「紙やFAXによる発注管理に限界を感じている」
「協力会社とのやり取りをもっと効率化したい」
そのような課題を抱える物流業界の担当者も多いのではないでしょうか。
今回は、大阪府寝屋川市に拠点を置く株式会社エクセディ物流様の事例を紹介します。エクセディ物流様では、1日270便以上にのぼる発注業務をExcelとFAXで管理しており、確認漏れやミス、属人化による業務停滞が課題となっていました。
そこで同社は、kintoneを活用して発注業務のクラウド化に挑戦。外部ベンダー「ペパコミ」との連携により、発注登録から承認・検収までの流れをデジタル化し、協力会社100社規模との情報共有を実現しました。
この記事では、エクセディ物流様がどのようにして紙とFAX中心の発注業務をDX化し、現場主導でシステムを浸透させていったのか、そのプロセスと効果を詳しく解説します。
ぜひ、株式会社エクセディ物流様との対談動画もあわせてご覧ください。
🔳 この記事でわかること
- kintoneを活用した物流業における発注管理DXの実例
- 協力会社200社を巻き込んだクラウド化と業務効率化のプロセス
- kintone導入を支えたペパコミの開発支援と伴走体制
🔳 こんな人におすすめの記事です
- 紙・FAX・Excelによる発注管理に限界を感じている物流・製造業の方
- 協力会社との承認・検収フローをオンライン化したい企業担当者
- kintone導入による業務改善の成功事例を具体的に知りたい方
導入前の課題|紙とFAX中心の発注業務が抱えていた問題
エクセディ物流では、発注管理はExcelとFAXに依存しており、業務量の増加に追いつけない状態でした。ここでは、導入前にどのような課題があったのかを以下の3点から整理します。
- 大量の発注処理が手作業で非効率だった
- 発注形態の多様化により入力・確認ミスが頻発した
- 属人化によって承認フローが停滞した
それぞれ見ていきましょう。
日々270便を扱う物流現場でExcelとFAX処理が限界に

画像:日々の発注業務について語られる様子
エクセディ物流では、国内外あわせて1日270便前後の出荷が発生していました。発注書はExcelで作成し、印刷してFAXで協力会社へ送信。さらに返信を確認して処理を進める必要がありました。
この運用では、確認漏れや重複送信、書類紛失などが相次ぎ、担当者が常にFAXの前で作業する状態に。以下に、当時の運用フローの問題点をまとめました。
| 当時の運用フロー | 課題点 |
| Excelで発注書作成→印刷→FAX送信 | 入力・印刷・送信に時間がかかる |
| 返信FAXの確認→内容照合 | 紛失・見落としが発生 |
| 手書きで実績反映 | 二重入力の手間とミス |
紙ベースの管理はスピードが求められる物流業務に不向きで、処理遅延と人的ミスの温床になっていたといえます。
さまざまな発注形態に対応しきれず、ミスを招くことに
物流業務では、あらかじめルートが決まった「定期便」と、都度手配する「特便」を並行して管理する必要があります。しかし、Excelでは変更履歴の追跡や承認状況の確認が難しく、更新忘れや旧データの利用による誤発注が発生していました。
また、発注内容が頻繁に変更されるため、FAXを使うたびに複数枚の紙が行き交い、どの情報が最新なのか分かりにくいという事態に。結果として、「現場は動いているのに情報が追いつかない」というギャップが生じてしまいました。
属人化で承認や進捗確認が遅れ、トラブルに
発注作業が特定の担当者に依存しており、誰がどの案件を処理しているかが可視化されていませんでした。担当者が不在の場合、ほかの社員が代わりに対応できず、発注漏れや承認遅延が発生するケースも少なくありませんでした。
さらに、上長がFAXのやり取りを逐一確認できないため、承認や決裁のタイミングが遅れ、トラブル対応にも時間を要することに。業務の属人化が進むことで、ミスの原因追跡が困難になり、全体の生産性を下げる要因となりました。
kintoneを選んだ理由|Excelの限界を超えたクラウド化の決断
エクセディ物流では、Excelベースの独自システム構築を試みたものの、外部との互換性や運用負担の問題から早期に限界を迎えました。ここでは、kintoneを採用するまでの経緯と選定理由を以下の3つの視点で紹介します。
- 独自開発の失敗が、クラウド移行の決め手に
- 「共有・見える化」により、属人化の解消へ
- ノーコード開発により現場主導へ
それぞれ参考にしてください。
Excelアドインによる独自システム開発が失敗した背景
最初のシステム化では、Excelのアドインを利用して独自ツールを構築しました。しかし、協力会社によって使用環境が異なり、アドインが動作しないケースが多発。結果として、社内外で統一運用ができず、約200万円のランニングコストを費やしたものの、プロジェクトは頓挫しました。
この経験から「Excelの拡張では限界がある」と痛感し、誰もが簡単にアクセスできるクラウド型システムへの移行を検討する契機となりました。
kintoneの「ファイル共有」や「見える化」機能が決め手に

