Web受託会社における経営は、売上と経費の正確な把握が重要です。しかし、現状では今月の売上や先月の売上すら把握できない状況にある場合があります。
請求書の発行状況やお客さまの確認状況にも不安を抱く声も聞かれます。このような状況は、経営の健全性を保つ上で大きな課題となりえます。
この記事では、kintoneを活用した業務フローの改善について詳しく解説しています。業務フロー改善にお悩みの方はぜひご参照ください。
なお、ペパコミ株式会社では、「kintone」を活用した業務支援を行っています。業務効率化にお悩みの方は、ぜひ以下からお気軽にご相談ください。
Web受託会社の売上管理と資金繰りの現状
現状の売上管理においては、今月の売上がいくらであるか分からない状態です。
過去月の売上すら確定できていないこともあります。請求書の発行も進めているものの、それがお客さまに届いているか、内容が確認されているかどうかも不明瞭な状況でした。
このような状況は、資金繰りの予測を困難にし、経営判断に影響を与える可能性があります。
Web受託会社が過去導入したツールの失敗や経緯
これまでも効率化を図るために、社内ではさまざまなツールを導入してきた歴史があります。現場のスタッフは新しいツール導入に対して慣れており、スムーズな受け入れの姿勢がありました。
しかし、これまでのツール導入は成功に至っていません。
外部の協力者が介入することもあったものの、多くの人が「これは無理だ」と判断し、結局定着しませんでした。
過去の失敗の主な理由は、経営者自身が主体的に運用に関与しなかったためであると分析されています。外部に運用を任せ、外部からのリマインドだけでは、社内の人間は動かない状況でした。
Web受託会社の経営者の主体的な関与による変化
過去の失敗を踏まえ、経営者自身が主体的に関与するようになってから、状況は大きく改善されました。
例えば、請求書発行や入金管理など、これまで外部に任せていた業務を自ら行うようになり、現場の状況把握が進みました。この変化により、売上が約500万円増加し、利益ベースでは月間200万円から300万円もの改善が見られたと語られています。
これは単に売上が増えただけでなく、これまで把握できていなかった入金が明確になった結果でもあります。
結果として、表面的な赤字の状態が、実際はそうではなかったという実態も明らかになりました。
Web受託会社の組織体制と業務の役割分担
社内の組織構造は、主に以下の3つの階層で構成されています。
役職 | 役割 | 入力担当範囲 |
経営者 | 全体管理、最終確認、トップダウンでの指示 | 動画事業部の経費、最終的な売上・経費の確認 |
ディレクター | 案件管理、請求金額や外注費の入力、現場作業 | 基本的に全ての入力業務を担当 |
サブディレクター | 現場の納品報告、ディレクターへの情報共有 | メッセンジャーでの報告が主、一部入力の可能性あり |
作業者 | 納品業務のみ | 入力業務はほぼない |
外部の協力者もいましたが、請求金額の確認などの業務は、外部からは分からないため、最終的には機能しなかった事例もあります。
例えば、GMOの請求書発行ソフトや入金消し込みアプリケーションを導入した際、メールでの請求書送付に切り替えたことで、開封率が著しく低下し、入金遅延が発生したこともありました。
Web受託会社の現状の入力における課題と遅延の原因
現行のスプレッドシートでの入力作業には、以下の課題がありました。
- 月末集中入力:多くのスタッフが月末近くになってからまとめて入力する傾向にあり、月の途中で正確な売上状況を把握するのが困難であった
- 請求書発行の遅延:入力作業の遅れが原因で、月末締め後も5日程度の超過が発生し、請求書の発行が遅延していた
- 入力負担と認識の欠如:入力作業が大変であること、または入力しなければならないという意識が希薄であった
- 報告フローのボトルネック:サブディレクターからディレクターへの報告はメッセンジャーで行われているため、情報が流れてしまい、適切に蓄積されない
なお、売上会議は設けられていましたが、月末締めまでに確実に入力を促すための時間となり、実質的な進捗確認の場となっていました。
これらの課題は、情報共有の遅れやヒューマンエラーのリスクを高め、全体的な業務の滞りにつながります。
Web受託会社がkintone導入で目指す業務フローの改善
業務フローを整える前にkintoneを導入すると、ツールが十分に活用されない結果となりかねません。現在のスプレッドシートでの運用をアプリ化することがkintone導入の主な目的です。
