「kintoneってどのようなデータベースなの?」
「kintoneのデータベースの構造ってどうなってるの?」
kintoneはクラウドベースのプラットフォームですが、データベースとしてkintoneを理解されている方は少ないのではないでしょうか。
本記事では、kintoneのデータベースの作り方や構造について詳しく解説します。また、kintoneのデータベースと他のデータベースの違いやメリットについても紹介します。
プロジェクトマネージャーやIT担当者、効果的なデータ管理方法を探している方におすすめの記事です。kintoneの導入を検討している方や、業務アプリでの効率的なデータ管理について知りたい方は、ぜひご覧ください。
この記事でわかること
- kintoneのデータベースの基本的な機能や使い方について
- kintoneのデータベースの作り方や構造について知りたい
- kintoneデータベースと他のデータベースの違いやメリットについて
こんな人におすすめの記事です
- kintoneの導入検討をしているプロジェクトマネージャーやIT担当者
- 業務アプリにおいて効果的なデータ管理方法を知りたい人
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関連記事:kintone(キントーン)とは?業務改善のためにできることや特徴・機能を紹介
kintoneとは
kintoneは、ビジネスの効率化や情報共有を目的としたクラウドベースのプラットフォームです。自社の運用に合わせてアプリケーションを作成することで、業務プロセスを効率化できます。
まずは、kintoneの基本的な特徴とデータベースとしての利用に関して解説します。
kintoneはデータベースとして利用できる?
kintoneはデータベースとして利用可能です。
kintoneは1アプリにつき1データベースという概念となり、「アプリ」≒「データベース」と考えられます。つまり、kintoneアプリを複数つくれば、その数だけkintoneのデータベースが作成されるということです。
kintoneをデータベースとして利用する際の一番の特徴は、1つのレコードで1対多数のリレーションを表現できる点です。例えば、顧客情報とそれに関連する注文情報を管理する場合、1つの顧客レコードに複数の注文レコードを関連付けられるため、顧客と注文の関係性をわかりやすく表現できます。
さらに、関連するデータを1つのレコードにまとめることで、情報の検索や集計をスムーズに行えます。関連データの追加や削除も簡単にでき、データの一元管理も簡単です。
また、kintoneにはルックアップという機能があります。この機能を使うと、kintoneアプリのフィールドにデータを入力するときに、他のkintoneアプリからデータを自動で取得してコピーが可能です。
例えば、顧客情報に関連する都道府県情報を別のテーブルで用意しておけば、都道府県の情報がルックアップとして関連付けられます。ルックアップを利用することで、何度も同じ内容を手入力する必要がなくなり、入力作業がスピードアップし、入力ミスや内容のばらつきを防ぐことにもつながるでしょう。
kintoneをデータベースとして利用する5つのメリット
kintoneをデータベースとして利用する5つのメリットは、以下の通りです。
- ノーコードでデータベースを作成できる
- スマートフォンからデータベースを確認できる
- ExcelやCSVのファイルをWebデータベース化できる
- 情報を一元管理できる
- 複数のユーザーで共有できる
kintoneを活用することで、効率的なデータ管理と情報共有が実現できるでしょう。
ノーコードでデータベースを作成できる
kintoneは、ドラッグ&ドロップの操作で専門知識が不要なため、プログラミングのスキルを持った人材がいなくてもデータベースを作れます。
そのため、スピーディーかつ低コストでのデータベース作成が可能です。ITに詳しくない現場の担当者でも、必要なデータベースを自分で作成できるのがメリットです。
kintoneの特徴や機能をより詳しく知りたい方は、以下の記事をぜひ参考にしてみてください。
【2025年4月最新】kintone(キントーン)とは?業務改善のためにできることや特徴・機能を紹介
スマートフォンからデータベースを確認できる
kintoneなら、スマートフォンからでもデータベースの情報を確認できます。クラウド型のサービスで、データベースをクラウドで管理するため、外出先や端末を問わずアクセス可能です。
