元自治体職員歴10年でkintoneに携わってきましたので今回は自治体のkintone活用事例をご紹介します。
自治体には10年、自治体の受託組織には6年の経験があり、実務でkintoneを一人で導入から内製まで取り組んだ経験があります。
今回は、「自治体のkintone事業例」を4回に分けて、ご紹介します。
自治体のkintone事業例 40選(順不同)
審議会などの附属機関の管理(総務部門)
【旧来の状況】
各部署が、それぞれの審議会などの附属機関の運営には、次のような業務が詰まっています。
・委員の選考・本人への確認
・委員の公募・選考会
・各回の出欠
・資料の事前送付
・各計画に基づいた実施計画や評価に関する情報の整理
・情報の公表の準備
・議事録作成・回覧
【kintone化した場合】
自治体には、審議会は数十機関等多くありますが、業務などは共通です。
第一ステップとして、議事録アプリ・事前資料アプリ・出欠アプリを準備して、一つのスペースにサンプルアプリをつくり、庁内で複製できるようにします。出欠アプリだけは、拡張機能のkViewer等でマイページが必要ですが、他は、一つのURLで全員が同じように見ることができます。
また、相手へのメールでのURL送信も、拡張機能のkmailerや、2024年10月にリリースされるkintoneの「メール共有オプション」も有効活用できるかもしれません。
第二ステップとして、引継ぎ書を入念に作成しなくても大丈夫になります。その業務の意義や配慮事項は共有する必要がありますが、職員の異動の着任後、そのまま、業務に入りやすくなります。
33 謝金の入金業務(総務部門)
【旧来の状況】
謝金は、財務会計システムに入力し、清算する形かと思います。前提に、額を決める区分の確認、マイナンバーの確認や、交通費の算出、財務会計システムへの口座の登録などの事前準備が必要です。とはいえ、忙しい時期の「講師謝金」や「附属機関の委員への謝金」など処理漏れで遅れると入金も遅れてしまいます。
【kintone化した場合】
入金作業の遅延がないよう、謝金管理アプリを作成し、作業する期限を決めて、ご自身に通知が届くように設定することができます。
34 全庁横断プロジェクト(政策部門など)
【旧来の状況】
各分野の計画に基づいた実施計画のなかで、庁内の様々な部署にもタスクがふられます。
(例えば、男女共同参画計画なら、公園課に男女のトイレのバランスの健全化などが入ります)
「照会・回答」や「庁内会議」で情報共有していました。
【kintone化した場合】
横断的なプロジェクトのアプリを作成して回答してもらうことができます。また、Garoonを併用している場合は、kintoneのアプリと連携させたスペース機能のなかでディスカッションを行うこともできます。
35 おくやみ手続き(窓口部門)
【旧来の状況】
各課にはご遺族に提出していただきたい書類があるため、人によっては10以上の手続きが必要です。
【kintone化した場合】
自治体で「おくやみのアプリ」を活用している、既出の拡張機能のグスクカスタマインを使い、おくやみがあると、「おくやみ入力」アプリのデータを各課の業務アプリに転記します。「おくやみのアプリ」のデータが変わると転記先のアプリデータも更新され、お客様も職員も手続き時間が短縮されています。
36 総合窓口(窓口部門)
【旧来の状況】
多くの自治体で、総合窓口をつくって、ワンストップサービスを目指しているケースも多々ありますが、それでも、たらいまわしや、同じような書類を複数書くことは避けられません。
【kintone化した場合】
「総合窓口アプリ」を作成し、全庁から手続き情報を集約します。各手続きをレコードにして、手順や様式を載せます。各部署が直接更新でき最新の情報でお客様対応ができます。完全にワンストップとはいかないまでも、案内の正確性が向上します。このシステムであれば、そのまま、新人教育や引継ぎにも活用できるかもしれません。
37 児童虐待防止(子ども部門)
【旧来の状況】
各機関からの情報の集約に時間を使ってしまう状況です。
【kintone化した場合】
保育園、幼稚園、小中高等学校、子ども家庭センター、各保健センターからの情報集約の基盤にし、児童虐待を未然に防ぐ。サイボウズ株式会社では、虐待防止プランがあるので、参考にしてください。
38 会計年度職員(人事部門・情報部門)
【旧来の状況】
会計年度職員の採用ごとに、各種社内システムのID・PW、マニュアルを案内する必要があります。
【kintone化した場合】
会計年度職員のアプリを作成します。部門ごとに、職員が使うシステムは異なるので選択できるように設定します。併せて、既出の拡張機能のプリントクリエイターを活用し、帳票出力したPDFを提供する形にできます。
39 報道発表と対応の業務(広報部門)
【旧来の状況】
各部門でプレスリリースを作成し、記者クラブに投げ込みをします。対応はそれぞれの責任者などが対応しています。
【kintone化した場合】
プレスリリース・取材対応のアプリで、「どの部署でどんなプレスリリース・対応をしているか」を共有すると、「政策の周知に効果的なプレスリリースのつくり方」のブラッシュアップにつながります。
40 オープンデータ※
【旧来の状況】
オープンデータは、ITに詳しい人に対し、活用を促進している状態です。
※オープンデータ:
国、地方公共団体及び事業者が保有する官民データのうち、国民誰もがインターネット等を通じて容易に利用(加工、編集、再配布等)できるよう、次のいずれの項目にも該当する形で公開されたデータをオープンデータと定義する。
- 営利目的、非営利目的を問わず二次利用可能なルールが適用されたもの
- 機械判読に適したもの
- 無償で利用できるもの
【kintone化した場合】
kintoneでアプリを作れる職員が増えているので、オープンデータから提供されているデータを活用し、サービスの質の向上が可能になるのではないでしょうか。
例えば、コロナ渦には、ハザードマップ、見守りカメラ、介護事業所など、テイクアウト可能な飲食店情報がまとまったマップが公表した例もあります。平常時でも、例えば、介護施設の情報を国の介護公表システム、市区町村の指定情報を統合させたアプリなどがあれば、自治体の枠を超えた介護情報の提供ができます。
いずれにせよ、国と自治体、部署間の情報を、連携させたサービスなど、これまでより、ダイナミックな政策の提案ができると思います。すでに、別府市では、別の自治体への情報提供として、避難所管理アプリをオープンデータとして提供されています。こうした流れは、ぜひ、広げていってください。
最後に……
無駄な作業を圧縮させることができたら、市民との話し合いなど、人間的な業務に時間をあててください。
また、児童虐待アプリのように、相手を知ることにつながるアプリ活用法も大事なので、試みてください。
きっと市民のためになります。ぜひ、がんばってください。
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執筆 ぴょん@ノーコード事務員
元自治体職員でkintoneが大好きです。 自治体には10年、自治体業務の受託機関には6年の経験があり、実務でkintoneを一人で導入から内製まで取り組んだ経験があります。 |
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