現場が回らなくなる?kintone写真報告書アプリでよくある落とし穴とその解決策

建設業の現場でビフォーアフターの写真を撮る機会は、多いですよね。実際に「kintone(キントーン)で写真報告書を簡単に作成したい」という声は、お客様からよく寄せられます。

kintoneなら、現場で完結する写真報告書の仕組みをつくることが可能です。でもその裏側には、運用を始める前に考えておかないと、思わぬ落とし穴にはまってしまう重要な設計ポイントがいくつかあるんです!

今回は、そのなかでも特に重要な3つの問題点を、デモ画面を交えながら詳しく解説していきます。短期的な運用だけでなく、中長期的に安心してkintoneを運用していくためにも、ぜひお読みください。

ペパコミでは、建設業の会社さまから多くのお問い合わせをいただいており、業務改善のノウハウを豊富に蓄積しています。お客様のご状況に最適な提案をいたしますので、「手間のかかる管理業務を効率化したい」とお考えの方は、以下からお気軽にご相談ください!

目次

写真報告書アプリでよくある失敗を防ぐ!知らないと損する3つの落とし穴とは

まずは、kintoneで写真報告書の作成前に確認したい課題を以下の3つお伝えします。

写真報告書アプリでよくある失敗を防ぐ!知らないと損する3つの落とし穴とは

最もお伝えしたいのは、3つ目の「kintoneの容量問題」です。ただ、どれも運用にかかわる大切な部分なので、順番に解説していきますね。では、さっそくデモ画面を見ながらいきましょう!

「これ誰がやるの?」で揉めない!現場割り振りフロー問題

1つ目は、「現場の割り振りフロー問題」です。例えば、「写真報告書アプリ」なら、顧客名や案件名といった基本情報を入力し、それぞれの場所のビフォーアフターの写真を登録していく流れで進めます。

ここで問題になるのが、この最初のレコード登録を誰が担当するかです。

「誰がやる?」で揉めないための現場割り振りフロー問題
最初のレコード登録を誰が担当するのか問題
  • 現場の担当者が作業の都度、自分で新しいレコードを作成する
  • 本社の事務担当者が事前に案件情報を登録し、現場担当者は写真を撮るだけにする

→上記のように複数の選択肢が考えられるので、誰が登録するのかを明確にしておく必要がある

この運用フローを曖昧にしたままスタートしてしまうと、現場の負担が思ったより大きくなり、「kintoneを使うのが面倒だ」という声が上がる可能性があります。特に現場作業がメインの方々に新しいシステムを使ってもらう場合、できるだけ操作はシンプルにして、運用へのハードルを下げることが定着の秘訣です。

そのため、「現場の担当者にどこまでやってもらうのか」を事前に定義し、すべての関係者で共通認識を持っておく。これが、スムーズな運用開始のための第一歩になります。

写真をまとめて貼り付けるのはNG?スマホ撮影時の運用問題

2つ目にお伝えするのは、「スマホ撮影時の運用問題」です。これも現場の使いやすさに直結する重要なポイントですね。

以下のデモ画面のように、「玄関」「窓」といった作業箇所ごとにビフォーアフターの写真を1枚ずつ登録していくのがkintoneの基本的な使い方です。

「まとめて添付」はNG?スマホ撮影時の運用問題

しかし、現場の方からすると、「これまでスマホのカメラで一気に20枚の写真を撮って、後からまとめてExcelに貼り付けていた」というケースが少なくありません。そうなると、「場所ごとにいちいち写真を1枚ずつ撮って登録するのは面倒だ」と感じてしまうことがあります。

「じゃあ、1つの添付ファイル項目にまとめて10枚、20枚と写真を貼り付ければいいのでは?」と思うかもしれません。確かに写真を貼り付けること自体は可能ですが、以下の問題が出てきます。

kintoneの標準機能で帳票(PDF)を出力する場合、1つの添付ファイル項目に複数枚の写真があっても、基本的に最初に貼り付けられた1枚しか帳票に反映されない。

つまり、アプリを設計する際は、「玄関」「窓」などの作業箇所のうち、一番多い箇所数に合わせてフィールドを用意する必要があります。

このように、今までのやり方とkintoneの仕様とのギャップを理解し、現場の人がストレスなく使える運用方法を一緒に考えてあげることが、kintone活用の成功には重要です。

知らないと数年で限界になるかも!kintoneの容量問題

そして3つ目、今回最もお伝えしたい「kintoneの容量問題」です。これは写真報告書を運用するうえで、絶対に避けては通れない重要な課題です!

