近年、DX化の推進やそれにともなうクラウド化の潮流によって、多くの企業で業務効率化ツールが導入されています。
しかし、世界中でリリースされている業務効率化ツールは、数多く存在します。
多様な選択肢のなかからどのツールを利用すればいいかわからない、と考える人も少なくないでしょう。
複数の業務効率化ツールを併用しても、かえって時間と手間がかかってしまい、結果的に非効率的になることが考えられます。
とはいえ、すべての業務を一元化できるツールはありません。
そのため、現実的にはどうしても複数の業務効率化ツールを併用する必要があります。
そこで、これらの悩みや課題を解決してくれるのが、kintone(キントーン)のAPI連携です。
kintone(キントーン)のAPI連携を利用することによって、外部システムとの連携やカスタマイズを可能にし、業務にかかっていた時間やコストを削減できます。
そこで今回は、kintone(キントーン)のAPI連携でできることや設定方法、活用事例などを徹底解説します。
実際にkintone(キントーン)の導入を検討している人は無料相談してみましょう。
kintone(キントーン)のAPI連携とは?
そもそもAPIとは「アプリケーション・プログラミング・インタフェース(Application Programming Interface)」の略称で、アプリケーション同士やアプリケーションとプログラムを連携するための接点(インターフェース)のことです。
簡単に説明すると、異なる外部のソフトウェアやアプリケーション同士をつないでやり取りするための「窓口(に関する決まりごと)」のようなイメージです。
サービスのユーザーとしてAPIを意識して利用していることはあまりありませんが、実は私たちの身近に存在しています。
APIを利用した身近な代表例は、以下のとおりです。
- グルメサイトから地図アプリに遷移するために、最新の地図情報を掲載する
- Webサービスを利用する場合に、SNSのアカウント情報を利用してログインする
- 買い物で電子マネー決済をする場合に、電子マネーの決済情報をやり取りする
業務改善プラットフォーム「kintone(キントーン)」でもAPIを利用できます。
kintone(キントーン)のAPI連携を利用することによって、外部サービスとのデータの連携や機能の拡張などが実現します。
kintone(キントーン)のAPI連携を利用する2つのメリット
kintone(キントーン)のAPI連携を利用する主なメリットは、以下のとおりです。
- データの一元管理ができる
- シングルサインオンができる
それぞれのメリットを具体的にみていきましょう。
API連携を利用するメリット①データの一元管理ができる
kintone(キントーン)のAPI連携を利用する1つ目のメリットは、データの一元管理ができることです。
kintone(キントーン)には、データの蓄積や検索ができるデータベース機能と業務上の円滑なやり取りができるコミュニケーション機能が備わった業務システムの「アプリ」があります。
アプリはさまざまな業種や業務に対応し、それぞれのユーザーにとって必要な数だけ追加できます。
このように、kintone(キントーン)はユーザーにとって最適な業務アプリを作成でき、データの蓄積や一元管理が可能です。
データを一元管理できるだけでなく、データや機能を外部システムと連携できることによって、1つの業務に対して複数のソフトを利用する必要がありません。
その結果、以下のようなメリットが生まれます。
- 入力や転記など工数の削減
- 人的ミスの減少
API連携を利用することで、業務効率化や業務品質の向上につながるでしょう。
API連携を利用するメリット②シングルサインオンができる
kintone(キントーン)のAPI連携を利用する2つ目のメリットは、シングルサインオンができることです。
シングルサインオン(SSO)とは、1組のIDとパスワードでユーザー認証(ログイン)を一度行うだけで、複数のサービスやシステムでもログインして利用できる仕組みのことです。
通常、サービスのユーザー認証(ログイン)を突破するには、それぞれのサービスでIDとパスワードが求められます。
しかし、シングルサインオン(SSO)では、1つのIDとパスワードを利用してまったく別の複数サービスでもログインができます。つまり、追加の認証は必要ありません。
IDとパスワードを一元管理して、外部の認証サービスと連携することで得られるメリットは、以下のとおりです。
- セキュリティリスクの削減
- 運用管理リソースやコストの削減
それぞれのサービスやアプリで複雑で冗長なパスワードを設定して覚える必要がないため、人為的なミスや脆弱性による情報漏洩を防ぎ、セキュリティリスクを削減します。
