「顧客管理が支店ごとで統一されておらず、ミスや重複が発生している」 「kintoneが良いと聞いたけれど、実際に金融業界で導入している事例を知りたい」
金融業界では、厳格なセキュリティと規制遵守が求められる一方で、顧客データの分断やアナログな業務フローなどが根強く残っているのが課題です。
本記事では、kintoneを金融業界で使う5つの具体的なメリットを解説します。 さらに、どのように業務改善を実現した事例や、kintoneを導入する際の流れも4ステップで分かりやすく説明します。
この記事を読めば、kintoneが自社の課題をどう解決できるかがわかります。
なお、ペパコミ株式会社では、kintoneの導入サポートやコンサルティングサービスを提供しています。金融業でのkintone導入を具体的に検討したい場合は、専門知識が豊富な「ペパコミ株式会社」へご相談ください。
kintoneを金融業界が使う5つのメリット

kintoneは、金融業界特有の厳格な要件に応えつつ、業務の柔軟性を高める5つのメリットがあります。
- 顧客情報・案件情報を「一元管理」できる
- Excel依存から脱却できる
- 万全のセキュリティ対策で安心できる
- 現場主導でカスタマイズできる
- 外部システムと連携できる
ここでは、kintoneを金融業界が使う主な5つのメリットを紹介します。
顧客情報・案件情報を「一元管理」できる
kintoneを導入する最大のメリットは、情報や案件情報を一元管理できる点です。今まで支店や部署、担当者ごとに別々に管理していた顧客データを、kintone上の単一のプラットフォームに集約できます。
例えば顧客の基本情報に加えて、過去の商談メモや見積もり履歴、契約状況などをすべて紐付けて管理できます。 担当者が変わっても、過去の経緯をすぐに把握し、対応漏れや案件の停滞を防ぐことが可能です。
また情報が一元化されると、確認や承認のための業務フローがシンプルになります。 書類を探したり、他部署に問い合わせたりする時間が減るため、組織全体の作業コスト削減につながります。
Excel依存から脱却できる
金融機関は、顧客リストや案件管理をExcelやスプレッドシートで行っているのが一般的です。 しかし、Excel管理ではファイルのバージョン違いが生まれたり、誰かが誤って上書きしてしまったりするミスが定期的に発生します。
kintoneを導入すれば、常にデータは最新の状態に統一されます。 誰がデータを閲覧でき、誰が編集できるかという権限も細かく設定可能です。
さらに、入力フォームの必須項目を設定したり、チェックボックスを活用したりすることで、書類の記載漏れや入力ミスそのものを減らせます。データの修正履歴や変更履歴も自動で残るため、「誰が、いつ、何を変更したか」を正確に追跡できるのも大きな利点です。
万全のセキュリティ対策で安心できる
金融業界では、他のどの業界よりも強固なセキュリティが求められます。 kintoneは、金融機関が求める高いレベルのセキュリティ要件に標準で対応しています。
- 特定の場所からしかアクセスできないようにする「IPアドレス制限」
- 二段階の本人確認を行う「二要素認証」
- 通信の盗み見を防ぐ「暗号化通信」
- 利用者ごとに細かく設定できる「アクセス権限」
すべての操作ログや監査ログが記録として残るため、内部監査や外部監査の際にも必要な情報をすぐに提示できます。
また、kintoneは日本国内の企業が開発・運用する国産クラウドサービスです。 災害時のデータ保全や、テレワーク時の業務継続にも対応できる安定した基盤で運用されています。
現場主導でカスタマイズできる
従来のシステム開発では、現場が「少し使いにくい」と感じても、修正にはIT部門や外部の開発会社への依頼が必要で、時間とコストがかかりました。
kintoneは「ノーコード」と呼ばれる専門的なプログラミング知識がなくても、現場の担当者が自らアプリを作成したり、項目を追加・修正したりできます。 現場が抱える細かな課題をその場でスピーディに調整できるため、IT部門や開発会社に依頼する時間とコストの大幅な削減が可能です。
導入する場合は、小規模で実際に運用しながら改善を重ねていきます。 現場の声を反映した本当に「使いやすいシステム」へと育てることが可能です。 営業部門から始め、徐々にバックオフィスや審査部門へと展開する、といった拡張もできます。
外部システムと連携できる
kintoneは単体で使うだけでなく、すでに社内で利用している他システムとの連携も可能です。 APIと呼ばれる仕組みを使い、社内の基幹システムや顧客関係管理ツール、チャットツール、マーケティング自動化ツールなどとデータを連携させられます。
連携により、複数のシステムに同じ情報を二重で入力する手間がなくなり、データは常に正確で最新の状態に同期されます。 CSVファイルを使った既存データの移行も簡単です。
また古いシステムや紙の管理から段階的に移行し、現場に大きな負担をかけない「スモールスタート」を実現できます。 将来的にはAIと連携させ、顧客ランク付けの自動化や与信フローの高度化といった「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の基盤としても機能し続けます。
kintoneを活用できる金融業界の5つの業務

