「kintoneが運送業の業務にどう役立つかわからない」
「ドライバーや事務所間の情報共有がうまくいかず、最新の状況が把握しにくい」
運送業に携わる方の中には、このような悩みをかかえている方も多いでしょう。
運送業界では、紙の伝票やホワイトボード、Excelを使ったアナログな管理がまだ多く残っています。しかし、アナログ管理ではリアルタイムの情報共有が難しく、配車スケジュールの変更や車両の管理、日報の提出などで多くの手間と時間がかかっています。
本記事では、運送業が抱える課題をkintoneでどのように解決できるか、具体的な活用機能や導入を成功させるためのポイントを詳しく解説します。
運送業でkintoneの導入を検討している方は、「ペパコミ株式会社」がご相談を承ります。業務のデジタル化でお悩みでしたら、ぜひお問い合わせください。
運送業界でkintoneが注目されている理由

運送業界では、業務の進め方を大きく見直す必要があり、その解決策としてkintone(キントーン)が注目されています。kintoneとは、開発の知識がなくても自社の業務に合わせたシステムを簡単に作成できるクラウドサービスです。
2024年4月から始まった「働き方改革関連法」による労働時間規制の強化(通称「2024年問題」)は、特に運送業に大きな影響を与えています。ドライバーの稼働時間が制限されるため、従来と同じやり方では輸送能力を維持できません。少ない人数で業務を回すための、根本的な業務の見直しが急務です。
しかし、多くの現場では、いまだにホワイトボードや紙、Excelでの管理が主流です。これらの方法では、配車スケジュールの変更をリアルタイムで遠隔地のドライバーに伝えるのが難しく、業務に支障をきたす場面も少なくありません。
そこでkintoneを導入し、配車管理や経費申請、車両管理といった日々の業務を専用のアプリに置き換える企業が増えています。kintoneはスマートフォンからも操作できるため、ドライバーが現場から直接、運転日報を入力したり、請求書作成に必要なデータを送信したりできます。これにより、集計にかかる工数やミスを大幅に減らせます。
さらに、情報をクラウド上で一つにまとめることで、営業所、事務所、現場のドライバー間でのリアルタイムな連携が実現します。
ドライバーの時間外労働の上限規制については、厚生労働省の資料もご参照ください。
参考:建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制|厚生労働省
運送業が抱える主な課題

運送業は、私たちの生活を支える重要な社会インフラですが、業界特有の多くの課題をかかえています。kintoneのようなシステムが求められる背景には、アナログな業務管理が原因で生じている、現場のさまざまな負担があります。
主な課題として、以下の4点が挙げられます。
- 配車スケジュールの属人化と手作業負担
- 車両・ドライバー管理の煩雑化
- 経費処理・請求書発行の非効率さ
- リアルタイムな情報共有の難しさ
これらの課題は、日々の業務に深刻な影響を及ぼし、ドライバーや内勤スタッフの長時間労働にもつながっています。次の章から、それぞれの課題を詳しく見ていきます。
配車スケジュールの属人化と手作業負担
配車管理がホワイトボードや紙で行われている場合、毎日の書き換え作業に時間がかかります。急な依頼やキャンセルがあった際は、ドライバーへの連絡が遅れやすく、対応スピードが落ちてしまいます。
担当者に作業が集中しやすいため、引き継ぎが難しく、全体の状況を把握しにくいことも課題です。さらに、先の予定を記録できない運用では計画性に欠け、業務の最適化が進みません。
車両・ドライバー管理の煩雑化
車検・保険・点検などの期限管理がバラバラに行われている場合、保険切れや整備漏れのリスクが発生します。車両の稼働状況やドライバーの勤務状況を正確に把握できないと、効率的な車両配置や働き方の最適化が難しくなります。
経費処理・請求書発行の非効率さ
経費申請が紙ベースで行われていると、レシートの提出や集計に時間がかかります。経理担当が二重三重の集計を行う必要があり、非効率な業務が発生する原因です。顧客ごとの請求データを手作業で集計する負担も大きく、作業時間の増加につながります。
リアルタイムな情報共有の難しさ
ドライバーが事務所に戻らないと最新情報を確認できない環境では、配送変更や事故などの重要情報の共有に時間がかかります。拠点間の情報連携が遅れることで、顧客対応のスピードが低下し、サービス品質に影響が出てしまいます。
運送業で活用できるkintoneの主な機能

