kintone導入の成功は、単なるシステム構築ではなく「自社で運用できる体制」を築けるかにかかっています。
「伴走支援」は、専門家がお客様とチームを組み、マラソンのコーチのように並走しながら、最終的な自走をサポートするサービスです。
この記事では、伴走支援の具体的なイメージから成功・失敗事例まで、導入を成功に導くためのポイントを解説します。
なお、ペパコミ株式会社では、「kintone」を活用した業務支援を行っています。業務効率化にお悩みの方は、ぜひ以下からお気軽にご相談ください。
kintone伴走支援の概念
kintone伴走支援は、単にシステムを構築するだけでなく、お客様と一体となってプロジェクトを進める支援形態です。
特にkintone界隈では「伴走」という言葉が広まっており、具体的な意味が曖昧な場合もありますが、伴走は顧客に寄り添い、共に構築を進めるイメージで認識されています。
伴走支援はマラソンに例えられます。お客様がマラソンのランナーであり、伴走者はそれを支えるコーチという立ち位置です。
kintoneを活用する上で、お客様自身が動かなければ進まない部分があるため、お客様に主体的に取り組んでもらうことを重視します。
kintone伴走構築の具体的なイメージ
kintoneの伴走構築を進めるにあたり、具体的なヒアリングから運用までの流れにはいくつかの重要なポイントがあります。
これらはお客様と伴走者が共に目標に向かって進むための基盤となります。
チームとして共に構築する意識
kintoneの構築は、お客様と伴走者が一つのチームとして協力しながら進めます。
伴走者はkintoneのアプリケーション作成を支援しますが、お客様と共同で一つのものを作り上げていく意識を共有することが重要です。
しかし、プロジェクトが進行するにつれて、お客様から資料の提供のみが行われ、構築作業を伴走者に任せきりになるケースもあります。
当初は共に進む意識があっても、途中で伴走者とお客様が対岸にいるような状態になる場合も存在します。お客様が伴走者の質問に答えず、自ら積極的にプロジェクトにコミットしない状態に陥る場合もあります。
週1回のミーティングで意識を合わせる
このような状況を避けるため、最近では週に1回のミーティングを実施しています。このミーティングの目的は、お客様と伴走者の意識を継続的に合わせる点にあります。
資料を確認する際も、提示された形式だけでなく、別の方法が良いのではないかといった提案を共に検討し、お客様と伴走者が一緒に考える場を設けています。
これにより、お客様が伴走者と共に走る意識を持ち続ける状況を作り出します。
業務全体を深く理解する重要性
伴走者は、お客様の業務を深く理解することが非常に重要だと考えています。
週に1回のミーティングを通じてお客様の「やりたいこと」を共に考え、共に進むことで、最終的にはお客様の社内業務を、お客様以上に理解している状態になる場合もあります。
お客様との信頼関係を築き、親密になることで、表面的な部分だけでなく、内部の事情まで深く聞くことができるようになります。
kintoneの専門知識だけでなく、お客様の業務理解も深めることで、より良い提案ができるようになります。お客様の業務を理解した上で、「こうする方が良いのではないか」と積極的に提案する場合もあります。
kintone伴走支援で直面する壁と乗り越え方
kintone導入・運用では、計画段階や運用開始後にいくつかの課題に直面する場合があります。伴走支援はこれらの壁を乗り越え、実用的なシステム構築と運用を支援します。
業務範囲が広がる「スモールスタートの壁」
kintone導入の初期段階では、一部の業務に絞ってスタートするケースが多くあります。
しかし、実際に構築を進める中で、関連する周辺業務もkintoneで管理したいという要望が出て、当初の計画よりも範囲が広がる傾向があります。
お客様自身が導入を決める段階では部分的な解決を目指しても、深く話し合ううちに「あれもこれもやりたい」と要望が拡大する点は、お客様側で発生する問題です。
このような状況に対し、伴走者は週1回のミーティングで継続的にコミュニケーションを取り、初期の目的を再確認します。
お客様が「まず案件を見えるようにしたい」と述べた場合、まずはその目的達成に集中し、次の要望についてはその後に検討することを提案します。
入力が進まない「運用の壁」
kintoneアプリケーションが完成しても、実際に入力が行われず、運用が進まないという壁に直面する場合もあります。
この「運用の壁」は、構築後に発生する大きな課題です。特に初期段階で「あれもこれもやりたい」という要望を絞り、まずは核心となる機能に集中する理由の一つは、この運用の壁を乗り越えるためです。
伴走者はアプリケーションが完成した後、「入力はできていますか」と必ずお客様に確認します。入力が進まない理由をヒアリングし、その原因を特定して改善策を共に考えることで、運用が定着するように支援します。
これは単に構築するだけでなく、構築したシステムが実際に活用されるまで伴走するプロセスであり、マラソンランナーに寄り添うような立ち位置で支援を行います。
kintone伴走支援の成功事例
担当者がkintoneの試用を申し込んだものの、自力での構築がうまくいかず、伴走者に連絡がありました。
伴走者はまず大まかなアプリケーション設計を行い、そこから毎週ミーティングを実施しました。ミーティングを通じて運用イメージを共有しながら修正を加え、担当者もkintoneの修正方法を理解し、共に認識を深めながら構築を進めました。システムが運用できるレベルに達した時点で一度納品を完了しました。
その後は、担当者自身が基本的な修正作業を行うようになりました。新たな要望や疑問が生じた際には、「どうすれば良いですか」という質問に対し、伴走者が「こうすると良いです」とサポートを提供しました。
現在では、ほとんどの作業をその担当者自身が行えるようになっています。何ができるか分からないという状態から、できることを明確にし、入力と運用を繰り返すことで、お客様が自力でkintoneを使いこなせるようになる点が重要です。
kintone伴走支援がうまくいかないパターン
kintone伴走支援が効果を発揮するためには、お客様側の協力が不可欠です。以下に、支援がうまくいかない典型的なパターンを解説します。
入力が行われない場合
伴走者がシステムを構築しても、お客様が実際に入力作業を行わない場合、そのシステムは活用されません。
入力が行われないと、何が課題で、なぜシステムが使えないのかという理由を特定することができません。運用を通じて初めて、改善が必要な箇所が明らかになるため、入力が行われない状況は支援を進める上で最大の障壁となります。
顧客が自走する意識を持たない場合
kintone伴走支援の成功には、お客様自身が「自分たちで走りたい」「自分たちで運用を進めたい」という強い意識を持つ点が不可欠です。
このような主体的な意識を持つ会社は、伴走支援を通じてうまくいく傾向があります。伴走者は、お客様が最終的に「自分自身で走る」ことを目標とし、その横で支援を行う立ち位置だと認識しています。
kintoneを有効活用したい方は伴走支援を上手く利用しましょう
kintone導入の成否は、システム構築そのものではなく「自社で継続運用できる体制づくり」にかかっています。伴走支援は、専門家が顧客と一体となり、マラソンのコーチのように並走しながら最終的な自走を促す支援形態です。
週1回のミーティングで意識を合わせ、業務理解を深めながら課題を共有し、改善を重ねることが成功の鍵となります。
一方で、入力が行われない、主体性が欠けるといった状況では支援が機能しません。伴走支援は、顧客の主体性と継続的なコミュニケーションを基盤に、構築したシステムを活用し成果を出せる環境を整えることを目的としています。
なお、ペパコミ株式会社では、「kintone」を活用した業務支援を行っています。業務効率化にお悩みの方は、ぜひ以下からお気軽にご相談ください。
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