なぜ国の省庁ではリスキリングが進まないのか?自治体との違いとkintone実践で起こる変化

小川喜句

ペパコミ株式会社代表取締役小川 喜句

ペパコミ株式会社代表取締役。youtubeにて「kintone活用ちゃんねる」と、kintoneのプラグインメディア運営。kintoneの構築や内製化を伴走支援を行なっており、kintone運営会社「サイボウズ社」のビジネスにおいて、顕著な実績を上げたパートナー企業や個人を表彰する制度である「CYBOZU AWARD 2022」を受賞。サイボウズ評価制度4年連続2つ星を受賞し、セールス部門(2023~2025年) インテグレーション部門(2022~2025年)も受賞。

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いま、国の省庁でも、自治体でも、職員のデジタルリテラシーが必要とされています。

この5年、デジタル庁から地方自治体には、「デジタル人材の育成を含め、行政サービスにもデジタル活用を前提とした業務改善」を促進してきました。

その結果、自治体では、ノーコードやローコードのツールで身近なところから小さく業務改善でき、職員は実践しながら習得し、近年、職員のリテラシーは向上しつつあります。

ところが、国の省庁は大規模であるがゆえ、もともと、職員が業務改善をしにくい土壌がありました。その結果、デジタル庁を除くと、デジタルリテラシーを習得させる実践の場が少ない状況も浮き彫りになっています。

今回、国家公務員にインタビューすると、次のような状態だと回答がありました。

「システム開発は業者任せで、仕様書の内容がピンとこなくても、担当になると、前例をもとにコピペしながら作成している状況」「AIも省庁専用のツールを使っている」とのことでした。

データベースが軸にあるシステム内製と比較すると、個人で動ける「AIの活用」は職場でも活用しやすいようです。

施策の多くには、データベースを軸にしたシステムへの理解は役立ちます。とくに、民間企業や国民の動きを踏まえる立場上、様々なデジタル知識は重要でしょう。

当記事では、なぜ国の省庁でデジタルリスキリングが進みにくいのかを整理したうえで、「省庁の職員がkintoneなどのツールも学んだ場合、何が変わるのか」について解説します。

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目次

なぜ国の省庁と地方自治体ではDXの進み方が違うのか

なぜ国の省庁と地方自治体ではDXの進み方が違うのか

そもそも、国と地方自治体は、ひとくちに行政でも、業務を行う環境に大きな違いがあります。

国・地方 区分 業務
国家公務員 国家総合職(官僚) 政策の企画立案・法案作成・予算編成
国家一般職

(大卒・高卒)

専門分野のサポート業務・窓口業務
地方公務員 行政職

(大卒・高卒)

自治事務(自治体が主体的に企画・実施)
法定受託事務(選挙、戸籍事務)※国の代行など

国家公務員の大半を占める「国家一般職」は裁量が非常に限られている仕事です。

具体的には、国家一般職と地方公務員は、同じ学歴であっても、入庁後の「裁量」は大きな違いがあります。

では、さっそく、次の点を踏まえて、確認していきましょう。

  • 国の省庁でDXが進みにくい理由|デジタルリテラシーが育ちにくい構造
  • 地方自治体でDXの実践が進みやすい理由

国の省庁でDXが進みにくい理由|デジタルリテラシーが育ちにくい構造

上述したように、国家一般職の多くは、業務改善やDXを進めたくても、裁量がありません。

具体的には、業務の規模が大きいこともあり、デジタル関係は次のような傾向があります。

内容 傾向
システム開発 仕様書を作成し発注して、独自のシステムをつくってもらう。
仕様書 前例に基づいて作成する。
改修時 変更や改善のたびに追加費用が発生する。
PDCAのサイクル PDCAのサイクルに時間がかかり、状況にすぐ対応しにくい。

上記の流れが主流のため、職員にとって、デジタルリテラシーを身に着ける機会が多くはありません。

地方自治体でDXの実践が進みやすい理由

一方、地方自治体は、大別すると、次のような業務があります。

内容 部署の例 デジタル化の傾向
定型業務 ・市民部(住民票など)

・税務部(納税)

・裁量は多くない。

・大規模

自治事務 ・総務部門・財務部門など

・事業部門

・提案や改善が可能。

今現在、ルーティンワークの部署にいたとしても、数年後の人事異動で事業部に異動することも多々あります。そのため、身に着けたスキルや知識を役立てる機会があります。身近なところから、システム内製や業務改善を進めることが可能です。

(参照:あなたの仕事が変わる「自治体のkintone活用事例50選」

とはいえ、自治体の場合、首長や幹部のリテラシーが低ければ、全庁的にDXの気運は高まりません。ベンダーに丸投げして、システム経費が高額になってしまっているケースも少なくありません。

