Excel見積書の作り方 5ステップ | 便利な関数や記載すべき項目を徹底解説

小川喜句

ペパコミ株式会社代表取締役小川 喜句

ペパコミ株式会社代表取締役。youtubeにて「kintone活用ちゃんねる」と、kintoneのプラグインメディア運営。kintoneの構築や内製化を伴走支援を行なっており、kintone運営会社「サイボウズ社」のビジネスにおいて、顕著な実績を上げたパートナー企業や個人を表彰する制度である「CYBOZU AWARD 2022」を受賞。サイボウズ評価制度4年連続2つ星を受賞し、セールス部門(2023~2025年) インテグレーション部門(2022~2025年)も受賞。

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「手作業での計算が多く、見積書の作成を自動化して少しでも楽にしたい」
「Excelで見積書を作りたいが、具体的な作り方がわからない」

日々業務を行う中で、上記のお悩みを抱えている方も多いでしょう。

ビジネスで見積書は、取引内容や金額を提示する重要な書類です。Excelを使えば、計算式を活用して正確な金額を算出したり、レイアウトを自由に調整したりと、多くのメリットがあります。

しかし、一から作成するにはページ設定や関数の知識が必要となり、ハードルが高く感じる場合もあるはずです。

本記事では、Excel初心者でも迷わず作成できるよう、見積書の作り方を5つのステップで解説します。

なお、ペパコミ株式会社では「kintone」を活用した業務支援を行っています。業務効率化にお悩みの方は、以下からお気軽にご相談ください。

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目次

Excelでの見積書の作り方【5STEP】

Excelでの見積書の作り方【5STEP】

Excelで見積書を一から作成する手順は、以下の5つに分けられます。

  • 1.ページレイアウトと用紙サイズを設定する
  • 2.タイトル・宛名・発行者情報などを入力する
  • 3.明細表を作成して罫線を引く
  • 4.金額計算の数式を設定する
  • 5.書式を整えてレイアウトを仕上げる

順を追って作業を進めるだけで、ビジネスで通用する見積書が完成します。まずは、土台となるページ設定から始めましょう。

1.ページレイアウトと用紙サイズを設定する

見積書を作成する際、最初に実施すべきなのは用紙サイズの設定です。

Excelは表計算ソフトであり、初期状態では印刷範囲が明確ではありません。そのため、作成後に印刷しようとすると、文字が切れたりレイアウトが崩れたりするトラブルが頻発します。まずは「ページレイアウト」タブを開き、サイズを一般的な「A4」に設定してください。

印刷の向きは、見積書の項目数によって使い分けるのがよいでしょう。基本は「縦向き」ですが、明細の項目が多く横に長くなる場合は「横向き」を検討します。最初にこの設定を済ませておくと、後の工程でレイアウトを修正する手間が省けます。

用紙設定が完了したら、余白の調整も行ってください。余白が狭すぎると印刷時に端が切れる恐れがあり、広すぎると記載スペースが減ってしまいます。「標準」または「狭い」を選択し、バランスのよい配置を心がけてください。

2.タイトル・宛名・発行者情報などを入力する

用紙設定ができたら、次に見積書の顔となる基本情報を入力していきます。

1番上の行には、何の書類かを示すタイトル「見積書」を配置しましょう。複数のセルを結合して中央揃えにし、フォントサイズを大きくすると、一目で書類の目的が伝わります。タイトルは書類の印象を左右するため、見やすさを意識して調整してください。

次に、宛名と発行者情報を入力します。宛名は左上に配置し、会社名や担当者名を正確に記載します。発行者情報は右上に配置し、自社の住所や電話番号を入力するのが一般的です。あわせて、管理に必要な「発行日」や「見積番号」も忘れずに記載しましょう。

3.明細表を作成して罫線を引く

基本情報の入力後は、商品の内容や金額を記載する明細表を作成します。

明細表には、以下の項目が必要です。

  • 品名
  • 数量
  • 単価
  • 金額

上記の項目名を入力し、必要な行数分のスペースを確保します。商品名が長い場合は「品名」の列を広く取り、列の幅を調整して見やすさを整えてください。

項目を入力しただけでは表としての区切りがわかりにくいため、罫線(けいせん)を活用しましょう。対象の範囲を選択し、「ホーム」タブから「格子」などの罫線を引くことで、項目ごとの境目が明確になり、視認性が向上します。表の外枠を太い罫線で囲むと、より引き締まった印象になります。

4.金額計算の数式を設定する

枠組みができたら、Excelの自動計算の機能を組み込みます。

手入力で金額を計算すると、入力ミスや計算間違いが起きるリスクがあります。正確な見積書を作るために、数式を活用しましょう。まずは明細行の「金額」欄に、「=数量セル*単価セル」の数式を入力します。一つ入力すれば、オートフィル機能を使って下の行まで数式をコピーできるため、手間はかかりません。

