専用のアプリを新規作成します。 アプリには、タイトル・業務カテゴリ・手順・注意点・更新日・担当者などの情報を入力するためのフィールドを設計してください。
特に「手順」フィールドには、操作画面の画像や解説動画を添付できるように設定すると、初心者でも直感的に理解しやすい内容になります。
マニュアルが増えてきたときに探しやすくするため、「カテゴリー」や「タグ」のフィールドを設けることも重要です。 業務内容や関連するアプリ名で分類できるようにしておくと、検索性が向上します。
作成したマニュアルは、関連する部署やプロジェクトの「スペース」内で共有するのがおすすめです。 スペースやアプリのアクセス権設定を活用し、部署ごとに必要なマニュアルだけが表示されるように調整すると、利用者が情報を見つけやすくなります。
管理者向けマニュアルの作り方
管理者向けマニュアルは、まず作成・承認・更新に関するルールを明確に定義します。 誰がどの範囲のマニュアルを管理するのか、責任の所在をはっきりさせましょう。
マニュアル管理アプリに「ステータス(作成中・承認待ち・公開中など)」「更新履歴」「承認者」などのフィールドを追加します。 これにより、マニュアルの改訂プロセスを見える化できます。
また情報の正確性を保つため、アクセス権限を細かく設定することも大切です。 閲覧者と編集者を分け、承認された担当者だけが内容を編集できるように制御しておくと、誤った情報の拡散や意図しない変更を防ぎます。
改訂内容はスレッド機能で関係者に共有し、承認を得た後にスペースへ公開する運用体制を整えましょう。 システム更新時や月1回など、更新タイミングを決めてリマインド通知を自動化すると、更新漏れを防げます。 教育資料として活用したい場合は、社内研修で使えるOJT資料や説明スライドも添付しておきましょう。
kintoneマニュアルを円滑に運用させる5つのポイント

マニュアルは作成して終わりではなく、社内で活用され、定着してこそ意味があります。ここでは、kintoneマニュアルを円滑に運用させるための5つのポイントを解説します。
- 更新ルールを明確にする
- タグ・カテゴリ設計で検索性を高める
- 研修と連携して活用を定着化させる
- モバイルでも閲覧可能にする
- フィードバックで継続的に改善する
これらのポイントを押さえ、マニュアルが「使われる」仕組みを構築しましょう。
更新ルールを明確にする
マニュアルが機能しなくなる最大の原因は、情報が更新されないことです。 システムの仕様変更時や組織改編があった場合、関連する法改正時など、具体的な更新タイミングを決めましょう。
さらに、マニュアルごとの担当者や承認者をあらかじめ決めておくと、更新作業の責任の所在があいまいになる事態を防げます。
kintoneの機能を活用し、マニュアルアプリに「最終更新日」フィールドを設けて自動表示させる設定も有効です。 利用者は常に最新の情報を確認できます。 更新履歴もアプリ内に記録し、過去のバージョンと比較したり、必要に応じて復元したりできるようにしておくと管理がしやすくなります。 半年や1年に一度、全体レビューの機会を設け、内容が現状と合っているかを確認する作業も、マニュアルの品質維持につながります。
タグ・カテゴリ設計で検索性を高める
マニュアルの数が増えてくると、「必要な情報がどこにあるかわからない」問題が発生します。利用者が目的のマニュアルにすばやくたどり着けるよう、検索性を高める設計が重要です。
具体的には業務区分や部署名、システム名など、利用者が探しそうなキーワードを想定してタグを統一します。 例えば「営業 見積作成」「経理 請求書発行」のように、社内で共通の命名ルールを作成すると、検索の精度が上がります。
また、カテゴリごとに一覧画面の「絞り込みビュー」を設定しておく方法もおすすめです。 担当者は自分に必要な情報だけを一覧表示できます。 また、タグの利用状況をアクセスログで分析すると、よく使われるマニュアルや、逆に見られていないマニュアルを特定できます。
利用頻度の低いマニュアルは内容を見直すか、アーカイブ化するなど、定期的に情報を整理しましょう。
研修と連携して活用を定着化させる

マニュアルの存在を社内に定着させるには、研修との連携が欠かせません。 特に新入社員研修や中途入社者向けの実務を通じた職業教育「OJT」で、kintoneマニュアルを公式の教材として活用しましょう。
研修は、実際のkintone操作画面を見せながら、マニュアルの手順と照らし合わせて学習できるように設計します。 動画や画像が豊富なマニュアルを用意しておけば、指導担当者が口頭で説明する負担を軽減できます。
利用者は後からマニュアルを見返して復習も可能です。研修後にはアンケートを実施し、マニュアルのわかりやすさや理解度、改善してほしい点などを可視化します。
研修参加者からのフィードバックをマニュアル改善に活かすことで、より実践的な内容にブラッシュアップしていけます。
モバイルでも閲覧可能にする
kintoneはモバイルアプリにも対応しているため、マニュアルをスマートフォンやタブレットからでも閲覧できるように整備しましょう。営業担当者が外出先で手順を確認したり、作業現場のスタッフがその場でチェックリストを見たりできます。
モバイルでも閲覧可能にする場合は、端末の小さな画面でも見やすいように、HTMLフィールドを使って文字サイズを調整したり、画像サイズを最適化したりする工夫が必要です。
特に「緊急時対応マニュアル」や「作業現場用チェックリスト」など、即時性が求められる資料はモバイル対応の価値が高くなります。kintoneのオフラインモードを活用すれば、通信環境が不安定な場所でも事前にダウンロードしたマニュアルを確認可能です。
テレワーク中の社員を含め、どこにいても同じ最新情報にアクセスできる環境を整えることは、業務の属人化を防ぐ上でも役立ちます。
フィードバックで継続的に改善する
マニュアルは一度作ったら終わりではなく、現場の状況に合わせて継続的に改善していく必要があります。kintoneのコメント機能を活用し、各マニュアルに改善提案や質問を自由に書き込めるようにしましょう。
具体的には、マニュアルのコメント欄を開放し、利用者からのフィードバックを受け付ける窓口をつくります。 結果的に、現場の担当者だからこそ気付く改善点や、実際に使ってみてわかりにくかった部分の声を収集できます。
意見が集まったら管理者が確認・承認してマニュアルに反映させ、スレッド通知機能で関係者に共有します。 「現場の声でマニュアルが良くなった」という実感が、さらなる活用と改善提案の好循環を生みます。 コメントの履歴はそのまま蓄積されるため、なぜそのように改訂されたのか、背景を後から追跡することも可能です。 「現場で本当に使える情報」を取り込み続けることで、マニュアルの品質を高く保てます。
kintoneマニュアルのカスタマイズ方法4選

