近年、各部署でkintoneアプリを自由に作成し、業務改善を進める「内製化」の動きが広がっています。
この内製化を成功させるためには、社内の誰もがkintoneを活用できるよう、体制構築と人材育成が不可欠となります。しかし、このプロセスにおいて多くの企業様が様々な課題に直面しています。
なお、ペパコミ株式会社では、「kintone」を活用した業務支援を行っています。業務効率化にお悩みの方は、ぜひ以下からお気軽にご相談ください。
kintone内製化に取り組む企業様が直面する課題
社内全体へのkintone教育研修を効率よく開催したいと考えているものの、その具体的な方法が分からないという声を聞きます。
また、内製化を進める中で、情報システム部などの担当部署だけでは対応しきれなくなるケースが出てきます。
このような場合、外部への委託も検討する必要が出てくるからです。
さらに、関係子会社を含めたグループ全体でkintoneを展開したいと考えた際に、どのような方法が良いのか迷ってしまうこともあります。
すでにkintoneを導入し、外部の支援パートナーを利用しているにもかかわらず、内製化がうまく進まず停滞しているという状況を抱える方もいます。
これは、外部パートナーからの具体的な提案が得られなかったり、期待するサポートが受けられなかったりするためと考えられます。
自社が進めている内製化の取り組みや体制が客観的に正しいのかどうか判断してほしい、というご要望もあります。
これらの課題を乗り越え、kintoneの内製化を成功させるためには、計画的かつ継続的な社内トレーニングと、内製化を牽引する人材の育成が鍵となります。
kintone内製化の鍵となる社内トレーニングと人材育成
kintoneの内製化を進める上で特に重要となるのが、社内でのkintoneアプリ作成スキルを向上させるためのトレーニングと、内製化を推進するリーダーとなる人材の育成です。
内製化の初期段階では、情報システム部などが中心となり、各部署からの相談に対応しながらアプリ作成をサポートする体制を構築する企業様が多いようです。
この段階から、ただ代わりにアプリを作成するのではなく、「みんなで作れるように教える」ことを意識し、最初の数個は一緒に作成し、その後は自分たちで作成してもらうように促します。
例えば、ハードルの低いお試しアプリの作成から始め、慣れてきたらプロセス管理やワークフローなど、より高度な機能に挑戦してもらうといったステップが考えられます。
このような一対一での対応を通じて、一人ひとりのスキルレベルに合わせて伸ばしていくやり方もあります。しかし、全社的にスキルを向上させるためには、体系的な教育研修が必要です。
kintoneの社内教育研修は、参加者のkintoneスキルレベルが非常にバラバラになりがちです。
このため、全体に向けた研修では、スキル習得が早い人にとってはスピードが遅く感じられ、ゆっくりな人にとっては早すぎると感じられるなど、難しさがあります。
kintone人材育成のポイント
kintoneの内製化支援で重要なポイントは、社内にいる「センスのある人」を見つけて、集中的に育成していくことです。
すべての社員が高度なアプリを作成できるようになる必要はなく、まずは核となる人材を育て上げることが、結果的に会社全体の内製化レベル向上につながると考えています。
育成されたセンスのある人材が、今度は社内の他のメンバーに対してkintoneの使い方やアプリ作成方法を教える立場になるからです。
このように、内製化を推進する「伝道師」を社内に育成していくことが重要です。この伝道師には、ただアプリが作れるだけでなく、主導して業務改善活動を進める力や、社内のモチベーションを高める役割も期待されます。
伝道師を育成するためには、どのような状態になれば伝道師と呼ぶのか、その基準を明確に設定することが有効です。
最初は「アプリ作成ができる」「改善活動を進める」といった定性的な基準でも構いませんが、ゆくゆくはより定量的な基準を設定し、資格取得を奨励したり、手当を支給したりすることで、社員のモチベーション向上にも繋がります。
少人数制トレーニングと実践的なフィードバック
内製化の核となる人材を育成するための教育研修においては、少人数制での実施が非常に有効です。
大人数向けの研修で、参加者が作成したアプリすべてにフィードバックを行うことは、時間的な制約から難しい場合があります。
