kintone×AIで変わる!自治体の業務効率化と行政サービス向上方法

kintone×AIで変わる!自治体の業務効率化と行政サービス向上方法
小川喜句

ペパコミ株式会社代表取締役小川 喜句

ペパコミ株式会社代表取締役。youtubeにて「kintone活用ちゃんねる」と、kintoneのプラグインメディア運営。kintoneの構築や内製化を伴走支援を行なっており、kintone運営会社「サイボウズ社」のビジネスにおいて、顕著な実績を上げたパートナー企業や個人を表彰する制度である「CYBOZU AWARD 2022」を受賞。サイボウズ評価制度4年連続2つ星を受賞し、セールス部門(2023~2025年) インテグレーション部門(2022~2025年)も受賞。

小川喜句X 小川喜句Youtube

総務省では、2040年には自治体職員が半減すると予測されています。自治体職員にとって、DXによる業務改善は急務です。

当記事では、現在、リスキリングに取り組む自治体の多いAIとkintoneの両方を併用した活用法として、「議会答弁や新規職員育成」や「行政サービスのマーケティングの改善」などをご紹介します。

なお、ペパコミ株式会社では、自治体でも数多く伴走支援や研修を行っています。kintone活用や研修にお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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目次

企業より割合高め⁉の「自治体のAI導入率」

企業より割合高め⁉の「自治体のAI導入率」

AIの自治体の活用例として多いのは、企画やアイディア出し、挨拶文・次第・通知文・議事録・プレスリリースなどの文章作成です。

2024年の総務省の調査によると、生成AIを導入済みの自治体は、都道府県で87%、政令指定都市で90%、その他の市区町村で30%となりました。「実証中や導入予定」を含めると、都道府県・指定都市は100%、その他の市区町村は51%となっています。

なお、比較対象としての企業の活用率としては、2025年の東京商工リサーチ調査によると、大企業が約43.3%、中小企業が約23.4%となっています。

単純に比較はできませんが、自治体でのAI活用が増えている背景としては、デジタル庁により「デジタル原則を踏まえたアナログ規制の見直し方針(以下、「アナログ規制」という。)」が示されたこと等、紙中心の規制撤廃が進んだことも追い風になっています。

自治体のAIの実践事例を段階別に整理すると……

上述したとおり、AI活用状況は、自治体間の差があります。ここでは、部署間や職員間でも差があります。ここでは、次のとおり、AI実践事例を段階的に確認してみましょう。

  1. 学ぶ(研修や庁内の活用促進のための工夫)
  2. 元々あった業務を改善する 
  3. 行政サービスを創出する・マーケティングに役立てる

学ぶ(研修内容や庁内の活用促進のための工夫)

研修の内容は、主に「プロンプトの作成」「個人情報の扱いをはじめとした情報流出などへのセキュリティ対応」「活用方法のアイディアを出し合うワークショップ」などが行われています。人間が行わなくていい業務はAIに移行することは間違いありません。同時に、責任の所在を明確にするためにも、実務を確認できる職員であることも求められることを確認する機会にもなっています。

  • 庁内での活用促進例

自治体によっては、部署ごとのAI活用率を比較したグラフを内外に見せ「活用が進んでいる部署」「活用が遅れている部署」が一目瞭然になる工夫などが行われています。

元々あった業務を改善する 

自治体では、DX部門を中心にAIのツールを選定し、庁内に広めています。その結果、主に活用されているのは、元々あった業務の改善の場面です。具体的には、企画やアイディア出し、挨拶文・次第・通知文・議事録・プレスリリースなどの文章作成が例として挙げられます。

なお、比較対象として「企業はどうなっているか」というと、2025年の東京商工会議所の2024年の調査によると、「コンテンツ作成・校正(社内外向け文書、メール・挨拶文

等)」に活用している企業が最も多く63.8%となっており、官民ともに活用傾向は類似しています。

行政サービスを創出する・マーケティングに役立てる

自治体では、国の業務である法定受託事務を除けば、一般の職員が事業を企画する場面も多くあります。民間の企業ですと、事業の構想を練るのは、経営層や企画部門に限られますが、よくも悪しくも、企画の機会が多いです。そのため、これまでは、企画が不発に終わるなど、形骸化する事業も少なくありませんでした。失敗の要因としては、マーケティングが適切にできていないことが挙げられます。

その点、サービスの創出という点では、AIはアイディア出しとしても使われていますが、市場調査のようなことも可能となるので、税金を無駄にするような失策を減らすことにつながります。

さらには、AIの強みを生かし、地域の課題解消につながる新規事業を立案するケースも増えるでしょう。実際に、関係人口の交流予測や犯罪の発生予測などに用いられています。

