kintone構築専門会社のペパコミ株式会社 小川喜句ことハルクです!
今日は電子帳簿保存法(電帳法)について記事にします。
最近電子帳簿保存法(電帳法)を含めたkintone相談が増えてきています。
なんで急にまた・・?と思って情報集めたら、どうやら2022年に大きな改正されるからっぽいですね。
実は私ハルクは元々数年前電子帳簿保存法(電帳法)のコンサル会社の案件を委託で受けており、電子帳簿保存法(電帳法)にも対応した社内システム化を提案する立場として入っていた関係で、そこそこ詳しかったりします。
2年前にはこんな記事書いていますね・・。記憶にないけど・・。
https://pepacomi.com/archives/337
とは言え、数年前は電子帳簿保存法(電帳法)の要件が厳しすぎて、現実的に運用できるレベルではありませんでした。
以降改正は毎年されているようですが、あまり追ってなかったんですよね。
ただ最近問い合わせも増えてきて、kintoneと電子帳簿保存法(電帳法)を絡めた案件が出てくる可能性もあり、改めて色々調べてみたので共有も兼ねた備忘録として記事を書いています。
ちなみに目的は2022年の電子帳簿保存法(電帳法)改正によって、kintoneで対応出来る可能性について理解してもらうという部分の理解を目的にお伝えしております。
※めっちゃ長くなりそうで今書いているこの段階では憂鬱状態ではありますww
電子帳簿保存法とは?
領収書・請求書などの原本保管・処理にかかる負担軽減するために、電子データ(PDF)保存を認めるものです。
そもそもなんでPDF保存を基本的に認められていないか理解していますか?
今時PDFって簡単に編集出来ますよね。
例えば請求書のPDFを改ざんして0を一桁増やされたりしたら国税からしたら困るわけですよ。
その分経費計上を大きく出来る→会社の利益が下がる→法人税が下がる(税収が下がる) なので。
ただ今の時代全部紙保存ってわけにもいかないよね・・ってことで、じゃあPDFが改ざんされてないことを証明出来るんだったら、PDFとして保存してもいいよ!と定めているのが電子帳簿保存法なわけです。
電子帳簿保存法は大きく2つに分けられまして
・国税関係帳簿書類(税法上、保存が義務付けられている書類)
・電子取引に関するもの
国税関係帳簿書類とは、注文書、契約書、請求書、領収書などの税金に直結する書類のことです。
恐らくこれを見ている方はkintoneで請求書などをkintone内で電子上で保存したいという目的で電子帳簿保存法(電帳法)に興味があると思うので、国税関係帳簿書類に絞って話していきます。
2022年に改正された内容
そもそもの電子帳簿保存法(電帳法)対応するために必要なことから話すととんでもない情報量になってしまい、今回伝えたいことがぼやけてしまうので今回は2022年に改正された内容に絞った話をします。
大前提として、電子帳簿保存法(電帳法)は毎年改正されています。
国としても生産性を上げるためにペーパーレス化を推進していて電子帳簿保存法(電帳法)を定めたわけですが、要件が厳しすぎてそんなの利用する企業がほとんどなかったわけです。
なので年々緩和しています。
で、今回2022年の改正としては大きく4つあります。
タイムスタンプ要件の緩和
タイムスタンプとはこのPDFがいつから存在していたPDFなのか?
いつから改ざんされていない真正なPDFなのか?を証明するためのものだと思って下さい。
なので電子帳簿保存法の肝になる部分ですね。
PDFにタイムスタンプを付与することで、このPDFがいつからいつまでの間が正しい情報なのか?
