自治体職員の離職防止につながる!kintone活用法と研修の5つのポイント

小川喜句

ペパコミ株式会社代表取締役小川 喜句

ペパコミ株式会社代表取締役。youtubeにて「kintone活用ちゃんねる」と、kintoneのプラグインメディア運営。kintoneの構築や内製化を伴走支援を行なっており、kintone運営会社「サイボウズ社」のビジネスにおいて、顕著な実績を上げたパートナー企業や個人を表彰する制度である「CYBOZU AWARD 2022」を受賞。サイボウズ評価制度4年連続2つ星を受賞し、セールス部門(2023~2025年) インテグレーション部門(2022~2025年)も受賞。

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総務省の調査では、30歳までに約3割が離職していると公表されています。また、40歳以下という括りでも、退職が増加しています。要因のなかには、アナログ中心や成長できない環境も一因です。当記事では、公務員のつらさや若手職員の不満感をふまえ、kintoneを使った若手職員の離職防止につなげるポイントを紹介します。

参考:自治体若手職員の離職を抑えるには

なお、ペパコミ株式会社では、自治体でも数多く伴走支援や研修を行っています。kintone活用や引継ぎや研修にお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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目次

そもそも、自治体職員の状況とは

まず、そもそもの自治体職員の厳しい面といい面を、次の3つの視点から見ていきましょう。

  1. 信用失墜行為や守秘義務から、仕事の悩みを友達に相談できないから、一人で抱え込む
  2. 「庁内の難しい人への対応は誰がやるか」のロシアンルーレットに陥る人事
  3. 世代ごとに「それぞれの絶望感」があるデジタル面の経験

信用失墜行為や守秘義務から、仕事の悩みを友達に相談できないから、一人で抱え込む

公務員は、なりたい職業ランキングでも上位になることも多いですが、「全体の奉仕者」という立場上、例えば、次のような事項を守らなくてはなりません。

  • 信用失墜行為(例:SNSの投稿や友達に職務上のことを広めることはNG)
  • 守秘義務(例:業務上知ったことや個人情報、不公平な契約につながる情報を漏洩することはNG)
  • 私企業からの隔離

以上の状況をまとめると、業務上の悩みや愚痴の多くを、庁外の人に打ち明けることができません。そのため、庁内に人間関係ができないと、ストレスや悩みを一人で抱え込むことになってしまいます。

「庁内の難しい人への対応は誰がやるか」のロシアンルーレットに陥る人事

人事の面でも、評価もはっきりせず、成約率など客観的な数値化できる指標もありません。

そのため、成長できる環境から乖離しています。

さらに、大きな特徴としては、リストラがありません。つまり、犯罪を犯さない限りは定年退職まで働けます。その結果、動労意欲が乏しい人や人間的に問題がある人もまた定着してしまいます。

ひどい状況になると、人事異動の時期に「問題のある職員を誰が対応するか」「負担が大きい部署に誰が配置されるか」というロシアンルーレットのような話題が浮上します。

世代ごとに「それぞれの絶望感」があるデジタル面の経験

年功序列の公務員の世界では、年長者への対応に悩まなかった人はいません。

ここでは、デジタル化を例に、世代別に味わってきた体験を知ってみましょう。

世代 自治体での立場 デジタル化との関係
バブル世代 幹部・管理職・ベテラン 一部の職員が庁内のシステム化を進めました。

若手の頃は、上の世代には、パソコンを使えない人もいて、入力の代行も業務としてさせられた人もいます。

氷河期世代 中堅 起案書が、Wordから文書管理システムに移行するなど、庁内のシステムやCMSが導入された時期です。
ゆとり世代 中堅・若手 自治体のDXに精力的な世代です。入庁時には、まだまだ紙やハンコ文化も多く残っていました。

約3割が30歳までに自治体を離職する理由

約3割が30歳までに自治体を離職する理由

総務省の調査では30歳までに約3割が離職していると公表されています。

さらに近年、若手に限らず、中堅層を含めた「40歳未満の普通退職者数」が増加しています。ここでは、すぐに改善し始められる点を次のとおりピックアップしました。

  1. 若手が嫌がることに「アナログ」「成長できない」も含まれる
  2. 若手職員の不満・中堅職員の苦肉の策

若手が嫌がることに「アナログ」「成長できない」も含まれる

ベテラン職員は、議会中や繁忙期は深夜残業当たり前と思っている人もいます。また、FAXが現役であったり、紙ベースがまだまだ残っています。

Z世代を対象にしたある調査では、約9割が「職場がアナログな環境だと入社意向が下がる」と回答しています。ITが当たり前の世の中で育ったZ世代にとっては、アナログ環境の職場はあっさりと避けられてしまいます。

とはいえ、デジタル化したいという希望も口にできない人も少なくありません。デジタル化では歩み寄って考えを聞いてみて、DXの研修や実践の機会を気軽にできる環境にしていきましょう。若い世代の強みでもあるので、心理的安全性が保たれると、意欲を持ってくれるでしょう。

若手職員の不満・中堅職員の苦肉の策

入ったばかりの職員の不満としては、次のようなことが例にあげられます。

  • 常連クレーマーがストレスで眠れない。毎日転職を考えている
  • IT業界から転職したが「FAX現役」「チャットない」「新しいツールNG」「メールファイル添付」でうんざりして辞めた
  • 10年後もこの環境にいるのが怖い

さらに、組織に慣れてきた30代は、DXに精力的な人も多いですが、今までの業務を一切変えずにデジタル化したりと苦戦しています。

とはいえ、ベテラン職員の中にも、IT化を進めてきた層もいます。今以上のアナログ全盛時代に声をあげ、根回ししながら奮闘し切り開いた人もいるので、サポートできる人材もいるはずです。