次に、「SUM関数」を使用し、明細の金額列すべての合計を算出するよう設定します。SUM関数を使えば、行が増減しても範囲を修正するだけで対応でき便利です。

最後に、消費税と合計金額の計算式を設定しましょう。小計に対して税率をかけた消費税額を出し、合計金額を求めます。あらかじめ数式を入れておけば、数量や単価を変更するだけで瞬時に正しい合計金額が表示されるようになります。

5.書式を整えてレイアウトを仕上げる

必要な情報と計算式が揃ったら、最後に見た目を整える仕上げの作業を行います。

作成したばかりの状態では、文字の大きさや配置が不揃いで、読みづらい場合があります。フォントの種類を「メイリオ」や「遊ゴシック」などのビジネスに適したものに統一し、サイズを調整して文書全体に統一感を出してください。

「見積金額」や「合計金額」は、太字にしたり、セルの背景に色をつけたりして、パッと目に入るように工夫するのも大切です。ただし、色を使いすぎるとかえって見にくくなるため、要所を絞って使うのがポイントです。

すべての調整が終わったら、「印刷プレビュー」で確認を行いましょう。画面上では正しく表示されていても、印刷すると文字が切れていたり、バランスが悪かったりすることがあります。

なお、Excelを使えば見積書だけでなく、スケジュール管理表も作成可能です。スケジュール管理表の作成方法を知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

関連記事:Excelでスケジュール管理する方法3選!管理を効率化するコツと注意点を解説

Excelで見積書を作る際に記載すべき6つの項目

Excelで見積書を作る際に記載すべき6つの項目

Excelで見積書を作る際に記載すべき6つの項目は以下のとおりです。

  • 見積書番号、発行日
  • 宛名・発行者情報
  • 件名、有効期限
  • 明細(品名・数量・単価・金額・単位)
  • 小計・消費税・合計金額
  • 備考欄(支払条件・納期など)

上記の項目を漏れなく記載しておくと、書類としての効力を発揮します。一つひとつの項目の書き方や注意点を見ていきましょう。

見積書番号、発行日

見積書番号は、発行した書類を管理するために欠かせない項目です。

通し番号を振っておくことで、後から特定の見積書を探したり、請求書と照らし合わせたりする作業が容易になります。番号の重複を避けるため、社内で一定のルールを決めて運用するとよいでしょう。

また、発行日も忘れずに記載してください。発行日は見積もりの基準となる日であり、有効期限の起算点にもなります。いつ時点の価格や条件なのかを明確にするため、西暦や和暦を使って正確な年月日を記してください。

宛名・発行者情報

誰に宛てた見積書なのか、誰が発行したのかを明確にする情報も必要です。

宛名には、相手先の会社名や部署名、担当者名を正確に記載します。法人宛てなら「御中」、個人宛てなら「様」など、敬称を正しく使い分けるのがマナーです。誤字脱字は相手に失礼な印象を与えるため、名刺などを確認しながら慎重に入力しましょう。

発行者情報には、自社の社名、住所、電話番号、担当者名を明記します。発行者情報を明記しておけば、見積書を受け取った相手が不明点をすぐに問い合わせできます。

また、社印(角印)の画像データを配置すると、公式な書類としての信用性が高まるため、用意がある場合は押印しましょう。

件名、有効期限

件名、有効期限

何に関する見積もりなのかを一目で伝えるために、件名を記載します。

件名は「〇〇案件お見積もり」や「Webサイト制作費」など、具体的かつ簡潔な表現にしましょう。件名が明確だと、相手が多くの書類を扱っている場合でも、内容を即座に判断してもらえます。

あわせて、有効期限の設定も重要です。材料費の変動や在庫状況の変化などにより、将来にわたって同じ価格や条件で提供できるとは限りません。リスクを回避するため、「発行日から1ヵ月」や「2025年12月末日まで」と期限を設けます。

明細(品名・数量・単価・金額・単位)

見積明細は、金額の根拠を示す最も詳細な部分です。

品名には、商品やサービスの内容を具体的に記載します。型番やサイズなども含めると、発注者が内容を正確に理解でき、認識のズレを防げます。

数量、単価、金額もそれぞれ明記し、計算の根拠を明らかにします。ただし、「一式」ばかりを使うと内訳が不透明になるため、可能な限り細分化して記載するのが親切です。

また、「個」「本」「時間」「セット」など、単位も適切に表示してください。詳細な明細は見積もりの透明性を高め、相手に安心感を与えます。

小計・消費税・合計金額・備考欄

金額の最終的なまとめとして、小計、消費税、合計金額を記載します。

小計には税抜きの合計金額を表示し、一段下に消費税額、最後に税込の合計金額を配置します。税率が異なる商品(標準税率10%と軽減税率8%)がある場合は、税率ごとに区分して消費税を計算しなければなりません。