kintoneは、特定の業務だけでなく、金融機関のさまざまな部門で活用できます。ここでは、kintoneが活用できる金融業界の代表的な5つの業務を紹介します。
- 顧客管理の可視化
- ローン審査の書類整理
- 本人確認の管理
- バックオフィス業務
- 部署間の情報共有
自社で導入する場合のイメージにもつながりやすくなるので、ぜひ参考にしてください。
顧客管理の可視化
kintoneを使えば顧客の基本情報はもちろん、過去の対応履歴や契約状況、問い合わせ内容までを一覧で把握できます。担当者が変わった場合でも、過去の経緯をすぐに理解し、スムーズな対応を引き継ぐことが可能です。
また営業部門やバックオフィス部門、管理部門が常に同じ最新の顧客情報を共有できるため、部門間の連携が速くなります。 「A部署では手続き済みだったのに、B部署に情報が伝わっていなかった」といったミスや、顧客への対応漏れを大幅に減らせます。
ローン審査の書類整理
ローン審査業務では、多くの必要書類を顧客から預かり、進捗を管理しなくてはなりません。 kintoneを活用すると、顧客ごとの必要書類の提出状況や、不備の有無をデータ上で「見える化」が実現可能です。 電話やメールでの確認作業が不要になるため、審査担当者の負担が減ります。
また「審査中」「承認済み」「差し戻し」などのステータス管理が明確になるため、手続きの進捗が上がり、顧客対応がスムーズになります。
提出された書類の画像やPDFデータをkintoneにそのまま添付して保存できます。 変更履歴もすべて残るため、紙の書類を探す必要がありません。
本人確認の管理
金融機関では、法律に基づき、顧客の本人確認書類の管理や定期的な更新が求められます。 kintoneで更新タイミングを自動で管理する仕組みを作れば、担当者が個別にリストを追いかける必要がなくなり、期限切れのリスクを防げます。
顧客から問い合わせがあった際も、紙の保管庫や共有ファイルサーバーから書類を探し出す必要がありません。 さらに、反社会的勢力でないかの確認や審査フローに本人確認プロセスを組み込むことで、金融機関特有のリスク管理強化にも役立ちます。
バックオフィス業務
バックオフィス部門は、他部署や顧客からの照会対応や入出金処理、新規顧客対応など、多岐にわたる業務を担っています。 kintoneにこれらの業務を集約させると、担当者が変わっても業務が止まらない体制を構築できます。
例えば、顧客からの問い合わせ履歴をkintoneで管理すれば、誰が対応しても過去の経緯をふまえた回答が可能です。
また、日々の入出金データや諸手続きの件数などをkintoneに入力すれば、グラフ化や自動集計が簡単に行えます。Excelでの手作業による集計ミスを防ぎ、確認作業にかかる時間を大幅に削減できます。
部署間の情報共有
金融機関の業務は営業や審査、事務など多くの部署が連携して成り立っています。 kintoneは、各部署の担当者が同じ情報をリアルタイムで共有できるのが特徴です。
例えば、営業担当者が外回りで得た顧客の最新情報をkintoneに入力すれば、すぐに社内の審査部門や事務部門が状況を把握できます。 これにより、情報の伝達遅れや、それによる顧客対応の遅れを防ぐことが可能です。
担当者の不在時や休暇中、あるいは異動があった場合でも、情報はkintoneに残ります。 そのため業務が属人化せず、誰でも即座に対応できる状態を維持できます。支店単位での情報格差がなくなり、組織全体としての判断スピード向上にもつながるでしょう。
金融業界でのkintone導入事例3選

kintoneは、実際に多くの金融機関で導入され、業務改善の成果を上げています。ここでは、kintoneを活用して業務効率化やシステムの内製化を実現した、3つの金融機関の事例を紹介します。
- 北國銀行|全行の業務効率化としてフル活用
- みずほ信託銀行|信託銀行のシステム内製化を実現
- 住信SBIネット銀行|kintone+AIでクライアント情報を一括管理
自社の業務を効率化させる方法を検討中の企業は、ぜひ参考にしてください。
北國銀行|全行の業務効率化としてフル活用

株式会社北國銀行は、全行的な業務効率化の基盤としてkintoneを活用しています。 従来、紙ベースだった申請・承認フローをkintoneで電子化しました。 これにより、紙の申請書が不要になり、支店間や本部との申請処理スピードが大幅に改善し、業務の効率化に成功しています。
また、営業情報や顧客からの相談情報もkintoneで一元管理しています。 情報がシステムに集約されたことで、業務の属人化が解消されました。 担当者が変更になった場合でも、支障なく業務を引き継げる仕組みを構築しています。 現場主導でアプリの改善が進められるため、運用開始後も便利さが向上し続けている点が特徴です。
みずほ信託銀行|信託銀行のシステム内製化を実現