この機動力の高さにより、ビジネスの即応性が高まります。リモートワークが普及する昨今、kintoneのようなクラウドサービスは欠かせないツールです。
ExcelやCSVのファイルをWebデータベース化できる
kintoneでは、ExcelやCSV形式のファイルを直接取り込めます。既存のデータを一括して移行する際に手動で入力する必要がなく、大量のデータを一度にインポートできます。
これにより、データベース作成の作業時間を大幅に削減可能です。
また、ExcelやCSVからインポートしたデータは、kintoneの検索機能やグラフ機能を使って分析できます。分析により、これまで活用しきれていなかったデータの価値を引き出せるでしょう。
情報を一元管理できる
kintoneでは、複数の情報を集約して一元管理できます。例えば、複数のExcelファイルのデータを取り込むと、別々のファイルで管理していた情報を一箇所で管理可能になります。
必要なデータを探すために、複数のファイルを開く必要がなくなるため、業務効率を高められます。
また、情報の一元管理は、データの整合性を保つ上でも重要です。異なるファイルで同じデータを管理していると、情報の不一致が生じる恐れがあります。kintoneなら、そのようなリスクを回避できるでしょう。
複数のユーザーで共有できる
kintoneは複数のユーザーが同じデータベースを共有して利用できます。これにより、情報の重複入力や更新忘れを防ぎ、効率的な情報共有が可能です。
また、リモートでの共有・編集が可能なため、場所を問わず最新情報に更新できます。自宅やカフェなどの環境でも、チームメンバーと同じデータベースを扱えます。
メンバー全員が同じ情報を共有し、リアルタイムで編集できるため、スムーズなコミュニケーションが期待できるでしょう。
kintoneをデータベースとして利用する2つのデメリット
kintoneをデータベースとして使う上では、以下2つのデメリットがあります。
- ストレージの容量に限りがある
- データベース全体のバックアップには手間がかかる
kintoneの特性を理解し、適切に運用することが大切です。
ストレージの容量に限りがある
kintoneのデータベースは、1ユーザーあたり5GBの容量制限があります。
容量オーバーした状態を放置すると利用停止になるため、余裕を持った運用が必要です。大量のデータを扱う場合は、特に注意が必要でしょう。
ただし、容量が不足する場合は、別途購入も可能です。kintoneの料金プランでは、ストレージの追加オプションが用意されています。
将来的なデータ量の増加を見越して、適切なプランを選ぶとよいでしょう。
データベース全体のバックアップには手間がかかる
kintoneのデータベースは複数のデータを一元管理できるメリットがある一方で、すべてのバックアップを一括で取ることはできません。バックアップを取る際は、個別に手動でバックアップ作業が必要になります。
具体的には、ファイル書き出し機能を利用し、レコードのバックアップを取得する方法やテンプレート機能を利用して、アプリ/スペースの設定内容を保存する方法があります。
ただし、これらの作業は手間がかかるため、定期的なバックアップ計画を立てておくことが重要です。万が一の際に備え、こまめにデータを保全しておく習慣をつけましょう。
kintoneとExcelの2つの違い
ここでは、kintoneとExcelの違いを解説します。両者の主な違いは、以下の2つです。
- 大規模なデータの管理にはExcelよりもkintoneが便利
- 関数機能の使用ではkintoneよりもExcelが便利
用途に応じて、適切なツールを選ぶことが大切です。
大規模なデータの管理にはExcelよりもkintoneが便利
Excelは表計算シートであり、大規模なデータの管理には向きません。データが大きすぎるとファイルが重くなるほか、データ破損のリスクがあります。
一方、kintoneはクラウド型サービスで、大規模なデータの保存も可能です。容量の心配なく、安全にデータを管理できます。
また、kintoneならExcelのようにファイルを送り合う必要がなく、複数のユーザーでデータを共有できるため、チームでの作業にも適しています。
これまでExcelを使っていたチームでも、大量のデータを扱う業務では、kintoneの利用を検討してみるとよいでしょう。
関数機能の使用ではkintoneよりもExcelが便利
