Excel Power Queryでフォルダ内のデータを自動で集約する方法

小川喜句

ペパコミ株式会社代表取締役小川 喜句

ペパコミ株式会社代表取締役。youtubeにて「kintone活用ちゃんねる」と、kintoneのプラグインメディア運営。kintoneの構築や内製化を伴走支援を行なっており、kintone運営会社「サイボウズ社」のビジネスにおいて、顕著な実績を上げたパートナー企業や個人を表彰する制度である「CYBOZU AWARD 2022」を受賞。サイボウズ評価制度3年連続2つ星を受賞し、セールス部門(2023~2024年) インテグレーション部門(2022~2024年)も受賞。

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日々の業務で扱うExcelファイルが多くなると、データの集約や管理に膨大な時間と手間がかかります。そんな課題を解決するのが「Power Query」です。

Power Queryは、複数のExcelファイルを自動で集約・整形できるノーコードツールで、プログラミング不要で直感的に操作できます。

本コラムでは、Power Queryの基本機能から、実践的なデータ統合手順、注意点までを詳しく解説しています。

なお、ペパコミ株式会社では、脱Excelとして「kintone」を活用した業務支援を行っています。業務効率化にお悩みの方は、ぜひ以下からお気軽にご相談ください。

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目次

Excel Power Queryで複数ファイルを自動集約する方法

Excel Power Queryで複数ファイルを自動集約する方法

Excelには、日々の業務を自動化し、データ処理を効率的にする強力な機能が備わっています。その一つが「Power Query」です。Power Queryは、複雑なデータ統合や変換作業を簡素化し、手作業でのミスを減らし、時間を節約する手助けをします。

Excel業務の自動化を可能にするPower Query

Excel業務の自動化を可能にするPower Query

Power Queryは、Excelの作業を自動化できるツールです。プログラミングコードを書く必要がなく、画面上のボタンを操作するだけでExcelが自動でコードを生成するため、「ノーコードツール」に分類されます。

Power Queryは本来、データベースを作成するためのツールとして開発されました。しかし、業務でデータ作成だけで完結することは少ないため、関数やピボットテーブルなどのExcel機能を組み合わせることで、業務自動化ツールとして活用できます。

Power Queryとマクロ(VBA)の違い

Power Queryとマクロ(VBA)の違い

Power QueryとExcelマクロ(VBA)は、どちらもExcelの自動化に寄与する機能ですが、両者は以下のように異なります。

項目 Power Query マクロ(VBA)
プログラミング 不要(画面上のボタン操作でExcelが自動コード作成) 必要(VBAコードの記述)
難易度 比較的低い(VBAのレベル感を10とすると、Power Queryは3〜4程度) 比較的高い(プログラミング知識が必要)
メンテナンス性 高い(ノーコードのため、担当者以外も修正しやすい) 属人化しがち(コードを理解できる人が限られる)
主な用途 データの取得、変換、統合、整形 あらゆるExcel操作の自動化、システム連携など
特徴 データ処理に特化、使いやすさを重視 汎用性が高い、より複雑な処理に対応

Power QueryはVBAほど何でもできるわけではありませんが、その分、使いやすさに優れます。VBAのようなプログラミング知識が不要なため、VBAの経験がない方でも仕組みを構築でき、負担を少なくして理解が進みます。

これにより、担当者の退職などでシステムが使えなくなる「属人化」のリスクを低減できます。

従来の方法で複数のExcelファイルを集約する際の課題

従来の方法で複数のExcelファイルを集約する際の課題

大企業の子会社約50社から、従業員の氏名とメールアドレスが記載されたExcelファイルが個別に送られてくるケースを想定します。

それぞれのファイルを収集し、全従業員分のデータを一つのリストにまとめる必要があります。

担当者が上記の作業を手作業で行おうとすると、約50個のExcelファイルを一つずつ開き、各ファイルからデータをコピー&ペーストする作業が伴うため、非常に手間がかかり、時間消費の大きい作業です。