国家公務員のデジタルリテラシーの「レベル」によって、どのような影響があるか

国家公務員のデジタルリテラシーの「レベル」によって、どのような影響があるか

上述したとおり、国家公務員の場合、DXの小さな実践を進める機会が多くありません。そのためデジタルリテラシーを高めるチャンスも期待できません。

しかし、デジタルが苦手な職員が多いままでは、政策を実行する現場では次のような軋轢が実際に起きています。

  • 省庁のアナログ業務は地方自治体を悩ませる点
  • 現場に影響が大きい「デジタル系の施策の段取り」

では、早速、内容を確認していきましょう。

なぜ省庁のアナログ業務は地方自治体を悩ませるのか?

省庁のデジタルリテラシー不足は、実は国の中だけで完結せず、地方自治体へ直接影響します。例えば、国の事業を自治体にふりわけて実施するケースがあります。そのようなときに登場する惨劇として、次の2つを例として紹介します。

  1. 集計用のExcelという「Excel地獄」
  2. 色彩や図解が特徴的な「省庁のパワポ資料」

1.集計用のExcelという「Excel地獄」

1.集計用のExcelという「Excel地獄」

給付金や助成金の交付などが、顕著な例です。国の職員が集計しやすいように設定された「集計用のExcel」が各自治体に届きます。このExcelファイルへの転記作業は「エクセル地獄」のひとつとして見られています。

それぞれの自治体で、いったん、kintoneと外部フォームを準備するなど、それぞれ、工夫しています。

2.色彩や図解、ぽんち絵が特徴的な「霞が関パワポ」

2.色彩や図解、ぽんち絵が特徴的な「霞が関パワポ」

自治体を通じて周知する際に、省庁特有の色彩や図解、イラストが載っている「パワポ資料」があります。わかりづらさはネットでも話題になります。載せている内容は、施策の説明であったり、マニュアルであったりしますが、システムやサイトのUIUX自体を便利にするほうがずっと親切です。

現場の職員が、口頭で繰り返す状況に陥ります。

現場に影響が大きい「デジタル系の施策の段取り」

本来、行政が得意とするはずの「段取り」が、デジタルが挟まってくると、うまくいかなくなってしまうことが少なくありません。いい考えの政策であっても、現場で具現化する際に、軌道にのせずらいこともあります。ここでは、次の2つを例として紹介します。

  1. デジタル庁の「地方公共団体情報システム標準化」への現場の声
  2. 厚生労働省「LIFE(科学的介護情報システム)」「ケアプランデータ連携システム」に対する現場の声

1.デジタル庁の「地方公共団体情報システム標準化」への現場の声

例えば、目立つものでは、「地方公共団体情報システム標準化」が挙げられます。政府では「標準化法」に基づき、主要な20業務(住民基本台帳、税、福祉など)を対象に、2026年3月末までの移行を目指していました。

理論上は、各自治体がオーダーメイドでシステム開発していては、改修や維持に多額の税金がかかってしまうので、維持管理コストの抑制につながるという「メリット」があるとされています。

なお、「全国の自治体基幹システムの標準化する」までが法定義務で、「標準化したシステムをガバメントクラウドで稼働させる」まで努力義務とされています。

実際には、「移行」「かえって経費が増加した」「外資が中心」など、山積した課題を前に、関係各所の努力で前に進めている現状があります。

2.厚生労働省「LIFE(科学的介護情報システム)」「ケアプランデータ連携システム」に対する現場の声

厚労省が、介護ソフト企業に対し、次のシステムへの対応機能を「実装」を促し、スタートしました。

  • LIFE(科学的介護情報システム):介護施設や事業所が、利用者の状態やケア記録などのデータを収集し、それを分析してフィードバックするシステム
  • 「ケアプランデータ連携システム」:居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)と訪問介護、通所介護などの事業所の間で、利用者のケアプランを、企業や介護ソフトの種類を超えて共有できる仕組み

導入された5年前には、介護ソフト企業から「ねみみに水」という状況で苦心しながら実装させた経過がありますが、現在は、介護事業所で入力負担になるケースもあります。

デジタル庁から自治体へ働きかけているDX促進の内容と成果

デジタル庁から自治体へ働きかけているDX促進の内容と成果

続いて、国から地方自治体に対する「デジタルへの転換」の働きかけをご紹介します。

2021年に発足したデジタル庁からの働きかけには、次のようなものがあります。

施策の例 目指している内容
書かないワンストップ窓口 書かない、待たない、回らない、ワンストップ窓口
アナログ規制見直し アナログ的な手法(目視の確認、現地・対面での参加、書面)の見直し。
AI活用・システム内製 生成AIやシステム内製の推進

