「AIを導入したいけど、kintoneとの連携方法がわからない」
「kintoneとAIを連携させて、どのような業務が効率化できるのか、具体的な活用事例を知りたい」
kintoneに蓄積されたデータを活用し、さらなる業務改善を目指す上で、AIとの連携は強力な選択肢です。しかし、どのように導入し、何ができるのか具体的にイメージできていない方もいるでしょう。
本記事では、kintoneとAIプラグインを連携させると実現できることや、kintoneで導入できる3つのおすすめAIプラグインを、実際の導入事例とあわせて紹介します。
なお、ペパコミ株式会社では、kintoneの導入サポートやコンサルティングサービスを提供しています。
kintoneとAIの活用でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
kintone×AIで実現できること5選

kintoneとAIプラグインを連携させると、日常業務のさまざまな場面で自動化や効率化が実現します。主な活用方法は以下の5つです。
- 文章の生成や自動要約
- 問い合わせ対応
- レコード分析
- レポート作成
- 情報リサーチ
これらの機能が、具体的にどのように業務を変えるのかを解説します。
文章の生成や自動要約
AIプラグインは、kintone内に蓄積されたテキストデータを活用して、文章の作成や要約を自動で行います。例えば、スレッドやコメント機能での長いやり取りをAIが自動で要約し、議事録や報告書を自動生成することが可能です。
商談記録や打ち合わせのメモをもとに、AIが「決定事項」や「次のアクション」を自動で検出して整理します。
営業部門や企画部門、開発部門など、複数の部門が関わる案件でも、AIが情報を整理して共有すると、情報伝達のスピードが大幅に向上します。 あらかじめ社内文書のトーンや決まったテンプレートをAIに学習させることで、会社独自の文体や形式に合わせた文章を自動で出力させる設定も可能です。
問い合わせ対応
kintoneに蓄積されたよくある質問や社内ルール、業務マニュアルなどの情報をAIが理解し、社員からの質問に自動で回答できます。 「パスワードの再発行方法を教えて」「新しい見積書の保存先はどこ」など、情報システム部門や管理部門に集まりがちな定型的な社内問い合わせに対して、AIが即時に対応します。
管理者の手が離せない時間帯でもAIが一次対応を担うため、夜間や休日の問い合わせ対応も心配ありません。
この仕組みは社内向けだけでなく、顧客向けのサポートチャットボットとして活用可能です。 問い合わせ対応の工数を削減し、担当者はより重要な業務に集中できます。
レコード分析

AIは、kintoneアプリに登録された売上データや案件の進捗、問い合わせ履歴などを解析し、傾向を自動で要約します。さらに過去のデータと現在の状況を比較分析し「次に改善すべき指標は何か」や「業務が停滞しているボトルネックはどこか」を具体的な言葉で提案させることも可能です。
これまでデータ分析の専門知識が必要だった作業も、AIが「要するに何が起きているのか」をわかりやすく解説してくれます。kintone上の売上管理アプリや顧客リストと連携させることで、リアルタイムでの分析が可能です。
データ分析のために別のツールを起動する必要がなく、kintone上で迅速な意思決定ができるようになります。
レポート作成
kintoneとAIを連携させると、レポート作成業務を大幅に自動化できます。「今月の部署別売上をまとめて」「A商品の顧客の傾向を出して」など、人が話す言葉でAIに指示するだけで、AIがkintone内の関連データを自動で抽出・集計します。
さらに集計した結果を分析し、結果を分かりやすく示す表やグラフを含んだレポートを自動で生成することも可能です。データの抽出から要約、資料作成までをAIが自動で実行するため、経営会議や定例報告のための資料作成にかかる時間を大幅に削減できます。
従来のようにExcelへデータを移し替えて加工する必要がなく、kintoneの画面上で作業が完結するのも大きな利点です。
情報リサーチ
AIプラグインを導入すると、kintone内の情報検索が大きく変わります。従来の検索機能は、入力したキーワードと完全に一致する情報を探す「キーワード一致検索」が主流でした。しかしAIを連携させると、質問文の意図をくみ取り、関連する情報を探す「自然言語検索」に対応できます。
例えば、「先月のAキャンペーンの結果はどうだった?」「B社に関する過去の見積書を出して」といった曖昧な指示でも、AIが該当する情報を探し出します。
さらに、社内の知識が保存されたアプリや案件履歴アプリ、議事録アプリなど、複数のアプリを横断して検索が可能です。 膨大なレコードの中から必要な情報を探すためにかかっていた時間を大幅に削減し、社内に蓄積された情報を最大限に活用できます。
kintoneとAIプラグインを連携する際にやること5選

