ヒアリングは、ビジネスや日常生活において、相手の真意や考えを引き出すために非常に重要なスキルです。
特に、相手が気持ちよく自身の考えを100%話せるように促すヒアリングは、その後の関係性構築や問題解決に大きく寄与します。
今回は、ヒアリングが上手な人が実践する具体的なスキルと向上の秘訣を紹介するので参考にしてください。
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ヒアリングが上手な人の特徴
ヒアリングが上手な人の特徴を紹介します。
- 相手から気持ちよく100%話を引き出す姿勢
- 自然な流れで深掘りする質問能力
- 相手に深い興味を持つ姿勢
ヒアリングが上手な人は、単に質問を投げかけるだけではありません。相手が自らの考えや感情を深く掘り下げて話せるような環境を作り出し、会話を通して新たな発見を促します。
相手から気持ちよく100%話を引き出す姿勢
ヒアリングが上手な人は、相手の言いたいことを100%引き出す能力を持ち合わせています。取材を受ける側であれば、自身の考えを全て話したいと考えるのが自然です。
上手なヒアリングは、この願望を気持ちよく叶え、話し手に達成感を与えるのが特徴です。
例えば、「A」という議題に対して、まず「Aの1」という質問を投げかけ、話し手がそれに応えます。
その回答を踏まえ、ヒアリングが上手な人はさらに「Aの2」と、話の深い部分へと繋がる質問を重ねていきます。
このような質問の連鎖は、話し手が自身の考えを整理し、自然な流れで詳細を語ることを可能にするでしょう。
最終的に、話し手は「A」について100%話し終えたと感じ、「ああ、すっきりした」という深い満足感を得られる状態へと導かれます。
この一連のキャッチボールこそが、上手なヒアリングの典型的な特徴であり、話し手の気持ちを尊重し、その潜在的な情報を最大限に引き出すための重要なプロセスです。
自然な流れで深掘りする質問能力
ヒアリングが上手な人は、一つの議題に関して、その核心に迫るための質問を段階的に、かつ体系的に深掘りしていきます。
これにより、話し手は途中で話が途切れる感覚を抱くことなく、自身の思考を整理しながら、より詳細な情報や感情を語れます。
質問が適切に深掘りされれば、話し手は自身の話したい内容を自然な流れで全て開示可能です。
一方で、ヒアリングが下手な場合は、話し手が一つの質問に対して20%程度の回答をした段階で、質問の軸が全く異なる議題(例えば、議題「A」から突然「B」へ)に移ってしまう事態が発生します。
このような場合、話し手は「まだ議題Aについて80%も話したいことが残っているのに」という消化不良の状態に陥ってしまいます。
これにより、話し手は自分の考えを完全に伝えきれないストレスを感じ、ヒアリングを受けること自体に大きな疲労感を覚える結果となるでしょう。
相手に深い興味を持つ姿勢
ヒアリング能力の向上において、最も本質的かつ重要な要素は、ヒアリングを行う相手に対して心から興味を持つことです。
多くのヒアリングが苦手な人は、質問を単なる「作業」としてこなし、目の前の会話の流れに沿って積極的に聞こうとしません。
彼らは「この情報を聞かなければならない」という義務感から質問をするため、話し手との間に心の通ったやり取りが生まれにくく、会話がスムーズに噛み合わない状況に陥りがちです。
しかし、ヒアリングをする側が本当に相手に興味を持ち、「もっと深く知りたい」という強い願望を抱けば、話し手の言葉一つ一つから自然と新しい質問が湧き上がってきます。
これは、まるで一目惚れした相手について、仕事や普段の行動など、あらゆることを知りたいと思う心理と同じです。
心からの興味は、質問の質を劇的に向上させ、結果として話し手も非常に気持ちよく、自分の情報を100%全て話せるようになります。
相手への興味こそが、ヒアリングの成功を左右する基盤であると言えます。
ヒアリングが下手な人の特徴
ヒアリングが下手な人の特徴を紹介します。
- 一方的な質問で話が浅くなる
- 作業的な姿勢で相手への興味が薄い
- 話し手から新たな発見がない