運送業が抱えるアナログ管理の課題は、kintoneの機能を活用してデジタル化を進めることで、その多くを解決に導けます。kintoneは、業務に合わせて必要なアプリ(システム)を構築できるため、現場の状況に即した改善が可能です。
- スケジュール管理のデジタル化で「脱ホワイトボード」
- 車両管理を自動通知付きで可視化
- スマホからの経費申請でペーパーレス化
- 顧客・案件情報を一元管理して採算分析
- 日報・見積・請求を一気通貫で管理
ここでは、運送業の業務で特に活用が期待できる、kintoneの主な機能を紹介します。
スケジュール管理のデジタル化で「脱ホワイトボード」
配車予定をクラウド上で可視化できるため、スマホや大型モニターで共有できます。
予定変更時にはドライバーへ自動通知されるため、連絡漏れを防げます。月・週・日単位で表示を切り替えられ、先々の予定も登録できるので、計画性の向上にも効果的です。さらに、配車履歴の検索により過去データを簡単に確認できます。
車両管理を自動通知付きで可視化
車検や保険満期を自動でリマインドでき、期限切れを防げます。
点検履歴や修理履歴、費用を一元管理できるので車両状態を把握しやすくなります。車両ごとの稼働率やコストも見える化でき、日報と連携して走行距離が自動更新されるため、管理の手間を軽減可能です。
スマホからの経費申請でペーパーレス化

レシートをスマホで撮影して申請でき、自動で集計されます。
上長承認から経理処理まで一連の流れをワークフロー化できるため、申請漏れや集計ミスを防げます。月別・社員別・全体別で経費状況をリアルタイムに把握できる点もメリットです。
顧客・案件情報を一元管理して採算分析
顧客情報・案件データ・運転日報を連携し、採算を自動で分析できます。
顧客別・案件別の利益率を可視化できるため、収益性の改善につながります。稼働率・売上・原価データを統合でき、採算性の高い運行を支援できるでしょう。
感覚的だった「この仕事は儲かっているはずだ」といった判断ではなく、実際の稼働率、売上、原価といったデータを統合した根拠に基づき、運賃交渉や業務見直しの判断ができます。
日報・見積・請求を一気通貫で管理
ドライバーがスマホから日報を入力すると、自動で請求書を作成できます。
見積データを複製して再利用することで、請求処理の手間を大幅に削減可能です。PDF出力による即時送付も可能なため、請求業務のスピードが向上します。
運送業でkintoneの導入を成功させる4つのポイント

