元自治体職員歴10年でkintoneに携わってきましたので今回は自治体のkintone活用事例をご紹介します。
自治体には10年、自治体の受託組織には6年の経験があり、実務でkintoneを一人で導入から内製まで取り組んだ経験があります。
今回は、 kintoneでやめられる「自治体の旧来の高額システム例」を紹介すべく記事を執筆いたしました。
予算の削減で効果を出し、市民(ここでは、都民、県民、府民、道民、市民、町民、村民を「市民」という。)の方の利便性もアップさせている自治体も増えているので、ぜひ、参考にしてください。
【kintoneと自治体業務とは】
kintone(キントーン)はプログラミングの知識がなくてもノーコードで、業務のシステム化や効率化を実現するアプリがつくれるクラウドサービスです。 表計算ソフトよりも快適に、専門システムより柔軟に、自社でシステム開発をするよりスピーディー&低コストに、思いついた業務改善をすぐに実行できるのが特長です。 自治体や行政にとっては、データを共有し見える化できるだけでなく、データ一元化により、日ごろの「照合作業」から解放されます。 さらに、kintoneの拡張機能を使って、帳票、ウェブページ、メール、フォームと連携でき、低コストでDXを進める行政機関が続々と増えています。 |
現状では無理のあり、kintoneに変更できるシステム例
1 バラバラの補助金・助成金システム
【旧来の状況】
「補助金・助成金の種類ごとに、約100万円程度の経費をかけて開発を外注するケース」と、「自治体ウェブサイト上でExcelなどの様式をダウンロードできるようにしているケース」がありました。
近年ですと、デジタル庁が運営する補助金の電子申請システム「jGrants(Jグランツ)」の活用で、コストを抑えているケースもあります。
【kintone化した場合の自治体のメリット】
アプリをテンプレート化してkintoneに登録できます。最初にkintoneでできたシステムを流用しながら、新たな補助金・助成金のシステムとして構築できます。そのため、補助金・助成金の制度ごとに、高額のシステムを外注する経費が削減できます。なお、拡張機能は、外部フォーム・マイページ・帳票機能を使います。
【市民・事業者にとってのメリット】
Excelやワードで、様式を何枚も同じようなことを入力して、差し戻されて修正するという負担がなくなります。
2 自治体版CMSだけでは間に合わない情報更新
【旧来の状況】
多くの自治体で、ホームページ管理システムとして、自治体の決裁プロセスが特化されているCMS(Contents Management System)を使っています。
もちろん、こうした情報公開は必要という前提で、ここではシステムをkintoneに変えるわけではありません。しかし、オンタイムでデータ更新が必要なケースでは、CMSだけでは無理があります。そもそも、ウェブサイトは、「静的サイト」「動的サイト」に分類されます。
「静的サイト」は、「誰がいつ、どこで見ても同じ情報、同じコンテンツが表示されるホームページ」のことを言います。まさに、上述したCMSが静的サイトにあたります。しかし、自治体の業務によっては、「アクセスした端末や時間などによって内容が変わるホームページ」という意味の「動的サイト」の機能も必要になります。つまり、CMSでいちいち更新することがそぐわない業務があります。
そんなときに、kintoneは活用できますので具体的にご紹介します。
【kintone化した場合の自治体のメリット】
kintoneの拡張機能には、kViewer(ケービューアー)のように、kintoneの情報をkintoneユーザーではない組織外の人にも情報共有できるものがあります。
その機能を活用し、ウェブページを作成して、kintoneのデータをオンタイムで公開できます。また、公開したいデータだけを選んで、ウェブページに掲載することもできます。
そのまま使うこともできますが、自治体のCMS上で、埋め込み用のタグである「iframeタグ」を使って、埋め込んでオンタイムでの情報更新を閲覧できる状況にすることが可能です。
【市民・事業者にとってのメリット】
窓口の混雑状況など、オンタイムの情報を常に確認することができます。
3 文書管理システム(起案システム)
【旧来の状況】
起案書と添付資料を回議し、公印申請やデータ保存させる「文書管理システム(起案システム)」。電子決裁機能を20年以上前に導入しながらも、添付資料の差し替えなども多く、運用に乗っていない例も多いかもしれません。とはいえ、販売されている文書管理システムの多くは、価格は非公開で数百万円単位と高額です。