さらに、手作業によるコピー&ペーストは、データの取りこぼしや誤入力といったヒューマンエラーが発生する可能性もありました。

さらに、手作業によるコピー&ペーストは、データの取りこぼしや誤入力といったヒューマンエラーが発生する可能性もありました。

Power Queryによる課題解決事例

Power Queryによる課題解決の例

Power Queryを活用すれば、複数Excelファイルからのデータ集約作業を自動化できます。

手作業で数日を要していた作業が、Power Queryの設定を行うことでわずか10分程度で完了し、慣れていれば1分程度で処理を終えることも可能です。これにより、業務時間の削減とデータ整合性の向上に大きく貢献します。

Power Queryを活用した複数Excelファイル集約のステップ

ここでは、Power Queryを使って複数Excelファイルに分散したデータを一つのシートに集約する具体的な手順を解説します。

データの取得方法

データの取得方法

Power Queryでデータを取得する最初のステップは、対象となるExcelファイルが格納されているフォルダを選択することです。手順は以下のとおりです。

  1. Excelを開く
  2. 「データ」タブをクリックする
  3. 「データの取得」から「ファイルから」を選び、「フォルダから」を選択する
  4. 次に、集約したいExcelファイルが保存されているフォルダを選択する
  5. 「データの変換」ボタンをクリックしてPower Queryエディターを起動させる

なお、「4」の手順でフォルダを選択すると、ファイルの一覧が表示されますが、ここでは何も操作する必要はありません。

データの変換操作

データの変換操作

Power Queryエディターに画面が切り替わると、普段のExcelとは異なる画面が表示されます。ここでは以下の手順でデータの結合と整形を行います。

  1. Power Queryエディターの画面で、「Content」列の右側にある下矢印をクリックする
  2. 各Excelファイルに保存されているシートを選択し、「OK」をクリックする
  3. Excelファイルに格納されていたデータが一つのテーブルとして結合される

なお、元データのExcelファイル名を示す「Source.Name」列が表示される場合がありますが、必要に応じて削除できます。

シート名の統一とヘッダーの設定

シート名の統一とヘッダーの設定

Power Queryで複数のシートを結合する際には、主に以下2つの注意点があります。

  • シート名の統一
  • ヘッダーの設定

Power Queryで複数のシートを結合するためには、シート名が統一されている必要があります。例えば、「Sheet1」と「シート1」のように表記が異なる場合や、大文字と小文字、全角と半角の違いがある場合もエラーの原因となります。

エラーを避けるためには、データを取り込む前に、対象となるExcelファイルのシート名をすべて同じに統一することが重要です。

また、Power Queryでデータを取り込んだ際、最初の行が列名(ヘッダー)として認識されていない場合があります。その場合、データは「Column1」「Column2」といった仮の列名で表示されます。

正しいヘッダーを設定するためには、Power Queryエディター内の「1行目をヘッダーとして使用」ボタンをクリックします。これにより、データの1行目が正式な列名として設定され、データがより分かりやすく整理されます。

データの読み込みと更新

データの読み込みと更新

データの取得と変換が完了したら、以下の方法でPower Queryで処理したデータをExcelシートに読み込みます。

  1. Power Queryエディター上部にある「閉じて読み込む」ボタンをクリックする
  2. Power Queryで結合・整形されたデータが新しいExcelシートに表示される

Excelデータを読み込むと、手作業でコピー&ペーストして作成した最終的なデータと同じ形式になります。Power Queryで設定した処理は、Excelファイル内に埋め込まれるため、一度設定すれば繰り返し利用できます。

また、元のフォルダ内のExcelファイルに変更があった場合、Excel上の「すべて更新」ボタンをクリックするだけで、Power Queryの設定が実行され、データが自動的に最新の状態に更新可能です。

