kintone導入に自治体職員の一部が抵抗してしまう理由とは?

小川喜句

ペパコミ株式会社代表取締役小川 喜句

ペパコミ株式会社代表取締役。youtubeにて「kintone活用ちゃんねる」と、kintoneのプラグインメディア運営。kintoneの構築や内製化を伴走支援を行なっており、kintone運営会社「サイボウズ社」のビジネスにおいて、顕著な実績を上げたパートナー企業や個人を表彰する制度である「CYBOZU AWARD 2022」を受賞。サイボウズ評価制度4年連続2つ星を受賞し、セールス部門(2023~2025年) インテグレーション部門(2022~2025年)も受賞。

小川喜句X 小川喜句Youtube

「kintoneを推進しようとすると、周りの職員から嫌がられる」
「kintoneを導入して業務改善したいけど、上司や幹部の反応が鈍い」
「kintoneの予算案が通らない」

自治体でkintoneを推進しようとすると、上役や同僚から抵抗されるケースが少なくありません。また、導入前では、予算案が通らないことも多々あります。優れたツールでも、庁内での受け入れが進まなければ、その真価は発揮されません。

本記事では、自治体内部に生じる抵抗の背景や、推進時に気をつけるべきポイントを紹介します。導入をスムーズに進めるヒントとして、お役立ていただければ幸いです。

なお、ペパコミ株式会社では、自治体でも数多く伴走支援や研修を行っています。kintone活用にお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

kintone構築・運用でお困りの方へ無料相談でお悩みを解決!
目次

自治体内部でkintone導入に抵抗されてしまう理由とは?

自治体内部でkintone導入に抵抗されてしまう理由とは?

kintoneの導入や推進を進めるときに、庁内で抵抗される理由には、次のようなことが挙げられます。

  1. 公務員は、業務改善しても、評価が同じなので工夫したくないから
  2. kintoneを推進者から押し付けられている感じが嫌だから
  3. kintoneというだけでよくわからないから商材の押し売りと思われてしまうから
  4. 内製化やエコシステム※がピンとこないから

※ エコシステムとは

kintoneを業務改善のプラットフォームとして活用するための、プラグインや連携サービス、構築パートナー、人材育成サービスなどを含めた総称です。kintone単体だけでなく、これらの周辺要素を含めてkintoneを捉えることで、より効果的な業務改善やシステム構築が可能になります。

公務員は業務改善しても、評価が同じなので工夫したくないから

行政の場合、成果を上げても、評価はほぼ同じであるため、頑張った人ほど損だと考える人も少なくありません。

なお、以下のように身分や福利厚生は非常に安定しています。

  • リストラ(行政では「分限処分」):きわめて少ない状況です。
  • 平均年収:総務省によると、一般行政職で約640万円程度とされています。

(行政の年収を決める際に参考にされるのは、全上場企業の平均値であり、日本の全企業の平均値ではないことから、高水準になりがちと指摘されています。)

このように「身分保障の手厚さ」は確かである反面、「人事評価」は人事異動や昇進速度に少し反映されても、影響を及ぼしているとは言えません。

仮にkintoneやDXを進め、業務改善や住民へのサービス向上を目指す職員がいても、「面倒だ」と反発する職員がいるのも事実です。

kintoneを推進者から押し付けられている感じが嫌だから

kintoneの庁内でのひろげ方に対しても、心理的な抵抗を生じさせる場合があります。

例えば、推進担当者が、これまでの業務を全否定したり、実態を無視した導入を進めると、最初から悪い印象を抱かれがちです。

さらに、同様に抵抗感を持たれるきっかけとして、研修の進め方の失敗もあります。kintoneの研修サービスの多くは、一人当たり数十万円という価格設定である場合があります。そのため、庁内において、一人や数人だけでの参加というケースもあります。機会が広がっていないまま、事例発表などで、一部の職員がさらに目立っていく姿に結果として、心理的な距離を感じる職員も出てくるでしょう。

kintoneというだけで「よくわからないから商材の押し売り」と思われてしまうから

本来、行政の場合、ツールの選定は公平性の観点から、複数のツールを比較し導入を進めなければなりません。そのため、業務のシステム化に際しては、導入システムの比較検討段階でも、入札やプロポーザルの段階でも、特定の製品ありきの進め方はできませんでした。

