kintoneは、日々の業務データを管理するだけでなく、そのデータを視覚的に分析するグラフ機能を備えています。
多くの企業がデータ活用を模索する中で、kintoneのグラフ機能は、蓄積された情報を分かりやすく表現し、意思決定に役立てるための重要なツールとして機能します。
Excelなどで慣れ親しんだグラフ表現がkintoneでも可能であり、データを見える化する要望に応えられます。
kintoneのグラフ機能は多岐にわたるため、今回は基本的な機能に焦点を当てて解説します。
なお、ペパコミ株式会社では、「kintone」を活用した業務支援を行っています。業務効率化にお悩みの方は、ぜひ以下からお気軽にご相談ください。
kintoneグラフ機能の種類とそれぞれの特徴
kintoneの標準機能として、全9種類のグラフが用意されています。データの特性や分析したい内容に応じて、最適なグラフを選択できます。
kintoneで利用できるグラフの種類は下記のとおりです。
- 横棒グラフ
- 縦棒グラフ
- 円グラフ
- 折れ線グラフ
- クロス集計表
- 面グラフ
- 曲線グラフ
- 曲線面グラフ
- 表
それぞれ詳しく解説します。
横棒グラフ
項目ごとの数量や比率を横向きの棒で表現します。複数の項目を比較する際に視覚的に理解しやすく、特にランキング形式のデータ表現に適しています。
縦棒グラフ
項目ごとの数量や比率を縦向きの棒で表現します。横棒グラフと同様に項目間の比較に適しており、時系列データの変化や期間ごとの推移を把握する際にも利用されます。
円グラフ
全体に対する各項目の割合を円の扇形として表現します。各部分が全体に占める比率を一目で理解できるため、構成比の分析に有用です。
折れ線グラフ
時間の経過に伴うデータの変化や推移を点で示し、それらを線で結んで表現します。トレンドの把握や時系列データの比較に適しています。
クロス集計表
複数の項目を縦軸と横軸に配置し、それぞれの交差する位置に集計値を表示する表形式のグラフです。異なるデータカテゴリ間の関係性を多角的に分析する際に役立ちます。
面グラフ
折れ線グラフと同様にデータの推移を表現しますが、線と横軸の間の領域を塗りつぶして表示します。累積的な変化や、複数の系列が全体に占める割合の推移を視覚的に表現する際に利用されます。
曲線グラフ
折れ線グラフと同様にデータの変化を表現しますが、点が滑らかな曲線で結ばれます。データの傾向をよりスムーズに示したい場合に用いられるグラフです。
曲線面グラフ
面グラフと同様にデータの推移と領域を表現しますが、線が滑らかな曲線で結ばれます。滑らかな曲線で累積的な変化を示し、データの連続性を強調します。
表
データを数値やテキストで表形式にまとめる機能です。グラフとは異なり、詳細な数値データを一覧で確認したい場合に適しています。
これらのグラフは、kintoneのアプリ一覧画面からアクセスできる「集計」ボタンを通して設定できます。
kintoneグラフ設定の基本要素
kintoneでグラフを作成する際、押さえるべき主要なポイントが2つあります。
- データの分類設定(大項目・中項目・小項目)
- データの集計方法の設定
これらの設定によって、データの視覚化方法を細かく制御できます。
データの分類設定(大項目・中項目・小項目)
グラフでデータをどのように分類して表示するかを設定します。
kintoneでは、最大3つの階層に分けて分類を行えます。分類の階層は、大項目、中項目、小項目として設定が可能です。
たとえば、「担当者名」を大項目に設定すると、担当者ごとにデータが分類されて表示されます。さらに中項目として「角度」を設定すると、担当者ごとにその角度別のデータが表示されます。
これにより、下山さんの担当する案件が2件あり、そのうち1件は100%、もう1件は60%といった具体的な内訳が視覚化されます。
分類項目を設定する際は、分析の目的に合わせて項目を選ぶ必要があります。あまりにも細かく分類しすぎると、かえってグラフが複雑になり、視覚的な分かりやすさが損なわれる可能性もあります。
データの集計方法の設定
グラフで表示するデータの「数値」をどのように集計するかを設定します。初期設定では「レコード数」が選択されていますが、これを変更することで、より多角的な分析が可能です。
集計方法の例として、下記があります。
集計方法の例 | 詳細 |
レコード数 | アプリに登録されているデータの件数を数えます。 |
合計費用 | 特定の数値フィールド(例:費用を示すフィールド)の合計値を集計します。 |
「レコード数」の代わりに「合計費用」を設定すると、下山さんの案件が2件あるという情報から、角度60%の案件が200万円、100%の案件が60万円といった具体的な金額での内訳が確認できます。
集計方法の選択は、データから得られるインサイトの質に直接影響を与えるため、分析の目的に合わせて慎重に選ぶ必要があります。
kintoneグラフ機能の活用方法
kintoneのグラフ機能は、単にデータを視覚化するだけでなく、その後のデータ活用を支援する様々な便利な機能を備えています。
- グラフからの詳細データへのリンク
- グラフ設定の保存と再利用
- ダッシュボードへのグラフ貼り付け
これらの機能を活用することで、より深いデータ分析やリアルタイムでの状況把握が可能です。
グラフからの詳細データへのリンク
kintoneグラフの便利な点の一つは、表示されているグラフ要素が、関連する詳細レコードへのリンクとして機能する点です。
たとえば、縦棒グラフで星野さんの棒グラフが250万円と表示されている場合、その棒グラフをクリックすると、星野さんの250万円の案件詳細が絞り込まれて表示されます。
この機能により、グラフで全体像を把握した後、気になる特定のデータについて、すぐに具体的な内容を確認できます。
これにより、データの全体像から個別の情報へとスムーズに掘り下げて確認できるため、分析の効率が向上します。
グラフ設定の保存と再利用
