Japan IT Weekは、IT業界の最新動向が集まる大規模な展示会です。
kintoneのプロフェッショナル企業が出展した際の具体的な体験から、その費用対効果、来場者の実態、そして日本におけるIT活用の現状について深く掘り下げます。
この体験談は、今後の展示会出展を検討している企業にとって、貴重な参考情報になるはずです。
なお、ペパコミ株式会社では、「kintone」を活用した業務支援を行っています。業務効率化にお悩みの方は、ぜひ以下からお気軽にご相談ください。
Japan IT Week 2022の開催概要と出展費用
Japan IT Week 2022の開催概要と出展費用を紹介します。
- 開催期間と場所
- 出展にかかる費用内訳
- 費用対効果の判断基準
Japan IT Week 2022への出展は、多くの企業にとって投資と期待が交錯する場です。
ここでは、具体的な開催情報と、kintone関連の専門企業が実際にかかった費用、そして費用対効果の判断基準について解説します。
開催期間と場所
Japan IT Weekは、2022年10月26日水曜日から28日までの3日間、幕張メッセで開催されました。
このイベントは、ITソリューションを求める企業や個人が集まる場所として知られています。
出展にかかる費用内訳
今回の出展にかかった費用は、およそ120万円弱でした。この費用には、主に以下の項目が含まれます。
費用項目 | 金額(0.5コマ出展の場合) |
出展料 | 550,000円 |
コマ台(装飾) | 300,000円 |
人件費 | 135,000円 |
その他諸々 | (合計に含まれる) |
人件費は、企業によってはさらに高くなる可能性があります。
今回の出展は0.5コマのブースでおこなわれましたが、来年からは最小出展単位が1コマとなり、費用は倍になる見込みです。
費用対効果の判断基準
今回のJapan IT Week出展において、費用対効果の判断基準は、展示会期間中にkintoneコーチング関連の案件を2件以上獲得できるかどうかが目安でした。
この目標が達成できれば、出展は概ね成功と判断できる状況でした。
Japan IT Week出展の具体的な成果
Japan IT Week出展の具体的な成果を紹介します。
- 直接的な案件獲得状況
- 名刺情報とリードの質
- kintone関連の相談の特性
- 来場者の傾向と課題
出展から約4ヶ月が経過した時点での具体的な成果は、費用対効果の基準と照らし合わせて評価されました。
直接的な案件獲得状況や、取得したリード情報の質、そしてkintone関連の相談内容から、出展の実態が明らかになります。
直接的な案件獲得状況
出展期間後、実際に獲得できた案件は、相談案件が1件、共有案件が1件、サポート案件が1件でした。
また、単価の高い入札案件が1件ありましたが、これは期限が短かったため辞退しました。
結果として、今回の出展は直接的な仕事にはあまり結びつかなかったという結論が示されています。全体的に見ても、出展の効果は「微妙」であったとの評価です。
積極的に営業活動をおこなわなかった背景もありますが、熱意と決済権を持つ企業は10社程度であったと考えられています。
名刺情報とリードの質
3日間の出展で、約200件の名刺情報が集まりました。しかし、これらの名刺情報はリード情報としての価値が低いと判断されています。
多くの来場者が暇つぶし目的でブースを訪れている印象があったため、リードの質は薄かったと言えるでしょう。
kintone関連の相談の特性
今回のJapan IT Weekでは、kintone関連のブースを専門的に出展していたのは、この企業のみであったと考えられています。
出展者検索でkintoneに関連する企業としてヒットするのは4社程度で、他は副次的に取り扱っているレベルでした。
そのため、kintoneに関する具体的な相談を目的として来場する方は多かったようです。
来場者の中には、YouTubeチャンネルの視聴者も多数おり、彼らは熱量や課題の解像度が非常に高く、話がしやすかったと述べられています。
来場者の傾向と課題
来場者や他の出展企業を観察した結果、日本におけるIT業界のレベルは数年前からあまり変化していないという印象が示されました。
AIなどの増加は見られるものの、タスク管理ツールや請求管理ツールのような単一業務解決型のプロダクトが非常に多く見られました。
しかし、多くの企業がこのような単一ツールを導入しすぎた結果、業務が複雑になり、最終的にkintoneへの移行を検討するという相談が増えている現状があります。
