介護事業施設における患者の情報や介護職員の業務記録の管理は、日々の運営において極めて重要な要素です。
多くの施設では、これらの情報を紙媒体で管理している現状があります。
この紙ベースの運用からデジタル化へ移行する中で、情報の適切な共有とアクセスの制御は、業務効率化を進める上で解決すべき課題となります。
kintoneを活用すると、これらの課題に対応し、情報管理の質を高めることが可能です。
また、本記事の内容はプラグインの本来の目的や全ての使い方を網羅しているわけではない可能性があることを理解しておきましょう。
実際にプラグインを導入する際は、提供元が公開している公式情報なども合わせて確認することをおすすめします。
「あくまでこんなことが出来るんだ」とイメージをしてもらう目的で記事にしていることをご了承下さい。
なお、ペパコミ株式会社では、「kintone」を活用した業務支援を行っています。業務効率化にお悩みの方は、ぜひ以下からお気軽にご相談ください。
kintoneによる介護事業施設での情報管理の課題と解決策
kintoneによる介護事業施設での情報管理の課題と解決策を以下の項目に沿って解説します。
- 患者と介護職員の情報管理の現状
- 業務日報における利用者情報の表示制限
- グループ機能と関連レコード表示による情報管理
kintoneを介護事業施設で運用する際、特定の情報へのアクセス制限や情報の連携が課題としてあげられます。kintoneはこれらの課題に対し、詳細な設定により対応できます。
患者と介護職員の情報管理の現状
介護事業施設では、患者情報や介護職員の業務日報を紙媒体で管理する場合があります。
既存でkintoneを導入している施設でも、業務内容の管理において、情報の連携や表示方法に問題が生じる場合も少なくありません。
具体的には、業務日報アプリで利用者の全情報を表示させたくないものの、名前だけは参照したいという要望があげられます。
また、従業員名簿から名前を引用したいが、その詳細な情報は見られたくないといったケースも考えられます。
業務日報における利用者情報の表示制限
業務日報アプリでは、職員が入力する際に利用者台帳から利用者の名前をルックアップで参照したい一方、その詳細情報(住所など)は見せたくないという要望があります。
kintoneでは、フィールドのアクセス権設定を用いて、この課題に対応可能です。
フィールドのアクセス権設定画面から、例えば住所といった見せたくないフィールドに対し、閲覧権限を「なし」に設定します。これにより、該当する職員はそのフィールドの情報を閲覧できません。
必要な情報(名前)のみを共有し、不必要な情報は非表示に保てるため、情報管理のセキュリティを高められます。
なお、アクセス権の設定は、設定画面の上から順番に処理されるのが特徴です。「すべての人」に対する権限設定は、標準で最も下位に固定されるため、他の設定との兼ね合いに注意が必要です。
グループ機能と関連レコード表示による情報管理
kintoneのグループ機能は、複数のフィールドをまとめて非表示にするために活用できます。
この機能を用いると、情報を整理し、閲覧権限がないユーザーに対して特定の情報の表示を制限可能です。
グループ機能の注意点として、テーブル内に配置されたフィールドは隠せない点が挙げられます。
また、計算式フィールドがグループ内にある場合、権限がないユーザーは、保存できない、計算式が動作しないといった問題が発生する可能性があるため、設定には注意が必要です。
家族情報のような関連性の高い情報は、別のアプリとして作成し、関連レコード表示機能で紐づけることが有効です。
関連レコードに対してアクセス権設定を行うと、参照される側の情報を閲覧権限に応じて制御できます。
これにより、例えば利用者の基本情報アプリに、その利用者に関連する家族情報を別のアプリから表示し、その表示内容を権限によって制限できます。
kintoneにおける看護師の記録管理の具体例
kintoneにおける看護師の記録管理の具体例を以下のとおり紹介します。
- 患者ごとの記録と日々の申し送りの連携
- 別アプリと関連レコード表示による履歴の可視化