kintoneとAIプラグインの連携を成功させるためには、事前の準備と手順が重要です。ここでは、導入時に実行すべき5つのステップを解説します。
- 自動化したい業務を洗い出す
- AIプラグインを選定する
- API料金を管理する
- テスト運用をする
- 効果を測定する
これらのステップを順に実行し、計画的に導入を進めましょう。
自動化したい業務を洗い出す
最初に「どの業務をAIで効率化したいか」を具体的に決める必要があります。例えば「日報の作成にかかる時間を短縮したい」「問い合わせ対応の一次回答を自動化したい」「見積書作成のヒントが欲しい」など、目的を明確にします。
現場の担当者にヒアリングを行い、時間がかかっている業務や、特定の担当者にしかできないタスクを可視化しましょう。
さらに、AI導入後にどのような成果を得たいのか「月間の作業時間を20時間削減する」「問い合わせの一次対応件数を50%アップさせる」など、できるだけ数値で目標を設定します。目的が曖昧なまま導入を進めてしまうと、AIが期待通りに動作しなかったり、現場で使われずに定着しなかったりするリスクがあります。
以下の記事では、kintone導入の進め方や成功のポイントを紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:業務改善の進め方を5STEPで解説!活用できるフレームワークや進めるポイントも紹介 | ペパコミ株式会社
AIプラグインを選定する
解決したい業務の目的が決まったら、次に対応するAIプラグインを選定しましょう。kintoneと連携できるAIプラグインには「smart at AI」や「Generative AI Linkage」「AITone」などがあります。
AIプラグインは、文章生成が得意なものや検索機能が強化されるもの、データ予測に特化したものなど、目的別に機能が異なります。そのため、自社の目的に合った機能を持っているか、導入前に比較検討が重要です。
多くのプラグインでは無料トライアルが提供されています。 実際に導入して「操作は難しくないか」「既存の社内データと相性が良いか」を確認しましょう。
また、AIに社内データを連携させるため、データの保管場所や、提供元の安全管理のルールも必ず確認してください。
API料金を管理する

AIプラグインの多くは、APIの利用料を使った分だけ料金が発生する仕組みになっています。
APIとは、ChatGPTなどのAI機能を外部から呼び出すための接続口です。 料金は、基本的に「使用したトークン数」で決まります。 トークンとは、AIが処理するテキストの単位で、AIがどれだけ働いたかを示す指標です。
導入後は「どれだけAPIが呼び出されたか」「トークンをどれだけ消費したか」を把握しておく必要があります。特に日本語は、英語に比べてトークンの消費量が2倍から3倍程度になり、想定よりも料金が高額になる可能性があります。
予算を超えないよう、利用状況を監視する体制や、一定の利用量を超えたら通知が来る設定を導入しておきましょう。
テスト運用をする
AIプラグインを選定したら、まずは一部の部署や特定の業務プロセスで試験的に運用を開始しましょう。 小さく始めることで、AIが出力する回答の精度や、実際の業務での使いやすさを確認できます。
テスト運用中にエラーや回答の間違いが見つかった場合は、AIに学習させるデータを追加したり、設定を調整したりして精度を高めていきます。また、社員向けに「AIに何を聞けばよいか」「どの場面で使うと便利か」を明示したマニュアルを作成することも、社内定着のために重要です。
例えば、社内問い合わせの一次対応をAIに任せるなど、利用者が「AIのおかげで楽になった」と実感を伴う成果を出すと、AIの活用が定着しやすくなります。
効果を測定する
テスト運用を経て本格導入した後は、設定した目標に対して効果が出ているかを数値で測定します。 「作業時間の削減率」「問い合わせの対応スピード」「データ入力の精度」などを定期的に記録し、導入前と比較しましょう。
また、実際にAIを利用している社員に定期的にアンケートを取り「満足度」や「活用頻度」を可視化します。もし期待した効果が出ていない場合は「AIに与える指示を見直す」「利用するAIプラグインの切り替えを検討する」「AIに追加の再学習を行う」などの改善策を実行しましょう。
定型業務での効果が出たら、「提案書の作成支援」や「顧客対応履歴の分析」など、より高度な領域にもAIの活用を拡張していくと、さらなる成果が期待できます。 導入効果を社内で共有し、AI推進の意欲を維持することも大切です。
kintoneにAIプラグインを導入した事例