しかし、kinotneの場合、多様なプラグインの核であるデータベースであり、代替えツールの候補が他にないと言ってもいい状態です。そのため、行政としては異例ですが、製品名を特定しての入札やプロポーザルという形になります。

通常、AIやデジタル化、ノーコード等という表現ではなく、「kintoneは、どうか」と製品名を用いて会話を進める必要がでてきます。そのため、何も知らない職員からすると、業者主導の営業だと誤解されるリスクもあるため、丁寧な説明が欠かせません。

内製化やエコシステムがピンとこないから

kintoneの魅力といえば、「システム内製化」と「エコシステム」が挙げられます。しかし、以下のように、kintoneを理解するハードルになってしまいがちです。

  • システム内製化への誤解
  • エコシステムへの認識

単に入力ユーザーの視点で、内製化のプロセスを見て、「難しい」と指摘する人がいます。また、「自分はkintoneできる」と言う人が入力を指していることもあります。このように、開発ユーザーと入力だけのユーザーの違いを誤解する人もいるでしょう。

これまでは、大手のシステムを比較したり、システム会社に依頼すればよく、ITリテラシーはあまり必要ありませんでした。しかし、kintoneの仕組みを理解するには、プラグインを開発するベンダーと、伴走支援や開発、研修を行うパートナー企業の違いなど、仕組みの違いや役割分担を明確に説明することが大切です。

自治体でkintone導入に抵抗しがちな職員の属性3選

自治体でkintone導入に抵抗しがちな職員の属性3選

続いて、次に紹介するのは、導入や推進にブレーキをかけがちな職員の属性です。

  1. デジタル化は現場に丸投げなのに、進めたつもりでいる首長や幹部
  2. ITリテラシーが弱いまま、予算査定をする財務部門の職員
  3. 予算要求の根拠資料や説明が不十分な職員

それぞれ詳しく解説していきます。

デジタル化は現場に丸投げなのに進めたつもりでいる首長や幹部

いまや、どの自治体においても、総合計画には必ずDXやAI活用が明記され、個別計画としての「DX計画」があり、必ず、デジタル人材育成が掲げられています。

しかし、現実は、首長や幹部それぞれに、次のようなケースだと、話が通じませんのでDXは困難を極めます。

・首長

選挙で当選する首長が、デジタルは企業に丸投げで生きてこれたケースや行政の経験や認識が希薄なまま当選し、実態にそぐわない指示しかだせず、デジタル人材が育つ土壌がない。

・幹部

若手や中堅職員だった時期にITリテラシーを求められないまま幹部になった場合、手を動かさないため、現場と委託先企業を疲弊させるだけで終わってしまう。

ITリテラシーが弱いまま、予算査定をする財務部門の職員

「予算要求しても通らない」という声を聞くことが多々あります。敵にも味方にもなりえるのが、財務部門です。

ここで、実際にあった「優れた財務部門の動き」の例を紹介します。

庁内事例の共有を促進してくれる。

ある部署で「IT化の方法でうまくいった事例」を他部署にも情報共有してくれます。予算作成時は、自部門のことしか見ていなくとも、他部署の工夫を聞き、コスパのよい予算案へと見直すことができます。

担当部署以上に、関連製品の情報をつかんでいる。

「他のいい方法はないか」と調べつくし、担当部署に鋭い指摘を投げかけてくれます。

このように、本気でDXで業務効率を高め、財政赤字を防ごうとする財務部門もありますが、実際には少ないかもしれません。

予算要求の根拠資料や説明が不十分な職員

職員の予算要求の際に効果的な資料は以下のものが挙げられます。

① kintoneとは:kintone・エコシステム(プラグイン・パートナー企業)

② 他自治体の事例:汎用性があり、活用が増えるほどコスパがよくなります。

事例は必ず丁寧に資料を準備しましょう。

③ kintoneのセキュリティについて

④ プラグインの比較検討表

弊社のプラグインメディアを参考にしてください。なお、LGWAN環境で活用する場合は、LGWAN対応についても確認が必要です。

⑤ 導入計画とスケジュール

⑥ 仕様書の案

また、財務部門の職員とは日ごろから、コミュニケーションをとって、説明を聞いてもらいやすい人間関係もつくりましょう。

関連記事:あなたの仕事が変わる「自治体のkintone活用事例40選」 

関連記事:行政特有のセキュリティ確認事項~kintoneなら大丈夫⁉

自治体でkintone導入への抵抗感を減らすために配慮すべきこと3選

自治体でkintone導入への抵抗感を減らすために配慮すべきこと3選

抵抗を完全になくすことはできませんが、地道な配慮で受け入れられやすくなります。

例えば次のようなことをおすすめします。

  1. まずは多くの職員がチャレンジできる体制を目指す
  2. 成功事例ばかり取り上げ過ぎない
  3. 一市民としても、表面的な取り組みで終始する首長や議員を選ばない

