「派遣法改正への対応や、コンプライアンス遵守に追われている」
「派遣スタッフや案件の情報をバラバラに管理しており、ミスや手間が多い」
人材派遣業を営む中で、上記のお悩みを抱えている担当者の方も多いでしょう。
労働者保護のための法改正は今後も続くと予想され、アナログな管理体制では限界が見え始めています。しかし、kintoneを活用すれば、非IT人材でも自社業務の実態にあわせて管理システムを構築可能です。
本記事では、人材派遣業界でkintoneの導入が進む背景や、kintoneがおすすめな理由などを解説します。
なお、ペパコミ株式会社では、「kintone」を活用した業務支援を行っています。人材派遣の業務効率化にお悩みの方は、以下からお気軽にご相談ください。
人材派遣業界でkintone導入が進む背景

人材派遣業界でkintone導入が進んでいる理由は、主に以下の3つです。
- 派遣法改正への継続的な対応が求められるため
- 複雑な管理業務・多拠点運用の負担が大きいため
- Excel・紙ベースの管理体制に限界があるため
kintoneが重用される背景には、業界特有の複雑な業務プロセスや、厳格化する法規制への対応などの課題が存在します。
派遣法改正への継続的な対応が求められるため
人材派遣業界は、派遣法(労働者派遣法)の影響を強く受けます。派遣法は労働者保護の観点から定期的に改正されており、派遣元企業は常に最新の法令に対応しなくてはなりません。
例えば、「同一労働同一賃金」への対応や、派遣先管理台帳・派遣元管理台帳などの法定帳票の記載事項変更など、法改正のたびに管理すべき項目が増加する傾向にあります。
古いシステムや固定化されたExcelフォーマットでは、法改正のたびに発生する項目の追加や修正に迅速に対応するのが困難です。そのため、現場の状況に合わせて柔軟に設定変更ができるシステム基盤が必要不可欠となっています。
複雑な管理業務・多拠点運用の負担が大きいため
人材派遣業の業務は多岐にわたります。主たる業務だけでも、派遣スタッフ管理、案件管理、派遣先顧客管理、勤怠管理、契約管理、請求管理など、管理すべき情報が膨大です。
また、各情報が複数の拠点や部署、あるいは担当者ごとに分散して管理されているケースも少なくありません。
拠点間での情報共有が不十分な場合、他の拠点に登録されている優秀なスタッフのアサイン調整が遅れたり、営業活動の連携がうまくいかなかったりする問題も生じるでしょう。
Excel・紙ベースの管理体制に限界があるため
デジタル化が進む現代でも、派遣スタッフのスキルシートや案件管理をExcelや紙のファイルで管理している企業は少なくありませんが、Excelや紙での管理には限界があります。
例えば、Excelファイルは、最新バージョンのファイルかわからなかったり、データ量が膨大になると動作が重くなったりする問題が生じがちです。
また、ファイルの配布や上司への承認フローにメールへの添付や印刷が必要となり、情報伝達に時間がかかります。
必要な情報を探す際も、大量のファイルの中から過去の情報を探し出すのに時間を要するなど、データの検索性が低い点も課題です。
kintoneが人材派遣業におすすめな4つの理由