kintoneは運送業の多くの課題を解決できる可能性を秘めていますが、単に導入するだけでは成功しません。現場の業務に根付かせ、活用していくためには、導入の進め方にいくつか重要なポイントがあります。
- 現場の声を聞きながら段階的に導入する
- 社内教育・サポート体制を構築する
- セキュリティ設定とバックアップ対策を行う
- kintoneの導入に詳しいパートナーに依頼する
ここでは、運送業でkintoneの導入を成功に導くために、押さえておくべき4つのポイントを解説します。
現場の声を聞きながら段階的に導入する
kintone導入で最も避けたいのは、現場が使ってくれないシステムになってしまう状況です。
最初から全社一斉に導入しようとすると、現場の混乱が大きくなり、抵抗感も生まれやすくなります。まずは特定の部署や、意欲のある少人数のチームで試験的に運用(パイロット運用)を始めましょう。
導入する機能も、最初からすべてをデジタル化しようと欲張ってはいけません。配車管理や日報入力など、現場のスタッフが日常的に使っており、改善の成果が出やすい業務から優先的に導入を始めると、浸透しやすくなります。
導入の初期段階から利用者の意見を積極的に集め、それをアプリの改善に反映させましょう。「小さく始めて大きく育てる」という段階的な導入が重要です。
社内教育・サポート体制を構築する
新しいシステムを導入する際、特にドライバーなどITツールの操作に慣れていないスタッフへの配慮は不可欠です。導入初期には、スマートフォンの操作方法を含めた丁寧な操作説明会や研修を実施し、誰でも使いこなせる体制を整える必要があります。
また、導入後も現場の疑問にすぐ答えられるサポート体制が重要です。各部門に「kintoneマイスター」のような、操作に詳しく他のスタッフを助けられる担当者を設置すると、社内での活用がスムーズに進みます。
よくある質問(FAQ)をkintoneアプリ化したり、操作マニュアルを電子化していつでも見られるように整備したりする工夫も、利用者が自力で問題を解決できる環境づくりに役立ちます。
単に使い方を教えるだけでなく、業務に即した形でのトレーニングを実施し、継続的にスキルを向上させるためのオンライン学習コンテンツなどを活用するのも良い方法です。
セキュリティ設定とバックアップ対策を行う
kintoneはインターネット経由で利用するクラウドサービスです。どこからでもアクセスできる利便性がある反面、セキュリティ対策は厳格に行う必要があります。
特に運送業では、車両情報や顧客(荷主)情報、ドライバーの個人情報など、機密性の高い情報を扱います。情報漏洩を防ぐため、kintoneにアクセスできる場所を制限する「IPアドレス制限」や、会社が許可した端末以外からはアクセスできないようにする設定を厳格に行うべきです。
さらに、部門ごとや役職ごとに、どの情報まで閲覧・編集できるかを細かく設定するアクセス管理の設計も非常に重要です。万が一のセキュリティ事故や、担当者が誤ってデータを削除してしまう操作ミスに備える対策も欠かせません。
kintone単体では難しい高度なセキュリティ強化(ログ監視など)を実現する連携サービスを活用したり、定期的にデータをバックアップし、いつでも元の状態に戻せる(リストア)体制を構築したりするなど、導入の初期段階で検討しましょう。
kintoneの導入に詳しいパートナーに依頼する
kintoneは自社でもアプリを構築できますが、運送業特有の複雑な業務要件をすべて自社だけでシステム化するのは、かなりの労力が必要です。
自社だけでの構築が難しいと感じる場合は、運送業への導入実績が豊富なkintoneパートナー(導入支援会社)への依頼も検討しましょう。
実績のあるパートナーは、運送業特有の業務(配車、経費、顧客管理など)に対応したパッケージアプリやテンプレートをもっています。これらをベースに、自社の要望に合わせてカスタマイズしていくことで、ゼロから開発するよりも大幅にコストと時間を削減可能です。
また、導入時の業務の洗い出しや、システムと業務が合わない部分(フィット&ギャップ)の分析には、専門家の客観的な視点が役立ちます。導入後の保守サポートや、業務の変化に合わせた機能追加への対応力も、外部パートナーに依頼する大きな利点です。
運送業が活用できるkintoneのサンプルアプリ5選