また、IDの誤入力によるロックやパスワードの失念など、従来の運用管理体制では問題となっていた社内のシステム部門のリソースやコスト面での負担が軽減されます。
kintone(キントーン)のAPI連携を利用する2つのデメリット
kintone(キントーン)のAPI連携で得られるメリットは多いですが、デメリットや注意点も理解したうえで利用することが大切です。主なデメリットや注意点は、以下のとおりです。
- プログラミング言語の知識が必要になる
- API連携先に左右される
デメリットもそれぞれ詳しくみていきましょう。
API連携を利用するデメリット①プログラミング言語の知識が必要になる
kintone(キントーン)のAPI連携を利用する1つ目のデメリットは、プログラミング言語の知識が必要になることです。
kintone(キントーン)は基本的にノーコードで業務アプリを作成できるため、利便性の高い業務改善プラットフォームです。
しかし、API連携でカスタマイズする場合には、JavaScriptなどのプログラミング言語の知識が必要になります。
コードの記述が必要になることで、コードを記述した担当者にしかわからないことも出てくるため、属人的になりやすいです。
さらには、kintone(キントーン)のアップデートとプログラミング言語の干渉で動作不良が発生する恐れもあります。
社内でリソースやノウハウがない場合には、開発パートナーなど外部のプロに依頼することも選択肢に入れましょう。
API連携を利用するデメリット②API連携先に左右される
kintone(キントーン)のAPI連携を利用する2つ目のデメリットは、API連携先に左右されることです。
APIを公開している提供元の企業がサービスの提供停止や仕様変更を行うと、API連携ができません。
また、APIの提供元のサーバーで障害が発生した場合でも、自社のサーバーにも不具合が生じてAPI連携ができない恐れがあります。
APIの提供元へ過度に依存することで、ユーザーに適切なサービスを提供することが難しくなります。
そのため、API連携先の動向によって自社のサービスにも影響があることを事前にしっかりと考慮する必要があるでしょう。
kintone(キントーン)のAPI連携を設定する2つの方法
kintone(キントーン)のAPI連携を利用することで、外部システムとのデータ連携や機能の拡張が可能となり、アプリケーションの開発や業務効率化を実現します。
では、API連携を設定するにはどのような方法があるのでしょうか。kintone(キントーン)のAPI連携を設定するには、2つの方法があります。
- kintone(キントーン)をカスタマイズする方法
- 外部連携サービスを使用する方法
それぞれの方法を順番にみていきましょう。
API連携の設定方法①kintone(キントーン)をカスタマイズする方法
kintone(キントーン)のAPI連携の設定方法の1つ目は、kintone(キントーン)をカスタマイズする方法です。
これはプログラミングの知識も必要になる難点も抱えているものの、自社にマッチしたカスタマイズが自由にできます。
kintone(キントーン)をカスタマイズする方法には、以下のように2つの方法があります。
- kintone REST API
- kintone JavaScript API
2つの方法を具体的に説明していきます。
kintone REST API
kintone(キントーン)の運営会社サイボウズによれば、kintone REST APIとは、kintone(キントーン) のレコード・アプリ・スペースを操作できる API です。
つまり、kintone(キントーン)に蓄積されたデータを操作する際に使用するAPIです。具体的には、以下のようなケースでの利用が考えられます。
- データを外部システムに提供する
- 外部システムからデータを登録・更新・削除する
- ファイルのアップロードやダウンロード
kintone JavaScript API
kintone(キントーン)の運営会社サイボウズによれば、kintone JavaScript APIとは、ブラウザの画面上の情報を取得・操作できるAPIです。
つまり、kintone(キントーン)の動作や見た目を変更する際に使用するAPIです。具体的には、以下のようなケースでの利用が考えられます。
- フィールドを自動入力する
- 表示と非表示を切り替える
- 入力規則を設定する
kintone JavaScript APIを利用することで、入力の手間やミスを削減できます。
API連携の設定方法②外部連携サービスを使用する方法
