自治体の「書かない窓口」のためにkintoneを使い倒す方法

小川喜句

ペパコミ株式会社代表取締役小川 喜句

ペパコミ株式会社代表取締役。youtubeにて「kintone活用ちゃんねる」と、kintoneのプラグインメディア運営。kintoneの構築や内製化を伴走支援を行なっており、kintone運営会社「サイボウズ社」のビジネスにおいて、顕著な実績を上げたパートナー企業や個人を表彰する制度である「CYBOZU AWARD 2022」を受賞。サイボウズ評価制度4年連続2つ星を受賞し、セールス部門(2023~2025年) インテグレーション部門(2022~2025年)も受賞。

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現在、多くの自治体で「書かない窓口」が推進されています。住民が手続きごとに、紙の書類を記入せずに、デジタルで完結させる取り組みです。

とくに、次のような項目が考慮されています。

  • 手書きをしないで済む
  • 窓口に行かないで済む
  • 重複した手続きは一度で済む

この背景には、デジタル庁による「アナログ規制の見直し」などがありますが、この「書かない窓口」の実現に役立つのがkintoneです。しかし、kintone導入済みの自治体でも、使い倒せておらず、もったいないケースもあるので確認してみましょう。

この記事では、kintoneで対応できる窓口のデジタル化のポイントを整理し、確実な進め方を解説します。

なお、ペパコミ株式会社では、自治体でも数多く伴走支援や研修を行っています。お悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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目次

自治体が「窓口のデジタル化」を推進する理由

自治体が「窓口のデジタル化」を推進する理由

全国の地方自治体で、窓口の手続きをデジタル化やオンライン化を進める理由は、次の3つが挙げられます。

  1. デジタル庁の「アナログ規制の見直し」でデジタル原則を守る必要がある
  2. ツール(kintone・AIや各種システム)が進化しデジタル対応が身近になった
  3. 社会の変化に対応し、業務や手続きの種類も増加している

それぞれ以下で詳しく解説していきます。

デジタル庁の「アナログ規制の見直し」でデジタル原則を守る必要があるから

「アナログ規制の見直し」が窓口のデジタル化を強力に後押ししています。

「アナログ規制」とは、「人の目による確認」「現地での調査」「書面での掲示」など、アナログ的な手法を前提とする規定をさします。「アナログ規制の見直し」とは、社会のデジタル化阻害の一因となっているアナログ規制を見直す取り組みです。

自治体のアナログ業務では、国の法律での規定のみならず、「自治体自身が制定した条例や要綱での規定でアナログ規制」も多いため、見直しを進める必要が掲げられました。

デジタル庁から自治体へは、アナログ規制の点検と見直しプロセスや事例など情報提供を行い、推奨しています。

例えば、次のような事例も紹介されています。

  • 道路橋梁点検でのドローン活用
  • 子育て支援事業のオンライン申請
  • 介護認定審査会のウェブ開催

参考:自治体DX推進参考事例集【第3.0版】

ツール(kintone・AIや各種システム)が進化しデジタル対応が身近になったから

以前は「専用のシステムの開発」が中心で高額のため、規模の大きな事業でないとデジタル化できませんでした。しかし、今では、テクノロジーのツールが進化し、低コストになったため、業務のデジタル化は進めやすくなりました。

例えば、近年では、次のようなツールが身近になりました。

ツール例 利用機会
AI ・文書作成・要約・文字起こし・アイディア出し
kintone・プラグイン ・外部からの手続き・照会回答・情報共有など
オンライン会議ツール ・オンライン会議、オンラインセミナー
jGrants ・補助金・助成金にオンライン申請

このなかでもkintoneとAIは、特に窓口のデジタル化に、とても便利なツールです。

人材不足、外国人の増加などに対応し、業務や手続きの種類が複雑化しているから

さらに近年、次のような変化があり、デジタルでの対応を前提としなければなりません。

  • 人材不足により、業務を処理する体制の見直しが必要なため
  • 外国人の増加により、外国語対応を包括したデジタル化が円滑であるため
  • コロナの流行により、オンライン上で手続きを完結する必要があったため
  • おくやみの手続きなど、手続きの一元化へのニーズが認識されたため

こうした背景から、窓口のデジタル化は不可欠です。

「書かない窓口」を実現しやすいkintoneの準備すべきツールとは?

「書かない窓口」を実現しやすいkintoneの準備すべきツールとは?

