SFA(Sales Force Automation)管理にkintoneを導入することは、企業の営業活動における様々な課題を解決し、データに基づいた戦略的な意思決定を可能にします。
この記事では、kintoneを活用したSFA管理の現状の課題から、具体的な改善策、そして基幹システムとの連携における重要な考慮点までを詳しく解説します。
なお、ペパコミ株式会社では、「kintone」を活用した業務支援を行っています。業務効率化にお悩みの方は、ぜひ以下からお気軽にご相談ください。
kintone SFA管理の現状と課題
SFAをkintoneで管理する際、多くの企業は顧客情報、営業活動の記録、そして受注データの扱いに課題を抱えています。
これらの課題を解決し、営業活動を向上させるためには、現状の正確な把握と適切なシステム設計が重要です。顧客情報、活動記録、受注情報のそれぞれにおいて、特有の課題が存在します。
顧客情報管理における現状
企業はkintoneにおいて、企業顧客や個人顧客の情報を管理しています。
顧客の担当者情報として、役職、携帯番号、メールアドレスなども登録されています。これらの顧客情報は、企業基本情報から直接参照される形で運用されています。
営業活動の記録と分析に関する課題
営業社員が顧客を訪問した後、その活動内容は活動登録アプリに記録されます。この活動記録は、顧客マスタである会社基本情報から直接紐付けられる形式を採用しています。
活動記録は将来的には分析に活用されることを想定していますが、現状の運用にはいくつかの課題があります。
活動登録アプリの運用実態
営業日報は1日1回登録される一方で、活動履歴には1日の訪問につき複数件の活動が登録される場合があります。
この運用は実際の営業活動と記録方法の間に差異を生むことがあり、顧客への飛び込み訪問の際に、取引先コードを作成する前に店舗名のみをkintoneに登録する不自然な動きもあります。
案件管理と商品情報における課題
営業担当者からは、案件管理を行いたいという要望があります。
これは、例えばバターの商談を何件行ったかなど、特定の商材ごとの集計を行い、営業所の営業政策を検証したいという目的のためです。
しかし、現在の活動登録アプリには、商材の大分類や中分類を記録する項目がなく、商材ごとの活動を正確に集計することが困難です。
取り扱い商品が非常に多く、商談内容が細かいため、個々の商品の案件管理は難しいという声も聞かれます。このため、商品の大分類での案件管理が検討されています。
もし、ある商材を作るために特定の材料と機械が必要というように、複数の商材が関連する提案の場合、これらを一つの案件として管理することも検討されます。
このような関連性がない提案が同時に行われる場合は、別々の案件として管理する必要があります。
課題の根本的な要因
活動登録を正確に行うのが面倒に感じる、あるいは商品の中分類ごとに訪問件数を集計できるようにしたいという要望があるものの、現場から直接的な強い課題感が示されているわけではない状況もあります。
多くの企業が、取引金額の多い顧客もそうでない顧客も区別なく対応してきた結果、売上を増やすために人員を増やさなければならなかったり、利益が残りにくい体質になってしまったりする課題を抱えています。
このため、正しいターゲットに対し、かけるべき労力をしっかりと割く営業活動への改善が求められています。
受注情報管理の課題とSFAの定義
kintoneにおいては、受注情報が直接管理されていない現状があります。顧客が発注しても、営業担当者が把握せず、社内で処理が進んでしまうケースも存在します。
受注処理と基幹システムとの関係
受注処理は、会計処理を伴うため、何らかのシステムで行われる必要がありますが、kintoneでは行われていません。
受注関連の処理は基幹システムで管理されている状況です。本来、SFA導入の目的を根本的に解決するためには、受注情報をkintoneに登録することが重要になります。
基幹システムからのデータ連携
基幹システムから売上データをCSV形式で出力し、そのデータをkintoneに格納するアプリを構築する方法が現実的であり、導入コストを抑えられる可能性があります。
この方法により、kintone上でも売上データが確認できるようになります。
kintoneでSFA管理を推進するための具体的な施策
kintoneでSFA管理を推進するためには、顧客との関係性強化、営業活動の可視化、そして基幹システムとの連携を意識したアプリの構築と運用が不可欠です。
営業活動の可視化に向けたデータ収集
SFAを推進する上で、まずkintoneで実施するべきは、どの営業担当者が、どの顧客に対し、どのくらいの時間を割いたかを収集できるアプリの構築と運用です。
これにより、営業活動の状況を把握するための基礎データが得られます。
時間管理の具体的な方法
活動時間に関するデータを正確に収集するためには、活動記録アプリに「何時から何時まで」という具体的な時間を入力させる項目を追加する必要があります。
このような詳細な時間記録が、営業活動の分析に役立ちます。
基幹システムとのデータ連携の重要性
kintoneと基幹システムの間で顧客情報が円滑に連携されることは、SFA管理の成功に不可欠です。特に顧客コードの一致は重要な要素です。
顧客コードの統一と運用フロー
kintoneで顧客を先に登録し、後から基幹システムに登録する運用の場合、基幹システムに登録されるタイミングで取引先コードが生成されることになります。
この時、kintoneと基幹システムの取引先コードが一致しないと、将来的に基幹システムからデータをkintoneに連携する際に、データが紐付けできなくなってしまいます。
そのため、運用としては、事務員が受注処理を行う際に、kintoneの顧客マスタを参照し、該当する取引コードを基幹システムに登録することが求められます。
kintoneには、各レコードを識別するためのユニークコードを設定し、基幹システムに登録する際にこのユニークコードを連携することが重要です。
このプロセスを整備しなければ、CSVでのデータ連携も機能しなくなってしまいます。これは非常に骨の折れる作業であり、将来的なシステムの連携を見据えた準備が重要です。
案件管理の実現に向けた検討事項
案件管理の実現は、営業活動の全体像を把握し、戦略的な意思決定を行うために不可欠です。
顧客単位での分析と詳細な分析の必要性
現在の運用方法では、顧客単位での売上とそれに費やした時間という形でデータが取得できます。
この方法でも顧客ごとの分析は可能ですが、特定の商材の商談件数を集計するような、より詳細な分析を行う場合は、活動記録アプリに商品の大分類や中分類といった項目を追加するなどの別の設計が必要になります。
展示会案内などのイベント記録
展示会への案内件数や、イベントへの参加履歴なども、顧客情報と紐付けて記録したいという要望があります。
このような様々なパターンに対応するため、イベント名や組織といった項目を設定し、後から絞り込みができるようにすることで対応が可能です。
まとめ
kintoneでSFA管理を成功させるためには、現状の課題を明確にし、データ収集の仕組みを整備することが重要です。
特に、営業活動の時間管理と、基幹システムとの顧客コード連携は、スムーズなSFA運用の基盤を築く上で不可欠な要素です。
これらをkintone上で実現することで、営業活動の可視化が進み、データに基づいた戦略的な営業が実現します。
なお、ペパコミ株式会社では、「kintone」を活用した業務支援を行っています。業務効率化にお悩みの方は、ぜひ以下からお気軽にご相談ください。
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