一度作成したグラフの設定は、保存していつでも再利用できます。保存する際には、「担当者別 角度別 売上」といった分かりやすい名称を付けることが推奨されます。
グラフ設定を保存すると、kintoneに新しい情報が蓄積されるたびに、保存されたグラフが自動で更新され、常に最新のデータに基づいて計算されたグラフが表示されます。
これにより、手動でグラフを再設定する手間が省け、継続的なデータモニタリングが可能になります。
ダッシュボードへのグラフ貼り付け
作成したグラフは、kintoneのダッシュボードに貼り付けて表示できます。ダッシュボードは、複数のアプリの情報を一箇所に集約して表示できる機能です。
グラフをダッシュボードに貼り付けることで、営業成績やプロジェクトの進捗など、リアルタイムで確認したい重要なデータを常に目につく場所に配置できます。
これにより、組織全体の状況を瞬時に把握し、迅速な意思決定を支援する情報基盤として活用できます。
kintoneで作成する特殊なグラフ機能
kintoneのグラフ機能には、通常の棒グラフや円グラフとは異なる特性を持つ「クロス集計表」と「表」があります。これらは、特定の分析ニーズに応えるための機能です。
表機能の利用
「表」は、データを数値やテキストで表形式にまとめる機能です。一般的なスプレッドシートのように、行と列にデータを整理して表示します。
表機能の大きなメリットは、複数の集計方法に対応できる点です。通常のグラフでは集計方法を1つに限定される場合がありますが、表では最大10個までの集計方法を設定できます。
これにより、同じデータに対して異なる複数の側面から数値を同時に確認したい場合に役立ちます。
クロス集計表機能の利用
「クロス集計表」は、横軸と縦軸の2つの軸を使用してデータを集計し、それぞれの交差する位置に集計値を表示する機能です。これにより、異なる2つの分類項目を組み合わせたデータの分布や関係性を視覚的に把握できます。
たとえば、縦軸に「角度」、横軸に「担当者」を設定すると、各担当者がそれぞれの角度の案件をどのくらい抱えているかを一覧で確認できます。軸の入れ替えも可能であり、分析の視点に応じて見やすい配置に変更できます。
kintoneで行うクロス集計表の制約
クロス集計表には、利用する上で理解しておくべき制約が2点あります。
- 詳細レコードへのリンク機能がない点
- 集計方法が1つのみに限定される点
それぞれ解説します。
詳細レコードへのリンク機能がない点
他のグラフのように、表示されている集計値をクリックしても、関連する詳細レコードへ直接移動することはできません。そのため、集計結果から個別のデータを確認する際には、別途検索などの操作が必要です。
集計方法が1つのみに限定される点
クロス集計表では、設定できる集計方法が1つに限られます。複数の集計方法を同時に表示したい場合は、表機能の活用が検討されます。
これらの制約があるものの、クロス集計表は2つの軸でデータを比較したい場合に有用な機能です。
kintoneグラフ機能を活用する上での留意点
kintoneのグラフ機能を最大限に活用するためには、いくつかの留意点を理解しておくことが重要です。
グラフの種類や設定には特定の制約があり、また、グラフを活かすためのアプリ設計も欠かせません。
kintoneのグラフ機能は、利用するグラフの種類によって設定できる項目の数や集計方法に制約があります。
たとえば、クロス集計表では集計方法が1つに限定されるなど、全てのグラフで同じ設定が利用できるわけではありません。
そのため、分析したいデータや表現したい内容に応じて、適切なグラフの種類を選択することが求められます。
また、kintoneのグラフ機能は、アプリに蓄積されたデータに基づいて作成されます。そのため、どのような情報をグラフで可視化したいかという目的を明確にし、その目的を達成できるようにkintoneアプリを設計することが重要です。
最初にどのようなデータを見たいかを考え、その情報を収集できるようなフィールド構成やプロセスをアプリに組み込むことで、後からグラフで分析しやすくなります。
kintoneの導入を検討している企業にとって、データがどのように可視化され、分析できるかは重要な要素です。
kintoneのグラフ分析機能は、企業がデータドリブンな意思決定を行う上で欠かせない機能であり、その全体像を把握しておくことで、より具体的な活用イメージを描けます。
まとめ
kintoneのグラフ機能は、複雑なデータを視覚的に分かりやすく表現し、企業内でのデータ活用を強力に推進するツールです。
横棒グラフ、縦棒グラフなど全9種類のグラフを標準で利用でき、用途に応じて選択できる点が大きな強みです。
グラフ設定においては、大項目、中項目、小項目によるデータの分類や、レコード数、合計費用などの集計方法を柔軟に設定できます。
さらに、グラフから直接詳細レコードへリンクする機能や、作成したグラフ設定の保存、ダッシュボードへの貼り付けといった便利な機能により、リアルタイムでのデータモニタリングや迅速な意思決定を支援します。
特に、「横棒グラフ」「縦棒グラフ」「円グラフ」「クロス集計表」「表」の5種類は頻繁に活用されるため、これらの機能を習得しておくことで、多様な軸でのデータ分析が可能になります。
kintoneでデータ分析を始める際には、まずどのような情報を見たいのかを明確にし、それに合わせたアプリ設計を行うことが成功の鍵となります。
kintoneのグラフ機能は、自社の業務課題解決や効率化に大きく貢献する可能性を秘めています。kintoneを導入し、データを見える化することで、組織全体の生産性向上に繋げられるでしょう。
なお、ペパコミ株式会社では、「kintone」を活用した業務支援を行っています。業務効率化にお悩みの方は、ぜひ以下からお気軽にご相談ください。
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