こうした働きかけもあり、自治体では、デジタル化の実践を進めています。

とくに、ノーコードツールは、手を動かして学ぶことができます。なかでも、kintoneは、業務改善ツールであると同時に、非IT職がデータベースやシステム構造を体感的に学べる「実践型の学習ツール」でもあります。イメージしずらかった「システムの仕様書」の意味も身近になりました。

【省庁別】国家公務員のリスキリングで「成果が大きくなる」と期待できること

【省庁別】国家公務員のリスキリングで「成果が大きくなる」と期待できること

「国の職員のデジタルリスキリング」が進むことで、それぞれの政策が、より良いものになると期待できます。あくまで一例ですが、次の内容です。

  1. 【厚生労働省】職業訓練と企業ニーズのミスマッチの解消
  2. 【総務省・消防庁】災害時の「支援物資のデータベース」を広域連携
  3. 【文部科学省・厚労省】いじめや虐待をAIで検知
  4. 【総務省】複数自治体合同のDX研修をバックアップ

なお、すでに実践されているものもございますが、ご了承ください。

1.【厚生労働省】職業訓練と企業ニーズのミスマッチの解消

1.【厚生労働省】職業訓練と企業ニーズのミスマッチの解消

厚生労働省では、職業訓練が行われていますが、その訓練内容は、企業のニーズとズレていることがあります。「人が余っている職種」の訓練も少なくありません。内容をマンネリ化させずに、AIやプログラミングのように、企業からニーズがある分野に内容を転換することができます。また、求職者へのアドバイスも的確になるでしょう。

2.【総務省・消防庁】災害時の「支援物資のデータベース」を広域連携

2.【総務省・消防庁】災害時の「支援物資のデータベース」を広域連携

災害発生時には、災害関連死を減らすための対応も必要です。

例えば「物資支援」を例にとっても、次のような課題が生じます。

  • タイムラグが生じる。
  • 発信がうまい自治体に偏ってしまう。

国と自治体がkintoneのデータベースの仕組みになれていれば、災害時に、自治体間で広域で、支援物資のニーズのデータベースを連携させ、避難者を助ける取り組みも期待できるかもしれません。

3.【文部科学省・厚労省】いじめや虐待をAIで検知

3.【文部科学省・厚労省】いじめや虐待をAIで検知

今の教育現場では、「いじめや虐待の発見と対応」が強く求められています。児童や生徒のデータが集積されるなかでAIで検知する仕組みも始まっています。

教員や教育委員会職員のデジタルリスキリングは、「教員の業務負担軽減」や、「子ども達のICT教育」にも役立ちますが、「安全な環境づくり」から整えていくといいのかもしれません。

4.【総務省など】複数自治体合同のDX研修をバックアップ

4.【総務省など】複数自治体合同のDX研修をバックアップ

自治体によって、AI活用やDXの進捗は大きく差ができています。旧来のように、業者に丸投げするスタイルを貫いている自治体は、デジタル化の動きについていけません。

しかし、小規模自治体は、必ずしも予算をさけるとは限りませんので、複数の自治体がDX研修に関しては連携協定を締結するなど、共同で実施することで効率的な進め方ができるように支援することも一つの手かもしれません。

(参照:講師選びが9割⁉ 自治体のDX人材育成としてkintone研修の学習プログラムの基本3つ

省庁の人材を「宝の持ち腐れ」にしない“kintoneでのリスキリング”は、ペパコミ株式会社にご相談ください。

省庁の皆さんがDXの実践やデジタルリスキリングをする機会がないのは、「宝の持ち腐れ」と言っていいほど、人材の活用という面で、もったいない状況です。

AIやデジタルツールは、「使ってみること」で大きく学べます。

弊社は、行政実績やエンタープライズでの実績が多くあります。そのため、伴走支援や研修は、目的にそった支援をご提供できます。

なお、弊社では、お客様に評価していたいてきた実績や特徴があります。

  • CYBOZU AWARD(サイボウズパートナー企業の表彰制度)の連続受賞
  • kintone活用ちゃんねるの運営(1万人突破)
  • プラグインメディアの運営

まず一度、私たちに相談してみてください。

小川喜句

ペパコミ株式会社代表取締役小川 喜句

ペパコミ株式会社代表取締役。youtubeにて「kintone活用ちゃんねる」と、kintoneのプラグインメディア運営。kintoneの構築や内製化を伴走支援を行なっており、kintone運営会社「サイボウズ社」のビジネスにおいて、顕著な実績を上げたパートナー企業や個人を表彰する制度である「CYBOZU AWARD 2022」を受賞。サイボウズ評価制度4年連続2つ星を受賞し、セールス部門(2023~2025年) インテグレーション部門(2022~2025年)も受賞。

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