まずは多くの職員がチャレンジできる体制を目指す

システム開発であれば、小さくスタートして広めることも手です。しかし、kintone研修等のきっかけは、なるべく全ての部署から参加できるようにしましょう。

ある自治体の例をご紹介します。

2000年代初頭の話です。当時70代だった首長から、こんな指示がありました。

「全職員がITの勉強をしてください。行政職員がITに無知では、IT企業から高くふっかけられます。市民の税金なのだから。せめて、ホームページ作成と更新は全員!」と。

その後、その自治体の健全財政や社風の変化は言うまでもありません。

当時はホームページでしたが、今は、kintone等のノーコードツールとAIは全職員が把握する時代になりました。

成功事例ばかり取り上げ過ぎない

行政は、税金を使っている手前、「失敗が許されない」という風潮があります。そのため、活用する人にとっては、成功事例ばかり聞いていると気後れしてしまいます。

また、チャレンジに失敗はつきものです。成功事例を共有するだけでなく、失敗事例も積極的に共有してチャレンジしやすい風潮を育てました。

とくに、アクセス権の設定ミスや、担当者異動の引継ぎの難しさなどは、自治体からもよく聞かれる「心配ごと」です。

各部門の担当者だけに一任するのではなく、お互いに声をかけあいながら、ともに乗り越えていく姿勢が求められます。

一市民としても、表面的な取り組みで終始する首長や議員を選ばない

地方自治体の職員は、地元に居住していることも多々あると思います。実際に業務を知っている皆さんだからこそ、「出馬している人が、行政で実行力がある人かどうか」は、公約や発信している内容、経歴などから見えてくるかと思います。

ですので、地方自治体の職員の皆さんこそ、的確な人選を目指して、首長候補者や議員候補者を把握し投票しましょう。

もちろん、曖昧なビジョンで実行力がない人が当選することもあります。その結果、庁内の活気は削られ、事業の実行力は低下し、市民サービスも悪化していくこともあります。

自治体のkintone活用の成否が決まるパートナー企業の選定方法

今回、ご紹介したように、kintoneの導入には、庁内の抵抗感との対峙も起こるかもしれません。また、大きな失敗なく進めるためには、プロの手を借りる方が安全でもあります。

なお、以下のようなパートナー企業は避けましょう。

  • 大手企業:担当者が代わるため、長期的視点での支援が受けられない可能性がある
  • 地元企業だけから選ぶ難点:プラグインやkintoneの知識不足の例がある
  • サービスが定型化しすぎる企業:実態や課題を深掘りしてくれない可能性がある

そのため、研修や伴走支援をお願いするパートナー企業の選定が非常に重要になります。

パートナー企業の研修や伴走支援なら、ペパコミ株式会社へご相談ください

ここまでの内容でご紹介したように、kintone導入の成否は“人”と“進め方”に大きく左右されます。

kintoneの導入には、操作を短期間に学ぶだけでなく、業務を踏まえてのプラグインの選定も大切です。

なお、ペパコミ株式会社では、自治体でも数多く伴走支援や研修を行っています。kintone活用にお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

小川喜句

ペパコミ株式会社代表取締役小川 喜句

ペパコミ株式会社代表取締役。youtubeにて「kintone活用ちゃんねる」と、kintoneのプラグインメディア運営。kintoneの構築や内製化を伴走支援を行なっており、kintone運営会社「サイボウズ社」のビジネスにおいて、顕著な実績を上げたパートナー企業や個人を表彰する制度である「CYBOZU AWARD 2022」を受賞。サイボウズ評価制度4年連続2つ星を受賞し、セールス部門(2023~2025年) インテグレーション部門(2022~2025年)も受賞。

小川喜句X 小川喜句Youtube
よかったらシェアしてね!

コメント

コメントする

kintoneのお悩み
一発解決します!

無料相談をする
目次
閉じる