”kintone導入の成功事例は華々しく見えますが、その裏側には多くの苦労が存在します。
社内での理解不足、システム構築時の課題、運用の定着、そして内製化の維持まで、各フェーズで様々な困難に直面するのが現実です。
本記事では、kintone推進における具体的な課題と、実際の経験に基づいた解決策を詳しく解説します。
本記事の内容はプラグインの本来の目的や全ての使い方を網羅しているわけではない可能性があることを理解しておきましょう。
実際にプラグインを導入する際は、提供元が公開している公式情報なども合わせて確認することをおすすめします。
あくまでこんなことが出来るんだ。というイメージをしてもらう目的で記事にしていることをご了承下さい。
なお、ペパコミ株式会社では、「kintone」を活用した業務支援を行っています。業務効率化にお悩みの方は、ぜひ以下からお気軽にご相談ください。
kintone推進における重要な視点
kintoneを導入する際、経営者が内製化を目的とする例は多くあります。しかし、内製化する状態を維持し続ける点が重要であると指摘されます。
kintoneの導入事例は華々しく見えるものの、その裏側には多大な苦労が存在する事実はあまり知られていません。
kintoneを導入する前の段階や、活用できているように見えるシステムの裏側には、多くの苦労がある場合が多いです。
kintone導入前の障壁と克服方法
kintone導入前の障壁と克服方法を紹介します。
- 社内からの理解不足と誤解
- 外部パートナーを活用した理解促進
kintoneを導入する初期段階では、周囲からの理解が得られない点が大きな障壁となり得ます。
内製化ができるシステムであるkintoneが、属人化を招くという誤解を生む場合があります。
当初、社内ではkintoneの理解が不足しており、kintoneに関する発言が過剰であると誤解される状況も発生しました。
社内からの理解不足と誤解
2020年、コロナ禍の初期に介護施設へのITツール助成金制度を立ち上げる必要がありました。
この制度は国が新しく始めたものであり、その内容は複雑でした。制度の早期立ち上げとシステム化が求められる中で、事業部門はkintoneによる内製化を希望しました。
しかし、社内ではシステムをゼロから構築する文化が一般的であり、kintoneでの内製化は属人化を招くとして、幹部から却下される事態となったのです。
結果的に外部のパートナー企業へ約200万円で委託し、業務に合わないシステムが構築され、kintoneの評判も低下しました。
外部パートナーを活用した理解促進
一度はkintoneの導入を諦めかけたものの、自身の知識が誰かの役に立てば良いと考え、ノートやX(旧Twitter)にkintoneに関する経験談を投稿しました。
その結果、kintoneコミュニティの人々に受け入れられ、仲間が増えたことでkintoneを続ける勇気を持ち直すことができました。
数年後、kintoneコミュニティの人々やパートナー企業と知り合い、オンラインで幹部に紹介しています。
kintoneのプロフェッショナルが説明した結果、社内の幹部がkintoneについて深く理解するようになりました。
これは、話す人物が「プロであるか否か」によって、受け手の理解度が変化した事例と言えます。
同じ内容を話していても、プロが話すと信用度が増す傾向があるため、kintoneが属人化を招くものではないことの重要性を理解してもらえるようになったのです。
kintoneシステム構築時の円滑な進め方
kintoneシステム構築時の円滑な進め方を紹介します。
- 素早い問い合わせ対応によるメリット
- 現場業務への深い理解に基づく設計
kintoneアプリケーションの構築時には、利用者からの問い合わせ対応が素早いと、作業が円滑に進みます。
システム構築を経験したことがない場合でも、kintoneは直感的にアプリ作成を可能にします。
素早い問い合わせ対応によるメリット
kintone構築において、サイボウズ社の問い合わせ対応が迅速である点は、作業の円滑化に貢献します。
問い合わせへの迅速な対応は、システム構築時の苦労を軽減する要因になります。
現場業務への深い理解に基づく設計
kintoneシステムの設計において、要件が固まっていない状態からでも、紙と鉛筆を用いてデータの流れを図式化する手法で進めることができました。
ヒアリングや要件整理は、システム設計の経験が少ないと困難に感じるものですが、kintoneを使うことで設計を進められています。
コロナ禍の助成金制度のシステム構築時、利用者や介護施設の担当者がコロナ禍の困難な状況を具体的に説明してくれるため、困りごとやミスの起こりやすい点を事前に把握できました。
これにより、システム構築時に細かな配慮を多く盛り込むことが可能となりました。
例えば、フォームに条件分岐を設定し、伝える必要がない情報は表示させないようにする工夫を行っています。
このような細かな配慮を積み重ねることで、利用者側はシステムをスムーズに利用できる状態となりました。
利用者はシステムに満足し、時には感動の言葉を寄せることもありました。
現場の業務を深く想像し、利用者がどのように使えば便利になるかを考慮して設計することは、kintoneアプリ作成において非常に重要です。
作成者の主観ではなく、現場の困り事を理解し、解決に導く視点が求められます。
kintone運用段階におけるユーザーとの連携
kintone運用段階におけるユーザーとの連携に関して解説します。
- ユーザーの積極的な利用を促す配慮
- 具体的な工夫による業務円滑化
kintone運用段階では、ユーザーが前向きにシステムを利用する姿勢を見せる場合が多く見られます。
ユーザーの積極的な利用を促す配慮
助成金制度の運用時、お客様や施設担当者から日頃よりコロナ禍の困難な状況を聞き取り、困りごとやミスの起こりやすい点を把握しました。
これにより、システム構築時に利用者がスムーズに利用できるよう、細部にわたる配慮を組み込むことができました。
