kintone構築担当者が意識すべきこと:顧客の課題解決を導くプロの視点

小川喜句

ペパコミ株式会社代表取締役小川 喜句

ペパコミ株式会社代表取締役。youtubeにて「kintone活用ちゃんねる」と、kintoneのプラグインメディア運営。kintoneの構築や内製化を伴走支援を行なっており、kintone運営会社「サイボウズ社」のビジネスにおいて、顕著な実績を上げたパートナー企業や個人を表彰する制度である「CYBOZU AWARD 2022」を受賞。サイボウズ評価制度4年連続2つ星を受賞し、セールス部門(2023~2025年) インテグレーション部門(2022~2025年)も受賞。

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kintoneを活用した業務改善は、単なるアプリ構築やシステム移行にとどまらず、顧客の本質的な課題を見極め、最適な解決策を導くプロフェッショナルの姿勢が問われます。

本記事では、kintone構築担当者が現場で実践する円滑なコミュニケーションの工夫、丁寧な要件定義の進め方、そしてIT業界で長年培われた品質へのこだわりについて解説しています。

顧客との信頼関係を築きながら、顧客満足度を高めるだけでなく、構築後の運用に向けて大切な要素を知りたい方はぜひご参考ください。

なお、ペパコミ株式会社では、「kintone」を活用した業務支援を行っています。業務効率化にお悩みの方は、ぜひ以下からお気軽にご相談ください。

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目次

kintoneを導入する際、顧客との円滑なコミュニケーションを築く意識 

kintoneを導入する際、顧客との円滑なコミュニケーションを築く意識 

kintone構築を進めるにあたり、以下のような顧客との初期段階におけるコミュニケーションは、プロジェクトの成否を左右する重要な要素です。

  • アイスブレイクと立場の理解
  • 期待値の調整とニーズの掘り起こし

担当者は、単に要件を聞くだけでなく、顧客の状況や背景を深く理解するための意識をもっています。

アイスブレイクと立場の理解

アイスブレイクと立場の理解

 顧客との会話を始める前に、構築担当者はアイスブレイクを重視しています。

具体的には、顧客がどのような立場で仕事をしているのか、社長との関係性はどうなのか、担当者の周囲の状況を把握することから開始します。

また、担当者自身が完璧ではないことを伝え、「ごめんね」という姿勢で接することで、顧客の緊張を和らげ、話しやすい雰囲気が大切です。

顧客がITやkintoneに不慣れな場合、過度にきちんとした発言をしようとする傾向があるため、担当者側から「皆さんの会社のことは全く分からないから、まずは話を聞かせてほしい」というスタンスで臨むことで、心理的なハードルを下げます。

上記のように、顧客にボールを投げかけ、受け取ってから本題に入る手法が有効です。

期待値の調整とニーズの掘り起こし

期待値の調整とニーズの掘り起こし

YouTubeなどでkintoneの機能や事例を目にして問い合わせをする顧客は、kintoneで実現できることへの期待値が高い傾向があります。

そのため、担当者は「kintoneでできること」と「提供できること」の間に齟齬がないよう、丁寧に確認を進めることが大切です。顧客の期待する内容について、「これはできます」「これはできません」と明確に伝えることで、後々の認識のずれを防ぎます。

さらに、顧客が「〜をしたい」と表明する要望(wants)に対し、「なぜそれをしたいのか」を繰り返し問いかけることで、背景にある真のニーズを掘り起こすことに意識を向けています。

顧客自身が気づいていない本質的な課題を発見し、より適切な解決策を提案することが重要です。

kintone要件定義における構築担当者の段階的なアプローチ

kintone要件定義における構築担当者の段階的なアプローチ

kintone構築においては、一度に全ての要件を満たそうとするのではなく、段階的にプロジェクトを進める意識が重要です。

特に、過去のシステム開発経験から、失敗が許されない状況を経験しているため、慎重なアプローチが企業文化として根付いています。

初期段階での切り分け

初期段階での切り分け

構築担当者は、顧客から出された全ての要望を一度に受け入れるのではなく、初期段階で優先順位をつけ、切り分けを行います。

具体的には、「まず最初のステップでここをしっかりやりましょう」と提案し、その次に進む内容を明確にすることで、プロジェクトが複雑化するのを防ぎます。

これにより、顧客は段階的にkintoneの導入効果を実感でき、無理なくシステムに慣れていくことが可能です。

「なぜ」を繰り返すヒアリング

「なぜ」を繰り返すヒアリング

システム導入には多額の費用と労力がかかるという従来の認識から、kintoneは手軽に導入できると思われがちです。このため、顧客側が表面的な要望のみを伝えるケースが多くあります。

