自治体の情報システムは、「インターネット環境」「LGWAN(総合行政ネットワーク)環境」「マイナンバー環境」の3つに分かれた「三層分離モデル」で運用されています。
この記事では、「LGWAN環境やマイナ環境でkintoneを活用する方法とツール例」をご紹介します!
kintoneと自治体業務とは
kintone(キントーン)はプログラミングの知識がなくてもノーコードで、業務のシステム化や効率化を実現するアプリがつくれるクラウドサービスです。
表計算ソフトよりも快適に、専門システムより柔軟に、自社でシステム開発をするよりスピーディーかつ低コストに、思いついた業務改善をすぐに実行できるのが特長です。
自治体や行政にとっては、データを共有し見える化できるだけでなく、データ一元化により、日ごろの「照合作業」から解放されます。
さらに、kintoneの拡張機能を使って、帳票、ウェブページ、メール、フォームと連携でき、低コストでDXを進める行政機関が続々と増えています。
さっそく、「LGWAN環境」「マイナ環境」について確認しましょう。
三層分離モデルについて
三層分離モデルとは、自治体の情報システムを次の3つのネットワークに分けて運用する方法です。
- マイナンバーを扱う業務系(マイナ環境)
- LGWAN事務系(LGWAN環境)
- インターネット接続系(インターネット環境)
2015年に起きた日本年金機構の情報漏えい事件をきっかけに、セキュリティ強化のため国は三層分離モデルの導入を推進してきました。
三層分離モデルは、個人情報や機密情報の取り扱いリスクを軽減すると同時に、必要な業務には柔軟にアクセスしやすいのが特徴です。
また、現在では自治体の負担やリスクの観点から、従来の「αモデル」から一部業務をインターネット環境へ移行させる「βモデル」への転換が進められています。
LGWAN環境とは?
LGWAN(Local Government Wide Area Network)は、地方公共団体同士を安全かつ効率的に接続するための専用ネットワークです。
地方公共団体情報システム機構(J-LIS)が運用管理を行っており、インターネット環境とは物理的に分離されています。
LGWANは、人事給与や財務会計、入札情報のやり取りなど、機密性の高い行政業務を安心して処理できるよう設計されているのが特徴です。
多くの自治体では、ホームページ制作や外部サイトでの情報収集をインターネット環境で行い、機密性の高い業務はLGWAN環境で行うという形で使い分けられています。
マイナ環境とは?
マイナ環境とは、マイナンバー(個人番号)を扱う行政手続きを安全に行うために構築された専用ネットワークのことです。
戸籍や税など、機密性が求められる業務に使用され、外部(インターネットやLGWAN環境)とは物理的に切り離されています。
また、個人情報を厳格に保護しながら、行政サービスを効率化できる仕組みを整えているため、システム導入や運用方法には厳重なセキュリティ要件が設けられています。
LGWAN環境においてkintoneを使うには?
以下のツールを導入することで、LGWAN-ASPとしてkintoneを利用できます。
インターネットから分離された環境で使えるため、個人情報を含む業務でもkintoneの活用が可能となります。
- 「LGWANクラウドゲートウェイサービス」(株式会社レコモット)
- 「R-Cloud Proxy for kintone」(株式会社両備システムズ)
なお、LGWAN-ASPとは、LGWANを介し、各種行政サービスを提供する事業者やサービスを指します。
LGWAN環境で使用できる拡張機能とは?
次のツールを導入することで、LGWAN-ASPとしてkintoneを利用できます。
インターネットから分離された環境で使えるため、個人情報を含む業務でもkintoneの活用が可能となります。
(1)「LGWANクラウドゲートウェイサービス」(株式会社レコモット)
(2)「R-Cloud Proxy for kintone」(株式会社両備システムズ)
なお、LGWAN-ASPとは、LGWANを介し、各種行政サービスを提供する事業者やサービスのことを言います。
続いて、LGWAN環境で使用できる拡張機能の例を紹介します。
LGWAN環境において使用できる拡張機能とは?
①フォームブリッジ(トヨクモ株式会社)
②kViewer(同上)
③プリントクリエイター(同上)
④kMailer(同上)
⑤検索拡張プラグイン(M-SOLUTIONS株式会社)
⑥横断検索プラグイン(同上)
⑦アクセスログ出力プラグイン(同上)
⑧ルックアップ自動取得プラグイン(同上)
⑨ルックアップコピー先反映ファイル管理プラグインプラグイン(同上)
⑩文字列結合プラグイン(同上)
⑪一覧拡張プラグイン(同上)
⑫既読チェックプラグイン(同上)
⑬自動採番プラグイン(同上)
⑭表示切り替えプラグイン(同上)
⑮集計プラグイン(同上)
⑯Smart at AI for kintone Powered By GPT(M-SOLUTIONS株式会社)
⑰Smart at message for kintone(同上)
⑱Smart at tools for kintone Excel入力(同上)
⑲AI職員ばりぐっどくん for kintone(株式会社西海クリエイティブカンパニー)
⑲gusuku Customine(アールスリーインスティチュート)
⑳コメント欄非表示プラグイン(株式会社ジャパンコンピューターサービス)
(2025年2月現在)
なお、あくまで例ですので他にもあるかもしれませんので、調べてみてください。
また、拡張機能によっては、前述したLGWAN-ASPの種類を選ぶものもありますのでご注意ください。
マイナ環境においてkintoneを使うには?
マイナ環境におけるkintone活用例を紹介します。
- 本人確認ツールとして「kViewerFormBridge(トヨクモ株式会社)」を活用
- 本人確認ツールとして「GOVENEXT(株式会社福島情報処理センター)を活用
(2025年2月現在)
kintoneをマイナ環境で活用する際は、厳重な個人情報保護やセキュリティ対策が求められます。導入前に、自治体のセキュリティ要件やツールの仕様を必ず確認しましょう。
庁内だけで活用を進めるのが心配な場合はぺパコミへ
LGWAN上での作業環境を構築できれば、機密性の高い情報を取り扱う業務でも、安全かつ効率的にkintoneを活用できます。
一方で、kintoneをマイナ環境で活用する際は、厳重なセキュリティ対策が欠かせません。
もし、「LGWAN・マイナ環境でkintoneを活用するのが不安だ」と感じているのであれば、ペパコミ株式会社に相談するのがおすすめです。
ペパコミ株式会社では、徹底的なヒアリングを通じて自治体の課題を明確化し、解決策を提供しています。
kintone導入から改修内製化まで、一気通貫・伴走支援でサポートいたしますので、お気軽にお問い合わせください。
執筆 ぴょん@ノーコードに勤しむ事務員
元自治体職員でkintone好きです。 |
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