「自社の業務をどこから改善すべきかわからない」
「業務改善の具体的な進め方を知りたい」
このような悩みを抱えていませんか。日々の業務に追われる中で、改善の必要性を感じつつも、何から手をつければ良いのか迷ってしまうのは当然です。
本記事では、業務改善の基本的な考え方から、具体的な進め方の5ステップ、さらには役立つフレームワークや成功のポイントまでを網羅的に解説します。
なお、ペパコミ株式会社では、業務改善をサポートしています。業務効率化にお悩みの方は、ぜひご相談ください。
業務改善とは?
業務改善とは、既存の業務プロセスを見直し、潜んでいる「ムダ・ムリ・ムラ」を削減して、より良い仕事の進め方を目指す取り組みです。その目的は、単に経費を削減するだけでなく、生産性の向上、従業員の負担軽減、さらには顧客満足度の向上まで多岐にわたります。
特定の担当者しかやり方がわからない「属人的な作業」や、時間のかかる手作業を減らし、誰でも同じ品質で仕事ができる「標準化」やデジタルツールの活用が重視されます。小さな改善の積み重ねが、結果として企業の長期的な成長へとつながる重要な活動です。
業務改善が必要になる3つの背景
なぜ今、多くの企業で業務改善が求められているのでしょうか。その背景には、社会やビジネス環境の大きな変化があります。
- 働き方改革・労働人口減少
- 生産性向上と競争力強化
- DX・テレワークへの対応
これらの理由を理解することで、業務改善の重要性がいっそう明確になります。
働き方改革・労働人口減少
「働き方改革関連法」の施行により、残業時間の上限設定や有給休暇の取得が企業に義務付けられました。同時に、日本の労働人口は減少し続けており、限られた人材で成果を出すことが避けられない課題となっています。
このような状況下で、従来の働き方を続けていては、企業の成長は望めません。業務のムダを徹底的に省き、従業員一人ひとりがより価値の高い仕事に集中できる体制を整えるために、業務改善が強く求められているのです。
生産性向上と競争力強化
顧客のニーズが多様化し、市場の変化が激しい現代において、ビジネスにはスピードと柔軟性が不可欠です。日常の単純作業を削減し、業務プロセス全体を効率化することで、生産性を向上させられます。
生産性の向上は、他社との競争で優位に立つための重要な要素です。単にコストを削減するだけでなく、質の高い業務運営を実現することで、企業の競争力そのものを強化できます。また、社内の情報共有を円滑にし、組織全体の力を最大化させる効果も期待できるでしょう。
DX・テレワークへの対応
テレワークの普及により、従来の紙ベースの業務や対面でのやり取りが大きな壁となっています。クラウドサービスやRPA(ロボットによる業務自動化)などを活用し、場所や時間に縛られない働き方へ移行するには、業務プロセスそのものの見直しが不可欠です。
また、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進は、単にITツールを導入するだけではありません。業務全体の流れを見直し、デジタル技術を通じて新しい価値を生み出す取り組みです。このような時代の変化に対応するためにも、業務改善は標準的な課題となっています。
業務改善の進め方【5STEP】
業務改善を成功させるためには、やみくもに進めるのではなく、決まった手順に沿って計画的に進めることが大切です。
- 業務の可視化(棚卸し・フロー化)
- 課題の整理と優先順位付け
- ゴール(KGI・KPI)の設定
- 改善範囲の明確化(対象業務・リソースの絞り込み)
- 改善の実行と効果検証
ここでは、誰でも実践できる基本的な5つのステップを紹介します。
1.業務の可視化(棚卸し・フロー図化)
まずは、現状の業務を正確に把握しましょう。「誰が、いつ、どのように」仕事をしているかを一つひとつ洗い出します。この「棚卸し」を行うことで、部署間で重複している業務や、実は不要だった作業といったムダを発見できます。
さらに、業務の流れを図で示す「フローチャート」を作成することも重要です。特定の担当者にしかわからない「属人化」した作業が明確になるほか、業務内容が可視化されることで、新人教育の効率化にも役立ちます。
2.課題の整理と優先順位付け
業務の全体像が見えたら、次に非効率な部分や手戻りが多い箇所など、問題点を具体的に抽出します。そして、見つかった課題を「重要度」と「緊急度」の2つの軸で分類し、どれから手をつけるべきか優先順位を決めましょう。
すべての課題を一度に解決しようとすると、かえって混乱を招きかねません。まずは会社全体への影響が大きく、改善の効果が出やすいものから着手するのが成功のコツです。このとき、部署を横断して議論することで、より客観的に課題を整理できます。
3.ゴール(KGI・KPI)の設定