自治体が「書かない窓口」「アナログ規制の見直し」に対応するには、kintoneが非常に便利です。大きな要因は、プラグインの多くは汎用性があるうえに、ユーザー単位ではなく、kintoneのドメイン単位での料金なので、業務のシステム化の際に活用するほど、コスパが良くなることが大きいです。

kintoneとプラグインの仕組み

なお、窓口のデジタル化の際には、インターネット上でkintoneだけを活用するだけでは、対応できません。下記の視点で、ツールの選定が重要です。

  1. LGWANを使用するための2大ツール
  2. LGWAN対応とインターネット対応のプラグイン
  3. 周知と通知を徹底する「メール連携」や「LINE連携」プラグイン

では、さっそく見ていきましょう。

LGWANを使用するための2大ツール

LGWAN環境でkintoneを活用するためには、通常のkintoneアカウントではなく、LGWAN対応できるkintoneアカウントが必要です。

kintone活用中の自治体では、次の2種類のいずれかを採用しています。

  • moconavi LGWANクラウドゲートサービス
  • R-Cloud Proxy for kintone

しかし、実際に使っている自治体職員からは、「プラグインとの連携のしやすさの面で差がある」ということですので、試用し比較検討してから選定しましょう。

LGWAN対応とインターネット対応のプラグイン

LGWAN対応とインターネット対応のプラグイン

プラグインは、次の種類が必要であるケースが多いです。

さらに、LGWAN環境で使用するかどうかも加味して選定しなければなりません。

プラグインの種類 インターネット環境 LGWAN環境
外部フォーム機能 ・フォームブリッジ

・Bokフォーム

・じぶんフォーム

・フォームブリッジ

・Bokフォーム

マイページ機能 ・kViewer

・じぶんページ

・じぶんレコード

・kViewer
帳票出力機能 ・プリントクリエイター

・レポトン

・k-Report

・プリントクリエイター

なお、LGWAN環境で対応できるプラグインのほうが割高になりがちです。インターネット環境での活用と併用する方法もいいかもしれません。

それぞれのイメージ図を参考にしてください。

LGWAN環境で活用できるプラグイン

LGWAN環境で活用できるプラグイン

総合行政ネットワーク(LGWAN)で使えるプラグインは限られていますので、導入時にはご注意ください。

関連記事:自治体がLGWAN環境とマイナ環境で使えるkintoneとツール例

インターネット環境で使えるプラグイン

インターネット環境で使えるプラグイン

インターネット環境で使えるプラグインは多岐にわたり、低コストのものや多機能なものがありますので、比較検討して導入しましょう。

周知と通知を徹底する「メール連携」や「LINE連携」プラグイン

通知や周知を強化したい場合も、次のようなプラグインを活用できます。

kintoneでの手続きの結果を伝えるメールの通知のケース

kintoneでの手続きの結果を伝えるメールの通知のケース

インターネットでもLGWANでも連携できるメール機能のプラグイン「kMailer」で、誤った発信を減らすことが可能です。

申請者とのコメントのやり取りも共有したい場合のマイページのプラグイン

申請者とのコメントのやり取りも共有したい場合のマイページのプラグイン

インターネット上ですが、マイページのプラグイン「じぶんページ」や「じぶんレコード」は、コメントも共有できるため、何度も往来する手続きの際に便利です。

LINEと連携させるプラグイン

LINEと連携させるプラグイン

利用率の高いLINEとkintoneを連携させるプラグインもあります。

関連記事:kintone(キントーン)とLINEの連携方法|4つのメリットを把握して業務効率化を目指そう

自治体がkintoneを導入しても使いこなせない理由とは?

自治体がkintoneを導入しても使いこなせない理由とは?

上述したように、kintoneは横展開するほどメリットがあります。しかし、導入しただけで、多くの職員に浸透せず、あまり活用できていない自治体もあるようです。

具体的には、次のようなことが要因です。

  1. kintone研修を受講した職員が自身のリスキリングで終始し周りの職員に広めないから
  2. 研修の内容が「操作研修」と「事例紹介」だけでは内製化が難しいから

それぞれの理由の詳細を以下で解説していきます。

kintone研修を受講した職員が自身のリスキリングで終始し周りの職員に広めないから

kintoneの研修や伴走支援を受けるのは、職員のなかでも一部である場合も多いです。

特に講師をパートナー企業に依頼した場合は、多くの人が希望したとしても、予算の都合から、一部の人になります。大抵は、組織のために、快く情報を共有してくれる職員がほとんどです。

ですが、自身の「担当業務のためだから」と、もっともらしい理由を立てて、「単独で伴走支援や研修を受講し、自身が身につけてお終わり」いう職員もいます。一部の職員の利己的なリスキリングにならないよう、デジタル予算措置の際に、人事の面からも注意していくことが求められます。

研修の内容が「操作研修」と「事例紹介」だけでは内製化が難しいから

自治体のkintone研修の主なプログラムは、「kintoneの操作」「プラグインの設定」「事例の情報共有のワークショップ」です。

わかりやすい事例なら、そのまま内製できますが、すこしややこしい業務になってくると、「システムの仕様」をイメージし、必要なプラグインと設定方法、注意点まで、現実のシステムに落とし込めるとは限りません。