まず、kintoneのユーザー数が仮に5ユーザーの場合、基本容量がどのくらいか確認していきましょう。

kintoneの基本容量(5ユーザーの場合)
  • 1ユーザーあたり5GB
  • 社内で使える容量は合計25GB(5人×5GB)

※kintoneユーザーの最低契約数はご契約時期によって変動する可能性がございます。最新情報については、ペパコミへお問い合わせください。

上記を見て「25GBもあれば十分じゃない?」と思うかもしれませんが、写真データは想像以上に容量がかさみます。

kintoneのモバイルアプリから写真を添付する場合は、自動で画像が圧縮されることもありますが、パソコンから高解像度の写真をアップロードすると、1枚あたり数百KBから数MBになる可能性があり注意が必要です。

ここでは、目安として1枚あたり400KBとし、具体的な容量を計算してみましょう。

具体的な容量計算の例(合計25GBの場合)
  • 1現場あたり平均20枚の写真を撮る
    • 400KB × 20枚 = 8,000KB → 8MB(1現場あたり)
  • 1ヵ月に50現場ある
    • 8MB × 50現場 = 400MB(1ヵ月あたり)
  • これを年間の容量に換算すると……
    • 400MB × 12ヵ月 = 4,800MB → 約4.8GB(1年あたり)

→約5年で容量がいっぱいになる可能性がある

もちろん、これはあくまで一例です。会社が成長して売上が増えれば、現場の数も増えていきますよね。その場合、3年、あるいはもっと短い期間で容量の上限に達してしまうという問題が、現実味を帯びてきます。

この容量問題をあらかじめ把握し、対策を考えておくこと。これが中長期的にkintoneを安心して使い続けるための、非常に重要なポイントです!

容量パンクを回避せよ!kintoneで写真データを賢く管理する5つの解決策

では、容量を超えてしまいそうになったとき、あるいは超えないようにするためには、具体的にどんな対策があるのでしょうか。ここでは、以下5つの解決策をご紹介します。

容量パンクを回避せよ!kintoneの写真データを賢く管理する5つの方法

先に結論をお伝えすると、5つ目の「krewData(クルーデータ)で、バックアップ用として別のアプリを作成し、写真以外のデータを避難させる」がおすすめの方法です!

ただ、ほかの解決策も気になると思うので、それぞれのメリット・デメリットについても簡潔に解説していきます。

解決策1:kintoneの容量を増設する

  • メリット:何より運用を変える必要がない
  • デメリット:ランニングコストが積み重なっていく

これは最もシンプルな解決策です。kintoneでは、容量を増設できるオプションが用意されています。

ただ、増設は買い切りではなく月額費用のため、容量が増えれば増えるほど毎月の負担が大きくなる点に注意が必要です。

解決策2:外部のクラウドストレージサービスに写真を保存する

  • メリット:kintoneの容量を直接消費しないため、費用を抑えられる
  • デメリット:二度手間が発生するので、負担が増えやすい

これは、Dropbox(ドロップボックス)やGoogle Driveといったクラウドストレージサービスに写真を保存し、kintoneにはそのURLだけを記録しておく方法です。

kintoneの容量を圧迫することは回避できますが、「現場で写真を撮り、それをクラウドストレージサービスにアップロードし、さらにそのURLをkintoneに貼り付ける」という二度手間が発生します。

解決策3:〇年経ったらレコードごと削除する

  • メリット:費用を大きく増やさずに容量を確保できる
  • デメリット:過去のデータが完全に失われてしまう

「3年以上前のデータは削除する」といった社内ルールを設け、古いレコードを定期的に削除していく方法もあります。費用を抑えられる一方で、「データベースとして過去の履歴を蓄積していく」というkintoneの良さが損なわれてしまう点がデメリットです。

解決策4:〇年経ったら写真だけ削除する

  • メリット:写真以外のデータが残るため、定期的にレコードごと削除するよりは履歴を保持できる
  • デメリット:とにかく運用が面倒

レコード自体は残し、添付されている写真データだけを削除していく方法も選択肢として考えられます。一案としてお伝えしましたが、過去のレコードを1件ずつ開いて、手動で写真だけを削除していく作業は、工数がかかり現実的ではないといえます。

解決策5:【おすすめ】 krewData(クルーデータ)でバックアップ用アプリに写真以外のデータを避難させる

  • メリット:もとのアプリの容量を削減しつつ、過去の写真データも残せる。自動化でき運用もラク!
  • デメリット:プラグイン費用が別途発生する

個人的に一番おすすめなのがこの方法です!krewData(クルーデータ)というプラグインを使い、写真以外のデータをバックアップ用の別アプリに定期的に移します。

krewData(クルーデータ)とは

kintoneアプリ間のデータを集計・加工・連携できるプラグイン。例えば、「毎日深夜に、写真報告書アプリから写真以外のデータを自動でバックアップアプリにコピーする」といった処理を、プログラミングなしで設定できる。