業務改善の成果を正しく評価するために、具体的な目標を設定しましょう。目標には、最終的なゴールを示す「KGI」と、ゴールまでの中間指標である「KPI」の2種類があります。
KGI(重要目標達成指標)は、「売上を10%向上させる」「コストを15%削減する」といった経営に関わる最終目標です。一方、KPI(重要業績評価指標)は、「書類の処理時間を20%短縮する」「問い合わせ件数を30%削減する」など、目標達成に向けた具体的な行動指標を設定します。
このように数値を設定することで、活動の方向性が明確になります。
4.改善範囲の明確化(対象業務・リソースの絞り込み)
すべての業務を一度に改善するのは現実的ではありません。そのため、設定したゴールに基づき、改善に取り組む対象範囲を具体的に絞り込む必要があります。
例えば、「効果が出やすい業務」や「会社全体への影響が大きい業務」を優先的に選定します。同時に、改善活動に使える人員や予算、ツールといったリソースに限りがあることも考慮しなければなりません。
まずは小さく始めてみて、改善の効果を確認しながら、徐々に対象範囲を広げていく進め方が着実です。
5.改善の実行と効果検証
計画が固まったら、いよいよ改善策を実行に移します。実際に現場で新しい業務フローを試してみて、その成果を測定しましょう。
効果が出ているかどうかは、事前に設定したKPI(重要業績評価指標)を基準に、客観的な数値で判断します。もし思うような効果が得られなかった場合は、その原因を分析し、改善策を修正しましょう。
成果が確認できた施策は、社内の正式なルールとして「標準化」し、業務に定着させることで、継続的な改善が可能になります。
業務改善で活用できる7つのフレームワーク
業務改善を進める際には、「フレームワーク」と呼ばれる思考の枠組みを活用すると、課題の発見や解決策の検討がスムーズになります。
- PDCAサイクル
- ECRS
- KPT
- BPMN
- QCD
- バリューチェーン分析
- ロジックツリー
ここでは、代表的な7つのフレームワークを紹介します。
PDCAサイクル
PDCAサイクルは、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の4つのステップを繰り返す手法です。業務改善策を実行した後に、その成果を評価し、次の改善計画を立てる際に役立ちます。
このサイクルを一度だけでなく、継続的に回し続けることで、業務の品質や生産性を着実に高めていくことができます。改善活動を単発で終わらせないための基本的な考え方といえるでしょう。
ECRS
ECRS(イクルス)は、業務改善のアイデアを考える際の視点を示すフレームワークです。「Eliminate(排除)」「Combine(結合)」「Rearrange(再配置)」「Simplify(簡素化)」の頭文字を取ったものです。
改善を検討する際は、まず「その業務自体をなくせないか(排除)」から考え、次に「複数の業務を一緒にできないか(結合)」、「手順や担当者を入れ替えられないか(再配置)」、最後に「もっと単純にできないか(簡素化)」という順番で考えます。
この順番で検討することで、よりインパクトの大きい改善策を見つけやすくなります。
KPT
KPT(ケプト)は、「Keep(良かったこと・続けること)」「Problem(問題点・課題)」「Try(次に試すこと)」の3つの要素で業務を振り返るフレームワークです。特にチームでのミーティングで活用されます。
次の流れで行われます。
- うまくいった点(Keep)を共有して成功要因を明確にする
- 課題となっている点(Problem)を全員で洗い出す
- 課題を解決するために次に挑戦すること(Try)を具体的に決める
現場の意見を反映しやすく、実践的な改善活動につながります。
BPMN
BPMNは「Business Process Model and Notation(ビジネスプロセス・モデル・アンド・ノーテーション)」の略で、業務の流れを世界標準の記号を使って図式化する手法です。
業務プロセスを誰が見ても理解できる形で「可視化」することで、ムダや非効率な部分を発見しやすくなります。各工程の担当者や責任の所在も明確にできるため、部署間のスムーズな連携にもおすすめです。
PDCAサイクルやECRSといった他のフレームワークと組み合わせて使うことで、より大きな改善効果が期待できます。
QCD
QCD(キューシーディー)は、「Quality(品質)」「Cost(費用)」「Delivery(納期)」の3つの要素の頭文字を取った言葉です。特に製造業やサービス業において、業務改善の重要な指標として活用されます。
これら3つの要素は、どれか一つを追求すると他の要素に影響が出やすい「トレードオフ」の関係にあります。そのため、品質、コスト、納期のバランスを総合的に見ながら、最適な業務プロセスを構築していく視点が重要です。