改ざんされたとしたらいつ以降なのか?というのが全て丸わかりになります。
タイムスタンプ要件(改正前)
書類をスキャナで読み取って3営業日以内に受領者自署&タイムスタンプ付与をすること
タイムスタンプ要件(改正後)
受領者の署名が不要に。
タイムスタンプの付与期間が3日から最長2ヶ月以内に。
さらにシステム上でPDFの修正・削除の履歴が残せるなら、そもそもタイムスタンプが不要に。
どれも大きな改正ですが特にシステム上でPDFの修正・削除の履歴が残せるなら、そもそもタイムスタンプが不要に。
kintoneには変更履歴が標準機能でついており、これはPDF削除、添付、編集履歴が残ります。
個人的にはこれが要件を満たしているのでは?と思っていますが、国税側が認めるかどうかです。
このあたりはサイボウズが今後調査して公表するのを待っている状態ですが、現状システムで履歴が残る形ならタイムスタンプすら不要になるようです!
仮に国税に認められずにタイムスタンプが必要であっても、kintoneのタイムスタンプ付与プラグインがありますので、保存要件としては満たすことが出来ます。
承認制度(改正前)
電子帳簿保存法の導入を希望する3ヶ月前までに税務署まで申請書の届け出を申請する必要がある。
承認制度(改正後)
国が求める基準を満たせば速やかに実施可能に。
要するに事前申請がいらなくなったということですね。
今までは、承認されるまでの期間は実施が出来ないため、社内で実施することを決めても最低で半年から1年程度の準備期間が必要でしたが、そのタイムロスがなくなります。
適正事務処理要件(改正前)
定期検査と相互けん制が必須。
定期検査では原本とPDFデータが合っているか比較する必要があるため、定期検査するまでは原本破棄が出来ない。
しかも申請者と定期検査する人が別じゃないとダメなので、例えば定期検査する人を事務員と定めた際に、事務員が申請した経費精算は事務員以外が検査しないといけないため、最低でも2名以上での対応が求められていた
適正事務処理要件(改正後)
定期検査・相互けん制が廃止
検査を待たずに書類を廃棄することが出来るようになりました
ここがかなりネックになっていたところで、結局電子帳簿保存法に則って原本破棄するためには、検査を2人体制で行わなければいけない上、検査が終わらないと原本破棄が出来ないという運用レベルの高さが原因でなかなか普及していませんでした。
今回ここが廃止になるのは大きいですね。
検索要件(改正前)
データ(PDF等)に対してそれぞれ細かい情報を登録して、探す時に簡単に検索できるようにすることが求められていた。
例えば取引年月日、勘定科目、取引金額やその帳簿の種類に応じたメイン項目の保存が必須。
更に日付や金額は範囲指定して検索できるようにすることが求められた他、2つ以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定することも要件に含まれていた
検索要件(改正後)
検索要件が年月日・金額・取引先のみに。
国税庁の要求の際にダウンロードすることで応じることが出来る場合は、範囲指定や項目を組み合わせて設定する機能の確保が不要になった
ここもめちゃくちゃ大きい改正です。
つまりこの資料見せて!と国税から言われた時にダウンロードや保存データをパッと見せられれば範囲検索などの要件も不要になるということです。
この検索要件も電子帳簿保存法が浸透しない大きな足かせとしてあったので、かなり大きいです。
kintoneでも検索要件は満たせている気はします。
kintoneで電子帳簿保存法に対応することはできるのか?
来年の改正なので現時点で明言出来ませんが、対応出来る可能性は現実レベルであると思っています。
改正が2022年1月ということもあり、もし電子帳簿保存法を絡めてkintone運用したい会社様あれば、今から準備すると丁度いいタイミングで実施出来るかもしれません。
とは言え大事なことは電子帳簿保存法に対応するためにkintoneを導入するのではなく
課題解決をするためにkintoneを導入して、ついでに電子帳簿保存法でペーパーレス化を目指す
という形で導入を進めないと、使いづらいシステムが社内に入るだけなので注意です!
ペーパーレスはあくまで結果であって、目的ではありません。
それを踏まえた上で色々相談に乗ることも可能ですので、是非お声がけ下さい!
また税務というデリケートな部分ですので、内容によっては知り合いの専門家と提携しながら対応します!
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