kintoneの価格改定|11年ぶりの値上げ背景と今後の展望

kintoneの価格改定|11年ぶりの値上げ背景と今後の展望
小川喜句

ペパコミ株式会社代表取締役小川 喜句

ペパコミ株式会社代表取締役。youtubeにて「kintone活用ちゃんねる」と、kintoneのプラグインメディア運営。kintoneの構築や内製化を伴走支援を行なっており、kintone運営会社「サイボウズ社」のビジネスにおいて、顕著な実績を上げたパートナー企業や個人を表彰する制度である「CYBOZU AWARD 2022」を受賞。サイボウズ評価制度4年連続2つ星を受賞し、セールス部門(2023~2025年) インテグレーション部門(2022~2025年)も受賞。

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kintoneは、業務アプリケーションを開発するためのプラットフォームとして多くの企業に利用されています。

近年、kintoneの価格改定が実施されました。

この価格改定は、サイボウズが提供するkintoneのサービス品質向上と、より幅広い層への普及を目指す中で行われました。

本記事では、この価格改定が実施された背景や、改定後の影響、そしてkintoneの今後の事業戦略について、サイボウズの役員へのインタビューを基に詳細を解説します。

また、本記事の内容はプラグインの本来の目的や全ての使い方を網羅しているわけではない可能性があることを理解しておきましょう。

実際にプラグインを導入する際は、提供元が公開している公式情報なども合わせて確認することをおすすめします。

あくまで「こんなことが出来るんだ。」というイメージをしてもらう目的で記事にしていることをご了承下さい。

なお、ペパコミ株式会社では、「kintone」を活用した業務支援を行っています。業務効率化にお悩みの方は、ぜひ以下からお気軽にご相談ください。

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目次

kintoneの価格改定について

kintoneの価格改定について

kintoneの価格改定について紹介します。

  • kintoneの価格改定が行われた背景
  • 価格改定後の影響と実績

kintoneの価格改定は、製品の成長と市場の変化に対応するために行われました。

この見出しでは、改定に至った具体的な理由や、改定後のユーザーの反応、新規顧客獲得状況について解説します。

kintoneの価格改定が行われた背景

kintoneの価格改定が行われた背景

kintoneは、リリースから11年間価格を変更せずに提供されてきました。

初期の段階では、製品が市場で受け入れられるかどうかが不透明で、利用者の裾野を広げる目的で価格設定が行われたためです。

しかし、時間とともに、最低単価で利用する顧客へのサポートコストや維持費用が、正直なところ会社にとって厳しくなっていたという現状がありました。

また、最低単価の顧客層では解約率が高い傾向が見られます。会社内部では、解約率が高い原因として、サポートが不足しているのではないかという議論が生じました。

質の高いサービスを継続して提供し、必要な費用を投じるためには、最低単価の見直しが必要であるという判断に至りました。

この価格改定は、中小企業を切り捨てる意図があったわけではありません。

むしろ、これまでの価格設定が、会社が無理をして提供してきたフェーズであったという認識です。

改定は、最低単価を引き上げることで、サービスの品質を維持し、さらに向上させるための必要な措置であったと考えられます。

サイボウズの担当役員が最終的な価格決定責任者であると述べています。

価格改定後の影響と実績

価格改定後の影響と実績

価格改定後、具体的な数字が明らかになり始めています。注目すべきは、改定による解約率への影響です。

サイボウズの担当役員によると、解約率はほとんど上がっていないという結果が出ました。これは、サイボウズにとって嬉しい反応であったと述べられています。

さらに、新規の顧客獲得数においても、価格改定後の2023年11月は非常に好調な推移を見せています。全体として、売上が大きく落ち込むことはありませんでした。

この結果は、18,000円という新しい価格設定に対して、利用者がkintoneの価値を感じて購入しているという好循環が生まれているとサイボウズ側は考えています。

この価格改定により、kintoneの利用を検討する顧客の意識も変化すると考えられています。

18,000円をkintoneに投資する顧客は、プラグインなど追加機能への投資意欲も高まり、kintone本来の価値をより深く活用しようと試みているケースも少なくありません。

これにより、kintoneを利用するユーザーの「当たり前」の基準が高まり、製品の健全な成長に繋がる可能性が示唆されています。

kintoneの今後の展望

kintoneの今後の展望

kintoneの今後の展望を解説します。

  • 外部データ連携とAI活用
  • エンジニアのモチベーションと開発体制
  • 海外市場での可能性
  • パートナーへの期待

kintoneは、価格改定だけでなく、製品機能の強化や市場拡大に向けても様々な取り組みを進めています。

この見出しでは、最新の技術動向への対応、開発体制、そして国内外での事業展開について詳細を解説します。

外部データ連携とAI活用

外部データ連携とAI活用

kintoneは、単なるデータベースとしてだけでなく、多様なシステムとの連携を深める方向へ進化しています。

これまではkintone内部でデータを持つデータベースの役割が中心でしたが、今後は外部のデータウェアハウス(例:BigQuery、Redshift、Snowflakeなど)に格納されたデータを、kintoneのUIから直接操作できる「外部データ接続」機能が提供されます。

これにより、顧客が既に保有する大量のデータをkintoneのインターフェースから活用可能です。

これは、データをkintoneに移動させることなく、ストリーミングに近い形で利用できる仕組みです。

また、AI技術、特にRAG(Retrieval Augmented Generation)の活用も進んでいます。kintone内でRAGを利用できるようになることで、スムーズな情報検索が可能です。