【kintone化した場合の自治体のメリット】
起案のデータは行政の業務の根拠が明確になり、引き継ぎ書としての機能も持ちます。グループウェアや業務システムと連携してこそ、便利になります。
ですので、kintoneの活用が促進されている自治体にとって、kintoneやGaroonとの連携ができるツールを選定すると、業務の可視化になり、大きな利便性を生むはずです。
kintoneそのもののプロセス管理機能もアップデートされて使いやすいですが、例えば、拡張機能の「コラボフロー(株式会社コラボスタイル)」などがありますので、比較検討材料におススメです。
4 公共施設案内・予約システム
【旧来の状況】
公共施設予約案内システムは、パソコンやスマホから、公共施設の「空き状況確認」や「利用の予約」などができるシステムです。
空き状況の確認は誰でもできて、予約や申請には、施設の運営基準に照らして、事前の利用登録が必要である場合が多いです。近年では、キャッシュレス決済の活用も検討されています。
また、管理する自治体の側に立てば、入金管理が財務会計システムと連携している等のメリットがあったように思います。
【kintone化した場合の自治体のメリット】
旧来の公共施設予約案内システムも通常時であれば、財務会計システムと連携するなど、金銭管理のデータが一元化でき、問題ありません。
しかし、最近では、災害時の避難所管理システムをkintoneで開発するケースも増えています。避難所は公共施設を使用します。さらに、災害時には、地域の環境や人の情報、備品や食糧の情報が重要でもあります。
最初から、公共施設を取り巻く情報が連携していれば、緊急時に施設を中心に情報共有でき、災害時の避難所運営の滑り出しがよくなるかもしれません。ぜひ、平常時と緊急時の両方の視点で、システムを見直してみてください。
古いシステムの見直しは、現代だからこその視点で
ご紹介したシステム以外でも、市民にとっても、職員にとっても活用しづらいシステムを活用し続けている例があります。例えば、例規集システム、入札システム、地理情報システム。備品管理システム、介護施設や福祉施設の検索システムがそれにあたるでしょう。
全てkintone化しようにも、データ移行の経費がかかってしまいますので、タイミングや予算の確保が必要になります。市民の視点に立って見直しが必要なケースほど、早めに見直しに着手していただければ、と思います。見直しの視点として、例えば、地理情報システムは、市民にとって、その存在もあまり知られていません。
続いて、入札情報等は、RPAツールを使いこなしている人は、自動で情報を取得でき、ITリテラシーによって、優位性がでてきています。また、介護施設や福祉施設の検索システムは、オープンデータ※を活用し、国や自治体ごとのデータを一元化したデータベースで再構築できます。
※ オープンデータとは、「機械判読に適したデータ形式で、二次利用が可能な利用ルールで公開されたデータ」であり「人手を多くかけずにデータの二次利用を可能とするもの」です。つまり、誰でも許可されたルールの範囲内で自由に複製・加工や頒布などができるデータをいいます。もちろん商用としても利用可能です。
「人口統計」や「公共施設の場所」などをはじめとした様々な公共のデータを、ユーザー(市民、民間企業など)に有効活用していただき、社会経済全体の発展に寄与することを目的として、世界中で同様の試みに取り組まれています。
システムは、入れた人が偉いわけではない
今から20年前、庁内では「〇〇さんが、〇〇システムを入れた」と、讃えられていた時代がありました。つまり、段取りして、買い付けたことで褒められていた感じです。価格が高かろうとも……です。
今は、増加した制度や業務に比例して、必要とされるシステムの数も増えたので、昔のような姿勢ではやっていけません。
ノーコードやローコードのツールでコスパよくDXできるだけでなく、相手の立場に立ったシステムづくりを学ぶ機会にもなるkintoneを試してみませんか。
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執筆 ぴょん@ノーコード事務員
元自治体職員でkintoneが大好きです。 自治体には10年、自治体業務の受託機関には6年の経験があり、実務でkintoneを一人で導入から内製まで取り組んだ経験があります。 |
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