バリューチェーン分析
バリューチェーン分析とは、事業活動を「価値の連鎖(バリューチェーン)」として捉え、各工程がどれだけ価値を生み出しているかを分析する手法です。
例えば、「原材料の仕入れ」「製造」「出荷」「販売」「アフターサービス」といった一連の流れの中で、自社の強みとなっている工程と、弱みとなっている非効率な工程を可視化します。これにより、利益を生み出す工程をさらに強化し、課題のある工程には改善策を講じるなど、戦略的な資源配分が可能です。
ロジックツリー
ロジックツリーは、一つの課題を木の枝のように分解していくことで、原因の特定や解決策の洗い出しを行う思考法です。主に「Why(なぜ)」「What(何)」「How(どうやって)」の3つのパターンで使われます。
「Whyツリー」は「なぜ?」を繰り返して問題の根本原因を探り、「Whatツリー」は物事の構成要素を網羅的に洗い出し、「Howツリー」は具体的な解決策を検討する際に役立ちます。論理的かつ網羅的に物事を考える手助けとなり、改善活動の方向性を明確にしてくれます。
業務改善を進める際の3つのポイント
業務改善を計画通りに進め、確実な成果を出すためには、意識すべきいくつかのポイントがあります。
- スモールスタートで改善を行う
- 短期的効果を求めず長期視点を持つ
- 現場の意見を確認する
これらのポイントを押さえることで、失敗のリスクを減らし、改善活動を社内に定着させやすくなります。
スモールスタートで改善を行う
すべての課題を一度に解決しようとするのは避け、優先度の高い業務や特定の部署から改善に着手することが重要です。まずは小規模な範囲で試してみて、その効果を確認しながら、他の部署や会社全体へと展開していく進め方が現実的です。
最初から全体最適を目指して無理に進めると、現場の負担が大きくなりすぎたり、かえって効率が低下してしまったりする恐れがあります。成功事例を作りながら段階的に進めることが、最終的な成功への近道です。
短期的効果を求めず長期視点を持つ
業務改善は、一度行えば終わりというものではありません。継続的に検証と改善を繰り返していくプロセスです。特に、大きな成果を生むような本質的な改善は、効果が表れるまでに時間がかかる場合があります。
短期的な成果だけを追い求めると、表面的な改善に終始してしまい、途中でプロジェクトが立ち消えになってしまうリスクがあります。品質の維持、コストの管理、納期の遵守といったバランスを考えながら、長期的な視点で成果を見据えた施策を実行することが不可欠です。
現場の意見を確認する
業務改善の主役は、実際にその業務を担っている現場の従業員です。トップダウンで一方的に改善を進めようとすると、現場からの反発を招き、せっかくの施策が定着しにくくなります。
実際に仕事をしている現場の担当者だからこそわかる、隠れた問題点や非効率な部分があります。改善を始める前には、必ず現場へのヒアリングを行い、従業員が「自分ごと」として納得感を持って取り組めるような目的の共有を丁寧に行いましょう。
業務改善を進める際にkintoneがおすすめな理由
業務改善を進める上で、ITツールの活用は非常に有効な手段です。中でも、サイボウズ社の「kintone(キントーン)」は多くの企業で活用されています。
kintoneは、プログラミングのスキルがなくても、自社の業務に合わせた改善ツール(アプリ)をスピーディーに作成できるノーコードツールです。案件情報や顧客情報などを一元管理し、リアルタイムで共有できるため、業務の「見える化」を実現し、属人化の防止が可能です。
また、承認フローや現場でのやり取りをスムーズにするコミュニケーション機能も備わっています。Gmailや会計システムといった外部サービスとの連携も可能で、データ入力を自動化するなど、業務効率化の幅を大きく広げられます。
kintoneについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
関連記事:kintone(キントーン)とは?業務改善のためにできることや特徴・機能を紹介
業務改善を効率的に進めたいならペパコミ株式会社へご相談ください
業務改善は、現場の課題を可視化し、ムダ・ムリ・ムラを減らすことで生産性や従業員満足度を高める重要な取り組みです。計画的に可視化・分析・実行・検証を行い、現場の意見を反映しながら小さく始めることで、改善を着実に社内へ定着させましょう。
また、kintoneのようなノーコードツールを活用すれば、業務のデジタル化や標準化も効率的に進められます。
もし、自社だけで業務改善を進めることに不安を感じる、あるいは専門家のアドバイスを受けながらより確実に成果を出したいとお考えでしたら、ぜひペパコミ株式会社へご相談ください。
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