kintone(キントーン)の導入を検討している企業にとって、その成功は初期の「作り込み」、つまりシステムの設計と構築に大きく左右されます。
導入初期の設計に失敗すると、後から修正することが非常に困難になる部分があるため、最初の段階での丁寧な対応が求められます。
この初期の設計精度を高めるために特に重要なのが、導入前の「事前ヒアリング」です。
すべての部署から意見を収集し、現場の状況や課題を正確に把握することは、将来的な困難を避けるためにも不可欠であると言えます。
また、本記事の内容はプラグインの本来の目的や全ての使い方を網羅しているわけではない可能性があることを理解しておきましょう。
実際にプラグインを導入する際は、提供元が公開している公式情報なども合わせて確認することをおすすめします。
あくまで「こんなことが出来るんだ。」というイメージをしてもらう目的で記事にしていることをご了承下さい。
なお、ペパコミ株式会社では、「kintone」を活用した業務支援を行っています。業務効率化にお悩みの方は、ぜひ以下からお気軽にご相談ください。
kintone導入時に直面する共通の課題
kintone導入時に直面する共通の課題を解説します。
- 情報の一元管理と可視化に関する課題
- 見積書作成と管理の課題
- 情報共有の課題
kintone導入を検討する企業が抱える課題には共通する点が多く見られます。これらの課題を事前に深く理解することは、適切なkintone導入計画を立てる上で非常に重要です。
情報の一元管理と可視化に関する課題
現在、特定の担当者しかデータを管理していない場合、顧客がどのような商材を導入しているか、電話対応時にすぐに把握できないという問題があります。
これにより、業務の停滞や非効率が生じる可能性があります。情報が見える化されていないため、必要な情報にたどり着くまでに多大な労力を要することも珍しくありません。
例えば、営業部門が利用している既存のSalesforce(セールスフォース)のようなシステムは、営業担当者しかアクセスできない状況にある企業も存在します。
kintoneを導入する目的の一つとして、他の担当者にもIDを付与し、情報を全体的に見える化したいという要望があります。
見積書作成と管理の課題
見積書の再作成に手間がかかることや、見積書作成が個人のスキルレベルに依存していることも課題として挙げられます。
見積書の書式が統一されておらず、会社として書式の統一を望んでいる場合も存在します。
この見積書統一の意向が経営層からのものである場合、現場の複数部署からの意見を十分にヒアリングし、その状況を吸い上げなければなりません。
現場からの意見を反映させなければ、導入後に予期せぬ問題が発生する可能性を秘めているためです。
情報共有の課題
部署間の情報共有が不足していることも、kintone導入を考える上でよく見られる課題です。
特に、特定の部署の情報(例えば営業部門の情報)が他の関連部署にスムーズに共有されない現状は、全体の業務プロセスを阻害する要因となりかねません。
kintone導入で事前ヒアリングで確認すべき主要な項目
事前ヒアリングで確認すべき主要な項目を解説します。
- 既存システムからの移行要件
- アプリ設計とデータ構造の確認
kintone導入の成否を分ける事前ヒアリングでは、多岐にわたる項目を詳細に確認する必要があります。
既存の業務プロセス、現行システムからの移行要件、そして具体的なアプリ設計に関する深い理解が求められます。
既存システムからの移行要件
Salesforceなどの既存システムを導入している場合、kintoneへの移行を検討する際に、既存システムでどのような管理が行われているのか、その機能をkintoneで代替するにあたり何が絶対に必要な機能なのかを深く掘り下げて確認する必要があります。
特に、営業活動における案件管理の状況は重要です。
案件管理が受注前の段階を指すのか、それとも受注後のプロセスを含むのか、その詳細な業務フローを把握することが欠かせません。
案件管理は通常、受注に至る前に行われ、受注後に具体的な商材(複合機、ビジネスホン、カメラなど)の管理アプリへ移行するのが一般的な流れです。
この流れと現状の業務プロセスに齟齬がないかを確認することは、スムーズな移行のために重要であると言えます。
アプリ設計とデータ構造の確認
kintoneの導入では、顧客管理、案件管理、そして複合機、ビジネスホン、カメラといった各商材の管理アプリを含めた全体設計が重要になります。
