2015年の創業以来、法人クライアント向けに特化した社宅管理代行サービスを提供し、急成長を続ける三優エステート株式会社 。同社が直面していたのは、事業成長に伴って膨れ上がる「請求業務」のアナログな壁でした 。
1社あたり30枚にも及ぶ請求書をExcelで作成し、特定の人しか分からない「属人化」がリスクとなっていた現場 。そこからいかにしてkintoneを武器に、残業続きの業務をわずか2日で終わらせる体制を築き上げたのか 。自走する組織へと変化を遂げた三優エステートの挑戦を、ペパコミ株式会社・小川との対談形式で紐解きます。
煩雑な社宅管理業務に潜む「請求データの属人化」というリスク

不動産、特に社宅管理代行という専門性の高いサービスを提供する中で、避けて通れなかったのが「請求業務のアナログ対応」でした 。まずは導入前に抱えていた切実な課題について伺います。
法人クライアントを支える三優エステートのミッション
代表取締役 小川
笹原様:よろしくお願いします。弊社は2015年から法人クライアント様向けに不動産サービスを提供している会社です 。特に社宅管理代行に特化しており、日本全国で社宅物件のご紹介から入居管理、退去までを「天貸借(てんたいしゃく)」という契約スキームでフルアウトソーシングいただけるサービスを展開しています 。私はその中で、現在kintoneの構築や運用の推進を担当しています 。
Excel管理の限界と「担当者不在」への恐怖
代表取締役 小川
笹原様:最も大きな課題は「請求業務」でした 。クライアントごとに毎月の賃料を請求するのですが、1社あたり30枚ほどの請求書を発行する必要があったんです 。これら全ての請求データを元々はExcelで管理しており、かつ作業が完全に属人化していました 。
代表取締役 小川
笹原様:そうなんです。複数人での作業ができないため非効率ですし、「担当者が不在の時に業務が止まってしまう」というリスクを常に抱えていました 。また、毎月の売上集計を出すのにも膨大な時間がかかっており、経営判断のスピードにも影響が出始めていたのが実情です 。
「単なるデータベース」からの脱却。kintoneとペパコミを選んだ決め手

kintone自体は10年前から導入していた同社。しかし、それを真の「業務改善ツール」へと進化させるには、ある転機が必要でした 。
4年間の「単純利用」を経て、社員が気づいたkintoneの可能性
代表取締役 小川
笹原様:当時は、単にExcelよりは社宅物件の契約情報を管理するのに適している、という程度の判断で導入したのが実情です 。そのため、最初の4年ほどは物件情報を溜めておくだけの、ごく単純なデータベースとして運用していました 。
代表取締役 小川
笹原様:社内の運用担当者が小川さんのYouTube動画で勉強を始めたことがきっかけです 。本人が「kintoneならもっと色々なことができる」と気づき、自ら見た目の改修や業務進捗アプリの構築をしてくれるようになりました 。ところが、いよいよ毎月の賃料請求データの生成に乗り出そうとした際、どうしても複雑なロジックが組めず、プロの手を借りようとアウトソーシングを検討し始めたんです 。
圧倒的な「事業理解のスピード」が信頼に繋がった
代表取締役 小川
笹原様:はい、数社にお話を聞きました 。その中でペパコミさんに決めた最大の理由は、弊社の事業を理解していただくスピードが圧倒的だったことです 。
代表取締役 小川
笹原様:ええ。初回の打ち合わせの段階で、すでに弊社のことを深く調べてくださっていて、「kintoneでこれだけのことが実現できます」と具体的に提案してくださったことに感動しました 。他社さんは「自分たちができること(スキルの押し売り)」から話されることが多かったのですが、ペパコミさんはまず「聞くこと」から入って最適解を提示してくれました 。その安心感が決定打となり、代表にも「ペパコミさんで進める」と決め打ちで決済を取りました 。
ロジックの壁を突破したkintone「伴走支援」と役割分担

自社開発を進める中でぶつかった「複雑な請求ロジック」の壁。そこをどう乗り越え、いかにして社内にナレッジを蓄積していったのか、その過程を深掘りします。
krewDataを活用した請求書発行アプリの構築
代表取締役 小川
笹原様:そうですね。請求書発行のロジック構築は数年間悩み続けていた課題でした。 今回はペパコミさんの伴走のもと、プラグイン(krewData)を活用してkintone内に請求書発行アプリを構築しました。 これにより、長年の課題だった請求データ管理の属人化と、担当者不在時の業務停止リスクをようやく排除することができました。
代表取締役 小川
笹原様:想像以上のスピードで構築できたことに感動しました。 自分たちだけではどうしても辿り着けなかった「正解」へ、最短距離で導いてもらった感覚です。
「答え」ではなく「作り方」を学ぶスタイルがナレッジを蓄積した
代表取締役 小川
笹原様:基本的には自社で手を動かし、ペパコミさんにアドバイスをいただくという形を徹底しました。 具体的には、画面共有をしながら私たちの作業を見ていただき、その場で「この場合はこうした方が良い」と軌道修正をしてもらうスタイルです。 これによって、単にシステムが完成するだけでなく、社内に確実にナレッジ(知見)が溜まっていくのを実感できました。
代表取締役 小川
笹原様:はい。月2回の打ち合わせでは、出したい数字を実現するための派生的なアドバイスも多く、毎回大変勉強になっています。 何より、この安心感のあるサポートによって、弊社のkintone運用担当者のモチベーションが目に見えて上がったことが、私個人としては一番嬉しい変化でした。
kintone導入で現れた劇的な変化。残業続きの業務が「2日」で完了