そのため、ピボットテーブルの更新と似た感覚で利用できます。

そのため、ピボットテーブルの更新と似た感覚で利用できます。

Power Queryの便利な機能

Power Queryの便利な機能

Power Queryは、単一のデータ集約だけでなく、以下のようにデータの管理や抽出にも活用できます。

  • 複数クエリの管理
  • 特定のデータの抽出とソート

それぞれ解説します。

複数クエリの管理

複数クエリの管理

一つのExcelファイル内には、以下の手順で複数のPower Query設定の埋め込みが可能です。これにより、異なる目的のデータ処理を同じファイル内で管理可能です。

Excelの画面右側にある「クエリと接続」をクリックすると、保存されているPower Queryの設定(クエリ)が一覧表示されます。

例えば、「元データ」クエリと、別の処理を行うクエリが複数ある場合、それぞれが独立したコードとして認識されます。

なお、「すべて更新」ボタンをクリックすると、「クエリと接続」に保存されている全てのPower Queryが実行されます。

もし特定のクエリだけを更新したい場合は、目的のクエリを選択した状態でPower Queryエディターに入り、「プレビューの更新」ボタンをクリックすると実行されます。

特定のデータの抽出とソート

特定のデータの抽出とソート

Power Queryでは、以下の手順で既存のクエリを参照して新しいクエリを作成し、特定の条件でデータを抽出したり、並べ替えたりできます。

  1. データを取り込むクエリを選択し、「参照」として複製する
  2. 複製したクエリをPower Queryエディターで開き、特定の条件(例:特定の人物の名前)でデータを抽出したり、並べ替える
  3. 新しいクエリを「閉じて読み込む」と、元のデータとは別に、フィルターされた特定のデータだけがExcelシートに表示される

なお、元のデータを変更しなくてもデータを加工して利用できますが、クエリ名も分かりやすい名前に変更すると管理が容易になります。

Power Query利用における注意点

Power Query利用における注意点

Power Queryは非常に便利なツールですが、その機能を最大限に活かすためには、以下に注意する必要があります。

  • シート名の変更
  • データ保存場所の変更
  • Excelブック名の変更

Power Queryは、処理対象のExcelファイル内のシート名が設定時と同じであることを前提とします。シート名が異なる場合、データが正しく取り込めないエラーが発生します。大文字・小文字、全角・半角の違いも、Power Queryにとっては異なるシート名と認識されるため、特に注意が必要です。

Power Queryで指定した元のデータの保存場所(フォルダのパス)が変更されると、Power Queryはデータを見つけられなくなり、エラーが発生します。データの更新を自動で行うためには、元のExcelファイルが常に同じフォルダに保存されている必要があります。

同様に、個々のExcelファイルのブック名が変更された場合も、Power Queryの設定をやり直す必要が生じることがあります。

そのため、Power Queryを設定した後は、できるだけ同じ場所で作業を行い、元のExcelファイルも同じフォルダ内、できれば同じブック名で保存しましょう。

Excel Power Queryを活用して業務の自動化を図ろう

Excel Power Queryを活用して業務の自動化を図ろう

Power Queryは、日々のExcel業務におけるデータ集約や加工の負担を軽減してくれるツールです。

プログラミングの知識がなくても活用できるため、多くのExcelユーザーにとって業務改善の選択肢となります。

ただし、Power Queryを活用するためには、シート名の統一が必須です。

なお、ペパコミ株式会社では、脱Excelとして「kintone」を活用した業務支援を行っています。業務効率化にお悩みの方は、ぜひ以下からお気軽にご相談ください。

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ペパコミ株式会社代表取締役小川 喜句

ペパコミ株式会社代表取締役。youtubeにて「kintone活用ちゃんねる」と、kintoneのプラグインメディア運営。kintoneの構築や内製化を伴走支援を行なっており、kintone運営会社「サイボウズ社」のビジネスにおいて、顕著な実績を上げたパートナー企業や個人を表彰する制度である「CYBOZU AWARD 2022」を受賞。サイボウズ評価制度3年連続2つ星を受賞し、セールス部門(2023~2024年) インテグレーション部門(2022~2024年)も受賞。

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