自治体×AIで配慮しなければならないことへの対応

自治体×AIで配慮しなければならないことへの対応

実際に活用するなかで、次のように「配慮しなければならないこと」があります。

  • セキュリティは守られているか
  • 差別的・不適切表現にあたらないか
  • 法令や規則、条例に適合しているか

こうしたことを遵守するために、ガイドラインの作成例も増えています。ほかには、AIの使用環境を限定し活用しています。

また、AIが生成したものを確認するのは職員の仕事ですが、確認するために必要な知識は、これまで、自治体職員が実務や研修のなかで身に着けていきました。

徐々に、AI活用の幅がひろがることで、実務を身をもって経験する機会が減ることもありえます。そのため、自治体職員の人材育成の方法の見直しも必要になるでしょう。

業務改善で活用されるツール3選

業務改善で活用されるツール 3選

では、改めて、自治体における業務改善で活用されるデジタルツールを確認してみましょう。

  1. AI
  2. RPA
  3. kintone

上記の3つのツールは多くの自治体でデジタル化のための手段として挙げられます。

当記事の冒頭で紹介したように、デジタル庁により「アナログ規制」が示されたことで、kintoneやRPAが自治体の窓口や手続きの際に活用されることが多くなりました。

AI

前述したとおり、業務改善の手段として広がっています。使用しているツールとしては、自治体によって、次の2通りに分けられます。

分類 ツール例
一般的に活用されているツール ChatGPT・Gemin・Claudeなど
自治体業務に特化したツール exaBase 生成AI for 自治体など

いずれも、機密情報を扱う場合の環境などを整備して使っています。

kintone

サイボウズ株式会社によると、導入自治体数は300箇所以上です。さらに、行政職員限定のキントーン公式ユーザーコミュニティのガブキンに加入している人の所属組織数は700を超えています。なお、総務省によると地方公共団体数は1,788団体(2024年10月時点)です。

kintoneの標準機能だけで活用するケースは少ないですが、外部フォームや帳票出力、マイページのプラグインを併用することで、窓口の手続き系の業務のデータを一元化する際に重宝されています。デジタル庁の「アナログ規制」の影響もあり、今後も活用は増加していくでしょう。

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)

RPAは、人がパソコン上で行っている定型業務を、ロボットが代わりに行う技術です。

総務省の調査によると、自治体でRPAを導入している自治体数は807か所です。

使用されるのは次のように、RPAに適した定型業務で活用されています。

  • データ集計
  • 入力作業や消込作業

なお、使用されているツールとしては、WinActor、BizRobo!、 UiPath、Power Automateなどが挙げられます。

このなかでも、kintoneとAIの併用で、自治体業務の改善が見込まれる業務をご紹介します。

AI×kintoneで変えられる「自治体の業務とサービス」

AI×kintoneで変えられる「自治体の業務とサービス」

現在は、次のように、それぞれ別の業務改善に役立てている傾向があります。

【ツール別の活用される場面】

ツール 活用される場面 備考
AI ・文書作成・要約・文字起こし・アイディア出し
kintone ・外部からの手続き・照会回答・情報共有など プラグインも併用

生成AIは、個別データが収集されたkintoneとAIの併用で、今後は、地域課題の解決や新たな業務改善に臨む事例が期待できます。ここでは、次の2つの視点から見ていきましょう。

  1. AI×kintoneで「業務効率化編」
  2. AI×kintoneで「行政サービス向上編」

AI×kintoneで「業務効率化編」

ここでは、民間企業におけるkintone×AIの活用事例をもとに、自治体業務で次のような活用の可能性が広がると考えられます。

  • 「議会答弁のAI生成」と市民への周知に効果的な「議事録システムのkintone化」
  • 「新規職員の実務習得のためのAI活用」に向けた例規集システムのkintone化×AI活用

「議会答弁のAI生成」と市民への周知に効果的な「議事録システムのkintone化」

「議会答弁のAI生成」と市民への周知に効果的な「議事録システムのkintone化」

現在の議会事務は、「答弁作成」と「市民への周知」のうえで課題を抱えています。

まず、「答弁作成」の業務としては、次の流れになっています。

<答弁の作成プロセス>

  1. 議員の質問の意図を把握。
  2. 法令・統計データ等から情報収集及び事実の裏付け。
  3. 過去の答弁との整合性のチェック。
  4. 答弁案の作成。
  5. 庁内の関係部署との調整。

以上のように人海戦術です。議会期間中に深夜残業になり、人件費の高い幹部職員の残業になっています。議事録システムをkintone化し、AIとも連携することで、整合性のある答弁案をスムーズに準備できます。

さらに、「市民への周知」という面では、議会の内容が一般の方には知られにくいため、広報も課題です。その点、kintoneを外部公開するプラグインを併用することで、市民の方は流れを掴みやすくなるでしょう。