kintoneには、さまざまな業務にすぐに使える「サンプルアプリ」が用意されています。これらを活用することで、ゼロから構築する手間を省き、自社の業務に合わせてカスタマイズするたたき台として利用できます。
ここでは、運送業の業務改善に役立つkintoneのサンプルアプリを5つ紹介します。
- 配送依頼
- 作業依頼申請
- 目安箱
- 運転日報
- 添乗員日誌
これらのサンプルは、あくまで一例です。kintoneの柔軟性を活かし、自社の運用に最適な形に作り変えていくことが可能です。
配送依頼
「配送依頼」アプリは、顧客(荷主)ごとに、いつ、何を、どこへ配送するかの依頼を受け付け、その進捗状況を管理するためのアプリです。
発送状況を「受付済」「配送中」「完了」といったステータスで可視化できます。また、処理漏れを防ぐために、期日が近づいた依頼を担当者に自動で通知(リマインダー)する設定も可能です。
さらに、kintone連携サービスである「FormBridge」と組み合わせると、顧客が外部のWebフォームから入力した配送依頼を、直接kintoneに登録できます。電話やファクスで受けていた依頼をデジタル化し、管理部門や営業担当者が配送情報をリアルタイムで共有することで、業務の手間を減らし、顧客対応のスピード向上にも貢献します。
作業依頼申請
運送業では、ドライバー、配車担当、倉庫担当、事務スタッフなど、多くの部署やチームが連携して業務を進めます。
「作業依頼申請」アプリは、これら他部署や他チームへの作業依頼をスムーズに行うためのアプリです。社外からでもスマートフォンを使って依頼を申請できるため、対応スピードが向上します。
依頼ごとに「いつまでに」「誰が」対応するかを担当者やステータス(進捗状況)を設定し、進捗を一覧で可視化できます。これにより、依頼した作業が今どうなっているかをすぐに把握でき、対応漏れを防ぎます。
また、アプリ内のコメント機能を活用すれば、依頼内容に関する細かな確認や連絡のやり取りも、その依頼データ上で完結できます。電話やメールでの確認作業が減り、情報が一箇所にまとまります。
目安箱
現場の業務改善を進めるには、ドライバーやスタッフの「気づき」や「アイディア」を吸い上げる仕組みが重要です。
「目安箱」アプリは、社内の改善提案やヒヤリハットの報告などを気軽に投稿できるアプリです。匿名での投稿も可能な設定にできるため、従業員が意見を出しやすい環境を作れます。
投稿された内容に対して、対応する担当部署や担当者を設定し、具体的な改善行動につなげていく管理が可能です。
アプリのコメント機能を使えば、投稿された意見に対して全社員が気軽に意見交換を行えます。運送現場のドライバーから寄せられる「あの交差点は危ない」「この業務手順は無駄が多い」といった具体的な提案や、安全対策に関する意見共有の場として活用できます。
運転日報
「運転日報」アプリは、ドライバーが日々の運転に関する記録を管理するためのサンプルアプリです。
このサンプルは、kintoneの操作や活用方法を学ぶための「動画学習素材」として提供されています。そのため、データを加工したり、実際の業務でそのまま商用利用したりはできません。あくまで学習目的での利用が前提です。
しかし、アプリの構成や設定内容は、運送業におけるドライバー教育や、日報作成の仕組みを自社で構築する際の参考にできます。
社内研修や、kintoneの活用を学ぶ勉強会などで、このサンプルを題材に「自社ならどういう項目が必要か」を議論するたたき台として利用するのが良いでしょう。運行記録や安全運転教育に活かせるテンプレート素材として応用が期待できます。
添乗員日誌
「添乗員日誌」も、運転日報と同様に、kintoneの学習用動画素材として提供されているサンプルアプリです。
新人ドライバーの教育などで実施する、指導員が同乗する「添乗業務」や、現場対応の記録を学ぶために活用できます。
このサンプルも著作権は提供元であるサイボウズ株式会社に帰属し、商用利用やデータの加工は認められていません。学習や社内勉強会で、そのままの形で利用する必要があります。
運送業の現場で実際に行われる添乗記録や、安全管理日誌のアプリをkintoneで作成する際に、どのような項目や機能があればよいかを考えるヒントとして応用できます。業務報告や乗務履歴の整理に活かせるサンプルです。
運送業のkintone導入事例

物流大手のロジスティードでは、国内330を超える拠点の業務改善にkintoneを活用しています。
従来は紙やExcelで管理され非効率だった業務を、kintoneで標準化・見える化し、現在600名が利用中です。
作業支援者とりまとめアプリではBCP対策として1〜2時間で応援体制を構築でき、実績集計アプリはRPAの稼働実績と業務削減効果をグラフ化して報告に活用しています。体調不良者管理アプリではRPAと連携し、各拠点のレポートを自動集約して幹部へ配信する仕組みも実現しました。さらに、ローコード開発の学びやすさから社内のデジタル人材育成ツールとしても機能し、経理担当者が監査のついでに現場の課題解決を支援するなど、組織全体のDX推進に貢献しています。
運送業でkintoneを導入したいなら「ペパコミ株式会社」にご相談ください!

kintoneは自社の業務に合わせて柔軟にシステムを構築できる、強力なツールです。しかし、その能力を最大限に引き出すには、運送業の業務を深く理解した上での設計と、現場に寄り添った導入の進め方が不可欠です。
運送業でkintoneの導入を本格的に検討している方、自社だけで進めることに不安を感じている方は、ぜひ「ペパコミ株式会社」にご相談ください。運送業の業務改善に精通した専門家が、御社の課題に最適なkintone活用法をご提案します。













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