自治体職員の定着支援策の見直しのポイント

自治体職員の定着支援策の見直しのポイント

若手職員の定着促進に向けた施策は「若手による政策研究事業」「1on1」などの実践例がありますが、もう少し現実的なニーズを理解していく必要があるかもしれません。

例えば、次のような視点で、業務改善の機会や研修、人事を再検討してはどうでしょうか。

①DXと業務改善の機会を後押し

  • DX部門に、ツールやルールづくりなど、伴走支援する体制をつくる
  • AIの活用率の低い部署や、アナログの業務の洗い出しを行う
  • 管理職や中堅職員以上が、手を動かす研修を行う

②悩みを共有する場づくり

  • 新人研修のグループワークで、悩みを共有する場をつくる

③異動希望の深掘り、類似業務の情報共有

  • 異動希望先の理由を深掘りし、希望に近いことができる部署の情報を共有する。

kintone×AIで実現する自治体の離職防止策のポイント

4.kintone×AIで実現する自治体の離職防止策のポイント

離職防止の策のなかでも、DX支援は取り組みやすい内容です。なかでも、kintoneとAIは取り入れやすく、若手職員の悩みに伴走できるツールです。

皆さんの部署で進めるときは、次の3点を意識しながら、取り組んでみましょう。

  1. デジタル化の支援は、kintone担当者やDX推進課のあり方が大事
  2. 管理職のマインドセットを変える研修とプレスリリースの有効活用
  3. 「α世代を教えるZ世代」「AIを想定したkintone活用」で今後を想定

デジタル化の支援は、kintone担当者やDX推進課のあり方が大事。

kintoneやAIの側面的な支援を開始した自治体は急増していますが、ツールを用意するだけで放っておくケースも多いです。そのため、各部署で、kintoneがわかる職員だけに丸投げしていて、次のように困惑しています。

  • kintone担当者が異動・退職したらサポートする人がおらず、無法地帯になっている
  • 同じ理由で、プラグインを見直したくても、庁内に話が通じる担当者がいない

ひどい事態になる前に、kintone担当者とDX部署の業務内容もよく見直しすべきです。

②管理職のマインドセットを変える研修とプレスリリースの有効活用

全庁的にDXを進めようにも、首長や幹部が無理解では、「かけ声倒れ」に終わってしまいます。そのため、DXを進める若手からは、次のような声があがっています。

  • 上司がITに無理解なので、話にならない。しかも、ITリテラシーの低さを恥じない
  • 首長や幹部は、システム開発を高額の業者に丸投げして、DXした気でいる
  • 内容を理解するのが面倒で、「失敗するな」という圧だけかけてくる
  • 何もかも、変える気がない

これからは、幹部や管理職のマインドセットをガラリと変えるべく、ハンズオン研修なども有効です。

また、ノーコードやAIでコストをかけ過ぎずにDXを進めている部署は、地元メディアに積極的にプレスリリースをして、住民や首長の目に留まるようにして、内外から評価を受ける工夫も意外に有効です。

「α世代を教えるZ世代」「AIを想定したkintone活用」で今後を想定

α世代とZ世代の関係性

今、目の前にいるZ世代はやがて、α世代の指導を行う存在です。まだ、自治体の現実にドン引きしている状況かもしれませんが、自分自身が業務を教える立場にあることも伝えましょう。受け身だけでは、よい指導者になれないので、周りが敵だらけでも、一歩踏み出してもらえるように働きかけましょう。

AIを想定したkintone活用

現在、多くの自治体では、AIはAIのツール、kintoneはkintoneとプラグインと、別々のツールを使用しているケースがほとんどです。しかし、AIはデータが集積されるほど、利便性が高まるので、kintoneのデータをもとにAI活用ができるような業務改善を進めましょう。kintoneでもAI機能が徐々にアップデートされています。

自治体の若手の離職防止につなげるkintone活用は、組織変容に慣れた企業による研修や伴走支援が効果的

若手の離職防止を兼ねてDXに力を入れたとしても、kintone等のツールを導入するだけでは意味がありません。ツールの活用を通じ、組織が変わる機会にしたり、横のつながりが生まれることも重要です。操作研修や内製だけなら、内部講師の例もあります。

しかし、操作を覚えるだけではなく、組織や職員の意識が変わっていくことを目指して、組織の変化を支えてきた経験のあるパートナー企業を選定して、外部からのアプローチをすることは効果的です。

組織が変わっていくことを目指すkintoneの研修や伴走支援なら、ペパコミ株式会社へご相談ください

ペパコミ株式会社は、自治体でのkintoneやプラグインの研修や伴走支援の実績があるパートナー企業です。とくに、組織の変化を大切にする姿勢と、kintone担当者の悩みに寄り添う経験では、非常に定評があります。

なお、kintoneを短期間に効率的かつ実践的に学び、それぞれの自治体の意向や課題に寄り添った研修をご提供しています。さらに、組織で向き合う際のポイントもアドバイスでき、活用事例の情報も豊富です。まずはお気軽にご相談ください。

小川喜句

ペパコミ株式会社代表取締役小川 喜句

ペパコミ株式会社代表取締役。youtubeにて「kintone活用ちゃんねる」と、kintoneのプラグインメディア運営。kintoneの構築や内製化を伴走支援を行なっており、kintone運営会社「サイボウズ社」のビジネスにおいて、顕著な実績を上げたパートナー企業や個人を表彰する制度である「CYBOZU AWARD 2022」を受賞。サイボウズ評価制度4年連続2つ星を受賞し、セールス部門(2023~2025年) インテグレーション部門(2022~2025年)も受賞。

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