画像:kintoneに決めた理由を語られる様子
kintoneを採用する最大の理由は、発注・承認データをリアルタイムで共有可能な点です。従来のように担当者ごとに情報が分断されず、上長や他部署、協力会社とも同じ情報を閲覧できるため、ミスや重複作業を防げます。
さらに、進捗が可視化されることで業務全体の流れが把握しやすくなり、属人化を解消しながらスムーズな意思決定が行えるようになりました。
ノーコードで現場に合わせた柔軟なカスタマイズが可能
kintoneは専門的なプログラミング知識がなくても、ドラッグ&ドロップでアプリを作成できる点が魅力です。現場担当者自身が、業務フローに合わせて項目を追加・修正可能なため、導入後も柔軟に運用を改善していけます。
同社では、ベンダー支援を受けながらも内製化を意識し、現場の声を反映した継続的なシステム改善を実現しました。
kintoneで発注管理を実現!物流企業に欠かせない3つの機能
エクセディ物流では、発注業務を全面的にデジタル化するため、kintone・kViewer・FormBridgeを組み合わせて3つの発注管理システムを構築しました。ここでは、同社が開発したシステムの機能を3つ紹介します。
- 発注状況をリアルタイムで確認できる「発注管理」
- 協力会社との承諾フローを効率化した「外部連携」
- 承認履歴や作業状況を記録・分析する「内部統制」
発注登録から協力会社への通知、承認・検収までの一連の流れをオンライン上で完結できるようになった仕組みを見ていきましょう。
発注管理|検収作業をリアルタイムで可視化

画像:発注担当者・検収者・承認者を画面で一元管理
発注管理機能は、発注内容・ステータス・検収結果を一元的に管理できる機能です。登録されたデータは即座にクラウド上へ反映され、進捗をリアルタイムで確認可能です。これにより、「どの案件が完了しているのか」「誰が対応しているのか」が一目でわかるようになりました。
従来あいまいだった検収作業も、完了チェックの仕組みによって明確化され、発注から完了までの流れが見える化されました。ミスや二重発注の防止にもつながり、現場の作業効率が大幅に向上しています。
外部連携|協力会社との承諾フローをオンライン化

画像:仕入先の協力会社の操作画面を説明される様子
協力会社とのやり取りを効率化するために構築されたのが、kViewerとFormBridgeを活用した外部連携機能です。エクセディ物流側が発注情報を登録すると、協力会社に自動でメール通知が送信され、専用画面から内容確認と承諾入力が可能になります。
これにより、FAX送信や電話確認といったアナログな手続きが不要になり、外部ユーザーも含めたオンライン承認フローが実現しました。また、発注の受領・完了ステータスが自動反映されるため、進捗確認の負担も軽減されています。
内部統制|承認履歴と作業状況をクラウドで一元管理

画像:ステータスの確認画面を説明される様子
発注管理アプリで実行した発注・承認・検収の操作履歴はkintone上に記録され、あとから確認できる仕組みを備えています。これにより、誰がいつどの案件を承認したのか、どの作業が未完了なのかを正確に把握できるようになりました。
Excelや紙では難しかった履歴追跡が容易になり、監査対応や品質保証にも効果が期待できます。システム上で責任の所在を明確にできるため、透明性と信頼性の高い発注管理体制が確立されています。
kintoneベンダー選定|ペパコミに依頼した理由
エクセディ物流では、発注管理は会社の基幹業務であり、社内リソースだけでは開発負担が大きいと判断しました。そのため、kintone構築の支援実績が豊富なペパコミをパートナーとして選定しました。
ここでは、ベンダー選定における判断基準と、ペパコミとの協働体制を次の2つの観点から解説します。
- コストよりも重視した「提案力」と「信頼性」
- 現場と同じ視点で伴走する開発支援体制
それぞれ参考にしてください。
価格より「提案力」と「信頼できる対応」を重視