kintoneが人材派遣業におすすめな4つの理由は以下のとおりです。
- ノーコードで派遣管理に必要なアプリを自由に構築できる
- 派遣スタッフ・案件・顧客情報を一元管理できる
- 豊富なプラグイン・連携で派遣業務をフル対応できる
- セキュリティ・権限管理が充実している
kintoneは、人材派遣業が抱える課題を解決するために役立つ機能を備えています。特に、現場主体で業務改善を進められる点が、多くの企業に選ばれる理由です。
ノーコードで派遣管理に必要なアプリを自由に構築できる
kintoneの特長は、プログラミングの専門知識が不要な「ノーコード」ツールである点です。ドラッグ&ドロップを中心とした直感的な操作で、自社の業務に必要な業務アプリを作成できます。
人材派遣業の現場ニーズに合わせて、「派遣スタッフ台帳」「案件管理」「勤怠管理」など、必要なアプリを自由に設計可能です。
IT部門や外部の開発会社に依存せず、業務を実際に行っている担当者自身がアプリを作成・カスタマイズできます。そのため、法改正にともなう項目の追加や、現場からの要望を汲み取ったスピーディな業務改善が実現します。
派遣スタッフ・案件・顧客情報を一元管理できる
kintoneを使えば、派遣業務に関わるすべての情報を一つのプラットフォーム上で一元管理できるため、情報の分散や二重入力を防げます。
例えば、派遣スタッフの基本情報、保有スキル、資格、過去の就業履歴などを管理するアプリを作成可能です。さらに、案件の詳細情報や、顧客企業の情報を紐づけて管理できます。
関連する情報同士をリンクさせると、「このスキルを持つスタッフは誰か」「この案件に最適なスタッフは誰か」などの検索が容易になります。結果として、スタッフのマッチング精度が向上し、営業活動も進めやすくなるでしょう。
豊富なプラグイン・連携で派遣業務をフル対応できる
kintoneは、標準機能だけでは足りない部分を補うための「プラグイン」と呼ばれる拡張機能や、外部サービスとの連携が豊富に用意されています。
例えば、帳票出力プラグイン「RepotoneU(レポトンユー)」を活用すると、kintone上のデータを使って、派遣スタッフの職務経歴書や、顧客への請求書、契約書などをPDFやExcel形式で簡単に出力できます。
また、「FormBridge(フォームブリッジ)」や「kViewer(ケイビューワー)」などの連携サービスを使えば、派遣スタッフの応募フォームをWeb上に公開したり、登録スタッフ専用のマイページを作成したりも可能です。API連携も可能なため、既存の基幹システムともデータをつなげられます。
セキュリティ・権限管理が充実している
人材派遣業では、取り扱いに注意が必要な情報を多く扱いますが、kintoneはセキュリティ面でも安心して利用できる設計になっています。
kintoneはISO/IEC 27001やISMAPなどの国際的なセキュリティ認証を取得しており、高いセキュリティレベルを保持しているのが特徴です。
また、アクセス権限を細かく設定できるのも強みです。アプリ単位、レコード(データ1件)単位、さらにはフィールド(項目)単位で、「誰が閲覧できるか」「誰が編集できるか」などの権限を設定できます。
IPアドレス制限や二要素認証により、不正アクセスを防止する機能も備わっています。
【業務別】人材派遣業のkintone活用シーン7選

業務別の具体的なkintone活用シーンを7つ紹介します。
- 派遣スタッフ管理|基本情報・スキル・資格を一元管理
- 勤怠・タイムシート管理|モバイル入力で現場から直接登録
- 案件・派遣先企業管理|営業活動から契約まで一括管理
- マッチング・アサイン管理|スキルと案件の最適なマッチング
- 契約・帳票管理|派遣先管理台帳・派遣元管理台帳の電子化
- 見積・請求管理|自動計算・PDF出力で業務効率化
- コンプライアンス管理|同一労働同一賃金・マージン率公開への対応
kintoneは、人材派遣業のあらゆる業務プロセスに適用できます。スタッフの登録から勤怠管理、マッチング、請求業務、そして法改正への対応まで、一連の流れをkintone上で完結可能です。
派遣スタッフ管理|基本情報・スキル・資格を一元管理
kintoneアプリを活用すれば、派遣スタッフの基本情報や、保有スキル、資格、職務経歴を一元管理できます。
スキルシートや資格証明書などのPDFや画像ファイルも、スタッフの情報に紐づけて一緒に保管できるため、必要なときにすぐに最新の情報を確認可能です。
さらに、スタッフの現在の稼働状況や、過去の派遣先での評価履歴も記録できます。各情報を蓄積・活用すると、より精度の高い案件へのマッチングが実現します。
勤怠・タイムシート管理|モバイル入力で現場から直接登録
kintoneは、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末からもアクセス可能です。派遣スタッフが派遣先の現場から直接、出退勤時刻や休憩時間、作業内容などを登録する仕組みを作れます。
また、勤怠情報がリアルタイムでkintoneに記録されるため、月末にタイムカードを回収したり、Excelに転記したりする作業が不要になります。
kintoneでは登録された勤怠データをもとに、労働時間を自動で集計する設定も可能です。集計されたデータは、給与計算や派遣先への請求書作成に必要なデータとして活用できます。
案件・派遣先企業管理|営業活動から契約まで一括管理