看護師の記録管理は、患者ごとの記録と日々の申し送りをどのように扱うかが重要です。kintoneでは、これらを連携させ、必要な情報を集約して閲覧できるように設計できます。
患者ごとの記録と日々の申し送りの連携
看護師の業務には、患者ごとの詳細な記録と、その日に行われた業務や特記事項を共有する日々の申し送りがあります。
これらの内容は、特定の患者に対する処置や状況の変化を記す点で共通する部分があり、どちらも紙媒体で管理されている場合があります。
しかし、記録と申し送りを同一のアプリで管理するか、あるいは別々に管理するかで運用方法は変わるでしょう。
kintoneでは、看護師用の日報アプリを別途作成し、これを「利用者基本情報アプリ」に紐づけて関連表示する設計が有効です。
この方法では、看護師が日報アプリに入力した日々の申し送りや記録が、対象患者の基本情報アプリから参照できるようになります。
これにより、一つの場所で患者に関連するすべての情報を確認できる仕組みを構築できます。
別アプリと関連レコード表示による履歴の可視化
関連レコード表示機能を活用すると、「利用者基本情報アプリ」から特定の患者のレコードを参照した際に、関連付けられた「看護師日報アプリ」に記録されたその患者に関するすべての履歴を、時系列で確認できます。
例えば、小川看護師が7月5日に特定の患者に対して「まるまる」の処置を行ったといった履歴が、利用者基本情報アプリの画面に一覧で表示されるようになります。
血液検査データなどのPDFファイルを関連情報として、レコード内に表示する設定も可能です。
この設計により、管理者は「利用者基本情報アプリ」を見るだけで、患者に関するあらゆる情報を一元的に把握できます。
また、看護師が日々の業務を記録する際は「看護師日報アプリ」を利用し、管理者はこのアプリを見ることで、看護師の業務内容を確認可能です。
この仕組みは、情報入力の負担を軽減し、日々の業務を円滑に進める上で貢献します。
kintone導入で実現する情報管理の全体像
kintone導入で実現する情報管理の全体像を以下の項目に沿って解説します。
- アプリ設計のポイント
- 管理者と現場職員の視点からの利点
kintoneを介護事業施設に導入すると、情報の一元管理とアクセス制御により、業務フローを明確にし、管理者の負担を軽減できます。
アプリ設計のポイント
kintoneで患者と介護職員の情報を管理する際は、情報の種類や管理目的に応じてアプリを分けるのがおすすめです。
例えば、「利用者基本情報アプリ」「従業員名簿アプリ」「業務日報アプリ」「看護師日報アプリ」など、目的別に複数のアプリを設計します。
そして、これらのアプリ間をルックアップ機能や関連レコード表示機能で連携させることで、必要な情報が必要な場所で参照できるようになります。
この連携により、紙媒体での管理時に発生していた情報散逸や検索性の低さといった問題が解決するはずです。
管理者と現場職員の視点からの利点
kintoneで情報がデジタル化され、一元管理されることにより、管理者は特定の患者の情報を包括的に把握できるようになります。
例えば、「利用者基本情報アプリ」を見るだけで、その患者に関するすべての記録や申し送りの履歴を網羅的に確認可能です。
現場の介護職員や看護師は、業務日報や申し送りを行う際に、必要な利用者情報を簡単な操作で参照し、適切な権限内で情報を入力できます。
これにより、情報入力の負担が軽減され、日々の業務が円滑に進むため、本来の業務に集中しやすくなります。
kintoneを導入することは、情報管理の課題に対応し、業務の質向上にも貢献するでしょう。
まとめ
kintoneを介護事業施設で活用すると、患者情報や介護職員の業務記録に関する複雑な情報管理の課題を解決できます。フィールドアクセス権や関連レコード表示、グループ機能などを組み合わせることで、必要な情報を必要な範囲で共有し、過去の履歴を容易に追跡する仕組みを構築可能です。この導入により、情報管理の課題に対応するだけでなく、業務の質向上にも貢献します。
なお、ペパコミ株式会社では、「kintone」を活用した業務支援を行っています。業務効率化にお悩みの方は、ぜひ以下からお気軽にご相談ください。
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