kintoneでは基本的な集計機能を使用できるものの、複雑な計算はできません。一方、Excelは関数を活用した複雑な計算に適しています。
例えば、財務分析や統計処理など、高度な数式を扱う業務では、Excelの方が便利です。
ただし、データ管理の点ではkintoneに分があります。そのため、データの管理にはkintone、関数を活用した計算はExcelと使い分けるとよいでしょう。
kintoneとExcelをうまく組み合わせて、業務に合わせて適材適所で活用することで、より効率的な業務運営が可能になります。
kintoneとリレーショナルデータベース(RDBMS)の2つの違い
ここでは、kintoneとリレーショナルデータベース(RDBMS)の違いを解説します。両者の主な違いは、以下の2つです。
- トランザクション処理はkintoneでは難しい
- ルックアップ機能では外部キーのようにデータが自動更新されない
kintoneとRDBMSの特性を理解し、適切に使い分けましょう。
トランザクション処理はkintoneでは難しい
kintoneの標準機能では、RDBMSのようにトランザクション処理を行えません。複数のアプリで利用するデータをkintoneのデータベースで取り扱う場合は、注意が必要です。
トランザクション処理とは、複数の処理を一つのまとまりとして扱い、すべての処理が成功した場合にのみデータを更新する仕組みです。例えば、銀行の振込処理では、送金元の口座から引き落としと、送金先の口座への入金が、同時に成功する必要があります。
kintoneでこのような処理を実現するには、APIを利用する必要があります。ただし、その実装は容易ではありません。トランザクション処理が必須の業務では、RDBMSの利用を検討するとよいでしょう。
ルックアップ機能では外部キーのようにデータが自動更新されない
マイクロソフトアクセス(RDBMS)では、外部キーに紐付けされたデータは最新の情報に更新されます。一方、外部のデータをkintoneのデータベースに反映するルックアップ機能は、元となったデータを変更しても、kintone側で更新されません。
つまり、自身でkintoneデータベースの情報を変更するか、カスタマイズで自動更新する仕組みを取り入れる必要があります。ルックアップ機能を使う際は、この点に注意が必要です。
ただし、kintoneにはRDBMSにはない利点もあります。例えば、ノーコードでデータベースを構築できる点や、ワークフロー機能との連携が容易な点などです。
kintoneとRDBMSの特性を見極め、業務内容に応じて、両者を使い分けることをおすすめします。
kintoneでデータベースを作成する方法【6STEP】
それでは、実際にkintoneでデータベースを作成してみましょう。データベース作成時に注意すべきポイントを交えながら、初心者でも簡単にできる手順をご紹介しますので、ぜひ試してみてください。
kintoneのデータベースの作り方とは
kintoneのデータベース作成は初心者でも簡単にできます。具体的な作成手順は以下の通りです。
【kintoneのデータベース作成手順】
①アプリ作成: ダッシュボード画面で「+新しいアプリを作成」を選択し、アプリ名やアイコンを設定します。目的に応じてテンプレートも選択しましょう。
②フィールド設定: 「フィールド設定」画面で、アプリに含めるテキスト、数値、日付など、データの種類に応じたフィールドを選択し追加します。
③フォーム設定: 「フォーム設定」画面で、フィールドの配置や表示形式を設定し、データの入力フォームをカスタマイズします。
④ビュー設定: 「ビュー設定」画面で、データの表示方法を設定します。リストビューやカレンダービューなど、表示形式を選択します。
⑤アクセス権限設定: 「アクセス権限設定」画面で、アプリの利用権限を設定します。ユーザーグループやロールによるアクセス制御を行います。
⑥アプリ登録: 設定が完了したら「アプリ作成」をクリックして、新しいデータベースを作成します。
以上のように簡単な操作でkintoneのデータベースを作成できます。また、上記の作成方法以外にも、CSVやExcelを読み込んでkintoneデータベースを作成することも可能です。
kintoneのデータベース作成で気を付ける3つのポイント
kintoneでデータベースを作成する際は、以下の3つのポイントに気を付けましょう。
- ユニークキーの設定を心がける
- データの重複を避ける
- トランザクション処理に注意する
