ビジネスの現場では、日頃からプレゼンテーションや営業提案、納品物の説明など、相手に何かを伝える場面が多く存在します。
しかし、話し手自身が意図する以上に、聞き手に話の内容が十分に伝わっていないと感じる事例も少なくありません。
この記事では、相手が内容を深く理解できるように、「置き去りにしない」話し方を実践するための具体的な手法について解説します。
なお、ペパコミ株式会社では、「kintone」を活用した業務支援を行っています。業務効率化にお悩みの方は、ぜひ以下からお気軽にご相談ください。
「置き去りにしない話し方」の重要性
聞き手を置いていかない配慮は、相手に話の内容を正確に伝える上で極めて重要です。
特に、説明の冒頭から詳細な内容を話し始めてしまうと、聞き手は話の全体像や本質的な目的を把握できません。
このような状態では、聞き手の心には多くの疑問符が浮かび、「何の話をしているのか分からない」という状況が続きます。
話の意図が不明瞭な状態で説明を聞き続けることは、聞き手にとって精神的な負担が大きく、時に「拷問」のように感じるほどのストレスを与えてしまうでしょう。
話の導入部分で聞き手と話し手の間で共通認識を構築し、内容のずれがない状態を保つことで、円滑なコミュニケーションへとつながります。
話し方の基本構造|総論・結論・詳細の活用
話し方の基本構造を解説します。
- 目的や概要を説明する
- 結論を伝える
- 根拠を詳細として説明する
- 総論にまとめる
効果的な話し方の一つとして、総論から始め、次に結論を述べ、その後に詳細な説明を行い、最後に再び総論で全体をまとめるという流れがあります。
この構造は、話し手自身が主体となって内容を説明する必要がある場合に、特に有効であると考えられています。
目的や概要を説明する
総論・結論・詳細の具体的な流れ まず、話の冒頭では、これから話す内容の大きな目的や概要を「総論」として提示します。
例えば、kintoneの導入説明を例にすると、「今回はペパコミ株式会社様の顧客案件管理と営業管理の一元化を目的としてkintoneを設計しました」といった形で、全体の大枠となる目的を聞き手に認識させます。
結論を伝える
次に、この総論で示した目的を達成するための「結論」を伝えましょう。先のkintoneの例では、「日々の営業情報を活動履歴に入力することで顧客マスターに自動で反映されます。
これにより、管理者は顧客マスターを確認するだけで、営業担当者は活動履歴を入力するだけで、業務がkintone上で完結するようになります。」という具体的な成果や仕組みを説明しましょう。
根拠を詳細として説明する
結論を述べた後には、具体的な操作方法や手順、その根拠などを「詳細」として説明します。
例えば、「顧客マスターには顧客情報を入力していただきます。入力の仕方については、こちらでご説明します…」といった形で、具体的なステップや背景を掘り下げて解説します。
総論にまとめる
そして最後に、これらの説明によって当初の目的(総論)が達成できることを改めて「総論」としてまとめることで、話全体に一貫性をもたせます。
この構造により、聞き手は常に話の全体像を把握しながら、具体的な内容へと理解を深めることが可能になります。
詳細から話し始めることの課題
説明の第一声が詳細な内容から始まってしまうと、聞き手は話の全体像や目的を掴めません。
例えば、「顧客マスターの顧客情報には、これを入力して…」といった具体的な操作方法から話し始めると、聞き手は「何の話をしているのか分からない」という疑問を強く抱きます。
このような状況は、聞き手にとって「地獄」のような体験であり、「早く結論を話してほしい」という思いを抱かせます。
そのため、説明を開始する際は、必ず総論と結論を先に伝えた上で、詳細な内容へと移行することが重要です。
相手の理解度を確認する重要性
相手の理解度を確認する重要性を解説します。
- 適切な確認のタイミング
- 確認を怠るリスク
話を一方向に話し続ける「シンガートーク」は、聞き手との間で認識のずれを生じさせるため推奨されません。
話の途中で適度に相手に確認を入れることは、聞き手を「置き去り」にしないための重要な技術です。
適切な確認のタイミング
確認の頻度については、総論だけを話した段階では、話がまだ漠然としているため、この時点での確認は必ずしも必要ありません。
総論と結論を説明し終えた段階で、「ここまでで何か不明な点、あるいは認識のずれがありましたら、ご指摘をお願いします。いかがでしょうか。」のように、聞き手に質問や不明点がないかを確認する機会を設けることが有効です。
これは、聞き手が分からない部分を抱えたまま、次の新しい情報を脳にインプットするストレスを軽減するためです。
