【自治体向け】kintone×AIで実現する業務改善事例

小川喜句

ペパコミ株式会社代表取締役小川 喜句

ペパコミ株式会社代表取締役。youtubeにて「kintone活用ちゃんねる」と、kintoneのプラグインメディア運営。kintoneの構築や内製化を伴走支援を行なっており、kintone運営会社「サイボウズ社」のビジネスにおいて、顕著な実績を上げたパートナー企業や個人を表彰する制度である「CYBOZU AWARD 2022」を受賞。サイボウズ評価制度4年連続2つ星を受賞し、セールス部門(2023~2025年) インテグレーション部門(2022~2025年)も受賞。

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当記事では生成AI活用とkintoneで改善できる自治体業務の実践例を紹介させていただきます。

kintoneと自治体業務という面では、次のような事例が多く挙げられています。

  • データを共有し見える化
  • データ一元化により照合作業から解放される例
  • プラグインを使って低コストで手続きのデジタル化が実現される例

今回は、自治体の現在のAI活用事例や、AIとkintoneを併用するメリットをご紹介いたします。

なお、ペパコミ株式会社ではkintoneを活用した自治体支援も行っていますので、自治体の業務でお悩みがある方はぜひご相談ください。

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目次

まず自治体の「生成AIの活用状況」を知ろう

◆まず、自治体の「生成AIのみの活用状況」を知ろう

さっそくですが、kintoneとAIの併用のメリットを知る前に、「地方自治体のAI活用状況」を確認しましょう。ここでは、次の3つに分けてご紹介します。

  1. 自治体がAI活用し始める場面とは
  2. AI活用促進にむけたガイドライン・注意点・研修の例

それぞれどのように活用するのか確認していきましょう。

自治体がAI活用し始める場面とは 

自治体がAIを活用し始める際に、最初に取り組むのは次のような文書系の業務です。

  • 企画やアイディア出し(想定されるリスクも含めます)
  • 文章案の作成
  • 要約
  • 会議の開催に伴う「挨拶文」「次第」「通知文」「議事録」
  • 広報の発信(プレスリリース・SNS・広報の手法そのもの)

以上のように、最初は文書系の業務効率化する際に用いられています。さっそく、それぞれの場面の様子を具体的にご紹介します。

企画やアイディア出し(想定されるリスクも含めます)

政策のアイディア出しという点では、「アイディア案」のみならず「想定できるリスク」も確認できます。

ご存知のとおり、行政にとって、政策に伴うリスクを想定することは非常に重要です。

リスクの洗い出しが不十分だったことで、住民を巻き込んだトラブルや税金の無駄遣いと批判される展開は、どの自治体も一度や二度ではなかったはずです。

文章案の作成

行政の職員は入庁すると、「起案書」や「通知文」「要綱や条例」と、公的な文書作成技術の習得が必要で、多くの新人職員が苦労します。ベテラン職員であったとしても、新規事業の立ち上げや制度の見直しにあたり、文書作成には、時間を割いていました。

AIの活用で、次のように、文書案をAIに作成させ、負担を大幅に削減しています。

  • 通知文の案
  • 庁内外のプレゼン資料
  • 挨拶文
  • 要綱などの素案作成
  • メール文
  • FAQ生成

また、誤字脱字のチェックも行えますので非常に便利です。

要約

自治体では「要約」にもAI活用が進んでいます。

例えば、自治体には、法定受託事務と呼ばれ、本来国や都道府県が処理すべき事務の一部を、法律に基づいて地方公共団体(市町村など)が代わりに処理する事務があります。そういった事務の担当者は、省庁から数十枚にわたる文書が届きますから、把握して実務に落とし込むだけでひと苦労でした。AIでの要約が完璧とは言えませんが、把握開始が速やかになっています。

他にも、議会の内容を住民に伝える「議会だより」を作成する場合など、質問と答弁の要約案をAIに作成させ、整えていくことで作業時間を削減させることができます。

会議の開催に伴う「挨拶文」「次第」「通知文」「議事録」

自治体では、多くの部署において、審議会や委員会等の附属機関があります。

各分野の個別計画についての専門家や市民の意見や提言と向き合う場となっています。その実務は意外と面倒な仕事です。AI等を活用し、実務に明け暮れ、形骸化することのない運営が求められています。

具体的には、開催冒頭の挨拶の原稿案、次第作成、通知文作成、議事録作成などの面で活用されています。

広報の発信(プレスリリース・SNS・広報の手法そのもの)

自治体広報は、民間企業が広報に向かう姿勢は、営業と密接に関係している民間企業とは、立場が大きく異なっています。従業員自身の処遇に影響を及ぼさないため、必死感は少ないかもしれません。ですが、政策が必要とされるひとに届かないことで困っている人がいます。情報量が大幅に増えた時代だからこそ、相手に届ける方法を根本から見直していく必要があるのかもしれません。