特に合計金額は相手が支払う総額であるため、フォントを大きくして目立たせ、支払額を明確に伝えてください。

備考欄(支払条件・納期など)

備考欄(支払条件・納期など)

備考欄には、支払条件や納期などを記載します。「月末締め翌月末払い」や「発注後2週間以内」など、具体的な時期を明記することで、取引条件の認識を合わせられます。その他、前提条件や補足説明がある場合も備考欄を活用し、後々のトラブルを防ぎましょう。

また、振込先の銀行口座情報や、送料・出張費などの別途費用が発生する場合はその旨も明記しておくと親切です。見積もりに含まれない項目を事前に伝えておけば、請求時の認識違いを防げます。

Excelで作った見積書をインボイス制度対応にする方法

Excelで作った見積書をインボイス制度対応にする方法

2023年10月から始まったインボイス制度により、見積書や請求書の記載要件が変わりました。

  • 適格請求書発行事業者番号の記載位置と書き方
  • 税率ごとの消費税額を明記する方法

Excelで見積書を作成する場合も、上記の要件を満たす必要があります。既存のフォーマットを修正し、制度に対応した形式へアップデートしましょう。

適格請求書発行事業者番号の記載位置と書き方

インボイス制度に対応するためには、登録番号の記載が必要です。

見積書は必ずしもインボイス(適格請求書)である必要はありませんが、見積書の段階から記載しておくと、請求書を作成する際の手間が省け、管理がしやすくなります。一般的には、発行者情報の欄に記載します。

インボイスの登録番号は「T」から始まる13桁の数字です。記載する際は「登録番号:T1234567890123」のように明記してください。登録番号を明記しておけば、取引先は受け取った書類がインボイスに対応しているか、仕入税額控除の対象になるかをすぐに判断できます。

税率ごとの消費税額を明記する方法

インボイス制度では、適用税率ごとに区分した消費税額の記載が求められます。

標準税率(10%)と軽減税率(8%)の商品が混在する場合、それぞれの対象金額の合計と、それに対する消費税額を分けて表示しなければなりません。Excelで作成する際は、小計欄の下に「10%対象計」「8%対象計」などの項目を設け、それぞれの消費税額を計算する欄を作ります。

数式を組む際は、税率ごとの合計を算出してから税率をかけるように設定します。あらかじめ税率を変更できるセルを用意しておくと、将来的に税率が変わった場合でも、数値を書き換えるだけで対応できるため便利です。

Excelで見積書作成を効率化する関数3選

Excelで見積書作成を効率化する関数3選

Excelで見積書作成を効率化できる関数は以下の3つです。

  • TODAY関数:発行日を自動入力する
  • ROUND関数:消費税の端数を処理する
  • VLOOKUP関数:商品単価を自動取得する

上記の関数を組み込むだけで、作成スピードを向上させられるでしょう。

TODAY関数:発行日を自動入力する

TODAY関数は、ファイルを開いた日の日付を自動で表示する関数です。

見積書を作成するたびに、今日の日付を確認して手入力するのは面倒なものです。日付を入力したいセルに「=TODAY()」と入力し、セルの表示形式を「日付」に設定しておくだけで、常に最新の日付が表示されるようになります。

TODAY関数を使えば、日付の入力漏れや、過去の日付のまま提出してしまうミスを防げます。ただし、過去に作成した見積書を開いた場合も日付が更新されてしまうため、保存する際はPDF化するか、値をコピーして貼り付ける「値貼り付け」で日付を固定するなどの運用が必要です。

ROUND関数:消費税の端数を処理する

消費税の計算では、小数点以下の端数が出ることがあります。端数を自動で処理してくれるのがROUND関数です。

「=ROUND(数値, 桁数)」と入力すると、指定した桁数で四捨五入ができます。例えば、消費税を整数にしたい場合は、桁数に「0」を指定します。

四捨五入だけでなく、切り捨てたい場合は「ROUNDDOWN関数」、切り上げたい場合は「ROUNDUP関数」を使いましょう。会社や取引先との取り決めに合わせて、適切な関数を選んでください。

VLOOKUP関数:商品単価を自動取得する

VLOOKUP関数は、指定した条件に合うデータを別の表から探し出して表示する関数です。

VLOOKUP関数を使用すれば、商品コードや品名を入力するだけで、あらかじめ用意しておいた「商品単価表」から単価を自動で引用できます。数式は「=VLOOKUP(検索値, 範囲, 列番号, 検索の型)」のように設定します。