kintoneを活用すれば、顧客企業の基本情報、担当者情報、過去の契約履歴などを一元管理し、営業活動の効率化を図れます。
また、顧客から受けた案件の募集要項、必要とされるスキル、勤務条件、契約期間などの詳細情報もkintoneに記録できます。
kintoneで案件の進捗状況をステータス管理で可視化すれば、営業チーム全体で情報をリアルタイムで共有できるため、対応漏れを防げるでしょう。
マッチング・アサイン管理|スキルと案件の最適なマッチング
kintoneで作成した「派遣スタッフ管理」アプリに登録されたスタッフのスキル情報と、「案件管理」アプリに登録された案件の必要要件を照合すると、条件に合う人材を効率的に検索・抽出できます。
また、スタッフの現在の稼働状況や本人の希望条件も考慮したマッチングが可能です。適切なマッチング・アサインを実施すれば、ミスマッチを防ぎ、スタッフの満足度向上にもつなげられます。
契約・帳票管理|派遣先管理台帳・派遣元管理台帳の電子化
派遣法では、派遣元企業と派遣先企業の双方に、法定帳票の作成と管理が義務付けられていますが、kintoneを使えば台帳を電子データとして管理できます。
また、法改正によって台帳の記載事項が追加・変更された場合でも、kintoneアプリの設定を変更するだけで柔軟に対応可能です。クラウドサインの電子契約サービスとAPI連携させれば、契約書の作成から締結、保管までをすべてデジタル上で完結させられます。
見積・請求管理|自動計算・PDF出力で業務効率化

kintoneを活用すれば、スタッフの勤怠管理データと、案件ごとに設定された請求単価をもとに、請求金額を自動で計算する仕組みを構築できます。
計算されたデータは、RepotoneU(レポトンユー)の帳票プラグインを使用して、見積書や請求書としてPDFやExcel形式で簡単に出力可能です。
また、請求書の作成から顧客への送付、さらには入金管理まで、一連の請求業務をkintone上で管理すると、経理業務の負担を大幅に減らせるでしょう。
コンプライアンス管理|同一労働同一賃金・マージン率公開への対応
kintoneアプリでは、派遣法改正の柱である「同一労働同一賃金」への対応として、労使協定方式または派遣先均等・均衡方式に基づいた賃金管理も実施できます。
派遣スタッフごとの賃金体系や手当の管理、派遣先の正社員との待遇情報を記録すると、不合理な待遇差がないかをシステム上で確認できる体制を整えられるでしょう。
また、コンプライアンスのチェックリストや、監査の記録をkintoneで管理することで、法令遵守の徹底を図れます。
人材派遣業におけるkintone導入事例

kintoneを活用して複雑な情報を一元化し、大幅な業務効率化を実現した2社の事例を紹介します。
- 株式会社ネオキャリア|法人営業・人材コーディネーターの求人情報一元管理
- 株式会社ダイブ|統制が効いていなかった業務を劇的に改善
kintoneは実際に多くの人材派遣会社で導入され、業務改善の成果を上げています。
株式会社ネオキャリア|法人営業・人材コーディネーターの求人情報一元管理

株式会社ネオキャリアでは、全国の派遣事業拠点で、法人営業担当者や人材コーディネーター約300名がkintoneを活用し、案件管理と営業支援を実現しています。
kintone導入前、同社では案件情報がExcel、メール、電話など複数のツールに分散していました。しかし、kintoneに情報を集約し、案件に紐づいたコミュニケーションをコメント機能で行うようにした結果、やり取りが円滑になりました。
支店間の情報連携も進み、他エリアの案件情報をリアルタイムで確認して営業提案に活かすなど、組織全体での相乗効果が生まれています。
参考:株式会社ネオキャリア
株式会社ダイブ|統制が効いていなかった業務を劇的に改善