構築担当者は、この状況に対し、「なぜやるのか」「費用対効果はあるのか」という問いを繰り返すことで、顧客の要望の本質を深く探ります。システムが完成した後で「思っていたものと違った」という事態を避けるためにも、顧客が自身の会社のあるべき姿に気づけるよう導かなければいけません。

過去の受託開発で「燃えたこと(炎上)がほぼない」という経験は、丁寧なヒアリング姿勢に裏打ちされています。

長年のkintone・IT事業で培われた構築担当者の品質重視の企業文化

長年のkintone・IT事業で培われた構築担当者の品質重視の企業文化 

kintone構築を担当する企業は、27年にわたりIT事業を続けており、その中で培われた以下のような独自の企業文化が、kintone構築における品質の高さに繋がっています。

  • 不可逆的な開発経験からくる慎重さ
  • 社内での徹底した議論

それぞれ解説します。

不可逆的な開発経験からくる慎重さ

不可逆的な開発経験からくる慎重さ

かつては、データベース設計からプログラミングまでを数ヶ月から半年かけて行い、一度納品すると修正が困難な「不可逆的」なレガシーシステムを地方の顧客に提供していました。

このような経験から、担当者は「燃えたら次はない」という強い危機意識を持っていました。

なぜなら、地元の商売では、一度顧客の信頼を失うと高額な費用を払ったにもかかわらずまともなシステムが納品されなかったという噂がすぐに広まり、事業が終了してしまうためです。

この経験が、「本当にそれで良いのか」「なぜそれがやりたいのか」「将来的にどうなりたいのか」といった、顧客のビジネス全体を見据えた慎重なヒアリングを行うDNAとして、現在のkintone構築にも生かされています。

kintoneは比較的作り直しが可能ではあるものの、慎重なアプローチは、顧客に最適なシステムを届ける上で重要です。

社内での徹底した議論

社内での徹底した議論 

見積もり提出の際には、社内で徹底的な議論が行われます。例えば、担当者Aが提案した内容や見積もりについて、グループチャットで活発なディスカッションが行われることで、組織全体の能力が向上します。

この議論の中で、「もう一掘り、なぜと聞いておくことで、さらに良い提案になる」といった具体的なフィードバックが交わされてきました。

この厳しさは、顧客に導入後の結果をきちんと出すためであり、社内で厳しくチェックすることで、最終的に質の高いサービスを提供し、kintoneの文化を築き上げています。

kintoneを導入するさまざまな顧客層への構築担当者の意識

kintoneを導入するさまざまな顧客層への構築担当者の意識

kintone構築担当者は、顧客のkintoneに対する理解度や、これまでのシステム利用経験に応じて、柔軟な対応を意識しています。

kintone新規導入とシステム移行の違い

kintoneの利用を開始する顧客と、Salesforceやレガシーシステム、Excelなどからkintoneへ移行する顧客では、システムに対するリテラシーに違いがあります。 

以下の表は、それぞれの顧客層がもつ一般的な特徴を示しています。

項目 kintone新規導入の場合 システム移行の場合
顧客層 初めてシステムを導入する企業や部門 既存のシステムを利用している企業
kintoneに対する理解度 低い場合もある 比較的高い
システム利用経験 ほとんどないケースが多い 既存システムでの操作経験があるため高め
担当者の対応 一から丁寧に説明し、イメージ共有を重視 既存システムの運用イメージを活かしつつ、kintoneでの実現方法を案内