これは、kintone内部のデータだけでなく、外部のデータウェアハウスに蓄積されたデータをRAGで活用する次の段階へと繋がる可能性を秘めています。

kintoneは、現代のデータ活用トレンドである「モダンデータスタック」に合致するアプローチを推進しています。

エンジニアのモチベーションと開発体制

エンジニアのモチベーションと開発体制

サイボウズでは、kintoneが最も注目される製品の一つであり、多くのエンジニアがkintoneの開発に携わることを希望しています。

これは、kintoneが新たな技術的な挑戦の機会を多く提供しているためです。

サイボウズは、メールワイズやGaroonといった周辺製品についても、kintoneを基盤とするテクノロジーに置き換える方針を進めています。

これにより、開発がより円滑に進み、新しい機能をより早く、品質の高い状態で提供できると考えています。

実際に、Garoonの一部の機能(ワークフロー、掲示板など)がプラグインとしてkintone上で利用可能になり、これらはkintoneのエンジニアによって開発されました。

このような取り組みは、エンジニアのモチベーションを維持し、高める上で重要視されています。

製品ポートフォリオ全体の売上と利益を確保しつつ、kintoneの成長を推進するための、マネジメント層によるモチベーションコントロールも行われています。

海外市場での可能性

海外市場での可能性

kintoneは海外市場、特にアメリカでの展開も強化しています。

アメリカのIT先進国というイメージは大手企業に限られるもので、中小企業においては日本と同様に、業務がExcel中心で、ITリテラシーが必ずしも高くないのが現状です。

サイボウズは、アメリカの中小企業に対し、手厚いサポートと具体的なサンプルアプリケーションの提案を行う戦略を取っています。

このアプローチは非常に好評で、求められていたにもかかわらず、これまで提供する企業が少なかったためと考えられます。

アメリカでは、毎月2桁の新規顧客を獲得できている状況です。

サイボウズの担当者は、この「Cybozu Days」のような大規模イベントをアメリカでも開催できれば、さらに市場を拡大できるという認識を示しています。

日本のベンダーにもアメリカ市場でのチャンスは十分にあると見ており、中小企業が喜ぶノウハウを蓄積していると述べています。

アメリカは人件費が高騰しているため、質の高い日本のシステムインテグレーター(SIer)にとって、言語の壁を越えられれば、オフショア開発の受け入れ先として大きな需要があるでしょう。

パートナーへの期待

パートナーへの期待

サイボウズは、今後のkintoneの成長においてパートナー企業との連携を重視しています。

特に、パートナー企業に対しては二つの点での貢献を期待しています。

一つ目は、サイボウズが目指すエンタープライズ市場への本格的な進出において、不足している部分を共に補い、共同で進んでくれることです。

二つ目は、潜在的な顧客層の開拓です。

これまでのkintoneの成長は、「欲しい」と明確に意思表示する顧客が多かったため順調に進みましたが、さらなる成長率維持には、潜在層を掘り起こすための啓蒙活動が不可欠であると認識しています。

これはパートナー企業にとって手間がかかる作業ですが、サイボウズはこれを共同で実施してくれるパートナーを求めています。

潜在顧客層の開拓においては、ITリテラシーが低い、あるいは自分たちの悩みがITで解決できると気づいていない企業へのアプローチが重要です。

DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉だけでは響かない層に対し、具体的な売上向上やコスト削減といった経済的メリットを示すアプローチが有効であると考えられています。

地方の顧客や、情報収集がオフライン中心の顧客層へのアプローチも視野に入っています。

サイボウズは、地方銀行や自治体との連携も模索しており、これらの機関と協力して、ITが課題解決に繋がることを啓蒙していく予定です。

まとめ|サイボウズはパートナー企業との連携を強めていく

まとめ|サイボウズはパートナー企業との連携を強めていく

kintoneの価格改定は、単なる値上げではなく、サービスの品質向上と、より大きな市場での成長を見据えた戦略的な一歩であったことが分かります。

価格改定後の市場の反応も好調であり、kintoneの価値が再認識されています。

今後は、AIや外部データ連携といった技術的な進化に加え、国内外の潜在顧客層へのアプローチ、そしてパートナー企業との強固な連携を通じて、さらなる成長を目指していくでしょう。

特に、ITの知識がない企業に対し、彼らの具体的な悩みをITで解決できるというメッセージを伝える啓蒙活動が、今後の普及の鍵を握ると考えられます。

なお、ペパコミ株式会社では、「kintone」を活用した業務支援を行っています。業務効率化にお悩みの方は、ぜひ以下からお気軽にご相談ください。

小川喜句

ペパコミ株式会社代表取締役小川 喜句

ペパコミ株式会社代表取締役。youtubeにて「kintone活用ちゃんねる」と、kintoneのプラグインメディア運営。kintoneの構築や内製化を伴走支援を行なっており、kintone運営会社「サイボウズ社」のビジネスにおいて、顕著な実績を上げたパートナー企業や個人を表彰する制度である「CYBOZU AWARD 2022」を受賞。サイボウズ評価制度4年連続2つ星を受賞し、セールス部門(2023~2025年) インテグレーション部門(2022~2025年)も受賞。

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