しかし、少人数制(例えば10人以下)であれば、一人ひとりに丁寧かつ実践的なフィードバックを行うことが可能となります。
これにより、参加者の理解度やスキル向上を大きく促進できます。
フィードバックの内容としては、単にアプリが完成しているかだけでなく、ルックアップで取得したデータ以外の関連情報も表示させるように設定する、入力者が分かりやすいようにフィールド配置を工夫するなど、より実践的でユーザー視点に立った改善点を具体的に指摘します。
また、研修形式としては、完全に体系化された座学だけでなく、基礎部分を体系的に学び、その後は個別相談会のような形式で個別の疑問や課題に対応していくハイブリッド型も、参加者の習熟度に合わせて柔軟に対応できるため、有効だと考えられます。
外部パートナーとの連携と選定のポイント
内製化を進める上で、外部パートナーの支援を検討することも重要です。特に、社内リソースだけでは対応が追いつかない場合や、より高度な設定や連携が必要な場合などです。
外部パートナーを選定する際には、自社の内製化に対する考え方や、求める支援内容を明確に伝えることが重要です。
内製化推進のための社内教育研修について相談しているにも関わらず、具体的な提案が得られない、対応が薄いと感じてしまうようなケースもあります。
内製化支援を謳っていても、ベンダーによって得意とする領域やアプローチ方法は異なります。
内製化を真に支援してくれるパートナーは、単にアプリ開発を代行するだけでなく、どのようにすれば社内でkintoneを活用できる人材が増えるか、どのようなトレーニングが必要か、育成計画を一緒に考え、提案してくれるはずです。
外部パートナーを選定する際は、自社の内製化目標を共有し、それに対する具体的なアプローチや実績、特に教育研修や人材育成に関する知見をどの程度持っているかを確認すると良いでしょう。
関係子会社への展開と環境構築
kintoneを関係子会社に展開する際には、主にいくつかの方法が考えられます。
展開方法 | 特徴 | 検討ポイント |
ゲストユーザーで招待する | 既存のkintone環境に子会社のメンバーをゲストユーザーとして招待します。 | 費用を抑えられる可能性があります。ただし、アクセス権の設定や情報共有範囲の管理が重要です。ゲストユーザーにできる操作には制限があります。 |
別環境を構築する | 子会社ごとに独立したkintone環境を新たに構築します。 | 完全に独立した運用が可能ですが、環境ごとにライセンス費用がかかります。グループ全体の統一的な管理や連携が必要な場合は、追加の設定やブリッジなどのツール検討が必要です。 |
本番環境スペースの活用 | 既存の環境内でスペース機能を活用し、子会社専用のスペースを作成します。 | アプリや情報をスペースごとに管理できます。ただし、全社共通のアプリとの連携や、異なる子会社間のアプリ混在を防ぐためのアクセス権設定が煩雑になる場合があります。 |
どの方法を選択するかは、関係子会社との連携頻度やセキュリティ要件、予算などによって異なります。機能的な制約と費用面の両方を考慮して決定することが重要です。
また、全社的にアプリを作成できる権限を多くのメンバーに与えることは、アプリの乱立を防ぐためにも慎重に行うべきです。
必要に応じて、特定の部署や担当者に限定したり、作成ルールの整備と併せて権限付与を検討したりする必要があります。
まとめ
kintoneの内製化は、各部署での業務改善を促進し、組織全体の生産性向上に繋がる重要な取り組みです。
しかし、全社的なトレーニングや人材育成、外部パートナーとの連携など、様々な課題が伴います。
内製化を成功させるためには、闇雲に多くの人に教えるのではなく、まずは社内のkintone活用を牽引する核となる人材を育成することに注力すべきです。
この育成においては、少人数制での実践的なトレーニングや、作成したアプリへの丁寧なフィードバックが非常に有効です。
また、外部パートナーを選定する際には、単なる開発代行ではなく、内製化の考え方を理解し、人材育成や伴走支援の実績が豊富なパートナーを選ぶことが重要です。
なお、ペパコミ株式会社では、「kintone」を活用した業務支援を行っています。業務効率化にお悩みの方は、ぜひ以下からお気軽にご相談ください。
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