kintoneでWEB制作会社の危機を救うには?請求管理から案件管理まで一元化

小川喜句

ペパコミ株式会社代表取締役小川 喜句

ペパコミ株式会社代表取締役。youtubeにて「kintone活用ちゃんねる」と、kintoneのプラグインメディア運営。kintoneの構築や内製化を伴走支援を行なっており、kintone運営会社「サイボウズ社」のビジネスにおいて、顕著な実績を上げたパートナー企業や個人を表彰する制度である「CYBOZU AWARD 2022」を受賞。サイボウズ評価制度4年連続2つ星を受賞し、セールス部門(2023~2025年) インテグレーション部門(2022~2025年)も受賞。

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WEB制作会社は、その業務の性質上、複数の案件を同時並行で進めるため、請求書発行や案件管理において特有の課題を抱えることがあります。

本記事では、kintoneでWEB制作会社の危機を救う方法について詳しく解説します。

なお、ペパコミ株式会社では、「kintone」を活用した業務支援を行っています。業務効率化にお悩みの方は、ぜひ以下からお気軽にご相談ください。

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目次

WEB制作会社が直面する経営上の課題

WEB制作会社が直面する経営上の課題

WEB制作会社が直面する経営上の課題は主に以下の2つです。

  • 請求書発行の遅延と業務の複雑化
  • 散在する情報と連携の課題

それぞれ詳しく解説します。

請求書発行の遅延と業務の複雑化

請求書発行の遅延と業務の複雑化 

あるWEB制作会社では、主にウェブマーケティング全般の受託業務を実施しています。

事業は、YouTube運用代行、X(旧Twitter)運用代行、そしてウェブサイト制作、システム開発、LP制作などのデザイン・ブース関連業務の3部門に大きく分かれています。

売上の約4割はYouTube運用代行が占め、X運用代行が2〜3割を占めます。 

売上の約4割はYouTube運用代行が占め、X運用代行が2〜3割を占めます。 

この会社が抱える最も大きな課題は、請求書発行ができていない点にあります。

具体的には、クライアントへの請求書作成を忘れる、または作成しきれていない状態が散見されます。さらに、外注先からの請求書内容も十分な確認が行えず、受け取った通りの金額を支払っているため、請求金額が正しくない可能性も認識しています。 

現在、月間約150通の請求書を手作業で作成しています。スプレッドシートで案件を管理し、経理ソフトのオンラインサービス「みそか」へ個別に転記しています。

各案件の情報は動画の分数や単価に基づいてスプレッドシートに入力されますが、クライアントごとに単価が異なるため、自動計算が困難な場合があり、手入力に頼る部分が多くなっています。 

請求書発行の最終確認は社長が約3日をかけて行い、入力ミスがないかを確認します。この確認プロセスが、業務のボトルネックとなっています。

散在する情報と連携の課題

散在する情報と連携の課題

案件の進捗管理や動画ごとの詳細情報もスプレッドシートで管理されていますが、異なるシート間での情報連携が複雑です。

例えば、動画に関するシートと動画以外の業務に関するシートがあり、それらを連携させて請求明細を作成するシートを構成しています。

このように、情報が複数のスプレッドシートに分散し、手作業での転記や確認が必要なため、全体像の把握が困難です。

また、案件の入力や請求金額の確認は担当者や経理が分担しますが、入力ミスの確認作業は社長に集中し、全体の業務フローを非効率にしています。

動画の完成データやサムネイルの編集データも、現在はギガファイル便のURLなどで外部に保存し、スプレッドシートにはリンクを貼る形で管理しています。これらの情報も一元的に管理することが求められています。

kintoneの基本機能とその特徴

kintoneの基本機能とその特徴 

kintoneは、業務プロセスを改善し、情報の一元管理を実現するクラウドサービスです。このセクションでは、kintoneの基本的な概念と主な特徴について説明します。

アプリで業務をクラウド化する

アプリで業務をクラウド化する

 kintoneの大きな特徴は、業務に必要な「アプリ」を簡単に作成できる点にあります。

スマートフォンのアプリと同様に、自社の業務に合わせてカスタマイズしたアプリを作成できます。

例えば、有給申請や経費精算の業務をクラウド化したい場合、kintone上でアプリを構築するだけで実現可能です。

アプリの作成は、必要な項目をドラッグ&ドロップで配置する直感的な操作で行えます。これにより、社内のあらゆる業務をクラウド上で管理できる環境を構築できます。

アプリ同士の連携による情報の一元管理 

アプリ同士の連携による情報の一元管理 

kintoneのもう一つの重要な特徴は、作成したアプリ同士を連携させ、情報の一元管理を実現する点です。

例えば、顧客管理アプリに顧客の基本情報を集約し、その顧客に関する過去の活動履歴、案件履歴、請求履歴、契約締結履歴などを関連付けて見ることが可能です。

これは、活動履歴アプリや案件管理アプリといった異なるアプリに入力されたデータが、顧客コードなどの情報で紐付けられ、顧客管理アプリからまとめて参照できるようになる仕組みです。

この機能により、管理者は顧客管理アプリを見るだけで、その顧客に関するすべての情報を包括的に把握できます。 これにより、例えば、顧客の現在の状況や納品遅延の有無などを一目で確認できるようになり、サービスの品質向上にも寄与します。

kintoneによる業務改善の具体的なステップ

kintoneによる業務改善の具体的なステップ 

前述の通り、kintoneはWEB制作会社が抱える様々な課題を解決に導く可能性を秘めています。このセクションでは、kintoneを活用した具体的な業務改善のステップについて解説します。