新規職員の実務習得のためのAI活用に向けた例規集システムのkintone化

新規職員の実務習得のためのAI活用に向けた例規集システムのkintone化

新規職員の実務の習得方法はAIで改善できます。理由は、業務の増加、採用試験の簡略化等から、旧来のような「実務や試験での習得」では間に合いません。これまでは、研修が形骸的でも、起案を各課にまわすなかで指摘をうけ習得することができましたが、それだけでは間に合わなくなってきました。

<担当課から指摘を受ける事項>

実務 例規 部門
文書事務(決裁区分・合議・公印など) 文書規則 文書部門
契約事務(入札・仕様書・プロポーザル) 契約規則 契約課
支出負担行為(支払い・決裁区分) 財務規則 会計課
条例及び規則の制定・改正 法規全般 法規部門
予算案の作成(予算書・根拠資料) 予算規則 財務部門

上述した内容が網羅されている例規集は膨大な情報量です。例規集のシステムをkinton化してAI活用することで、AIに要約させたり、実務の漏れを回避することが円滑になります。

AI×kintoneで「行政サービス向上編」

続いて、庁内の業務改善だけでなく、行政サービスの開発や、地域課題の解消など、「まちづくり」の面にも、目を向けていきましょう。民間企業におけるkintone×AIの活用事例をもとに、次のような活用の可能性が広がると考えられます。

  • AI×kintoneのデータで「行政サービス創出・改善」
  • AI×被災情報解析(避難と支援とのマッチング)

AI×kintoneのデータで「行政サービス創出・改善」

現在は、次のようにそれぞれ別で、役立てられている傾向があります。

【ツールごとの行政サービス例】

ツール 活用されている行政サービス例 備考
AI ・人流や交通分析と予測

・保育所のマッチング

・ゴミ分類のチャットボット

・食品ロスの削減

kintone ・窓口の手続き

・業務報告

・住民向けのアンケート

・通報(熊の出没情報、放置自転車、道路)

・避難所システム・避難者システム

外部フォームのプラグイン等も併用

上述したように、既にkintone化している業務では、データが蓄積します。AIと連携させることで、「手続きの混雑予測・残業予測」「予算確保の妥当性の向上」「業務の繁忙期の可視化」「住民むけのアンケートを踏まえた計画づくり」などが可能です。これまで、マーケティングは、漠然とした結果をもとに進めていたかもしれませんが改善されるでしょう。

AI×被災情報の解析(避難と支援とのマッチング)

災害時、庁内はカオスな状況に陥ります。とくに大規模災害に見舞われたことのない自治体では災害時の計画は机上の空論にすぎないこともあるでしょう。

そのようななか、2024年の能登半島地震や奥能登豪雨において、石川県が中心となり、避難所や避難者の把握に、アジャイル開発できるkintoneが有効活用されました。自治体内部には、kintone人材を育成しておくことが災害対策として必ず役立ちます。

例えば、次のアプリを準備しておくことで、避難者への支援物資の提供などのマッチングがスムーズになるでしょう。

  • 避難所のデータ
  • 支援物資のデータ(備蓄分のデータ・外部からの寄付を随時登録)
  • 職員の自宅から、救援に駆け付けやすい避難所エリア
  • 職員の勤務時間や業務内容の把握(過労による突然死の予防のため)
  • 罹災証明の手続き

自治体のパートナー企業の選定は、kintone×AI活用に実践している会社を選ぼう

今回、ご紹介したように、AIはkintoneと併せて使うことで可能性は広がります。kintoneと連携するAIのプラグインとしては、「Smart at AI for kintone Powered by GPT」などが挙げられます。パートナー企業選定時には、kintoneとAIの併用を実践している企業を選び、一緒に可能性を模索していきましょう。

kintoneの研修や伴走支援なら、ペパコミ株式会社へご相談ください

今後、DXの促進は精力的に取り組む自治体とそうでない自治体で、その差は大きく広がります。kintoneの活用には、操作や一時的な構築支援だけでなく、プラグインの最適化やAI活用の実践にも寄り添ってもらうことで効果が高まります。

ペパコミ株式会社では、プラグインのメディアの運営やAI併用の実践に取り組んでいます。まずは、皆さんの組織づくりや実務に寄り添ってまいりますので、ペパコミ株式会社にご相談ください。

小川喜句

ペパコミ株式会社代表取締役小川 喜句

ペパコミ株式会社代表取締役。youtubeにて「kintone活用ちゃんねる」と、kintoneのプラグインメディア運営。kintoneの構築や内製化を伴走支援を行なっており、kintone運営会社「サイボウズ社」のビジネスにおいて、顕著な実績を上げたパートナー企業や個人を表彰する制度である「CYBOZU AWARD 2022」を受賞。サイボウズ評価制度4年連続2つ星を受賞し、セールス部門(2023~2025年) インテグレーション部門(2022~2025年)も受賞。

小川喜句X 小川喜句Youtube
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