ヒアリングが下手な人は、話し手を疲弊させ、その潜在的な情報を十分に引き出せない傾向があります。
一方的な質問で話が浅くなる
ヒアリングが下手な人は、往々にして質問の仕方が一方的であり、相手から十分な情報を引き出すことができません。
話し手は、ヒアリングする側が深く掘り下げてくれないと感じると、自分の話したい内容を一度に全て伝えようとする傾向にあります。
例えば、ある質問に対して20%程度の回答を求められていると感じながらも、話し手は関連する情報を自ら積極的に、かつ網羅的に話してしまいます。
これは、ヒアリングする側が質問を深掘りしないため、話し手側が「ここで全て話しておかなければならない」という無意識のプレッシャーを感じ、必要以上に多くの情報を一気に提供してしまうためです。
結果として、話し手は「自分の話を引き出してもらっている」という満足感が得られず、ひたすら自分が一方的に話し続けているという感覚に陥り、精神的な疲労感を覚えることになります。
作業的な姿勢で相手への興味が薄い
ヒアリングが下手な人の多くは、その行為を単なる業務や「作業」として処理しています。
彼らは「この質問をクリアしなければならない」というチェックリストのような感覚で話を聞くため、話し手との間で真の対話が生まれにくく、会話が途中で滞ってしまうことがあります。
根本的に相手への興味が薄いため、話し手の言葉から発展的な質問を考えることができず、事前に用意された質問リストを機械的に読み上げるだけになりがちです。
このような作業的な姿勢は、話し手に「この人は本当に自分の話を聞いてくれているのだろうか」という不信感や、「話を早く終わらせたい」という印象を与えかねません。
ヒアリングの質は、心からの興味に支えられているため、作業的なアプローチでは決して深掘りされた有意義な情報を引き出すことはできません。
話し手から新たな発見がない
ヒアリングが上手な対話では、話し手が自身の考えを整理する過程で、予期せぬ「新たな発見」をすることがしばしばあります。
例えば、質問が「Aの1、Aの2、Aの3」と順番に掘り下げられることで、話し手は自身の思考プロセスを再確認し、「ああ、自分はこんなことを考えていたのか」と気づく瞬間があります。
これは、質問者によって思考が引き出され、整理されることで得られる、話し手自身の知的成長とも言えるでしょう。
しかし、ヒアリングが下手な場合、話し手は一方的に多くの情報を話し続けなければならない状況に置かれます。
このため、自身の発言を深く振り返ったり、そこから新しい気づきを得たりする機会がほとんどありません。
話し手はひたすら情報をアウトプットする作業に終始するため、会話からの深い満足感や、内面的な気づきを得ることができず、「ただ喋っているだけ」という感覚に陥ってしまいます。
これは、ヒアリングの目的の一つである「相手の潜在的な思考を引き出す」という点において、大きな機会損失となります。
ヒアリング力を向上させるためのアプローチ
ヒアリング力を向上させるためのアプローチを紹介します。
- 相手への興味を深掘りする
- オープンクエスチョンの活用
- 強制的に興味を持つ環境作り
- 興味の対象を広げる
ヒアリング力を向上させるためには、意識的な訓練とアプローチが必要です。
相手への興味を深掘りする
ヒアリング能力を向上させるために最も重要なのは、相手に対して心からの興味を持つことです。
単に質問を投げかける「作業」としてヒアリングを行うのではなく、心の底から「この人のことをもっと知りたい」という気持ちを抱くことが、質の高い会話を生み出す源泉となります。
具体的には、相手の人生観や、なぜそのように考えるのかといった根源的な部分に深く興味を持ち、それを起点に質問を組み立てる姿勢が求められます。
例えば、相手の相談内容に対して、自身の人生経験や考え方を重ね合わせることで、よりパーソナルなレベルでの対話が可能です。
この「興味を持つ」という大前提が確立されることで、会話は自然と広がり、話し手の言葉から次々と新しい質問が生まれるため、相手も気持ちよく自らの情報を全て話せるようになります。
本物の興味は、ヒアリングの深さと広がりを決定づけると言えるでしょう。