みずほ信託銀行株式会社は、kintoneを活用して業務アプリの内製化を行える体制を実現しました。 従来は外部のシステム開発会社に依存していた部分を内製化できたため、システムの改修スピードが上がり、開発コストの削減にもつながっています。
部署ごとにバラバラに存在していた情報をkintoneに統合したことで、情報共有のロスや入力漏れが改善され、特に審査部門や事務部門の生産性が向上しました。
kintoneは現場の担当者からの「ここをこうして欲しい」という要望を、そのままシステムに反映しやすいのが強みです。 運用すればするほど、現場の実態に合った使いやすいシステムに成長しています。
住信SBIネット銀行|kintone+AIでクライアント情報を一括管理

住信SBIネット銀行株式会社は、kintoneとAIを連携させ、業務の高度化に成功しています。 大量の顧客情報をAIが分析し、対応が必要な担当者へkintoneを通じて自動で振り分けるなど、業務の自動化・効率化を実現しました。
問い合わせ履歴や契約状況がkintoneで一元化されたため、顧客対応のスピードが向上し、満足度の向上にもつながっています。
さらに、データ分析やレポート作成もkintoneとAIの連携で自動化できました。 結果的に、担当者は分析結果に基づく「次の一手を考える」など、高度な判断業務に集中できるようになり、業務全体の質が向上しています。
kintoneを導入する流れ【4STEP】

kintoneの導入を成功させるためには、いきなり全社で導入するのではなく、段階的に進めることが重要です。ここでは、着実に成果を出すための4つのステップを紹介します。
- 課題を整理する
- 最小構成で構築する
- テスト運用する
- 社内に展開する
kintone導入の進め方について、さらにリアルな声から学びたい場合は、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:kintone導入を成功させるには?現場のリアルな声から学ぶ秘訣 | ペパコミ株式会社
1.課題を整理する
まず最初に、現場で「どの業務に時間がかかっているか」「どの作業でミスが起きやすいか」を具体的にヒアリングします。その後、洗い出した課題の中からkintoneの導入で改善が見込める効果の大きい部分を見極め、優先順位をつけます。
Excelや紙での運用、メールでの頻繁なやり取りで発生している無駄は「見える化」しましょう。 その上で「この業務の〇〇を△△の状態にする」といった改善の目的と数値目標を明確にします。
この段階で、現場と管理部門で認識をすり合わせ、改善のゴールと利用部門を決めておくことが、導入後の迷走を防ぐことが可能です。
2.最小構成で構築する
課題の優先順位が決まったら、すべてを最初から完璧に作ろうとせず、まずは最小限の構成でkintoneアプリを構築します。 1つの部署や1つの業務に限定して利用を開始する「スモールスタート」がおすすめです。
kintoneには業務別のテンプレートが用意されているため、短期間で運用を開始できます。実際に使いながら気づいた点や改善要望を反映し、徐々に完成度を上げていきましょう。
「使いながら育てる」運用方法により、現場の実情に合わせたカスタマイズが実現し、導入失敗のリスクを下げられます。
3.テスト運用する
最小構成でアプリを構築したら、いきなり全部署に展開せず、まずは少人数のテストチームで運用してみます。
テスト運用では「操作が難しくないか」「入力項目が多すぎて負担になっていないか」といった、実際の利用者目線での課題を洗い出します。 使いにくいと判断された点は、この段階で徹底的に改善し、調整を加えてください。
またテスト運用と並行して、操作マニュアルを作成しておくと、本格的に展開する際の現場の負担が減り、スムーズに浸透していきます。テスト運用期間に改善を重ねて「現場が本当に使える形」に仕上げることが、全社導入後のトラブルを防ぐことにつながります。
4.社内に展開する
テスト運用で問題がなければ、社内へ展開していきます。 ただし急に全社一斉に導入するのではなく、部署ごとや拠点ごとに段階的に展開していく方が、現場の抵抗が少なく定着率が高まります。
本格導入の際は、操作説明会や研修会を実施しましょう。 誰でも安心して使える状態を作ることで、導入後の運用が継続しやすくなります。
運用開始後は、現場の声を定期的にヒアリングし、業務内容の変化に合わせてアップデートを続けることが重要です。常に改善を続けることで、kintoneは業務に合った「生きているシステム」として価値を高め続けます。
金融業でkintoneを導入したいなら「ペパコミ株式会社」へご相談ください!

kintoneを導入すると、支店や部署ごとに分散しがちなクライアントの情報を一括で管理できます。 さらに、ローン審査の書類管理や本人確認の管理、日々のバックオフィス業務も効率化できるのが大きな魅力です。
ただし導入を成功させるためには、最初に現状の課題をしっかりと整理し、完璧を目指さずに「スモールスタート」を切ることが大切です。 その後テスト運用で現場の声を反映させ、問題がなければ社内に展開していく、という段階的な進め方が確実です。
金融業特有の課題をふまえ、kintoneの導入をスムーズに進めたいとお考えなら、専門のノウハウを持つ「ペパコミ株式会社」へぜひご相談ください。













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