株式会社ダイブは、派遣スタッフへの求人紹介マーケティングツールや給与計算システムとkintoneを連携させ、業務の一元化を実現しました。
「Adobe Sign」プラグインによる電子契約管理や、グラフ生成プラグインによるデータ可視化も導入し、業務の質を高めています。
特に大きな成果として、派遣スタッフ自身が求人サイトのマイページやLINE経由でkintoneに情報登録できるようにした点が挙げられます。従来スタッフの情報を手作業で入力していた業務がなくなり、年間200時間の作業削減を達成しました。
参考:株式会社ダイブ
人材派遣業でkintone導入を成功させる4つのポイント

kintone導入を成功に導くための4つのポイントを解説します。
- 現状の業務フロー・課題を整理する
- テンプレート・パッケージの活用で早期立ち上げを目指す
- 段階的に導入範囲を拡大する
- 社内教育・定着化の体制を整える
最初から完璧を目指すのではなく、現場の状況に合わせて段階的に進めることが重要です。
現状の業務フロー・課題を整理する
まず、現在の業務フローを詳細に「見える化」します。「誰が・いつ・どのような作業を・どのツールを使って」行っているのかをすべて洗い出しましょう。
業務フローを可視化すると、無駄な工程や属人化している業務を発見できます。現状の業務フロー・課題を整理したうえで、優先的にシステム化する業務を決定し、段階的な導入計画を立てます。
なお、導入計画を立てる際は、現場担当者にヒアリングを行い、実際にアプリを使う方の意見を取り入れることも大切です。
テンプレート・パッケージの活用で早期立ち上げを目指す
kintoneには、さまざまな業種ですぐに使えるサンプルアプリや、人材派遣業向けのテンプレートが用意されています。
ゼロからアプリを構築するのが難しくても、既存のテンプレートをベースにして、自社の業務に合わせて必要な項目を追加・修正すると、開発にかかる時間を削減できます。
また、kintoneの導入を支援するパートナー企業が提供している「人材派遣業向けパッケージ」を導入するのも一つの方法です。パッケージには、業界特有の業務ノウハウが詰まっているため、早期に高いレベルでの運用を開始できるでしょう。
段階的に導入範囲を拡大する
kintoneを導入する際、始めから全社・全部署で一斉にスタートするのは避けましょう。現場の混乱が大きく、定着に失敗するリスクが高まります。
まずは特定の拠点や、一つの部署で試験的に運用する「トライアル運用」から始めるのがおすすめです。トライアル運用で課題を洗い出し、改善してから全社に展開します。
また、最初はスタッフ管理や案件管理などの基本的な機能に絞ってスタートしましょう。現場の担当者がkintoneの操作に慣れてから高度な機能へと段階的に拡大していくと、スムーズな定着が実現します。
社内教育・定着化の体制を整える
新しいシステムを導入した際、現場担当者が「使い方がわからない」とすぐに諦めてしまい、結局使われなくなるケースは少なくありません。
そのため、わかりやすい操作マニュアルや、よくある質問(FAQ)を整備し、ユーザーが自分で調べて解決できる環境を作ることが重要です。
また、社内にkintoneの活用を推進する担当者やチームを配置し、困ったときに相談できる体制を構築します。定期的に勉強会を開いたり、便利な使い方を紹介したりする場を設けると、kintoneの利用が定着し、継続的な改善案が生まれやすくなります。
人材派遣業向けkintone導入サポートは「ペパコミ株式会社」にご相談ください

kintoneは、人材派遣業の複雑な業務プロセスに対応できる柔軟なカスタマイズ性を持っています。プログラミングの知識がなくても誰でもアプリを作成でき、豊富なプラグインと連携機能により、派遣業務のあらゆる場面で活用が可能です。
導入を成功させるには、スモールスタートと段階的な導入、テンプレートの活用などがポイントとなります。
なお、ペパコミ株式会社では、「kintone」を活用した業務支援を行っています。人材派遣の業務効率化にお悩みの方は、以下からお気軽にご相談ください。













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