kintoneとプラグインの組み合わせ、そして伴走支援によるロジック構築の結果、現場の働き方はどのように変わったのでしょうか。その驚きの成果に迫ります。
請求発行までのリードタイムを大幅に短縮
代表取締役 小川
笹原様:以前はExcelで集計し、それをkintoneへ二重入力するという非効率な作業が発生していました 。また、契約ステータスが日々変わるため、その内容確認や入力チェックに膨大な時間を取られていたんです 。
代表取締役 小川
笹原様:はい。以前は締め日から5日後の発行期限に向けて、担当者が残業をしてギリギリで提出することも少なくありませんでした 。それが導入後は、常に最新のデータで出力できるようになったため、現在は締め日からわずか2日ほどで発行が完了しています 。
売上管理から電子契約まで。全社へ広がるkintone活用
代表取締役 小川
笹原様:もちろんです。導入当初は単なる「契約情報の管理」のみでしたが、今では売上管理や仕入管理、ワークフロー、経費精算、さらには物件の入退去管理や電子契約まで、あらゆる業務をkintoneに集約しています 。
代表取締役 小川
笹原様:そうですね。経営ダッシュボードとしての活用も始めており、従業員全員が同じ情報をリアルタイムで可視化できるようになりました 。これによって、以前はバラバラだったクライアントへのサービスレベルが一定に保たれ、業務の平準化に繋がっている点も大きな成果だと感じています 。
【意外な副産物】kintoneを通じた社員の「改善意識」の向上

システム導入の効果は、数字(工数削減)だけではありませんでした。kintoneを通じて、担当者のマインドや組織そのものに生まれたポジティブな変化を紹介します。
ITリテラシーに関わらず「挑戦したい」と思える環境への変化
代表取締役 小川
笹原様:弊社の運用担当者は、もともとITリテラシーが非常に高いというわけではありませんでした 。以前は「これで合っているのか」と半信半疑で構築していましたが、ペパコミさんの伴走による安心感のおかげで、今は自信を持って取り組めています 。
代表取締役 小川
笹原様:ええ。自分が作ったアプリが現場で「使いやすい」「ミスが減った」と評価されることで、本人のモチベーションが劇的に向上しました 。ペパコミさんからの技術的な指導によって「kintoneで表現できること」の視野が広がり、今では「次はこれを改善したい」と自ら新しいことにチャレンジする意欲が溢れ出ています 。
現場主導の改善サイクルを生む「使いやすさ」へのこだわり
代表取締役 小川
笹原様:はい。何でもkintoneで完結させようとするのではなく、「現場がいかに入力しやすいか」を最優先に考えるようになりました 。例えば、以前はカレンダーから日付を選択していた箇所を、月数を入力するだけで自動計算される仕様に変更したところ、ミスが減り現場からも大好評でした 。
代表取締役 小川
笹原様:そうなんです。自由度が高い方が楽な作業についてはあえてExcelを併用させるなど、無理にkintoneを押し付けない柔軟な運用を心がけています 。また、将来別の管理者が担当になっても困らないよう、情報の整理・集約も徹底し始めており、組織としての「持続可能な自走」に向けた基盤が整いつつあります 。
今後の展望:AI-OCR活用と「自走できる組織」の拡大へ

三優エステートが次に見据えるのは、不動産業界に根強く残る「紙文化」の打破です 。現在はFAXで届く契約情報をkintoneへ手入力していますが、今後はAI-OCRを導入することで、入力ミスの軽減とさらなる工数削減を目指しています 。
また、組織面での大きな目標は「1名体制からの脱却」です 。現在は専任担当者が1名でアプリ管理を担っていますが、事業拡大に伴い、2名、3名と開発できるメンバーを増やし、ナレッジを共有して「誰でも自走できる体制」を確立することが急務であると考えています 。
最後に笹原様は、これからkintoneを導入・活用しようとしている企業に向け、「kintoneは初期導入こそ簡単だが、事業展開に合わせて複雑な表現が必要になる段階で、早い段階でプロに相談することが、その後の運用や構築の質を大きく左右する」と、実感を込めたアドバイスを送り、対談を締めくくりました 。
小川のあとがき
三優エステート様の事例で特筆すべきは、「道具としてのkintone」を「経営の武器」へと昇華させた担当者様の情熱です。10年前から導入されていたツールが、YouTubeでの学びと私たちの伴走をきっかけに、残業続きの業務をわずか2日で完結させるほどの劇的な変化を生みました。
特に印象的だったのは、単にシステムを構築するだけでなく、現場の「入力しやすさ」を徹底的に追求された点です。複雑なロジックはプロに任せつつ、現場の細かな使い勝手は自社で磨き上げる。この役割分担こそが、属人化を排除し、組織全体の改善意識を呼び起こす「自走」への最短ルートであったと感じます。 「魚を与えるのではなく、釣り方を教える」。私たちのコンセプトを体現するように、自信を持って開発に取り組む担当者様の姿は、多くの企業にとって希望になるはずです。AI-OCRの活用など、さらなる進化に向けて、今後も全力でサポートさせていただきます。
代表取締役 小川













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