提案されている業務フローの改善点として、以下の内容があります。
- 承認ワークフローの導入:サブディレクターがkintoneに入力し、ディレクターがその内容を承認
- マスタデータとの連携:契約時の単価をマスタデータとしてkintoneに登録し、案件入力時に単価を自動で引き込む仕組みを構築
- 一元的な案件管理:現在YouTubeとそれ以外で分かれている案件シートをkintone上で統合
承認ワークフローを導入すると、ディレクターの入力負担を軽減し、入力ミスによる請求金額の間違いを防ぐことが期待できます。
マスタデータとの連携では、入力の手間を減らし、金額の正確性を高めることができます。特に、分数によって単価が変わる動画案件などでは、入力者が請求金額を直接入力するのではなく、分数や数量を入力するだけで自動計算されるようにすることで、入力の精度向上と負担軽減が見込まれます。
Web受託会社がその他の管理ニーズとkintoneでの対応
経営者は、売上管理の他にも、以下の情報をkintoneで管理したいと考えています。
- 顧客コミュニケーションの可視化:活動メモアプリを案件に紐付け、顧客ごとの打ち合わせ回数を一覧で確認
- KPI・KGIの管理:案件管理アプリにKPIやKGI(重要業績評価指標・重要目標達成指標)を設定
- 売上ランキングと顧客満足度:顧客満足度の低下を早期に察知し、対応策を講じることが可能
- 年間払い契約の適切な処理:請求書発行の自動処理を制御
活動メモアプリを活用すると、経営者自身が指定した会議回数や企画提案の実施状況を確認できるようになります。将来的には、顧客ごとの詳細なカルテのような機能も求められています。
また、KPI・KGIの管理ができると、現場のスタッフが目標とのずれを意識し、業務改善に役立てるでしょう。
なお、発注額の高いクライアントのランキングを自動で表示する機能や、売上が大きく落ちたクライアントを識別できると、顧客の満足度を把握できます。
Web受託会社のkintone導入の難易度と今後の展望
kintoneの構築自体の難易度は中程度であると評価しましたが、運用における難易度は非常に高い状況でした。
これまで緻密なスプレッドシート運用を経験してきた企業だからこそ、kintone導入の提案が可能でした。スプレッドシートへの移行だけでも3〜4ヶ月を要し、現在の形になるまでに多くの努力があったことが語られています。
今回のkintone導入プロジェクトは、以下のような流れで進められる予定です。
- 段階的な導入と改善:仮運用と仮改修を繰り返しながら、段階的にkintoneアプリを構築し、運用を開始する
- 主要メンバーの参加:経理の正社員、2名のディレクター、そして経営者がプロジェクトに深く関与し、運用と改善を進める
- 定期的なミーティング:週に1回程度の頻度でミーティングを行い、進捗を確認し、運用上の課題やイレギュラーなケースに対応していく
Web受託会社がkintoneを導入するメリット
kintone導入の大きな利点として、スマートフォンからの案件入力が可能になる点です。
これにより、撮影現場などからでも手軽に入力できるため、スプレッドシートを開く手間がなくなることで、入力の遅延が改善される可能性があります。
kintoneの導入は、Web受託会社における複雑な業務フローと多様な契約形態の管理に大きな変革をもたらす可能性があります。
経営者の主体的な関与と現場の運用実態に合わせた継続的な調整により、kintoneは売上管理の透明化と効率的な業務遂行を実現する基盤となるでしょう。
Web受託会社でkintone導入を検討している企業の方はペパコミ株式会社へご相談ください
Web受託会社では売上管理や請求遅延、情報共有の不備など多くの課題が存在します。
これらの改善に向け、kintoneを導入することで、承認ワークフローやマスタ連携、一元的な案件管理が実現可能です。特に経営者が主体的に関与することで運用は安定し、売上の可視化や利益の改善にも繋がりました。
段階的な導入と定期的な改善により、kintoneは現場に根付いた業務基盤として機能し、組織全体の効率化と成長に貢献するでしょう。
なお、ペパコミ株式会社では、「kintone」を活用した業務支援を行っています。業務効率化にお悩みの方は、ぜひ以下からお気軽にご相談ください。
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