kintoneで自治体の人事異動に強くなる! 属人化しない「引継ぎ」や「事務分担」の方法

小川喜句

ペパコミ株式会社代表取締役小川 喜句

ペパコミ株式会社代表取締役。youtubeにて「kintone活用ちゃんねる」と、kintoneのプラグインメディア運営。kintoneの構築や内製化を伴走支援を行なっており、kintone運営会社「サイボウズ社」のビジネスにおいて、顕著な実績を上げたパートナー企業や個人を表彰する制度である「CYBOZU AWARD 2022」を受賞。サイボウズ評価制度4年連続2つ星を受賞し、セールス部門(2023~2025年) インテグレーション部門(2022~2025年)も受賞。

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人事異動が多い地方自治体では、「属人化した状態の業務」はとても嫌がられます。

行政は人事異動が多い仕組みのため、たとえ異動後であっても、少しでも早く業務を把握し即戦力として役に立つことが求められます。3月に行われる内示のあと、まったく違う分野に入っていき、初めて知り合った職員ばかりのなかで、4月には主担当として動かなければなりません。

そのため、特定の人しか対応できない「属人化」は、非常に嫌がられます。仮に、kintoneで業務効率化しても、後任者が快く受け入れてくれるとは限りません。しかも、ITリテラシーが絶望的に低く、DXに協力する姿勢が皆無の管理職も一定数います。こうした状況から、引継ぎがうまくいかなければ、前任者が非難の的になってしまうこともないとは言えません。

そこで、当記事では、自治体のkintone活用に際し、属人化させない工夫をご紹介しますので、役立てていただけると幸いです。

なお、ペパコミ株式会社では、自治体でも数多く伴走支援や研修を行っています。kintone活用や引継ぎや研修にお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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目次

そもそも、自治体で属人化が嫌がられるのは「人事異動」が主な理由

そもそも、自治体で属人化が嫌がられるのは「人事異動」が主な理由

異動の多さから、自身の担当業務をkintoneを活用してDXに取り組み、成果を出したとしても、担当者の異動後、円滑に進まない可能性があるジレンマを抱えています。

属人化が嫌がられる主な要因である「自治体の人事異動」の特徴は、次の3点を中心にご紹介します。

  1. 3~5年のペースの人事異動の要因は不正防止
  2. 異動後の即戦力とは、事業と非正規職員をマネジメントできる状況
  3. 1~2年の上司の異動に合わせた対応

そのため、ノーコードツールでのシステム内製に対しても、「属人化するじゃないか!」と批判されることも少なくありません。

さっそく、それぞれの人事異動の背景や状況を確認していきましょう。

3年から5年のペースの人事異動の要因は不正防止

地方自治体を含む行政では、行政職の一般職員は、人事異動が3年から5年が多いです。理由は、業務上横領や収賄の防止と言われています。

例えば、地方自治体の業務上横領は、警察庁の統計によると、業務上横領の認知件数は2023年に1,916件でした。なお、地方公共団体数は1,788団体(2024年10月時点)であり、職員数は約281万人(2024年4月時点)です。

不正の要因として、「職員が同じの部署に長年配置され関係企業との癒着につながる」とも考えられています。そのため、不正の防止という目的でも、定期異動が存在しています。

異動後の即戦力とは「主担当として、事業と非正規職員のマネジメント」

自治体では、正職員は、若手や新人であっても、担当業務のマネジメントができなくてはなりません。一例としては、3月後半に異動の内示があり、4月には、未経験業務で、部署内に知人がいなくとも滞りなく業務を担当することになります。

しかも、担当業務のみならず、業務ごとに配置されている非正規職員への指示だしも含まれます。そのため、落ち着いたペースで業務を把握することはあまりできません。

1~2年の「上司の異動スパン」に合わせた対応も必要

一般の職員の異動は3年から5年という自治体でも、局長や部長、課長の異動のペースは1年から2年ということも少なくありません。例えば、優秀な人ほど、異動のペースが早いという指摘もあります。例えば、うまくいってない部署の「立て直し」のセンスがある管理職は1年ごとの異動をしている例もありました。それだけ、課長らの考え方次第で、事業や業務が進化することも退化することもあります。

課員は、課長たちの異動のたびに「事務や事業の把握のための説明」に付き合わなくてはなりません。kintoneを円滑に継続するには「人事異動の特徴」に即した工夫が必要です。

組織単位で「kintoneを属人化させない方法」

組織単位で「kintoneを属人化させない方法」

続いて、kintoneでDXに成功した事務や事業を後任者に代わっても継続していくため、組織単位の工夫をご紹介します。

  1. 事務分担を「自己完結型」から「情報共有型」へ
  2. 個人の資質に寄ってしまいがちな「前任者からの引継ぎ」の標準を定める
  3. 人事部門に「円滑な異動方法の提案」「研修の希望」を伝える

事務分担を「自己完結型」から「情報共有型」へ

まず、今いるメンバー間の情報共有を確実にしてみましょう。例えば「事務分担」が大雑把だと、業務に関する共通認識が滞ります。

具体的には次の2例で比較しましょう。

自己完結に陥りやすい事務分担の例

自己完結に陥りやすい事務分担の例

事業単位だけで分担するスタイルですと、事業の一切を主担当だけで抱え込んでしまいます。年度ごとに担当をまわしていくこともありますが、実務の共通認識づくりには直結しません。