オープンクエスチョンの活用
「はい」や「いいえ」のような単一の答えで終わってしまうクローズドクエスチョンばかりでは、会話の広がりが著しく限定されてしまいます。
相手からより多くの情報や、その人の内面的な側面を深く理解するためには、オープンクエスチョンを意図的に活用することが不可欠です。
オープンクエスチョンは、話し手が自身の考えや感情を自由に、かつ詳細に表現できる余地を大きく提供します。
例えば、「〇〇さんが現在の性格を形成するに至った背景には、どのような出来事がありましたか?」のように、「なぜ」「どのように」「どんな」といった言葉を用いることで、回答の幅が広がり、相手の深い思考や過去の経験へと話が展開されることも少なくありません。
このような質問は、話し手の人間性や、その深みにある価値観を垣間見る上で非常に役立ちます。
日頃から様々なオープンクエスチョンの「カード」を多く持っておくことが、多様な状況でのヒアリングに対応するための鍵となります。
強制的に興味を持つ環境作り
たとえ相手に心から興味を持てない場面であったとしても、仕事としてヒアリングを成功させる必要がある状況は存在します。
そのような場合、自分自身を「興味を持たざるを得ない」状況に追い込むことで、ヒアリングの質を高めることが可能です。
具体的には、「このヒアリングで良い成果が出せなければ、自分の評価が著しく低下する」「上司から厳しい指導を受けることになる」といった、自身の評価や立場に関わる具体的な危機感を意識的に作り出します。
このアプローチは、必ずしも心からの興味と同義ではありませんが、寝たら罰を受けるという恐怖から必死に起き続ける生徒のように、情報を必死に引き出そうとする強い動機付けとなります。
無理にでも興味のスイッチを入れる経験を繰り返すことで、質問のパターン化も進み、より有意義かつ多角的なヒアリングを行えるようになるでしょう。
これは、特に仕事上で結果を出すために、必要とされるアプローチと言えます。
興味の対象を広げる
ヒアリングを行う上で、自身の興味の幅が狭いと、引き出せる情報の種類や会話の広がりが制限される可能性があります。
そのため、日頃から自身の興味の対象を幅広く持つように意識することが、多様な相手やテーマに対応できるヒアリング力を養う上で役立ちます。
例えば、一般的な仕事の話題だけでなく、相手の経営に関する考え方、組織運営の哲学、さらには個人的な結婚生活や趣味など、多角的な視点からアプローチすることで、相手の様々な側面から質問を引き出すことが可能です。
特定の分野に強い興味がなくても、自分の抱える課題や疑問点(例えば、趣味と仕事の両立など)と関連付けながら質問を組み立てることで、相手の経験や知識を引き出しつつ、自身の課題解決にも繋げられる対話が生まれます。
これにより、話し手との共通の話題を見つけ出し、より深い共感と会話の広がりを実現できます。
ヒアリング時の具体的な質問のポイント
ヒアリング時の具体的な質問のポイントを紹介します。
- 相手の人間性を形成する根幹を問う質問
- 人生の節目に関する質問
- 共通の趣味や課題を通じた質問
相手の深層にある情報や人間性を引き出すためには、質問の質と方向性が重要です。表面的な情報だけでなく、その人の核となる部分に触れる質問を心がけましょう。
相手の人間性を形成する根幹を問う質問
相手の核となる価値観や、その人らしさを形作っている根源に触れる質問は、単なる情報収集を超えた、人間性の理解に繋がります。
例えば、「〇〇さんの人間性を形成している根幹は何だとお考えですか?」や「なぜ今の事業を始めようと思ったのですか?」といった問いは、相手の幼少期の経験、サラリーマン時代の転機、あるいは事業に対する揺るぎない思いなど、その人の人生の物語を深く探るきっかけとなります。
これらの質問は、回答の幅が広く、話し手の多様な側面が垣間見えるオープンクエスチョンの典型例です。
このような質問を投げかけることで、相手は自身の過去を振り返り、改めて自身の価値観を言語化する機会を得られます。
これは、話し手自身の新たな発見にも繋がり、非常に有意義な対話となるため、積極的に活用を検討すべきです。
人生の節目に関する質問