画像:ペパコミの決め手を話される様子
複数のベンダーから見積もりを取り、比較した結果、同社がもっとも重視したのは価格ではありませんでした。
他社より費用が高くても、課題を的確に理解し、最適な構成を提案してくれるペパコミの姿勢を評価。YouTubeでの発信や事例共有を通じて信頼感を得ていたことも決め手のひとつでした。
導入後も迅速に対応してくれるサポート体制が整っており、「しっかりやり切ってくれる会社」という安心感が採用を後押ししました。
kintoneの活用事例を知りたい方は、ぜひペパコミの「kintone活用ちゃんねる」をご覧ください。
現場目線で伴走してくれる開発支援体制が決め手
ペパコミは、システム開発を一方的に進めるのではなく、現場担当者と同じ視点で課題を整理する姿勢を徹底しました。物流特有の業務フローを理解し、担当者の操作手順や使いやすさまで考慮したUI設計を提案。
定例ミーティングや試作段階での意見反映もスムーズで、「一緒につくる」関係性を築けたことが大きな成果でした。その結果、開発開始からわずか3か月で実用レベルのシステムが完成し、現場での定着もスムーズに進みました。
kintoneの伴走支援サービスをお探しの方は、ぜひペパコミへご相談ください。自走できるまで、御社と共に実現したいカタチを築いていきます。
kintone導入時の課題と解決策|協力会社への展開
エクセディ物流がkintoneを導入してもっとも苦労したのは、社内開発ではなく「外部への浸透」でした。発注管理システムが完成しても、実際に利用する協力会社が使いこなせなければ業務は回りません。
ここでは、導入フェーズで直面した課題と、その解決に向けた実践的な取り組みを紹介します。
- 外部協力会社へのシステム利用を進めるうえでの障壁
- 現場主導による説明会とサポート体制による定着促進
それぞれ見ていきましょう。
課題|外部業者に新システムを使ってもらう難しさ
新しいシステムへの移行において、最大の壁となったのが協力会社の理解と同意でした。一部の大手取引先は独自の基幹システムを運用しており、新ツールを併用することに抵抗を示すケースもありました。
また、従来のFAXや電話での発注に慣れた企業ほど「操作が難しそう」「ミスが増えるのでは」と懸念を抱いていたのです。社内システム担当が説得しても納得が得られず、「外部ユーザーをどう巻き込むか」が最重要課題となっていました。
解決策|現場主導の説明会で理解促進と定着を実現

画像:課題解決に向けた取り組みを話される様子
同社では、システム担当ではなく現場営業担当が中心となって説明活動を行いました。実際に発注業務を担当する社員が、自ら操作方法を説明することで、協力会社の信頼を得られたのです。
導入初期には、80社を対象に1か月で15回以上の説明会を開催し、質問対応や操作フォローを徹底しました。その結果、現場の「顔の見えるサポート」が功を奏し、利用率が徐々に拡大。段階的な展開により、導入から約1年半で100社規模への浸透を実現しました。
担当者が語るkintoneの本音|「簡単に見えて、奥が深い」
エクセディ物流の担当者は、kintone導入を通して感じたギャップを率直に語っています。上層部からは「ノーコードだからすぐできる」と期待される一方で、実際の現場構築には設計力や検証作業が不可欠です。アプリを作るだけでなく、運用フローや外部連携を整えるには、思った以上に試行錯誤が必要でした。
しかし、イベントや交流会を通じて他社の担当者と意見交換を重ね、課題解決のヒントを得られることに。また、ベンダーとの協働を通じて設計の考え方を吸収し、内製化スキルを磨くきっかけにもなりました。
「kintoneは簡単に使えるけれど、深く使いこなすほど奥が深いツール」といえます。
今後の展望|現場から広がる「隠れた業務のDX化」

画像:今後の展望を話される様子
エクセディ物流では、今後もkintoneを核とした業務改善を継続していく方針です。発注や承認などの基幹業務だけでなく、日常のちょっとした社内作業にも活用範囲を広げる構想を持っています。
たとえば、会議や備品管理、飲み会の出欠といった「小さな業務」にもkintoneを導入し、情報の一元化と透明化を進める予定です。こうした取り組みを通じて、「隠れた仕事」を見える化し、社員一人ひとりの作業を効率化することが狙いです。
「kintoneは業務システムという位置づけはもちろん、社内コミュニケーションを支えるプラットフォーム」と捉え、現場発信の改善活動を続けていきます。
まとめ
エクセディ物流は、紙やFAX中心だった発注業務をkintoneでクラウド化し、270便超の発注管理を効率化しました。発注・承認・検収をリアルタイムで可視化し、100社規模の協力会社との情報共有もオンライン化。
導入支援を行ったペパコミの伴走支援により、現場主導でスムーズな定着を実現しました。二重入力や承認遅延の解消、内部統制の強化など、確かな成果を上げています。
物流や製造など、現場に寄り添うDXを進めたい企業の方は、ペパコミのkintone伴走支援サービスを検討してみてはいかがでしょうか。無料相談も承っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。













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