kintoneにおけるテーブルの初期値自動反映は、多くのユーザーが求める機能です。
従来、この機能を実現するためにはプラグインやJavaScriptの記述が必要となる場合がありました。
しかし、kintoneの標準機能を深く理解すると、それらを用いずに複数のパターンでテーブルの初期値を自動反映させることが可能です。
本記事では、kintoneの標準機能を用いてテーブルの初期値自動反映を実現する方法と、その利点について詳細に解説します。
なお、ペパコミ株式会社では、「kintone」を活用した業務支援を行っています。業務効率化にお悩みの方は、ぜひ以下からお気軽にご相談ください。
kintoneのテーブル初期値自動反映とは
kintoneにおける「テーブルの初期値自動反映」とは、レコードを新規作成する際、あらかじめテーブル内に特定のデータや行が入力された状態にすることを指します。
例えば、営業活動の進捗管理において、新規顧客からの問い合わせがあった際に「電話で案内」「トライアル案内」「フォロー連絡」といった一連の決まった流れをテーブルに自動で表示させたり、特定の作業フローをあらかじめ登録させたりする場面で活用します。
これにより、レコード作成時の手入力の手間を省き、入力漏れを防ぐ効果が見込めます。
従来のkintoneテーブル初期値自動反映における方法とその課題
これまでkintoneでテーブルの初期値自動反映を実現する場合、主に以下の方法が用いられていました。
プラグインの利用
テーブルの初期値入力プラグインは、無料で提供されている「TISのテーブル初期入力プラグイン」など、多くのケースで利用されていました。プラグインは手軽に機能を拡張できます。
JavaScriptの記述
JavaScriptを記述し、レコード作成時にテーブルに初期値を挿入する方法も広く用いられていました。プログラミングによって柔軟な設定が可能となります。
しかし、これらの方法にはいくつかの課題が存在します。
kintoneを活用した従来のテーブル初期値自動反映における課題
従来、kintoneを活用した際のテーブル初期値自動反映における課題は下表のとおりです。
方法 | 課題 |
プラグインの利用 | ・プラグインのアップデートへの対応が必要となる場合があります。
・プラグイン間の干渉が発生する可能性があり、メンテナンスが複雑になる場合もあります。 ・無料のプラグインの場合、設定できる初期値のパターンが1種類に限定される場合がありました。 |
JavaScriptの記述 | ・コードを記述する専門知識が必要となります。
・コードのメンテナンスに手間がかかる場合があります。 |
これらの課題は、kintoneシステムの運用やメンテナンスの負担を増加させる要因となる場合があります。
プラグイン・JavaScriptなしでkintoneテーブル初期値自動反映を実現する方法
プラグインやJavaScriptを使用せず、kintoneの標準機能だけでテーブルの初期値自動反映を行う方法が存在します。
この方法は、「アプリのアクション」機能を活用するものです。
具体的な実現手順
- テンプレートとなるレコードの作成 あらかじめ、初期値としてテーブルに反映させたい内容が入力された**「テンプレートレコード」を1つ作成する
- アプリのアクションリンクの取得 作成したテンプレートレコードから、アプリのアクション機能を用いて、テーブル部分まで初期値が設定された状態の「レコード作成リンク」を取得する
- リンクの配置と活用 取得したリンクをkintoneアプリの任意の場所に貼り付ける
この方法を用いると、例えば「基本パターン」「応用パターン」「パターン1」「パターン2」など、複数の異なる初期値を持つテンプレートレコードを用意し、それぞれからリンクを生成することで、多様なパターンの初期値自動反映を実現できます。
これは、従来の無料プラグインで1パターンしか設定できないという制約を乗り越える利点があります。
kintoneの標準機能でテーブル初期値自動反映を行う利点
kintoneの標準機能を用いてテーブル初期値の自動反映を行うことで、主に以下の利点が得られます。
- システムの安定性向上
- メンテナンス工数の削減
- 複数パターンの柔軟な対応
一つずつみていきましょう。
システムの安定性向上
プラグインやJavaScriptに依存しないため、外部要因による影響を受けにくくなります。プラグイン同士の干渉や、将来的なアップデートによる動作不良のリスクが減少します。
メンテナンス工数の削減
外部のコードやプラグインの管理が不要なため、メンテナンスにかかる手間を削減できます。
複数パターンの柔軟な対応
前述の通り、複数のテンプレートレコードを用意することで、利用シーンに応じた多様な初期値パターンを簡単に切り替えて利用できます。これは、無料のプラグインでは実現が難しい点です。
これらの利点は、kintoneの運用をよりシンプルにし、長期的な視点での安定稼働に寄与します。
kintone構築における標準機能活用の重要性
kintoneのシステム構築においては、まず標準機能で解決できないかを検討することが重要です。標準機能で実現できない場合に限り、プラグインの導入を検討します。
それでも解決が難しい場合に、JavaScriptによるカスタマイズを検討するというのが、kintone構築の基本的な考え方です。
標準機能を使いこなすことは、システムのシンプルさ、メンテナンス性、そして将来的な拡張性を保つ上で重要です。
kintoneは非常に多機能なプラットフォームであり、その標準機能だけでも多くの業務課題を解決できます。
まとめ
kintoneのテーブル初期値自動反映は、プラグインやJavaScriptを使用せず、標準機能であるアプリのアクションを活用することで実現できます。
この方法は、メンテナンスの負担を軽減し、複数の初期値パターンを柔軟に設定できる利点があります。
kintoneの導入や運用を進めるにあたっては、まず標準機能での実現可能性を深く探求することが、より安定したシステム構築への第一歩となるでしょう。
なお、ペパコミ株式会社では、「kintone」を活用した業務支援を行っています。業務効率化にお悩みの方は、ぜひ以下からお気軽にご相談ください。
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