AIが活用される機会としては、プレスリリースの素案や、事業のキャッチコピー案、SNSの文面や内容、広報の手法の改善案などの面で活用されています。

このほかにも、Excelの関数やマクロ、kintoneのサンプルデータ生成にも用いられていますが、上述したように、最初は文書系業務からスタートしていることが多いです。

2 AI活用促進にむけたガイドライン・注意点・研修の例

多くの自治体で、DX部門が中心となって、利用環境・使用ルール・事例やプロンプトの情報共有に励んでいます。AIの活用にむけたマニュアルや利用環境の整備を行っています。次の項目にわけてご紹介します。

  1. 自治体のAIガイドライン掲載事項と注意点
  2. 自治体のAI研修の例

自治体のAIのガイドライン掲載事項と注意点

AI活用が進んでいる自治体では、ガイドラインやマニュアルを用意することが多いです。

そのなかで、必ず入っているのが次の内容です。

  • 利用環境について
  • 自治体特有の注意点
  • プロンプトのコツ
  • 各課の活用例とプロンプトの例

また、自治体のAI活用には「注意点」もあります。主なポイントは次のような事項です。

  • 個人情報・機密性の高い情報は入力しない。
  • AIが生成した回答の根拠や裏付けは必ず自ら確認する。
  • AIの回答を対外的にそのまま使用する場合は、その旨明記する。

以上のように、あくまでも「補助的なツール」として扱うことになっています。

自治体のAI研修の例

AI活用の研修は、現段階では次のような内容が多くを占めています。

  • 自分ごとにするマインドセット
  • 行政や自治体の活用ルール
  • 生成AIとの対話・ほしい回答を引き出す質問の仕方
  • 場面別のプロンプトの例
  • 事例やワークショップ

kintoneとAIを活用する活用事例を知ろう

kintoneとAIを活用する活用事例を知ろう

すでに、kintoneの機能として「検索AI」「アプリ作成AI」「プロセス管理設定AI」が実装されていますが、AIに特化したプラグインなどを活用し、業務の効率化を図っている例をご紹介します。

  1. メルマガやウェブサイトに載せる記事の作成から配信まで一元化。
  2. kintone内部に蓄積された情報の加工や分析から業務改善へ。
  3. zoomでの打ち合わせから議事録作成・AIからのフィードバックまで自動化。
  4. AI-OCRの活用で価格面で諦めていたOCRの活用が可能に。

それぞれ以下で詳しく解説します。

メルマガやサイトに載せるコンテンツの作成から配信・公開まで一元化。

kintoneのデータは、プラグインを使って、外部への情報の配信や公開まで一元化できます。例えば、メールのプラグイン(例:kMailer)でメールと連携できたり、kintone内部の情報を外部公開するプラグイン(kViewer)でウェブサイト等で公開できます。

さらに、kintoneでAIが使えるプラグインのSmart at AIを使い、kintone内に入れたデータをもとに、そのウェブサイトやメルマガのコンテンツや文章さえも、AIで簡単に作成でき、業務効率が一段と上がっています。

手続きのデジタル化だけでなく「添付漏れをAIがチェック」へ。

kintoneとプラグインを用いて、手続き時の外部フォームやマイページ、帳票出力機能を連携させる例は多くの自治体に広がっています。

さらに、AIの活用で、添付漏れの対策として、画像認識ができるAIをシステムに組み込み、添付資料の誤りがあった場合アラートを出し、添付漏れを防いでいただいています。

zoomでの打ち合わせからkintone内での議事録作成・AIからのフィードバックまで連携。

ペパコミ株式会社では、kintone・Zoom・ChatGPTの連携で議事録を作成するだけでなく、kintoneプラグイン『Smart at AI』によるフィードバック機能の活用方法まで行っています。

このノウハウを活用すれば、例えば、kintoneと連携する電話のプラグイン等もありますので、電話や窓口の音声データから「行政へのカスハラ対策」にも役立てられるかもしれません。

参照:kintone・Zoom・ChatGPTの連携で議事録作成を全自動化する方法

AI-OCRで、価格面で諦めていたOCRの活用が可能に。

kintoneと連携するAIーOCRのプラグインは複数あります。読み取り対象はPDFファイルや画像にも対応できるものもあり、手書き文字なども、AI-OCRが読み取り、データ化できます。OCR活用は高額の予算が必要なイメージがありましたが、リーズナブルに活用を開始できるようになりました。

