kintoneを導入・運用する際、「できるだけ予算を抑えたい」と考える企業は多いのではないでしょうか。
実は、社内で対応できる範囲を見極めながら、必要に応じて外部の支援を取り入れることで、コストを抑えつつkintoneを有効活用することが可能です。
この記事では、kintoneの導入や運用にかかる費用を抑えるための視点や工夫を紹介します。
あわせて、プラグイン活用の一例も紹介していますが、すべての使い方や詳細な仕様を網羅しているわけではありません。実際の導入時には、各プラグインの公式情報も必ず確認するようにしましょう。
「kintoneでここまでできるんだ」という参考になれば幸いです。
予算をかけすぎずに、効率よくkintoneを使いたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
kintone導入・運用における予算管理の考え方
kintoneを導入・運用する際、予算を抑えるには自社と外部の役割分担を明確にすることが重要です。自社で対応できる範囲を増やし、外部に依頼する際は準備を整えることで、余計なコストの発生を防げます。
とくに、設計単位での原価管理はよくある課題です。受注後だけでなく、営業活動など受注前の案件管理も見える化したいという要望が多くあります。営業の進捗を可視化することも、広い意味での予算管理に含まれます。
kintoneでのコスト管理には、主に2つの方法があります。1つは作業時間の集計による管理です。たとえば、足場工事や仮設工事に要した時間を記録する形式が該当します。もう1つは、業務ごとの進捗を追う方法です。設計業務などで各タスクの完了状況を管理するケースが代表例です。
管理の粒度は、業務内容と予算状況に応じて調整が必要です。
自社でkintoneを内製する際のポイント
kintoneのアプリケーションを自社で構築する取り組みは、外注コストの削減につながり、予算を抑える手段として有効です。ただし、操作や設定に不慣れな場合、内製化を難しく感じることもあるでしょう。
たとえば、チェックボックスに設定した条件によって画面上の動きが変わるなど、kintone独特の挙動に戸惑う方もいます。そうした事例を踏まえ、自社での構築を成功させるには、いくつかの視点が欠かせません。
以下では、内製化を進めるうえで意識したい要点を紹介します。
アプリケーション設計の重要性
kintoneの導入において、最初に行う設計はとても重要です。これが不十分なまま開発を進めてしまうと、後の工程で修正が必要になり、結果として時間と費用のロスが発生します。
過去には、具体的な要件を提示できず、「アプリ一つあたりの金額」でしか見積もりが取れなかった例もありました。こういったケースでは、開発側も詳細な提案が難しく、プロジェクトが停滞する原因になります。
まずは、自社の業務で何を実現したいのかを明確にしましょう。設計を固めておくことで、コストの無駄を省き、スムーズな開発が可能になります。
日報と勤怠管理の一元化
業務日報と勤怠管理を一つのアプリで運用すると、入力作業の負担が軽くなります。管理項目を分ける必要がなくなり、情報の重複も避けられます。
たとえば、作業日報に記録したプロジェクトごとの作業時間を、そのまま勤怠情報に転用できる設計にすることで、集計作業の効率が向上します。入力形式は、選択式よりも手入力の方が操作しやすいと感じる場面もあるでしょう。
このように、業務を統合的に管理することで、運用全体の無駄を省けます。
KrewDataとプラグインの活用
kintoneをより柔軟に活用するためには、KrewDataや各種プラグインの導入も視野に入れるべきです。こうしたツールを使いこなせば、内製の幅が広がり、外注依頼の頻度を減らすことにつながります。
KrewDataは、データの連携や加工に強みを持つプラグインです。複数のコマンドを使うことで、高度な処理にも対応できます。もしプログラミング経験がある担当者がいれば、習得までの時間も短縮できます。
プラグインには無料のものと有料のものがあり、目的や処理速度によって適切な選択が求められます。たとえば、原価の集計だけを行いたい場合は、無料でも十分に対応できる可能性があります。一方で、高速処理や複雑な機能が必要な場合は、有料版を検討するのが妥当です。
選定の際には、予算と必要な機能のバランスを見極めることが重要です。
自社でのkintone内製を成功させるためには、明確な設計、業務の統合管理、そしてツールの適切な活用が欠かせません。これらを意識して取り組めば、コストを抑えながら現場で使いやすいアプリケーションを自社で構築できます。
外部サポートの活用方法と予算の考え方
外部サポートを検討する際は、「どこまでを依頼し、どこまでを自社で対応するか」を明確に分けることが重要です。
依頼範囲が広くなるほど費用が増えるため、自社で対応可能な作業と、専門的な支援が必要な工程を切り分ける視点が求められます。
コストと効果を両立させるためには、以下の3つのサポートモデルを基に比較・検討することが効果的です。
モデル名 | 特徴 | 予算への影響 |
自社内製型 | 設計から構築・運用まですべて社内で完結させるモデルです。KrewDataなどのスキル習得が必要となります。 | 外注費を抑えられますが、人材育成に時間と工数がかかる可能性があります。 |
部分サポート型 | 設計は外部に依頼し、構築や簡単な設定は自社で行います。あるいは、複雑な部分のみをピンポイントで外部に任せる形式です。 | 自社のスキルに応じて調整でき、外注コストも抑えやすくなります。 |
フルサポート型 | 設計・構築・運用までを一貫して外部に委託するモデルです。リソースを他業務に集中させたい企業向けです。 | 費用は高めですが、確実でスピーディな導入が期待できます。 |
なお、日あたり5〜6時間ほどの工数をkintoneに割ける場合は、サポート主体でも十分な成果が期待できます。ただし、最初のアプリ設計はシステム全体の骨組みとなるため、外部の力を借りてでもしっかり固めておくことが推奨されます。
プロジェクト管理における原価集計
プロジェクトの原価を正確に把握することは、予算管理の精度を高めるうえで重要です。kintoneでは、原価集計を効率よく行える仕組みを構築できます。
具体的には、プロジェクトコード管理アプリと日報アプリを連携させます。作業時間を日報で記録し、そのデータを集計することで、プロジェクトごとの原価を可視化できます。実績と予算の差異も把握しやすくなり、進行中の調整にも活かせます。
過去には、VBAを用いて原価集計を行っていた企業もありましたが、仕様変更への対応が難しいという課題がありました。kintoneであれば、設定の修正や拡張が比較的容易です。
このように、kintoneを活用することで、変化に強く柔軟な原価管理体制を構築できます。
予算を抑えて賢くkintoneを活用しよう
kintoneの導入や運用で予算を抑えるには、自社で対応できる範囲を見極めつつ、外部の支援を適切に活用する視点が欠かせません。
とくに、最初の設計段階を丁寧に行い、日報と勤怠管理のような業務を一つのアプリにまとめることで、手間とコストの両方を削減できます。KrewDataやプラグインを活用し、社内のスキルを高めていくことも、長期的なコスト削減に役立ちます。
一方、自社だけでの対応が難しい場合には、外部サポートの導入も検討すべき選択肢です。なかでもアプリの設計は全体の土台となるため、専門家の支援を受けて確実に構築することをおすすめします。
これらのポイントを踏まえ、自社に合った導入方法を選ぶことが、無理のない予算運用と安定した活用につながります。
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