相手の人生における重要な転換点や、大きな決断の瞬間に焦点を当てた質問は、その人の価値観や思考プロセスを深く理解するための鍵となります。
例えば、「なぜ結婚されたのですか?」や「配偶者の方との出会いはどのようなものでしたか?」といった質問は、一見プライベートな領域に踏み込むように感じられるかもしれません。
しかし、適切な文脈と配慮を持って投げかけることで、相手の人間性、人生観、そしてパートナーシップに対する考え方をより深く理解する手掛かりとなります。
これらの質問が、仮に「ぼちぼちです」のようなクローズドな回答で終わったとしても、そこからさらに「結婚する意味とは何だとお考えですか?」のように、自身の人生観や疑問を絡めてオープンな質問へと繋げる工夫を凝らすことで、会話をより深く、そして豊かなものに広げることが可能です。
このような展開は、まるでゲームのように戦略的に行われることで、対話に新たな奥行きを与え、相手の潜在的な情報を引き出す機会を増やします。
共通の趣味や課題を通じた質問
ヒアリングを深める有効な手段の一つとして、相手が熱中している趣味について質問することが挙げられます。
例えば、「何か特に熱中している趣味はありますか?」と尋ね、それがゲームであれ、ゴルフであれ、あるいは酒飲みであれ、相手が情熱を注ぐ対象について深く掘り下げます。
さらに、その趣味に関連して、自分が個人的に抱える課題や悩み(例えば、趣味に没頭しすぎて仕事に支障が出ることなど)を率直に共有し、「〇〇さんはどのように対処されていますか?」と質問することで、相手からの具体的なアドバイスを引き出しつつ、同時に会話を個人的なレベルで広げることが可能です。
これは、話し手にとって自身の経験や知恵を共有する機会となり、非常に有意義な対話へと発展します。
共通の課題を通じて質問することで、相手との共感を深め、より信頼関係に基づいたヒアリングが可能になり、結果的に相手からより多くの情報を引き出すことに繋がります。
クローズドクエスチョンからオープンクエスチョンへの展開
クローズドクエスチョンからオープンクエスチョンへの展開に関して解説します。
- クローズドクエスチョン
- オープンクエスチョン
ヒアリングにおいて、全ての質問をオープンクエスチョンにする必要はありません。
クローズドクエスチョンも特定の目的のために有効ですが、そこから会話を広げるための戦略的なテクニックが存在します。
クローズドクエスチョン
仕事上の要件や、決定事項の確認、意見を求める場合に利用します。
例えば、「〇〇に関する決定は、これで問題ありませんか?」など、答えが「はい」か「いいえ」、または特定の選択肢に限られる質問が該当します。
このような質問は、話し手にとって「面接」のような形式になることがあり、相手に威圧感を与える可能性もあるため、使用には注意が必要です。
オープンクエスチョン
相手の人柄や背景、深い考え方を知りたい場合に利用します。
例えば、「〇〇さんが今の仕事を選んだきっかけは何ですか?」のように、自由な回答を引き出し、そこからさらに「その考えは学生時代から持っていたのですか?」といった形で深掘りを行います。
これにより、話し手の人間性や、その深みにある価値観を垣間見ることが可能です。
また、自分の課題解決に繋がるような質問をすることで、話し手との共通の話題を広げ、具体的なアドバイスを引き出し、深い対話に発展させることが可能です。
まとめ
相手から気持ちよく100%話を引き出すには、段階的な深掘り質問と、相手への心からの興味が必要不可欠です。
オープンクエスチョンを活用し、相手の人間性や人生の節目に関する質問を投げかけることで、深い対話が実現します。
ヒアリング力は、日々の意識的な訓練によって向上します。相手への興味を深め、質問の質を高めることで、ビジネスや人間関係における信頼構築に繋がるでしょう。
なお、ペパコミ株式会社では、「kintone」を活用した業務支援を行っています。業務効率化にお悩みの方は、ぜひ以下からお気軽にご相談ください。
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