kintoneは多くの企業で業務改善ツールとして導入が進められていますが、単にkintoneを導入するだけでは、必ずしも業務の円滑化に繋がるとは限りません。
導入自体を目的としてしまうと、様々な問題が生じる危険性があるため、導入前にその本質的な目的を明確にすることが肝要です。
なお、ペパコミ株式会社では、「kintone」を活用した業務支援を行っています。業務効率化にお悩みの方は、ぜひ以下からお気軽にご相談ください。
kintone導入が業務効率化の目的となる危険性
kintoneの導入は、あくまでも業務を改善するための「手段」であると理解することが重要です。しかし、kintoneを導入すること自体が目的となってしまうケースが散見されます。このような思考は、本質的な業務改善から逸れてしまう可能性を秘めています。
kintoneを導入すればなんとなく業務が改善される、情報が見える化される、データが一元管理できるといった漠然としたイメージを抱く経営者や決済者がいることもあります。
しかし、これらの目標を実現するためには、裏側で地道な作業や現場での具体的な取り組みが必要となります。
kintone導入が目的化すると、現在Excelで作成している見積書を無理にkintoneで作成しようとするなどの思考に陥ることがあります。この考え方は本質的な業務改善に繋がらないため、注意しなければなりません。
具体的な業務での非効率なケース
例えば、見積書作成業務において、現在Excelで作成している場合、kintoneで作成することがかえって非効率になる可能性が高いです。
Excelでは、過去の見積書から必要な部分を一括でコピー&ペーストして再利用する場面が多く見られます。
しかし、kintoneのテーブル機能では、そのような一括コピー&ペーストはできません。一つずつ入力する必要があり、複製機能を使ってもその程度の操作しかできません。
このため、現場ではkintoneを導入したことで、見積書作成の作業に手間がかかるようになったと感じる場合があります。
この点について、見積書作成作業単体を見れば、kintone導入が非効率になるとしても、その見積もりを積算して総合計を算出したり、前後の案件管理や請求管理と紐付けて一連の業務を管理したりする必要がある場合であれば、話は別です。
その場合、見積書作成の手間が一時的に増えたとしても、全体の業務が円滑になるのであれば、kintone導入は意義があると言えます。
現場がkintoneを使う意義を理解する重要性
kintoneを導入しても、実際に現場で利用されなければ、情報が集まらず、導入のメリットは得られません。
現場がkintoneを積極的に利用するためには、導入によって自分たちの業務が楽になるという具体的なメリットを示すことが欠かせません。
現場の業務と課題の理解が不可欠
kintone導入を成功させるためには、現場の業務プロセスと抱えている課題を深く理解することが重要です。
現場の状況を把握せずにシステムを構築しても、現場はkintoneを使うメリットを感じられず、協力しない姿勢になる可能性があります。
現場にkintoneを使いこなしてもらうには、業務フローに合わせてkintoneをある程度調整する必要がある一方、kintoneの仕組みに合わせて業務の一部を変更することも求められます。
kintone導入のメリットを明確に示す
kintoneを導入する際は、導入前と導入後の業務の変化を明確に提示することが非常に重要です。
現場の従業員がkintoneを使うことで、これまでどれだけの手間がかかっていた業務が、どれだけ改善されるのかを具体的に示すことで、前向きな姿勢でkintoneを利用してもらえるようになります。
安易な気持ちでkintoneを導入し、現場の協力が得られなかった場合、将来的に他のシステム導入を検討する際に、過去の失敗から現場が非協力的になる危険性があるため、この点は特に注意が必要です。
費用対効果の把握
kintone導入を検討する際には、費用に対して得られる効果を考慮することが重要です。
費用対効果を算出する方法は、現在の業務にどの程度の時間がかかっているのかを把握することから始まります。つまり、まず行うべきは、現在の業務状況を把握し、データとして集めることです。
具体的には、現状の業務にかかっている時間を月単位で算出します。そして、kintoneを導入することで、その時間がどれだけ軽減されるかを明確にすることで、kintoneを導入する意義が見えてきます。
