プラグイン

krewDataで未来のレコードを一括生成!「ループ処理」で長期契約の売上見込みを可視化する方法

kintone連携サービスの一つであるkrewDataを使えば、kintone内のデータを加工・集計・登録することが可能になり、請求データ作成や売上見込みの算出に役立てられます。

しかし、krewDataの通常の機能だけでは、特定のタイミング(例えば月末など)で処理を実行し、その時点の請求データや見込みを生成する形になり、「契約締結時に契約期間全体の未来の請求データをまとめて生成する」という、いわゆる「ループ処理」のような動きは、そのままでは実現が難しい側面がありました。

この記事では、krewDataの擬似ループ処理について詳しく解説しています。

なお、ペパコミ株式会社では、「kintone」を活用した業務支援を行っています。業務効率化にお悩みの方は、ぜひ以下からお気軽にご相談ください。

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また、本記事の内容はプラグインの本来の目的や全ての使い方を網羅しているわけではない可能性があることを理解しておきましょう。実際にプラグインを導入する際は、提供元が公開している公式情報なども合わせて確認することをおすすめします。
あくまでこんなことが出来るんだ。というイメージをしてもらう目的で記事にしていることをご了承下さい。

krewData処理の課題点

krewData処理の課題点

krewDataを使った請求書作成や売上見込み管理の方法では、毎月月末などに設定したスケジュール実行によって、その月に請求が発生するデータだけを抽出して処理するのが一般的でした。

この方法のデメリットは、処理を実行した時点のデータしか見られない点です。

例えば、5年契約を結んだとしても、契約した月にkrewDataを実行しても、翌月以降の請求データや売上見込みは生成されません。将来の売上見込みを見たい場合でも、毎月の処理を待つ必要があり、契約時点や任意の時点で将来全体の見込みをまとめて把握することができませんでした。

kintoneプラグイン「krewData」によるループ処理実現の仕組み

kintoneプラグイン「krewData」によるループ処理実現の仕組み

krewDataを工夫して構築したループ処理の仕組みは、複数のkintoneアプリとkrewDataのデータ加工機能を組み合わせることで実現します。

ここでは、以下の2点について解説します。

  • ループ処理仕組みの全体像
  • krewDataの設定手順

それぞれご参考ください。

ループ処理仕組みの全体像

ループ処理の仕組みには、主に「契約内容を入力するアプリ」と「ループ処理の回数を制御するためのアプリ」を使用します。

まず、契約アプリに新しい契約情報(契約金額、支払い開始日、分割回数など)を登録します。

次に、krewDataがこれらのアプリのデータを連携し、加工処理を実行します。加工処理の中核となるのが、制御アプリに登録された連番データを利用して、契約期間分のレコード数を複製・生成する部分です。生成されたレコードには、契約内容と連番データに基づいた将来の請求月日や金額が計算されて格納されます。

最後に、不要なレコード(契約回数を超えるものなど)をフィルタで除外し、最終的な出力アプリに整形して登録します。

krewDataの設定手順

krewDataの設定手順

krewDataでループ処理を実現するための具体的な設定手順は以下のとおりです。

まず、元となる「契約アプリ」と、単に数値フィールドに1から順番に連番が入力された「制御アプリ」を用意します。制御アプリには、想定される最大ループ数(例えば12回分なら12件、60回分なら60件)の連番レコードを登録しておきましょう。

krewDataの設定画面では、まずデータ編集コマンドを使って、契約アプリと制御アプリそれぞれに「結合キー」となる一時的なフィールドを作成します。この結合キーには、両方のアプリで共通となる同じ任意の文字(例: 「キー」)を設定します。

次に、アプリ結合コマンドを使って、契約アプリと制御アプリを「内部結合」で結びつけましょう。結合条件には、先ほど作成した結合キーフィールドを指定します。この内部結合を行うことで、契約アプリの各レコードが、制御アプリの連番レコードの数だけ複製された状態で結合されます。

これがループ処理の基礎となるレコード複製です。

複製されたレコードには、契約内容と、結合に使われた制御アプリの連番を使って、各レコードが契約の何回目の支払い・請求にあたるかを計算します。データ編集コマンドで、支払い開始月と制御番号を利用して「請求月」を計算するフィールドを作成します。