先進事例を参考にする職員が多く、誰もが、0から計画できるとは限りません。そのため、「kintoneとプラグインを組み合わせてシステム仕様を計画するための学習支援」が必要です。

kintoneで自治体の窓口のデジタル化を確実に進めるには?

kintoneで自治体の窓口のデジタル化を確実に進めるには?

kintoneで窓口のデジタル化を確実に行うために、以下のような策が効果的です。

  1. 全庁的に「手続きのリストアップ」し進捗を可視化し庁議でも共有する
  2. 研修は操作だけでなくシステム仕様の検討方法を含めた学習にする
  3. 「デジタル投資の評価」と「システム監査」など客観的な評価をする

デジタル化の詳細を知りたい方は、それぞれ確認してきましょう。

全庁的に「手続きのリストアップ」し進捗を可視化し庁議でも共有する

一つの自治体が管理している手続きは、少なくとも500種以上あります。自治体でデジタルに関する個別計画を策定する際には、手続きのデジタル化の推進は避けて通れません。効果的に進める方法として、全部署から手続きを収集しリストアップし、次のような施策を進めてみましょう。

  • 手続き一覧を軸に「部署ごとのデジタル化の割合」の開示
  • 手続き一覧を軸に「部署ごとの『年度ごとの進捗状況』比較」の開示
  • 部署ごとの進捗を自治体幹部の会議である「庁議(※)」で共有
  • 手続き一覧のなかから、年度ごとに「最優先する手続き」を選択

(※庁議:首長、特別職、局長などで構成し、基本方針や重要課題への対応についての審議と各部局間の総合調整を行う会議)

もし全庁的な取り組みができない場合は、自身の部署だけで進めてみましょう。

研修は操作だけでなくシステム仕様の検討方法を含めた学習にする

アナログ規制の見直しが行われたことから「書かない窓口」「重複する手続きの一元化」「オンライン上での手続き」は、早急に進めなくてはなりません。しかし、現場に丸投げするような形ですと、なかなか進みません。

具体的には、学習プログラムを検討する際には、次のような項目が必要になってきます。

テーマ 内容
kintone標準機能 基本操作・データベースの基礎・セキュリティ
プラグインの設定 プラグインの機能・設定方法
事例 自治体のkintone事例・他部署の事例・ワークショップ
システム仕様を考える 現状と課題・システムの仕様案と設定の手順

「デジタル投資の評価」と「システム監査」など客観的な評価をする

デジタル化が急務でも、やみくもにツールを増やすだけでは、税金を垂れ流している状態と言えますので注意しましょう。財源が税金であるため「デジタル投資への評価」や「システム監査」の視点が必要です。

種類 検証・監査のポイント
デジタル投資評価 例えば、次のような視点を長期と短期の両面から検証します。

・住民サービスの改善度(デジタル化した手続きの増加)

・業務効率化(削減した時間など)

・財務的効果(経費と比較しての妥当性)

・職員の状況(研修受講者数・ツール活用状況)

システム監査 総務省「システム監査基準」等を参考に監査されます。

・適法性(個人情報保護、セキュリティ基準)

・有効性(サービス向上、効率化)

・効率性(費用、人材、時間)

・信頼性(データの正確性)

・安全性(不正アクセスや情報漏えい)

kintoneでの「アナログ規制の見直し」「書かない窓口」への対応にはペパコミ株式会社へご相談ください

窓口のデジタル化は、住民や地域の企業が無駄な負担をさせないことから、地域にとって非常に大事な工夫です。

しかし、その改革は、職員の意識が変わらなくてはなりません。自治体でのkintoneやプラグインの研修や伴走支援の実績があるだけでなく、組織の変化を支えてきた経験のあるパートナー企業を選定して、外部からアプローチすることが必要です。

なお、ペパコミ株式会社は、組織の変化を大切にする姿勢を持ち、kintone担当者の悩みに寄り添う経験では、非常に信頼されています。組織で向き合う際のポイントもアドバイスでき、活用事例の情報も豊富です。

まずはお気軽にご相談ください。

小川喜句

ペパコミ株式会社代表取締役小川 喜句

ペパコミ株式会社代表取締役。youtubeにて「kintone活用ちゃんねる」と、kintoneのプラグインメディア運営。kintoneの構築や内製化を伴走支援を行なっており、kintone運営会社「サイボウズ社」のビジネスにおいて、顕著な実績を上げたパートナー企業や個人を表彰する制度である「CYBOZU AWARD 2022」を受賞。サイボウズ評価制度4年連続2つ星を受賞し、セールス部門(2023~2025年) インテグレーション部門(2022~2025年)も受賞。

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