システム移行の顧客は、既にレコード登録や日報登録などの基本的な操作イメージを持っているため、kintoneでの運用への移行が比較的スムーズに進む傾向があります。

しかし、Salesforceでできていたことがkintoneでどうなるかといった具体的な疑問も出てくるため、担当者はこれまでの運用イメージを踏まえつつ、kintoneでの実現方法を案内する必要があります。

リードの質の見極め 

リードの質の見極め 

問い合わせのリードには「玉石混交」があることを担当者は認識しています。

特に、サイボウズからの紹介リードの中には、kintoneや自社のパッケージについて理解が低い担当者がエンドユーザーを紹介するケースがあり、このようなリードは質が低い場合があります。

担当者は、このような状況では「なぜ自分が説明しなければならないのか」と不満を感じる経験も過去にありました。そのため、YouTubeなどのオウンドメディアからのリードは、顧客が事前に情報を得ており、kintoneでできることのイメージを持って接触してくるため、質の高いリードであると認識しています。

担当者は、リードの質を適切に見極め、対応を変えることで、効率的なプロジェクト進行を可能にしてきました。

kintoneの特性を活かした構築担当者による開発と提供価値の意識

kintoneの特性を活かした構築担当者による開発と提供価値の意識 

kintone構築担当者は、kintoneの柔軟な特性を最大限に活かし、顧客への提供価値を高めることに意識を向けています。

プラグインへの考え方

プラグインへの考え方

構築担当者は、単にプラグインを作成するだけでなく、JavaScriptカスタマイズによってユーザー自身が設定変更できるような形を重視しています。

最近では、プラグインの設定画面の代わりに、kintoneアプリ自体に設定情報を管理させ、関連レコードなどを用いて情報を読み込む「複数階層のアプリ」として設定を構築する手法も採用しています。

ユーザーに気づきを与える価値提供

kintoneは手軽に導入できるSaaSであるため、「とりあえずkintoneで」というスタンスで入ってくる顧客が多くみられます。

しかし、担当者は、顧客が「なぜ」やりたいのかという本質的なニーズに気づいていない場合があります。 構築担当者の役割は、顧客が本来やりたかったことや、自社にとって本当に必要なことに「気づかせてあげる」ことが大切です。

kintone構築担当者は、顧客とのコミュニケーションから要件定義、そして社内での品質管理に至るまで、多岐にわたる意識を持ってプロジェクトに臨みます。単にシステムを構築するだけでなく、顧客のビジネス課題を深く理解し、真の解決へと導くためのプロフェッショナルな姿勢に他なりません。

過去の経験から得た知見と、kintoneという柔軟なツールを組み合わせることで、顧客へ最高の価値を提供できます。

kintone構築担当者は企業課題の本質に寄り添い真の価値を提供しましょう

kintone構築担当者は企業課題の本質に寄り添い真の価値を提供しましょう

kintone構築における成功の鍵は、単なるシステム導入ではなく、顧客の立場や業務背景を深く理解し、最適なソリューションを共に考える姿勢です。

顧客の「要望」だけに応えるのではなく、「なぜそれを求めているのか」という本質的なニーズに向き合い、段階的に改善を進めることが重要です。また、長年の開発経験で培った慎重さや、社内の品質管理文化も、安定したプロジェクト推進に欠かせません。

kintoneという柔軟なツールを最大限に活かしながら、顧客自身も気づいていなかった課題を明らかにし、継続的な業務改善へと導くことが、構築担当者に求められる本当の価値提供です。

なお、ペパコミ株式会社では、「kintone」を活用した業務支援を行っています。業務効率化にお悩みの方は、ぜひ以下からお気軽にご相談ください。

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小川喜句

ペパコミ株式会社代表取締役小川 喜句

ペパコミ株式会社代表取締役。youtubeにて「kintone活用ちゃんねる」と、kintoneのプラグインメディア運営。kintoneの構築や内製化を伴走支援を行なっており、kintone運営会社「サイボウズ社」のビジネスにおいて、顕著な実績を上げたパートナー企業や個人を表彰する制度である「CYBOZU AWARD 2022」を受賞。サイボウズ評価制度4年連続2つ星を受賞し、セールス部門(2023~2025年) インテグレーション部門(2022~2025年)も受賞。

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