全ての情報をまとめてから最後に質問を促すのではなく、話の区切りごとに確認を行うことは、聞き手の立場に立った話し方であるといえます。
状況に応じた確認のタイミングは、話し手が経験を積むことで見極められるようになるでしょう。
また、聞き手のITリテラシーのレベルによっても、確認の頻度や深さを調整する必要があります。
確認を怠るリスク
話の途中で聞き手の理解度を確認する機会を設けない場合、聞き手は理解できない内容を抱えたまま、次々と新しい情報を受け取らざるを得なくなります。
これは聞き手にとって大きなストレスとなり、結果として話全体を理解することが難しくなるため、注意が必要です。
話が全て終わってからまとめて質問を受け付ける方式は、聞き手の負担を増大させるため、避けるべきです。
相手の表情から理解度を判断する
相手の表情から理解度を判断する大切さを解説します。
- 表情を観察するメリット
- 暗記による余裕の創出
話している最中に、聞き手の表情を注意深く観察することは、話が相手に伝わっているか、いないかを判断する上で非常に有効な手段です。
表情を観察するメリット
聞き手の表情から、話のどの部分で疑問を抱いているか、あるいは理解が追いついていないかを察知できます。
これにより、その場で追加の説明を加えたり、話すスピードを調整したり、あるいは「ここまでで何か質問はありますか?」と確認を挟んだりするなど、状況に応じて的確な判断と対応が可能です。
このような経験を積み重ねることで、話し手自身のトークスクリプトが確立され、より円滑なコミュニケーションを構築する基礎となります。
したがって、説明を行う際には、まず聞き手の表情をしっかりと観察することを意識してください。
暗記による余裕の創出
聞き手の表情を観察し、状況に応じた対応を取るためには、話し手自身に心の余裕が必要です。
この余裕を生み出すためには、話す内容を事前に完全に暗記し、資料などを見ずに流暢にいえる状態にすることが推奨されます。
内容が頭に入っていれば、話し手は資料に視線を落とす必要がなくなり、聞き手の表情や反応に集中できるため、より細やかなコミュニケーションが可能になります。
応用例と考慮すべき点
応用例と考慮すべき点を解説します。
- 質問への回答における考慮点
- コミュニケーションの多様性
総論から始める話し方が常に最善というわけではありません。コミュニケーションの状況によっては、異なるアプローチが求められることもあります。
質問への回答における考慮点
例えば、相手からの具体的な質問に回答する場面では、比較的、結論から先に話す方が分かりやすい場合があります。
しかし、回答内容が複雑であったり、背景知識の整理が必要であったりする場合には、一度総論のような形で全体の大枠を整理してから、結論を話すという手法も有効です。
このように、コミュニケーションにおいては、状況や相手のニーズに応じた柔軟な対応が求められます。
コミュニケーションの多様性
話し方や話す速さも、聞き手のITリテラシーや性格によって受け取られ方が異なります。
ゆっくり話す方が理解しやすいとわかる人もいれば、速いテンポで話す方が集中できるとわかる人もいます。
そのため、一概に「この話し方が正しい」といえるものではありません。
しかし、どのような話し方や速さを採用する場合であっても、聞き手を「置き去り」にしないという意識を常に最優先にもつことが、コミュニケーションを成功させるための共通基盤となります。
この意識を強くもつことで、多くのコミュニケーション上の課題を解決できると期待できます。
まとめ
相手に話の内容を確実に理解してもらうための「置き去りにしない話し方」には、主に三つの重要なポイントがあります。
ポイント1 | 「総論・結論・詳細、そして再度総論」という構成を活用します。
この構造により、聞き手は話の全体像と具体的な内容を段階的に把握できます。 |
ポイント2 | 話の合間に聞き手へ確認を入れ、認識のずれがないかを確かめます。
これにより、聞き手のストレスを軽減し、常に理解度を維持できます。 |
ポイント3 | 聞き手の表情を注意深く観察し、理解度を的確に判断します。
これは、状況に応じた追加説明や確認、そして説明内容の調整へとつながります。 |
これらの点を意識して実践することで、聞き手を「置き去り」にすることなく、伝わるコミュニケーションが実現します。
なお、ペパコミ株式会社では、「kintone」を活用した業務支援を行っています。業務効率化にお悩みの方は、ぜひ以下からお気軽にご相談ください。
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