毎回単価を調べて手入力していると、転記ミスが起きたり、時間がかかったりしがちです。VLOOKUP関数を導入すれば、商品リストを更新するだけで常に最新の単価が反映されるため、見積書作成の時間を短縮できます。

Excelで見積書を作成・管理する際の3つの課題

Excelで見積書を作成・管理する際の3つの課題

Excelで見積書を作成・管理する際の3つの課題は以下のとおりです。

  • 見積書から請求書・納品書への転記作業が発生する
  • 数式の削除や参照ずれによる計算ミスが起きやすい
  • 過去の見積書の検索・履歴管理に手間がかかる

事業規模が大きくなったり、発行枚数が増えたりすると、上記の問題は無視できなくなります。それぞれの課題を詳しく見てみましょう。

見積書から請求書・納品書への転記作業が発生する

Excelでは、見積書、請求書、納品書などが別々のファイルで管理されるケースが多々あります。

そのため、見積書の内容が確定した後、同じ内容を請求書ファイルに手動で転記しなければなりません。転記作業には時間がかかるうえに、入力ミスが発生するリスクも高まります。

もし見積書の金額が正しく、請求書の金額が間違っていた場合、取引先からの信用に関わるでしょう。まが、データの二重入力は業務効率を低下させる大きな要因であり、担当者の負担を増やす原因となります。

数式の削除や参照ずれによる計算ミスが起きやすい

Excelは誰でも自由に編集できる柔軟性がありますが、使いやすさが裏目に出ることもあります。

行や列を追加・削除した拍子に、計算式の参照範囲がずれてしまい、正しい合計金額が出なくなることがあります。また、誤って数式が入っているセルに数値を上書きしてしまい、自動計算されなくなるケースも少なくありません。

見た目では計算ミスに気付きにくいため、そのまま相手に提出してしまうと、後で金額の訂正やお詫びが必要になります。担当者ごとに独自の計算式を使ってしまい、フォーマットが属人化しやすい点も、組織的な管理では課題となります。

過去の見積書の検索・履歴管理に手間がかかる

Excelファイルは、フォルダに保存して管理するのが一般的です。

しかし、ファイル数が増えてくると目的の見積書を探すのに時間がかかります。もしファイル名や保存場所が統一されていない場合は、目的のファイルを見つけ出すのがむずかしくなるでしょう。

また、最新版の見積書がどれかわからなくなり、古いファイルを使ってしまうミスも起こり得ます。過去の履歴をすぐに参照できないことは、迅速な顧客対応を妨げる要因にもなります。

Excelでの見積書作成に限界を感じたら「kintone」がおすすめ

Excelでの見積書作成に限界を感じたら「kintone」がおすすめ

Excelでの管理に限界を感じたら、kintoneの導入が解決策になります。

kintoneは見積書をクラウド上で一元管理でき、チームで最新情報を共有しながら複数人での同時アクセスや編集が可能です。また、見積書から請求書への自動連携機能により、面倒な転記作業が不要になるため、業務効率が向上します。

さらに、フォーマットの統一や承認フローの設定も柔軟に行えます。属人化によるミスを防止しながら、組織的な管理体制を実現できるのはkintoneならではのメリットです。

kintoneで見積書作成・管理を効率化するなら「ペパコミ株式会社」にご相談ください

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Excelは関数を活用することで自動計算が可能になり、作業効率と正確性を向上させられます。また、インボイス制度への対応も考慮し、登録番号や税率区分を適切に記載しておくと、実務に即した運用が可能です。

しかし、作成枚数が増えるにつれて、データ転記の手間や履歴管理のむずかしさなど、Excel管理特有の課題に直面する場合もあるでしょう。もし課題を感じているのであれば、kintoneの導入を検討するのがおすすめです。

kintoneを活用すれば、見積書の一元管理や請求書へのスムーズな連携が実現します。kintoneで見積書の作成・管理を効率化し、業務フローを改善したいとお考えなら、「ペパコミ株式会社」にご相談ください。

小川喜句

ペパコミ株式会社代表取締役小川 喜句

ペパコミ株式会社代表取締役。youtubeにて「kintone活用ちゃんねる」と、kintoneのプラグインメディア運営。kintoneの構築や内製化を伴走支援を行なっており、kintone運営会社「サイボウズ社」のビジネスにおいて、顕著な実績を上げたパートナー企業や個人を表彰する制度である「CYBOZU AWARD 2022」を受賞。サイボウズ評価制度4年連続2つ星を受賞し、セールス部門(2023~2025年) インテグレーション部門(2022~2025年)も受賞。

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