アプリ設計においては、アプリ間の親子関係を明確にすることが非常に重要です。この関係性を意識することで、データの流れと連携が円滑になります。
例えば、商品マスターに複数の商品項目をまとめて入力するテーブル形式のデータがある場合、そのデータを分解し、個別のレコードとして関連表示させるためのプラグイン活用なども検討事項となります。
これにより、より詳細な情報管理が可能です。
また、貴社が利用しているkintoneドメインの契約状況、例えばグループ会社が契約しているか、そしてそのkintoneドメインをどの代理店から購入しているかを確認することも大切です。
現在相談している内容について、その代理店にすでに相談しているかどうかも確認すべき項目に含まれます。
kintone導入を成功に導くためのポイント
kintone導入を成功に導くためのポイントを解説します。
- 全部署からの意見収集と意思統一
- 段階的な導入と柔軟な運用
kintoneの導入を成功させるためには、事前ヒアリングを通じて得られた情報を基に、いくつかの重要なポイントを考慮して進める必要があります。
全部署からの意見収集と意思統一
kintone導入は一部署だけの問題ではありません。すべての部署から意見を収集し、現場からの生の声を聞き入れることが重要です。
これを怠ると、導入後に予期せぬ困難に直面する可能性があります。
企業全体としてkintoneを導入する目的を明確にし、部署間の認識のずれをなくすことで、スムーズな導入と活用へと繋がります。
kintoneの段階的な導入と柔軟な運用
kintoneの初期構築は非常に重要ですが、一部のアプリについては運用を開始した後でも柔軟にカスタマイズしていくことが可能です。
そのため、すべてを完璧に作り込む必要はなく、優先順位をつけて段階的に導入を進めることも選択肢の一つです。
アプリの設計においては、データの流れが上流から下流へとスムーズに流れるような構造を心がけることが望ましいでしょう。
これにより、データの連携が容易になり、全体の運用が円滑になります。設計の初期段階で全体的な方向性が大きくずれていないかを確認することも、重要な要素の一つです。
kintone導入後のサポート体制
kintone導入後のサポート体制に関して解説します。
- 運用サポートの提供
- 専任担当者による継続的な支援
kintoneは導入して終わりではなく、その後の運用が非常に重要です。多くの企業がkintoneの運用サポートサービスを提供しています。
運用サポートの提供
kintone導入を支援する企業によっては、運用サポートプランを提供している場合があります。
これらのサポートプランは、ライト、スタンダード、プレミアムといった複数の段階に分かれているケースも少なくありません。
サポートの内容には、システムのメンテナンスや、利用者がkintoneを使いこなせるようにするための詳細な教育が含まれます。
専任担当者による継続的な支援
運用サポートでは、kintoneに精通した専任の担当者が定期的にサポートを行うことがあります。
このようなサポート担当者は、kintoneの知識が深く、システムを継続的に改善していく上で重要な役割を果たします。
クライアントの要望によっては、システム全体の構築を依頼するのではなく、スポット的なアドバイスや特定の部分のみの構築支援といった柔軟なサポートを受けることも可能です。
まとめ|kintone導入の成功にはヒアリングが欠かせません
kintoneの導入を成功させるためには、徹底した事前ヒアリングが不可欠です。
情報の一元管理と可視化、見積書作成と管理、そして情報共有に関する企業が抱える課題を深く理解することから始めます。
既存システムからの移行要件や、顧客管理から案件管理、そして各商材の管理へとつながるアプリ設計とデータ構造を明確にする必要があります。
全部署からの意見を収集し、導入の意思を統一すること、そして必要に応じて段階的な導入と柔軟な運用を心がけることで、kintoneは企業の情報資産としてその価値を最大限に発揮し、業務の効率化と透明性の向上に貢献するでしょう。
なお、ペパコミ株式会社では、「kintone」を活用した業務支援を行っています。業務効率化にお悩みの方は、ぜひ以下からお気軽にご相談ください。
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