計算式は「支払い開始月 + 制御番号 – 1」のように設定するため、2月開始で制御番号が12なら、請求月は「 2 + 12 – 1 = 13月(1月)」です。

次に、計算した請求月と契約の支払い開始年を使って、「請求日」フィールドを作成します。なお、DATE関数は、例えば「2024年13月10日」のように指定された場合でも、自動的に翌年の「2025年1月10日」として正しく認識してくれる機能があります。

生成されたレコードの中には、契約の分割回数よりも多い回数に対応する不要なレコードが含まれているかもしれません。この際、データ編集コマンドで、契約の「分割回数」から「制御番号」を引いた値を計算する「判定フィールド」を作成します。判定フィールとは、計算結果を数値フィールドに変換する仕組みです。

この、フィルタコマンドを使って、この数値に変換した判定フィールドの値が0より大きいレコードのみを残すように設定します。そのため、分割回数以内の回数に対応するレコードだけが抽出され、不要なレコードが省かれます。

分割回数以内の回数に対応するレコードだけが抽出され、不要なレコードが省かれます。

最後に、残った必要なレコードを、最終的に登録したい出力アプリの形式に合わせて整形します。データ編集コマンドやフィールド選択コマンドを使って、フィールド名の変更、フィールドタイプの変換、不要なフィールドの削除などを行います。

これらのkrewDataの設定が完了したら、実行ボタンを押すことで、契約アプリに登録された情報をもとに、契約期間全体にわたる将来の請求データレコードが一括で生成されます。

kintoneプラグイン「krewData」でループ処理するメリット

kintoneプラグイン「krewData」でループ処理するメリット

krewDataでループ処理を実現することによるメリットは主に以下の2つです。

  • 契約時点での将来売上見込み可視化
  • 保険営業など長期契約業務での活用

それぞれ解説します。

契約時点での将来売上見込み可視化

契約時点での将来売上見込み可視化

従来の毎月処理では、翌月以降の売上は処理を待つまで分かりませんでした。

しかし、ループ処理によって契約時に将来の全期間分のレコードが生成されるため、kintone上で契約期間中の売上見込みが即座に可視化されます。

これは、将来の財務予測や経営判断を行う上で非常に役立ちます。また、krewDataのダッシュボード機能と組み合わせれば、顧客ごとや担当者ごとの将来売上見込みを分かりやすいグラフなどで表示も可能です。

例えば、ダッシュボードで「2025年1月までに〇〇担当者がどのくらい売上を見込めるか」といった情報を簡単に確認できるようになります。

保険営業など長期契約業務での活用

ループ処理の仕組みは、保険営業やリース、分割販売など、長期契約を主に取り扱う業種で特に力を発揮します。

例えば、保険営業担当者は、契約した瞬間にその契約から得られる5年後、10年後の手数料収入見込みをレコードとして確認できるようになります。

これにより、担当者自身の目標設定やモチベーション維持につながり、会社全体の将来的な収入予測精度も向上するでしょう。

社用車や複合機などの分割払いにおいても、契約時にすべての請求レコードが生成されるため、請求漏れを防ぎ、正確な支払い管理が可能です。

krewDataでのループ処理実装の難易度

krewDataでのループ処理実装の難易度

krewDataの標準機能には「ループ処理」という明確な機能はありません。今回ご紹介した仕組みは、krewDataのデータ加工機能を組み合わせて擬似的にループ処理を実現するものです。

krewDataの特性を理解し、複数のコマンドを組み合わせるためにかなりの思考錯誤が必要です。特に、日付計算の正確性や、生成される大量のレコードを効率的に処理・フィルタする方法の検討が必要になります。

まとめ

まとめ

kintoneとkrewDataを活用することで、従来は難しかった長期契約における「ループ処理」を実現し、契約締結時に将来の請求書や売上見込みレコードを一括で生成することが可能になります。

ループ処理によって、保険営業やリース業など、長期契約を扱う多くの企業様で、契約時点での正確な将来売上見込み把握が可能になり、業務効率化や経営判断の迅速化に貢献するでしょう。

なお、ペパコミ株式会社では、「kintone」を活用した業務支援を行っています。業務効率化にお悩みの方は、ぜひ以下からお気軽にご相談ください。

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