これは、市場の意識と出展されているプロダクトの間に乖離があることを示唆しています。
また、来場者の中には「ペーパーレス化したいがkintoneでできるか」といった相談も多くありました。
ペーパーレス化は業務改善の先に訪れる結果であり、本質的な課題は業務改善にあると考えられます。
単にツールを導入してペーパーレス化を目指すだけでは、IT化は進みにくいという見解が示されました。
出展を通して見えた業界の課題と今後の展望
出展を通して見えた業界の課題と今後の展望を紹介します。
- 出展企業のプロダクト傾向
- ITリテラシーに関する懸念点
- 展示ブース装飾への評価
- 今後の出展方針
Japan IT Weekへの出展は、自社の成果だけでなく、IT業界全体の現状と課題を浮き彫りにする機会となりました。
出展企業のプロダクト傾向やITリテラシーに関する懸念、そして今後の出展方針について深掘りします。
出展企業のプロダクト傾向
他の出展企業を見ると、単一の課題を解決するためのプロダクトが目立ちました。これらのツールが根本的な課題解決に繋がるのか疑問を呈する声もあります。
また、「kintoneと連携できます」と謳うツールも存在しましたが、その連携方法はRPAやCSVの入出力に限定される場合が多く、提供側と利用側のITリテラシーの低さが懸念されました。
根本的なITリテラシーの向上が必要であると考察されています。
ITリテラシーに関する懸念点
今回の出展経験から、ITリテラシーの不足が課題として挙げられました。
これは、展示会に参加した入社1年目の社員が、自身の知識に自信を持つきっかけとなったことからも見て取れます。
プロダクトには多様な設計思想や技術が詰まっているものの、顧客の多様な業務課題の中から一つだけを解決するツール導入が、顧客のためになるのかを深く考察する必要があると考えられています。
本質的な課題解決を追求することが重要であると言えるでしょう。
展示ブース装飾への評価
RX JAPANは、展示ブースを盛り上げるための装飾提案や印刷サービスを無料提供しており、これは非常に助けになったと評価されています。
営業担当者の指示により、このサポートチームが熱心に活動し、集客力向上に貢献しました。
一方、ガチャガチャなどの景品による集客は禁止されており、YouTubeチャンネル登録を促すポストカード配布の効果は限定的でした。
今後の出展方針
今回のJapan IT Week出展は、費用対効果の面で期待を満たしませんでした。そのため、2023年のJapan IT Weekへの参加は見送る方向で検討されています。
もしkintone自体がブースを出展していれば状況は異なっていたかもしれません。
今回の出展で得られた教訓として、0.5コマのブースサイズで十分であったという認識があります。
ターゲットはkintoneを広く知ってもらうことではなく、すでにkintoneを理解し、導入を検討している層であるため、視覚的な大きさで集客する必要性は低いと考えられています。
ブースが大きいことによる集客のメリットはありますが、コストとのバランスを考慮すると、現在の0.5コマでも十分であったという判断です。
まとめ
Japan IT Weekにおけるkintone専門企業の出展は、多くの学びと考察をもたらしました。
約120万円弱の費用を投じ、約200件の名刺情報を得たものの、直接的な案件獲得には繋がりにくい結果となりました。
これは、来場者の目的意識やITリテラシーのレベルに起因する部分が大きいと考えられます。
特に、単一業務解決型プロダクトの多さや、本質的な課題解決ではなく表面的なIT化を求める傾向が課題として挙げられました。
一方で、kintone専門ブースとして来場者の具体的な相談に対応できたこと、そしてYouTube視聴者との交流がチャンネル認知に貢献した点は、出展の価値であったと言えるでしょう。
今回の経験を踏まえ、2023年のJapan IT Weekへの出展は見送られる見込みです。
展示会出展を検討する企業にとって、ターゲット層の明確化と費用対効果の厳密な評価の重要性を示唆する事例となりました。
なお、ペパコミ株式会社では、「kintone」を活用した業務支援を行っています。業務効率化にお悩みの方は、ぜひ以下からお気軽にご相談ください。
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