民間企業では名刺の読み取りが例として紹介されていますが、自治体の場合、地域に伝承されている歴史や文化にまつわる紙の資料などを読み取り、後世に残すような取り組みにも活かせるように思います。

LGWANで活用できる「kintone×AIのプラグイン」

LGWANで活用できる「kintone×AIのプラグイン」

続いて、LGWAN環境で、kintoneと生成AIを活用できるプラグインをご紹介します。

  1. AI職員ばりぐっどくん for kintone
  2. Smart at AI for kintone Powered by GPT

なお、自治体によっては、インターネット版kintoneでは個人情報・機密情報を入れないアプリを運用し、個人情報・機密情報を利用するアプリはLGWAN版kintoneを使うというルールにしています。

1 AI職員ばりぐっどくん

<ポイント>

自治体向けAIばりぐっどくんのLGWAN-ASPサービスとしての正式名称です。

kintoneを通して、生成AIを使った文書作成、文章の要約や翻訳、文字起こしを行うことができ、作成した文章は、kintone上にて編集と保存が可能です。

2 Smart at AI 

<ポイント>

自治体に特化したサービスではありませんが、Smart at AIは簡単・安全・効率的にkintone内でChatGPTなどの生成AIが利用可能になるkintone連携サービスです。

プロンプト(指示文)にはフィールドの値を挿入できkintoneのデータを用いてプロンプトを作成できるため、今後、活用事例は大きく広がっていくはずです。こちらの動画で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください

kintone×生成AIでの自治体業務改善例

kintone×生成AIでの自治体業務改善例

最後に、自治体における具体的な例をご紹介します。

  1. 議会の答弁書や個別計画などの素案作成
  2. kintoneデータを活かした議事録や資料作成

現状では限られた事例ですが、kintoneにデータを蓄積しているからこそ、改善が可能になる業務や、今までにない行政サービスの開発が可能になり、今後、さらなる事例が期待できます。

議会の答弁書や個別計画などの素案作成

議会時期は、深夜まで庁舎の明かりが煌々と点いていることが象徴的です。答弁を準備するために、担当課の職員が情報収集しながら、素案を作成し、課長、部長、市長と、承諾をもらうプロセスでした。

また、各分野にある個別計画の策定や改定の際も、情報を複合的に加味し、厚みのある基本計画の作文に、時給の高いベテラン職員が時間を割いて行ってきました。

答弁も計画も、あらかじめ関連する情報をkintoneに入れておき、AIに素案を作ってもらうことが可能です。さらに、技術的には、素案を市長まで共有することすら可能です。

kintoneデータを活かした議事録や資料作成

以前は、録音した会議を若手職員や非正規職員が「テープ起こし」「議事録作成」を行っていました。会議後に行うのは大変でした。

音声ファイル等からテキスト化し、各自治体の様式に沿った議事録に整えることができます。

また、資料作成という面でも、kintoneデータをもとに効率的な資料作成が可能です。

自治体のパートナー企業の選定は、kintone×AI活用に実践している会社を選ぼう

今回、ご紹介したように、AIは日々進化しており、情報を追うことだけでも非常に大変です。

しかし、AIのみならず、kintoneと併せて使う可能性は無限です。

自治体がパートナー企業に伴走してもらう場合、ペパコミ株式会社のように、kintoneとAIの併用を実践しているパートナー企業を選び、可能性を模索していきましょう。

kintoneやプラグインの研修や伴走支援なら、ペパコミ株式会社へご相談ください

AIを活用することで、文書作成や要約、会議資料作成などの業務が効率化され、職員の負担軽減が実現できることを解説しました。また、kintoneとの連携により、データの一元化や手続きのデジタル化が進み、業務全体の効率化を図れます。

これにより、自治体のサービス提供が迅速化し、住民に対するサービスの向上が期待されます。

今後、AI活用を推進するためのガイドライン整備や従業員研修の重要性が増していく中で、kintoneとAIの組み合わせは、自治体の業務改革を加速させる鍵となるでしょう。

なお、ペパコミ株式会社ではkintoneを活用した自治体支援も行っていますので、自治体の業務でお悩みがある方はぜひご相談ください。

小川喜句

ペパコミ株式会社代表取締役小川 喜句

ペパコミ株式会社代表取締役。youtubeにて「kintone活用ちゃんねる」と、kintoneのプラグインメディア運営。kintoneの構築や内製化を伴走支援を行なっており、kintone運営会社「サイボウズ社」のビジネスにおいて、顕著な実績を上げたパートナー企業や個人を表彰する制度である「CYBOZU AWARD 2022」を受賞。サイボウズ評価制度4年連続2つ星を受賞し、セールス部門(2023~2025年) インテグレーション部門(2022~2025年)も受賞。

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