それぞれのポイントを意識することで、効率的で正確なデータベース運用が可能になります。
1.ユニークキーの設定を心がける
まず、kintoneではレコード作成時に自動でレコード番号が発行されますが、一度削除すると同じレコード番号は使えません。また、作成者側で採番ルールも決められないため使いにくい点がデメリットです。
対策として別途、顧客IDや注文番号などの識別できる値をユニークキーとして設定しましょう。フィールドを作成する際に「必須項目にする」「値の重複を禁止する」を選んでおけば、重複の心配や抜け漏れもなく安心です。
2.データの重複を避ける
設計の際には、何度も同じデータの入力が必要な仕様は避けましょう。
何度も同じデータを入力する必要があると、入力に手間がかかるだけではなく、同じ顧客でも入力内容が微妙に違ったりすると、後から検索するのに苦労します。
また、住所や電話番号などの情報が変わった場合、すべての案件管理レコードを手動で更新する必要があり、管理しきれなくなるでしょう。
よい例として、顧客情報は顧客管理アプリに入力し、案件管理アプリでは顧客管理アプリからルックアップする方法があります。ルックアップを活用して情報を引き出すことで、アプリに入力するデータの重複を避けることが可能です。
これにより、入力の手間が省け、データの整合性が保たれます。ただし、kintoneの標準機能では、参照先のデータが自動的に更新されないため、ルックアップ先のデータが変更されても手動で更新する必要がある点に注意しましょう。
3.トランザクション処理に注意する
データの追加や更新、削除など、一連のデータベースに対する操作に関しても注意が必要です。RDBMSでは複数のテーブルに渡って更新が必要な場合、一連の更新処理の途中で失敗するとロールバックする処理(トランザクション処理)を施すことが一般的です。
しかし、kintoneのデータベースの場合、複数アプリを一連の処理で更新するケースでも、ひとつのトランザクションにまとめられません。RDBMSに慣れている方は注意してください。
kintoneで作成できる業務アプリのご紹介
ここでは、kintoneで作成できるアプリの例として、以下の2つをご紹介します。
- 顧客管理アプリ
- 案件管理アプリ
これらのアプリはkintone上で、簡単に作成・カスタマイズできます。紹介内容を参考に作ってみてください。
顧客管理アプリ
顧客管理アプリは、営業やマーケティング部門などで使われることが多いアプリで、顧客情報や営業活動履歴などの一元管理が可能です。
具体的には、下記のような情報を管理できるので、効果的な営業活動に役立ちます。
- 顧客の基本情報(会社名、担当者名、電話番号、メールアドレスなど)
- 過去の取引履歴
- 問い合わせ内容など
具体的には、顧客の基本情報(会社名、担当者名、電話番号、メールアドレスなど)や過去の取引履歴、問い合わせ内容などを管理できるので、効果的な営業活動に役立ちます。
また、顧客管理アプリでは、営業担当者と顧客とのやり取りや行動履歴を記録し、他の営業メンバーと情報を共有できるため、顧客とのコミュニケーションやフォローアップがスムーズに行えるようになります。
案件管理アプリ
案件管理アプリは、プロジェクトの進捗状況や予算、タスク管理といったプロジェクトマネジメントや業務管理が可能なアプリです。
案件管理アプリを利用することで、担当者がタスクや進捗状況をリアルタイムで把握し、プロジェクトのスケジュール管理やリソースの割り当てを効率的に行うことができます。
このように、kintoneを活用することで、業務プロセスの効率化や情報共有の促進、チーム全体の生産性向上を実現できます!
kintoneでのデータベース活用は「ペパコミ株式会社」にご相談ください!
本記事では、kintoneをデータベースとして利用するための基本的な知識と、データベース作成の手順、さらにはkintoneで作成できる業務アプリをご紹介しました。
kintoneのデータベースを活用することで、ご紹介した顧客管理アプリや案件管理アプリ以外にもさまざまな業務アプリを作成することができます。これらのアプリは、ビジネスプロセスの効率化や情報の一元管理に役立ちます。
なお、kintoneでのデータベース活用に関するお悩みは、ペパコミ株式会社にご相談ください。kintoneのカスタマイズに詳しいエンジニアが、貴社の業務に合わせたご提案をいたします。
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