kintone(キントーン)のAPI連携の設定方法の2つ目は、外部連携サービスを使用する方法です。
先述のとおり、kintone(キントーン)のAPI連携は、外部システムとのデータ連携を可能にします。API連携できる外部サービスの具体例は、以下のとおりです。
- ChatGPT
- Dropbox
- freee
- Gmail
- LINE WORKS
- Slack
- SmartHR
上記以外にもサードパーティーが開発したツールが多数存在します。詳細が気になる場合は、サイボウズが提供している「cybozu developer network」よりご覧ください。
外部ツールとのAPI連携によって、ゼロから開発する必要がなく、スピードをもった実装ができます。
kintone(キントーン)のAPI連携の活用事例
kintone(キントーン)のAPI連携を活用した事例をいくつか紹介します。主な活用事例は、以下のとおりです。
- 星野リゾート
- 株式会社DDホールディングス
- ZOZO
それぞれ詳しくみていきましょう。
星野リゾート
旅館やホテルを運営する星野リゾートでは、ホテル業界のグローバルチェーンの競合他社と差別化するために、kintone(キントーン)を活用した「全社員IT人材化計画」に取り組んでいます。
これは、IT部門だけでなく、現場の従業員も主体的にITツールの使用やシステムの作成を目指す取り組みです。
kintone(キントーン)を導入した結果、業務の効率化や顧客とのコミュニケーションの効率化を実現しました。
株式会社DDホールディングス
飲食事業やアミューズメント事業を展開する株式会社DDホールディングスでは、人事労務管理ソリューション「SmartHR」をkintone(キントーン)と連携して、入社手続きの簡略化に取り組んでいます。
従来では紙媒体での複雑な手続きが行われていたため、以下のような問題が山積みでした。
- 書類の手続きだけで本社に出向く必要がある
- すぐに働いてほしくても手続きに時間がかかる
- 社内での確認後に内定者に書類を郵送する必要がある
しかし、kintone(キントーン)の導入によって、入社手続きを登録者本人で行えるようになり、現場の負担が軽減されました。
ZOZO
ZOZOは、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」で有名なファッションサービス事業を展開する企業です。
ワークフローシステムの刷新を目指し、kintone(キントーン)を活用しました。従来では、モバイル非対応や一部業務の紙文化が課題点でした。
しかし、kintone(キントーン)の導入後は、スマートフォンでの申請や承諾が可能になり、業務と意思決定のスピードが飛躍的に向上しました。
kintone(キントーン)のAPI連携に関連するよくある質問
kintone(キントーン)のAPI連携に関連するよくある質問を以下にまとめました。kintone(キントーン)のAPI連携の利用を検討している人はぜひ最後まで読んで、参考にしてください。
kintone(キントーン)のAPI連携で外部連携できるサービス一覧にはどのようなものがありますか?
kintone(キントーン)で外部連携できる具体的なサービスは以下のとおりです。
- ChatGPT
- Dropbox
- freee
- Gmail
- LINE WORKS
- Slack
- SmartHR
これら以外にも、外部連携が可能なサービスが多数あります。詳しくは、サイボウズが提供している「cybozu developer network」よりご覧ください。
kintone(キントーン)APIトークンとは何ですか?
kintone(キントーン)APIトークンとは、kintone(キントーン)で使用される認証情報のことです。
これを利用することで、外部の人と安全なセキュリティのもと、kintone(キントーン)に格納されているデータの共有が迅速にできます。
kintone(キントーン)のAPI連携を効率的に活用しよう
kintone(キントーン)のAPI連携機能を利用することで、多くのメリットがあります。
その一方でデメリットがあることもしっかりと理解したうえで、利用することが必要です。まずは社内業務を整理し、API連携によるメリットや必要性を明確化してみましょう。
業務効率化を推進するためにも、kintone(キントーン)の利用をぜひ検討してみてください。
kintone(キントーン)の導入を検討されている場合は、初回無料相談も実施しているため、まずはお気軽にご相談ください。
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