費用面で問題がなければ「解決策1: kintoneの容量を増設する」が一番手軽です。

ただ、コストと運用のバランスを考えると、このkrewDataを活用する方法が、中長期的に見て最も有効な選択肢になるケースが多いです!

krewDataで写真報告書アプリの容量問題を解決する仕組み

ここでは、krewData(クルーデータ)を使った方法を、もう少し具体的に見てみましょう。通常、kintoneのアプリは、以下のように「顧客マスタアプリ」→「案件管理アプリ」→「写真報告アプリ」といった形で関連付けられています。

【krewData活用術】写真報告書アプリの容量問題を賢く解決する仕組み_アプリ構成のイメージ図

つまり、「A物件」という案件レコードを見ると、関連レコード一覧で「4月1日のA物件清掃」「5月1日のA物件清掃」といった過去の報告が一覧で表示される、というわけです。

【krewData活用術】写真報告書アプリの容量問題を賢く解決する仕組み_アプリ構成のイメージ図
【krewData活用術】写真報告書アプリの容量問題を賢く解決する仕組み_アプリ構成のイメージ図

ここで、もし写真報告アプリの古いレコードを単純に削除してしまうと、案件管理アプリの関連レコードからもその履歴が消えてしまい、過去の作業内容を追えなくなってしまいます。これでは困りますよね。

そこで、krewData(クルーデータ)の出番です。

まず以下のように、「写真報告バックアップアプリ」という、写真報告アプリとまったく同じ構造で、写真の添付ファイル項目だけがないアプリを別途用意します。

【krewData活用術】写真報告書アプリの容量問題を賢く解決する仕組み_アプリ構成のイメージ図

そして、krewDataを使って、「写真報告アプリにある3年以上前のレコードから、写真以外のデータ(作業日、担当者、作業内容など)を、写真報告バックアップアプリにコピーする」という処理を自動で実行するように設定します。

この処理が終わった後で、写真報告アプリにある3年以上前のレコードを削除すると、どうなるでしょうか。

【krewData活用術】写真報告書アプリの容量問題を賢く解決する仕組み_アプリ構成のイメージ図
krewData(クルーデータ)で容量問題を解決した結果
  1. kintoneの容量が大幅に削減される
    • 写真報告アプリ内のレコードが削除されるから
  2. 過去の作業履歴を失わない
    • 写真以外のデータは、追加した写真報告バックアップアプリに残っているから
  3. 写真報告アプリのレコードを削除しても、過去の履歴を一覧で確認できる
    • 案件管理アプリから見る関連レコードの表示先を、写真報告バックアップアプリに切り替えるから

上記のようにkrewDataを活用することで、運用負荷を上げることなく、データを保持しながら容量問題を解決するという、理想的な形を実現できます。

もちろん、krewDataのプラグインの利用料金は発生します。ですが、長期的な視点で見れば、手作業でデータを移行したり、容量不足で業務が止まってしまったりするリスクを考えれば、非常に有効な投資だと考えています!

kintone運用の成否は設計で決まる!長期運用を見据えた設計を

kintone運用の成否は設計で決まる!長期運用を見据えた設計を

写真報告書をkintoneで運用するのはとても便利ですが、その裏側には容量問題という中長期的に見て重要な課題が潜んでいます。

  • 1現場あたり平均何枚くらい写真を撮るか?
  • 月間の現場数はどのくらいか?

導入時には上記を確認したうえで、将来的なデータ増加量を予測し、今回ご紹介したような対策をあらかじめ設計に組み込んでおくことが大切です。

「うちにはどの方法が最適かわからない」このように感じたら、ぜひ一度ペパコミにご相談ください。貴社の運用に合わせた、最適なkintoneの形を一緒に考えさせていただきます!

小川喜句

ペパコミ株式会社代表取締役小川 喜句

YouTube「kintone活用ちゃんねる」を運営。kintoneの構築や内製化の伴走支援を行なっており、kintoneを運営するサイボウズ社において、顕著な実績を上げたパートナーを表彰する「CYBOZU AWARD 2022」を受賞。サイボウズ評価制度4年連続2つ星を受賞。セールス部門(2023~2025年) インテグレーション部門(2022~2025年)

小川喜句X 小川喜句Youtube
目次