リデン株式会社では、メールマガジンの作成およびSNS投稿業務において、限られたマーケティング担当者のリソースの中で「安定的な情報発信」が難しいという課題をかかえています。
そこで、kintone上に「メルマガ作成アプリ」を構築し、AIプラグインと連携させました。導入後は、ネタとなる情報をアプリに入力するだけで、AIが自動的にメルマガのタイトルと本文を生成できるようになりました。これにより、従来1時間程度かかっていたメルマガ作成作業が、約10分まで短縮できています。
さらにAI導入のハードルも下がり「素材を入れる」「生成ボタンを押す」など簡単な操作で完結するため、業務の負荷が軽減されました。結果として、マーケティング部門以外のメンバーでもメルマガ作成が可能になり、AIの活用が社内に広がっています。
kintoneで導入できるAIプラグイン3選

kintoneと連携できるAIプラグインは複数ありますが、ここでは代表的な3つのプラグインを紹介します。
- Smart at AI|誰でも簡単にレポート作成ができる
- mojula|紙の書類をkintoneにまとめられる
- AITone|蓄積したデータを基にAIが提案してくれる
それぞれの特徴を理解し、自社の目的に合うものを選びましょう。
Smart at AI |誰でも簡単にレポート作成ができる

「Smart at AI」は、ITに詳しくない人でも簡単に導入できるAIプラグインです。プラグインをインストールし、簡単な設定を行うだけで、既存のkintone上のデータを活用して生成AIを利用できます。
kintoneアプリの各フィールドに入力された情報を、AIへの指示に直接組み込めるため、誰でも自分の業務データをもとに「レポート作成」や「案件要約」などの文章生成を実行可能です。セキュリティ面にも配慮されており、生成AIに入力された情報がそのままAIの学習データとして使われることを防ぐ設計になっています。データはAPI経由で連携されるため、社内データの流出リスクが低く管理されています。
mojula|紙の書類をkintoneにまとめられる

「mojula」は、紙の書類のデータ化とkintoneへの入力を強力に支援するプラグインです。紙の請求書や手書きのFAX、PDFなどのスキャン画像を、AI-OCR(文字認識技術)の「DX Suite」と連携して読み取ります。
読み取ったデータは、補正画面を経てそのままkintoneアプリの各フィールドに登録できます。従来、形式が異なるために別のシステムで扱っていたさまざまな紙資料を、一つのkintoneアプリ内で統合して管理・出力が可能です。これにより、CSVファイルへの変換や、別システムを経由する入力の手間が不要になります。
すべてクラウド上で完結する構成のため、場所を選ばずに利用でき、紙やFAXの文化が残る現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現します。
AIntone|蓄積したデータを基にAIが提案してくれる

「AITone」は、kintoneアプリに蓄積されたデータを基に、AIが予測や提案を行ってくれるプラグインです。kintoneアプリに登録された数値データや選択項目、チェックボックス等のフィールド情報をそのままAIモデルの学習データとして活用できます。
学習済みのAIモデルは、kintoneのレコード詳細画面や一覧画面に「予測ボタン」として設置されます。現場のユーザーは、ボタンをワンクリックするだけで「この案件の受注確度は何%か」「この顧客におすすめの商品は何か」などAIの推薦を受けることが可能です。
AIの学習状況や予測精度の進捗をダッシュボード(管理画面)で可視化できるため、「導入して終わり」ではなく、運用しながら継続的に精度やKPI(重要業績評価指標)を管理できます。
kintoneとAIプラグインを組み合わせて業務効率化させたいなら「ペパコミ株式会社」にご相談ください

kintone AIプラグインを導入すると、文章作成や社内問い合わせ対応、データ分析など日常業務を自動化し、大幅に効率化できます。AI連携を成功させるためには、自社の目的を明確にし、その目的に合うプラグインを選ぶことが大切です。実際にAIプラグインを導入したことで、メルマガ作成時間を1時間から10分に短縮できた事例もあるので、ぜひ活用してみてください。
なお、ペパコミ株式会社では、kintoneの導入サポートやコンサルティングサービスを提供しています。
kintoneとAIの活用でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。













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