これにより、会社全体として、また現場の従業員として、kintoneを使用する意義が生まれ、積極的に活用を進めることが可能になります。
kintoneは業務効率化の魔法のツールではない
kintoneの導入事例として公開されているものは、非常に華々しいものが多く見られます。
これらは、実際にkintoneを活用している企業が多大な努力を重ねた結果であり、そのような事例に憧れてkintone導入を検討する気持ちは理解できます。
しかし、現実には、華々しい事例の裏側には、地道で困難な努力が存在することを忘れてはなりません。
そのような努力をする覚悟がない場合、kintoneを安易に導入することは避けるべきであるとされています。
kintone導入が不向きな業務も存在する
kintoneがすべての業務に万能なわけではありません。実際には、kintoneではなくExcelで実施した方が、作業の手間が省ける業務も多数存在します。
kintoneを導入したいという気持ちが先行し、無理にkintoneを導入する理由を探してしまうと、単一業務のみに注目し、その業務をkintoneで行うことに固執してしまう傾向があります。
kintoneが真価を発揮する場面
kintoneは、単一の業務だけで利用するよりも、前後の業務を一括で管理することによって、その真価を発揮します。
例えば、顧客管理から案件管理、見積もり、請求、そしてその後のフォローまで、一連の業務プロセス全体をkintoneで管理することで、情報の連携がスムーズになり、業務全体の円滑化に貢献します。
単一業務の管理だけでも便利さはありますが、劇的な変化をもたらすことは少ないです。
kintone導入で業務改善を目指すための要点
kintoneを導入して業務改善を目指すためには、以下の3つの要点を考慮することが大切です。
- 目的を明確にする
- 現場の課題と現状を把握する
- 費用対効果を考慮する
これらの点を理解し、実践することで、kintone導入の成功に近づくことができます。
目的を明確にする
kintone導入の目的を具体的に設定することが非常に重要です。
単にkintoneを導入するのではなく、「なぜkintoneを導入するのか」「kintoneでどのような業務課題を解決したいのか」を明確にすることで、導入後の方向性が定まります。
目的が曖昧なまま導入を進めると、期待する効果が得られない場合があります。
現場の課題と現状を把握する
kintoneを導入する前に、現場の業務が現在どのように行われているのか、そしてどのような課題を抱えているのかを深く理解することが求められます。
現場の声を丁寧に聞き取り、現状の業務プロセスを把握することで、kintoneを導入する際に、現場が使いやすく、本当に役立つシステムを構築できます。
現場の従業員がkintoneを使うメリットを実感できるような導入計画を策定することが、利用定着への第一歩となります。
費用対効果を考慮する
kintone導入にかかる費用と、それによって得られる業務改善効果を比較検討することが不可欠です。
現在の業務にかかっている時間やコストを具体的に把握し、kintone導入によってそれらがどれだけ削減されるのか、あるいは新たな価値がどれだけ生まれるのかを評価することで、導入の妥当性を判断できます。
これにより、投資に見合った効果が得られるかを客観的に評価し、無駄な投資を避けることに繋がります。
これらの要点を踏まえ、kintone導入は慎重に進めることが求められます。
kintone導入を業務改善に活かすための本質的な視点が必要
kintoneは強力な業務改善ツールですが、導入すること自体が目的化してしまうと、現場の非効率を助長する恐れがあります。
真の業務改善を実現するためには、「なぜ導入するのか」という目的を明確にし、現場の業務内容と課題を深く理解することが不可欠です。
導入によって得られる具体的なメリットを現場に示すことで、システムの定着が進みます。また、費用対効果の視点からも、現在の業務にかかる手間やコストを把握し、それを基にkintone導入の妥当性を判断する必要があります。魔法のようにすべてを解決してくれるわけではないからこそ、冷静かつ戦略的な導入計画が重要です。
なお、ペパコミ株式会社では、「kintone」を活用した業務支援を行っています。業務効率化にお悩みの方は、ぜひ以下からお気軽にご相談ください。
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