「kintoneを導入したいが、どんな経費が必要か分からない」
「キャンペーンを利用した後の経費はどう考えればいいか」
「kintoneによって減らせるシステム経費はどんなものが想定されるか」
こんなことでお悩みではないでしょうか。
当記事では、kintoneを自治体で導入する際に押さえるべき料金体系や関連費用を、事前準備から契約後の研修まで徹底解説します。財務部門との情報共有や予算措置の工夫など、導入を円滑に進めるポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
なお、ペパコミ株式会社では、自治体でも数多く業務支援や研修を行っています。kintone活用にお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
kintoneの導入に伴い想定すべき「自治体予算」4つのポイント
自治体でkintoneを導入する際、以下の4つの視点で費用を想定することが重要です。
- kintoneのライセンスの利用料金体系
- プラグインや連携サービスの料金
- 庁内研修や伴走支援、システム監査にかかる経費
- 学習コスト(個人学習、伴走支援、研修の中から効率のいい学び方)
それぞれ以下で解説していきます。
①kintoneのライセンスの利用料
kintoneの利用には、次のとおり、組織の種別に応じた料金体系があります。
- 企業向けの「ライトコース・スタンダードコース・ワイドコース」
- 大学や行政向けの「アカデミック/ガバメントライセンス」ライトコース・スタンダードコース
- 町会・PTA向けの「チーム応援ライセンス」
kintoneライセンス 【通常】
- ライトコース:簡単なアプリ作成向け
- スタンダードコース:拡張機能や外部サービス連携可能
- ワイドコース:大規模利用やデータ容量重視
コース名 | 月額料金
(税抜/ユーザー) |
最少契約人数 | アプリ数上限 | スペース数上限 |
ライトコース | 1,000円 | 10ユーザー | 200個 | 100個 |
スタンダードコース | 1,800円 | 10ユーザー | 1,000個 | 500個 |
ワイドコース | 3,000円 | 1,000ユーザー | 3,000個 | 1,000個 |
(2025年7月現在)
企業向けのライセンスは、自治体のなかでも、企業支援の部署の方が把握すれば、情報提供するツールの一つにすることができます。
参考:kintoneの料金
アカデミック/ガバメントライセンス
自治体や大学、公益法人・商工会議所などは、この料金体系で契約できます。
対象はkintoneのみならず、サイボウズ社の「Garoon」も含まれます。
【kintoneの料金体系】
- ライトコース:簡単なアプリ作成向け
- スタンダードコース:拡張機能や外部サービス連携可能
※ ライトコースとスタンダードコースの違いは、上述した通常ライセンスと同様です。
コース名 | 月額料金
(税抜/ユーザー) |
年額
(税抜/ユーザー) |
最少契約人数 |
ライトコース | 600円 | 7,200円 | 10ユーザー |
スタンダードコース | 1,080円 | 12,960円 | 10ユーザー |
(2025年7月現在)
チーム応援ライセンス
チーム応援ライセンスは、自治体のなかでも、とくに、市民活動支援担当や社会教育部門、広聴部門の方が把握して、団体に情報提供すると喜ばれるかもしれません。
というのも、対象は、非営利活動法人や、自治会・町内会・マンション管理組合などの地縁組織、大学のサークルや同窓会、PTAなど多岐にわたります。
料金体系は破格で、上述した「通常ライセンス」や「アカデミック/ガバメントライセンス」と異なります。900ユーザーまでで1年間9,900円です。
コース名 | 年額料金
(税抜/1サービスあたり) |
利用可能人数 |
スタンダードコース | 9,900円 | 900ユーザー |
(2025年7月現在)
なお、サイボウズ社の別サービスである「Garoon」「サイボウズOffice」「Mailwise」も同じような形でサービスをそれぞれ受けられます。
参考:チーム応援ライセンス
②プラグインや連携サービスの料金
自治体業務の多くは、kintone単体では利便性は高まりません。そのため、プラグインや連携サービスもいくつか平行して活用する必要があります。