kintoneの標準機能だけでもマニュアル管理は可能ですが、さらに使いやすくするためのカスタマイズ方法が4つあります。
- HTMLフィールドでデザインを調整
- 一覧画面をカスタマイズして検索性を向上
- AIプラグインで自動化・利便性を強化
- アプリ連携でマニュアル・FAQを統合管理
自社の運用に合わせて、これらの方法を取り入れてみましょう。
HTMLフィールドでデザインを調整
標準のフィールドだけでは表現が難しい、視覚的にわかりやすいデザインは、HTMLフィールドを使って実現します。HTMLフィールドを利用すると、マニュアル本文の文字サイズや色、背景色などを自由に変更可能です。 例えばタイトル部分には大きなフォントを使い、特に読んでほしい注意点には赤文字を設定するなど、読む人の視線を誘導できます。
また、HTMLを使えば、関連するマニュアルへのリンクや、ページ内の特定箇所へ移動するアンカーを埋め込むこともスムーズです。 操作手順を整理して見やすく表示するために、表や箇条書きをHTMLで記述する方法もあります。
デザインのルールを社内テンプレートとして統一すれば、複数の部署が同じフォーマットでマニュアルを作成でき、全体の統一感を保てます。
一覧画面をカスタマイズして検索性を向上
マニュアルアプリの一覧画面をカスタマイズし、検索性を高める方法も有効です。一覧画面にカテゴリや最終更新日、作成者などの列を追加すれば、利用者はアプリを開いた瞬間に必要な情報を確認できます。
さらにフィルター機能を設定し部署別や業務別、更新時期別などでマニュアルを絞り込み検索することも可能です。
マニュアルの件数が数百件と増えても、設定で「最新更新順」や「重要度順」に並べ替えられます。 ビュー機能を活用すれば、閲覧者が自分の業務に関連するマニュアルだけを初期表示させることも可能です。
標準の検索バーを使ったキーワード検索とカスタマイズを組み合わせることで、膨大なマニュアルの中からでも、数秒で目的の情報にたどり着けるようになります。
AIプラグインで自動化・検索性を強化
近年では、AIを活用したプラグインを導入し、マニュアル運用の利便性を高める企業も増えています。「Smart at AI」のようなAIプラグインをkintoneに導入すると、登録されたマニュアル内容の要約や質疑応答、自動生成まで可能です。
利用者は「この手順の意味を簡単に説明して」「関連する資料を出して」など、自然な言葉でAIに問い合わせができます。
AIがマニュアル全体を解析し、情報が古い箇所や内容が重複している部分を自動で検出して、更新を提案する機能も便利です。 既存のFAQアプリと連携させることで、マニュアル検索とチャットボットによる質疑応答を一元管理できます。
AI機能は、社内データが外部に漏れないようAPI経由で安全にやり取りされるため、セキュリティ面でも安心して運用可能です。
アプリ連携でマニュアル・FAQを統合管理
kintoneはさまざまなアプリと連携できるため、マニュアルと関連業務を統合管理しやすいのが特徴です。例えば「マニュアルアプリ」「FAQアプリ」「作業チェックリストアプリ」を連携させると、社内の業務知識を一元化できます。
利用者は、FAQで疑問を検索し、解決しない場合はそこから関連するマニュアル本体へジャンプします。 さらに、マニュアルの手順を確認しながらチェックリストアプリで作業完了報告まで行うなどの一連の流れが実現可能です。
関連するアプリの情報が更新された際に、マニュアルアプリにも自動で反映されるように設定すれば、常に最新の状態を維持できます。 Google DriveやBoxなど外部のストレージサービスとのリンクも設定できるため、大容量の添付ファイル管理もスムーズになるでしょう。
このような連携により、マニュアルを見る・業務で使う・改善点をフィードバックするというサイクルを、kintoneの1つの画面で完結できるようになります。
kintoneマニュアルで業務を効率化したいなら「ペパコミ株式会社」にご相談ください

kintoneでマニュアル化を進めることで、業務の属人化を解消し、情報共有のスピードを上げ、新人の教育コストを削減できます。 しかし、マニュアルを円滑に運用するためには、更新ルールを明確にしたり、研修と連携して定着させたりする仕組みづくりが大切です。
kintoneマニュアルは、AIプラグインの導入やアプリ連携によって、自社の業務に合わせて自由にカスタマイズできる大きな可能性があります。
なお、ペパコミ株式会社では、kintoneの導入サポートやコンサルティングサービスを提供しています。
kintoneでマニュアルを作成して業務効率化させたい方は、お気軽にご相談ください。













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