情報共有しやすい事務分担の例

情報共有しやすい事務分担の例

事業ごとに、細かく業務をわけるスタイルがおすすめです。年度ごとに主担当を代えることで、事業だけでなく、実務も広範囲に経験することができます。

このように、事務分担を工夫し、複数のメンバーがkintoneの管理に携われる機会を増やすことも手です。

個人の資質に寄ってしまいがちな「前任者からの引継ぎ」の標準を定める

後任者への引継ぎは、地方自治法で、義務として明文化されています。後任者が円滑に業務を遂行できるように行うためには、kintoneについても、引継ぎ事項として入れるべきでしょう。

とはいえ、行政には、ITリテラシーが極端に低い管理職やデジタル化に嫌悪感を示す職員、押しつけが増し過ぎる前任者など、慢性的に、人の問題も抱えているので、引継ぎが丁寧でも油断できません。

しかし、ノーコードでの内製で、財源を多く使い過ぎないでデジタル化できる仕組みは、もはや手放せないでしょうから、庁内や部署内で、kintoneの引継ぎに関してもルールを明示しておきましょう。

人事部門や研修機関に「kintone研修の必要性」を伝える

自治体の人事部門や行政マネジメント部門が現場をわかっているとは限りません。とくに、「総務や企画ばかりまわる人」「窓口ばかりの人」と、経験が偏る異動ばかり行っているケースもあり、人事部門が業務や人材を把握する力があるとは限りません。ですので、的外れな異動や研修、組織改編が行われることも少なくありません。

ですので、異動希望届で文章を入れられる欄や、研修後のアンケートの機会には、kintoneの活用促進と研修の希望を書いて、しっかり伝えていきましょう。

人事部門に伝えづらい場合は、自治体が出資している「都道府県の自治研修センター」や、「市町村アカデミー」でも機会があれば伝えていきましょう。実際に「市町村アカデミー」では、令和7年度から、kintone研修が組み込まれ始めています。

担当者ができる「kintoneを属人化させない方法」

担当者ができる「kintoneを属人化させない方法」

続いて、担当者や部署単位でもできる「属人化させないkintone活用方法」を次の3つを例にご紹介します。

  1. kintoneの引継ぎで優先的に把握してもらう項目を挙げる
  2. 取り組みやすい「kintoneのポータル」を準備する
  3. 部署単位でもkintoneの研修や伴走支援を行う

なお、このブロックでご紹介するのは、自治体のDX部門が統括する意味でのkintone担当者の引継ぎではなく、各事業の担当者でkintoneでシステムの内製を行った職員間の引継ぎについての説明です。

kintoneの引継ぎで優先的に把握してもらう項目から明確にする

kintoneでシステムを内製した職員の引継ぎの際に、最初に思い浮かべるのは、「操作マニュアル」かもしれません。ですが、マニュアル作成はバージョンアップに対応しきれず、必要とも言い切れません。

まずは、次のように「後任者が優先的に把握する事項」を中心に一年間を通じ情報を整理していきましょう。

<優先的に把握する事項>

  1. kintone・プラグイン
  2. 学ぶ方法
  3. 管理者
  4. 公開前にチェックする公開範囲
  5. 改修方法
  6. 予算措置
  7. 内部ルール
  8. 他自治体の事例

部署単位でもkintoneの研修や伴走支援を行う

DX人材育成は急務なので、全庁的な研修を待つだけでなく、定期的に、部署内でのワークショップなどを企画してみましょう。

近年、全国の自治体のDXの部門や人事部門による全庁的な研修も増えました。さらに、DX部門や行政マネジメント部門による「伴走支援の体制」を設けるケースも増えています。

とはいえ、全庁的な研修を待っていると、引継ぎにちょうどいいタイミングを逃してしまうかもしれません。例えば、kintone化した業務を引き継いだ職員にとって、同じ部署の職員に気軽に相談できれば、より一層、安心して取り組めます。

初心者が取り組みやすい「kintoneのポータル」を準備する

部署別や事業別のポータルに参考になる情報をまとめておくと親切です。前任者にわざわざ聞くことは萎縮する人でも、目にするところに掲載されていれば参考にしやすくなります。

例えば、弊社のkintone活用ちゃんねるでは、次の動画を公開しておりますので、よかったらご活用ください。

「kintoneとは」

「kintoneアプリ作り方」

なお、ポータルの工夫は詳しくは、こちらも参考にしていただけます。

kintone(キントーン)ポータルのカスタマイズ方法を徹底解説!使いやすくするアイデアをご紹介

属人化させない「自治体のkintone活用」には研修が効果的

今回、ご紹介したように、kintoneの導入には、属人化への対策も必要です。また、大きな失敗なく進めるためには、プロの手を借りる方が安全でもあります。そのため、kintoneの研修や伴走支援をお願いするパートナー企業の選定が非常に重要になります。

kintoneの研修や伴走支援なら、ペパコミ株式会社へご相談ください

ペパコミ株式会社は、kintoneやプラグインの研修や自治体での伴走支援に定評があるパートナー企業です。

そのため、kintoneを短期間に効率的かつ実践的に学び、現場に寄り添った研修をご用意しております。さらに、属人化させないコツもアドバイスでき、活用事例の情報も豊富です。まずはお気軽にご相談ください。

小川喜句

ペパコミ株式会社代表取締役小川 喜句

ペパコミ株式会社代表取締役。youtubeにて「kintone活用ちゃんねる」と、kintoneのプラグインメディア運営。kintoneの構築や内製化を伴走支援を行なっており、kintone運営会社「サイボウズ社」のビジネスにおいて、顕著な実績を上げたパートナー企業や個人を表彰する制度である「CYBOZU AWARD 2022」を受賞。サイボウズ評価制度4年連続2つ星を受賞し、セールス部門(2023~2025年) インテグレーション部門(2022~2025年)も受賞。

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