一瞬「もっと、かかるの?」と思ってしまう方もいるかもしれません。しかし、プラグインや連携サービスの料金の多くは、ユーザー単位ではなく、kintoneのドメイン単位で計算されます。ですので、契約してしまえば、システムはいくら作っても、価格は一定と、大半は、コスパのよい料金体系と言えます。
参考までに自治体に活用されることの多いプラグインの傾向をご紹介します。
- LGWAN対応があるプラグイン
- 人気の機能としてはフォーム・マイページ・地図・帳票など
詳しく知りたい場合は、プラグイン・メディアもご活用ください。
③庁内研修や伴走支援にかかる料金
kintoneにはパートナー企業の制度があります。伴走支援や研修で依頼する場合は、パートナー企業から選定しましょう。
例えば、数十万、数百万とかかったとしても、内製をスタートするにはセキュリティ面の確認漏れのリスクも伴いますし、全庁的なDXの成果につなげるには、プロの手が有効です。
【外注できることの例】
- 伴走支援:実際の開発を行いながら、今後の改修や開発のスキルが身に着く方法
- 研修:kintone実践研修・プラグイン研修など、学習プログラムはパートナーにより様々です。
【選ぶ方法】
- 価格やサービスは千差万別なので、予め何社か問い合わせします。
- 可能であれば、プロポーザルに参加してほしい企業にはひと声かけておきましょう。
- 選定する際には、サイボウズのパートナー評価制度「CyPN Report」は基準になります。
④学習コスト
kintone等のノーコードツールを学習するとき、次のパターンに分かれます。
- 一人で調べながら学ぶ。
- 伴走支援してもらいながら学ぶ。
- 研修を通じて学ぶ。
- 研修受講者や使いこなせる人が中心になり部署内に広める。
下にいくほど、短時間で広く学べるため、一人当たりの学習時間が少なくて済みます。もくもくと一人で学習するより短時間で済むので、学習コストとしての人件費も想定できます。
また、研修に選出した人がノーコードでの内製に適性があるとは限りませんので、③と④を繰り返し続けることが無難でしょう。
地方自治体のkintone契約前に料金面で把握すべきこと4つ
契約前には、以下のようなキャンペーンや支援制度を把握することが、予算獲得の根拠としても有効です。
- 【期間限定】自治体全職員導入キャンペーンとは?
- 【災害発生時】災害支援ライセンス提供
- 【予算要求時】財務部門に理解してもらうことは?
- 【発注前に確認】プラグイン・連携サービスの代替えは?
それぞれ解説していきます。
【期間限定】自治体全職員導入キャンペーンとは?
全職員導入に挑戦する場合、対象となる期間中、通常のアカデミック/ガバメントライセンスの50%オフで提供されます。安い間に庁内に広げる取り組みができるといいと思います。
ご利用人数 | スタンダードコース
月額(税抜き) |
スタンダードコース
年額(税抜き) |
3,001人〜 | 360円/1ユーザー | 4,240円/1ユーザー |
2,001人〜3,000人 | 405円/1ユーザー | 4,760円/1ユーザー |
1,001人〜2,000人 | 450円/1ユーザー | 5,290円/1ユーザー |
101人〜1,000人 | 540円/1ユーザー | 6,350円/1ユーザー |
2025年7月現在
※2026年4月1日より、キャンペーン価格が変更されますのでご注意ください。
参考:価格・導入サポート
【災害発生時】災害支援ライセンス提供
特に、自治体の災害対策部門や危機管理部門の職員の方に把握していただきたい点です。
サイボウズ社では、災害発生時は、6ヶ月間、kintoneなどのライセンスの無償提供のサービスがあります。さらに、プリンタやネットワーク機器などIT機器の無償提供もあります。また、災害支援パートナーのなかには、プラグイン等を提供している会社も参加していますので、次により例を紹介します。
パートナー | サービス |
トヨクモ株式会社 | 各種kintone連携サービスを災害対策のため長期で無償提供 |
TOKYO DIGITAL株式会社 | Googleマップとkintoneを連携するプラグインを6ヶ月間無償提供 |
あっとクリエーション株式会社 | kintone連携地図サービスを提供 |
株式会社Crena | 全プラグインとそれらの一括管理機能を無償提供 |
アールスリーインスティチュート | gusuku Customineを提供 |
参考:災害支援ライセンス
【予算要求時】財務部門に理解してもらうことは?