例えば、フォームの条件分岐機能を活用し、入力内容に応じて表示される項目を制御するなど、利用者が誤解なくスムーズに操作できるような工夫を実施しています。
これにより、利用者はシステムの使いやすさを感じ、積極的に活用するようになりました。
システムを利用する中で、「ここが間違っている」「ここも間違っている」といった指摘を受けることが減り、利用者のストレスを軽減できました。
具体的な工夫による業務円滑化
現場の業務を想像し、利用者にとってどのような設計が便利であるかを深く考察した上でkintoneアプリを作成しました。
これは、システムを構築する側が、利用者の立場に立って考えることが重要であるという考え方に基づいています。
テレワーク環境下での構築作業であったため、自身の作業内容を他者が見ることはありませんでしたが、多くの時間を費やしてシステムの完成度を高めました。
この取り組みが、結果として顧客の満足度を高め、システムの円滑な運用につながりました。
kintoneの定着と内製化に向けた取り組み
kintoneの定着と内製化に向けた取り組みを紹介します。
- 社内のkintoneへの関心向上と研修の挑戦
- kintone研修計画の失敗とその要因
kintoneのテレビCMなどが一般的に認知され始めた時期には、社外への普及活動における困難さが減少しました。
社内のkintoneへの関心向上と研修の挑戦
kintoneの定着を促すため、社内でkintoneに興味を持つ可能性のある部署や個人に対し、上司と共に個別に働きかけを行いました。
その結果、kintoneのアカウントを希望する社員が増加したため、社内向けにkintone研修を計画し、外部向けのセミナーも実施しました。
社内研修の募集をkintoneで行ったところ、社内の3分の1の社員が応募する結果となり、この時、これまでの理解を得られない苦労を思うと喜びを感じたものです。
kintone研修計画の失敗とその要因
しかし、この研修は外部企業に依頼したものであり、kintone自体を学ぶ内容ではありませんでした。
研修後、幹部から「企画した研修の評判が悪い」「時間の無駄」との指摘を受け、ショックを受けました。
これは、研修を提供する企業のサービス自体は優れていましたが、自社の社員がkintoneに求めていた学習内容と大きく乖離していたためです。
参加者の多くは、krewSheetやCustodyといった拡張機能を用いた具体的なシステム開発スキルを短時間で習得したいと考えていました。
一方、経営層は国や自治体のリスキリング助成金・補助金制度に該当する研修を希望し、具体的なシステム開発を成果として求めていました。
そのため、研修の目的と内容が一致せず、参加者の期待に応えられなかったのが失敗の要因です。
参加者は「研修を受ければkintone開発ができるようになる」という高いモチベーションで参加していましたが、セミナー内容は標準機能のアプリ作成や概念的な部分に留まっていたため、認識のずれが生じました。
この研修以降、同様の研修は実施されませんでしたが、研修を受けなかった社員の中には、自身のペースでkintoneに取り組み、スキルを身につけた者も存在します。
彼らが自慢げに成果を話す姿からは、kintoneへの関心が完全に消えたわけではない状況がうかがえます。
kintone導入がもたらす効果と課題
kintone導入がもたらす効果と課題は以下のとおりです。
- コスト削減とシステム開発の変化
- 内製化における評価制度の必要性
kintoneの導入により、企業内でのkintone活用に挑戦したいと考える社員が増加しました。
コスト削減とシステム開発の変化
kintoneやその他のツールの経費をシステム数や社員数で按分すると、これまでは1システムあたり200〜300万円かかっていた費用が、1万〜3万円程度で開発できるようになりました。
しかし、社内には依然としてシステムをゼロから構築する手法を支持する層も存在し、数百万円をかける開発と数万円で済むkintone開発との間で、費用面での二極化が見られる状況です。
内製化における評価制度の必要性
kintoneを活用し、低コストでシステムを内製化した社員は、会社に大きな利益貢献をしているにもかかわらず、高額な費用をかけてシステム開発を行う社員と同等の評価しか得られない場合がありました。
この状況は、kintone利用者のモチベーション低下につながる可能性があります。
この課題に対し、かつてkintone Cafeの場で、経営者に対して「システム内製報奨金」制度の導入を提案しました。
この制度は、「売上からシステム経費と人件費を差し引いた粗利に還元率をかけ、会社と本人で分配する」という計算式を含んでいました。
提案は周囲から良い反応を得ましたが、社内で実際に導入されたかどうかは確認できていません。
しかし、このような評価制度の提案は、kintone担当者のモチベーション維持と離職防止の観点からも重要であると考えられます。
内製化を促進したい経営層は、kintoneによって利益貢献している社員に対し、適切な評価を行う仕組みを設ける必要性を理解することが求められます。
まとめ|kintone推進をこれから行う方への助言
kintoneの導入を検討している方や、現在導入過程で困難に直面している方へ助言があります。
kintone推進の過程では、周囲からの理解を得られないなどの苦しみに直面する場合も少なくないはずです。
しかし、kintoneコミュニティと関わりを持つことで、将来的に社内にも仲間が増える可能性があります。
kintone導入の初期段階で経験するであろう、ハラハラやドキドキといった感情を楽しむ姿勢が重要です。kintone推進において、あなたは一人ではありません。
なお、ペパコミ株式会社では、「kintone」を活用した業務支援を行っています。業務効率化にお悩みの方は、ぜひ以下からお気軽にご相談ください。
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