案件管理から請求管理までを一貫して行う

案件管理から請求管理までを一貫して行う

kintoneで業務を構築する際には、顧客の管理から案件の進捗管理、契約管理、そして請求管理までを一貫して行う設計が有効です。

具体的なアプリの設計としては、顧客マスタアプリ、案件管理アプリ、活動メモアプリ、契約管理アプリ、そして請求管理アプリといった構成が考えられます。

この一貫した管理により、手作業での転記ミスや請求漏れのリスクを大幅に削減し、請求書発行業務の負担軽減を図れます。

社長が請求書の内容を最終確認する際も、請求管理アプリで合算請求書を確認し、問題なければボタン一つで発行する流れが想定されます。

外部連携とデータ活用

外部連携とデータ活用

 kintoneは、CSV出力機能を備えており、指定した項目をCSV形式で出力できます。

これにより、例えば外部の銀行システムと連携し、外注先や社員への振込業務をスムーズに行えます。月間150人から200人規模の振込業務にも対応可能です。 

また、kintone内では、案件ごとのデータが「レコード」として蓄積されます。このデータベース機能により、レコード数が増加しても性能上の問題は発生しません。

蓄積されたデータは、顧客別の月別利益表をリアルタイムでクロス集計したり、棒グラフで表示したりするなど、様々な形で活用できます。これは、業務の改善だけでなく、売上向上に向けたデータ分析にも寄与します。

外注先や社員への支払い管理

外注先や社員への支払い管理

外注先や社員への支払い管理については、別途「仕入れ支払い管理アプリ」を設けることが考えられます。

外注先から請求書が届いた際にこのアプリに登録することで、例えば外注コードで紐付けられた過去の発注履歴と照合し、請求金額の正確性を確認できます。

これにより、個別の外注先ごとの粗利益を把握するといった、より詳細なデータ分析もkintone内で実施可能になります。

kintone導入後の運用と考慮事項 

kintone導入後の運用と考慮事項

kintoneの導入は一度で完結するものではなく、運用を通じて継続的に改善していくプロセスが重要です。

現場への浸透とトップダウンの必要性

現場への浸透とトップダウンの必要性 

kintoneの導入後、特に現場の作業者が契約管理アプリへの正確な登録を行うかどうかが、システム運用の成否を左右する重要な課題です。

スプレッドシートとは異なり、kintoneでは原則として1申請ごとにデータを入力する形式のため、入力が面倒に感じられる可能性があります。例えば、スプレッドシートでは一覧画面で直接編集や追加ができ、過去の記録を見ながら入力できますが、kintoneの一覧画面では直接編集ができないため、個別にレコードを開いて修正する必要があります。

プラグインの活用によりExcelのように一覧画面での編集も可能ですが、操作感は異なります。

そのため、社長や役員が先導し、入力ルールの徹底や、時にはトップダウンで現場を動かす姿勢が求められます。 最初の構築は全体の約60%程度の完成度で開始し、その後、現場からのフィードバックを基に改善を繰り返し、100%に近づけていくPDCサイクルを回すことが重要です。

この過程で、現場の意見を参考にしつつ、最終的な目的達成のために、時には特定の要望を優先しない判断も必要となります。

スマートフォンでの利用とアクセス権限

スマートフォンでの利用とアクセス権限 

kintoneはスマートフォンにも対応していますが、入力画面の視認性や操作性はパソコンと異なるため、スマートフォンでの利用箇所を事前に定めて、それに合わせたアプリ設計を行う必要があります。

スマートフォンからの入力が難しい場合もあるため、入力しやすさを追求しながら調整を進めます。 また、アクセス権限については、現時点では全てのユーザーが全ての情報を見れる設定でも問題ありません。

しかし、将来的に特定のディレクターが自身の案件のみを見れるようにするなど、アクセス権限の制御が必要になった場合でも、kintoneは柔軟に対応できます。入力者はディレクターを想定し、末端の作業者が直接入力を行うことは推奨されません。

費用感

費用感

kintoneのライセンス費用は1ユーザーあたり月額1,800円です。最低5ユーザーからの契約が必要です。仮に、経理や役員、ディレクターを含め15アカウントで運用する場合、月額ライセンス費用は約27,000円です。

これに加えて、アプリ間の連携など、標準機能で対応できない部分を補完するための「プラグイン」費用が必要となる場合があります。例えば、KrewDataは月額12,000円です。

まとめ

まとめ 

kintoneは、WEB制作会社が抱える請求書発行の遅延や複雑な案件管理といった課題に対し、包括的な解決策を提供できるクラウドサービスです。

アプリによる業務のクラウド化、アプリ間の連携による情報の一元管理、CSV出力機能による外部連携、そして詳細な支払い管理など、多岐にわたる機能で業務の改善と経営の立て直しを支援します。

導入においては、現場への浸透と継続的な改善が成功の鍵を握ります。kintoneを導入し、業務プロセスを改善することは、単なる業務負担の軽減に留まらず、サービス品質の向上や売上増加にも寄与するでしょう。

なお、ペパコミ株式会社では、「kintone」を活用した業務支援を行っています。業務効率化にお悩みの方は、ぜひ以下からお気軽にご相談ください。

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小川喜句

ペパコミ株式会社代表取締役小川 喜句

ペパコミ株式会社代表取締役。youtubeにて「kintone活用ちゃんねる」と、kintoneのプラグインメディア運営。kintoneの構築や内製化を伴走支援を行なっており、kintone運営会社「サイボウズ社」のビジネスにおいて、顕著な実績を上げたパートナー企業や個人を表彰する制度である「CYBOZU AWARD 2022」を受賞。サイボウズ評価制度4年連続2つ星を受賞し、セールス部門(2023~2025年) インテグレーション部門(2022~2025年)も受賞。

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