予算要求時には次のような実態を根拠資料・参考資料としてまとめ、理解してもらう努力をしましょう。
- kintoneで改善できる自治体業務事例
- これまでの「手作業の業務」「照合業務」「重複作業」との比較。
- 既存システムとの費用との比較・改修経費がなくなる点などの確認。
- 経費の内訳はkintoneライセンス料・プラグイン料・パートナー支援経費が必須。
- 議員の視察先にkintoneが増えていることから市民サービスのデジタル化が急務。
- 災害時の対応にkintoneを活用することで避難所運営や避難者運営が改善されている。
これらの点を共通認識しつつ、財務部と交渉するといいかもしれません。
【発注前に確認】プラグイン・連携サービスの代替えは?
プラグインや連携サービスは様々な種類がありますが、サブ管理者など予定より、価格が高まるケースもあります。税金なので高すぎないことは肝心なので、価格も踏まえて検討してください。
機能 | プラグイン・連携サービスの種類 |
外部フォーム | フォームブリッジ・じぶんフォーム・Bokフォーム |
マイページ | kViewer・じぶんページ・じぶんレコード |
帳票 | レポトン・k-Report・プリントクリエイター・自治体向け帳票DX |
地図 | カンタンマップ・グーグルマップリンクプラグイン |
さらに比較検討する場合は、プラグイン・メディアを参考にできます。
庁内のkintone活用上の配慮事項
導入後、庁内でスムーズに活用を進めるためには、トラブルを防止するために配慮すべきこととして次の事項が挙げられます。
- デジタル化に伴う条例や事業実施要綱の整備
- 庁内のノーコード人材の増加で懸念されるトラブルや要望
いずれも、トラブルやデジタル化の壁になっている点も全庁的に共通認識を持って、想定しておくことができます。予め、庁内の幹部会議でDXに伴い配慮すべき事柄として議題に挙げるなど全庁的に対応できると円滑です。
デジタル化に伴い「条例」や「事業実施要綱」の改正は必要か?
多くの自治体で、大抵の場合、業務の進め方に記載はありませんので、条例や実施要綱改正を伴わずとも、kintoneを活用しているようです。
ただし、「既定の様式で手続きせよ」となっている場合には、規定された様式にそった帳票をkintoneから打ち出すことで、改正せずにkintoneに業務を置き換えていけています。
ここからは、各自治体の法規部門の方に検討いただきたい点です。
フォームを使っての申請が増えるのは市民サービスの向上につながりますので、関連する業務の条例や要綱改正はまとめて改訂いただくのも有効です。大抵は「改定」でなく「改訂(文言改訂)」ですので、デジタル化が広がるタイミングでぜひ検討してください。
庁内のノーコード人材の増加で懸念されるトラブルや要望は?
庁内にノーコード人材が増えることは、市民サービスのデジタル化や、業務改善が進むため、とても良いことです。しかし、進むなかでは、トラブル対応や要望を想定して準備を進めましょう。
- 活用上のルールなどの内規の整備
- 個人情報が漏洩しないようにするための「公開範囲のルール」づくり
- リリース前に「設定のチェック体制」の構築
- 伴走支援体制づくり
kintone活用を円滑に進めるために予算上、力を入れるべきは「研修」
今回ご紹介したように、kintoneはプラグインの活用やパートナー企業の研修や伴走支援で効果が広がります。とくに、kintoneと各種プラグインの設定作業としての内製にはセキュリティのミスが起こらないためにも確実に習得していただくことが大切です。
そんなとき、研修を活用することで、把握に時間がかかる「学習コスト」をも最小限に抑えることができます。パートナー企業が提供する研修を活用することが有効です。
手堅く進めたい担当者向けの「自治体kintone研修」なら、ペパコミ株式会社へご相談ください
ペパコミ株式会社は、kintoneやプラグインの研修や、プラグインの知識の広さや自治体事例の情報収集に定評があるパートナー企業です。そのため、kintoneの操作を短期間に学ぶだけでなく、業務を踏まえてのプラグインの選定の相談や研修も柔軟に対応することができます。自治体の意向に沿った学習プログラムが可能です。
さらに、運用改善に有意義な組織のマインドセットや属人化させない方法、業務整理事例のノウハウも豊富です。現場に寄り添った支援が受けられます。まずはお気軽にお問い合わせください。
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