kintoneでインボイス登録番号を収集・管理する効率的な仕組みを解説

インボイス制度の開始に伴い、適格請求書発行事業者の登録番号の収集が企業にとって必須となりました。

多くの取引先から登録番号を収集する作業は、多くの企業が直面する大きな課題です。

なお、ペパコミ株式会社では、「kintone」を活用した業務支援を行っています。業務効率化にお悩みの方は、ぜひ以下からお気軽にご相談ください。

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また、本記事の内容はプラグインの本来の目的や全ての使い方を網羅しているわけではない可能性があることを理解しておきましょう。
実際にプラグインを導入する際は、提供元が公開している公式情報なども合わせて確認することをおすすめします。
あくまでこんなことが出来るんだ。というイメージをしてもらう目的で記事にしていることをご了承下さい。

インボイス登録番号収集の主な課題

インボイス登録番号収集の主な課題

インボイス登録番号収集における主な課題は下記の3つです。

  1. 取引先へ登録番号の提供を依頼する作業
  2. 依頼した取引先が登録番号を送付してくれたか確認する作業
  3. 送付された登録番号が正しいか照合する作業

これらの作業を手作業、特に紙やExcelで管理しようとすると、取引先の数が多いほど手間がかかり、漏れやミスのリスクが高まります。

例えば、100社の取引先がある場合、100社全てから登録番号を集め、確認する必要があります。

kintoneを使ったインボイス登録番号収集システムの仕組み

kintoneを使ったインボイス登録番号収集システムの仕組み

kintoneを活用した登録番号収集システムは、主にkintone本体と、連携プラグインであるkViewerフォームブリッジkMailerを組み合わせて構築します。

これらのツールを連携させることで、取引先とのやり取りを自動化し、収集状況を一元管理できるようになります。

登録番号ヒアリングアプリの準備

登録番号ヒアリングアプリの準備

まず、kintone上にインボイス登録番号を収集・管理するための専用アプリ「登録番号ヒアリング」を作成します。

このアプリには、取引先の情報と、インボイス登録状況や登録番号を記録するための項目を設定します。

取引先の情報と、インボイス登録状況や登録番号を記録するための項目を設定

取引先からインボイスの登録番号を収集する必要があるのは、登録番号がない場合、発注側である元請けが税金面で損をしてしまうためです。

そのため、取引先がインボイスを発行するか、発行する場合の登録番号を教えてもらうための仕組みが必要になります。

このアプリは、その情報を効率的に集めるための基盤となります。

情報を効率的に集めるための基盤

kViewer連携によるマイページURL生成とアプリへの取り込み

次に、取引先ごとに固有のマイページURLを生成します。

この工程には、kintoneのデータを外部に公開できるプラグイン「kViewer」を使用します。

kViewer連携によるマイページURL生成とアプリへの取り込み

kViewerと登録番号ヒアリングアプリを連携させると、アプリの各レコードに対して、専用のマイページビューを発行できます。

kViewer上でマイページURL一覧を生成し、CSV形式でダウンロードします。このCSVには、各レコード番号に対応したマイページURLが記載されています。

各レコード番号に対応したマイページURLが記載

このCSVファイルをkintoneのヒアリングアプリに読み込みます。この際、レコード番号をキーとして取り込むことで、各取引先のレコードに専用のマイページURLが自動で紐づけられます。このマイページURLは、後続のステップで取引先が登録番号を入力するために使用します。

kMailer連携による一括メール送信

kMailer連携による一括メール送信

取引先様のレコードにマイページURLが紐付いたら、次にそのURLを各取引先様に通知する必要があります。

この一括送信を効率的に行うために、Kmailerプラグインを利用します。Kmailerは、kintoneのデータを利用してメールを一括送信できるプラグインです。

登録番号ヒアリングアプリの一覧画面から対象となる取引先様を選択し、Kmailerを使ってメールを作成・送信します。

メール作成画面では、事前に設定したテンプレートを選択するだけで、メール本文が自動生成されます。

メール本文には、kintoneの各レコードのデータ、例えば取引先様名や、先ほど生成・紐付けた各社固有のマイページURLを自動で差し込めます。

取引先様名や、先ほど生成・紐付けた各社固有のマイページURLを自動で差し込める

「メールを送信する」ボタンを押すだけで、選択した取引先様にメールが一斉に送信されます。

これにより、手作業で一件ずつメールを作成・送信する手間を省けます。

また、Kmailerでメールを送信すると、kintoneのレコード上の依頼メー欄に「送信済み」であることを示すチェックが自動で付くように設定することも可能です。

これにより、どの取引先様にメールを送付したか、送付漏れはないかといった進捗状況をkintone上で正確に把握できます。

送付漏れはないかといった進捗状況をkintone上で正確に把握

取引先様によるFormBridgeでの回答入力

Kmailerで送信されたメールには、取引先様ごとのマイページURLが記載されています。

取引先様がこのURLにアクセスすると、Kviewerで作成された専用のマイページが開きます。

このマイページ上に、インボイス登録番号を入力するためのフォームへのリンクを配置します。

取引先様によるFormBridgeでの回答入力

例えば「回答する」といったボタンを設置できます。取引先様がリンクやボタンをクリックすると、FormBridgeで作成された回答フォーム画面が表示されます。これはウェブブラウザ上で表示されるフォームです。

このフォーム画面で、取引先様はご自身のインボイス登録状況を選択し、適格請求書発行事業者として登録している場合は登録番号を入力します。

登録番号の入力フィールドには、ピンを打つアイコンの横に「Tから始まる13桁の数字を入力してください」といった具体的な入力指定を記載できます。

ピンを打つアイコンの横に「Tから始まる13桁の数字を入力してください」といった具体的な入力指定を記載で

さらに、登録番号の正確性を証明するため、国税庁公表サイトで検索した結果画面のスクリーンショット画像を添付する項目も設けています。

この項目には、「国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトにて貴社の登録番号を検索いただき、公表情報詳細ページのスクリーンショットを保存し添付してください」といったメモ書きを表示できます。

「国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトにて貴社の登録番号を検索いただき、公表情報詳細ページのスクリーンショットを保存し添付してください」といったメモ書きを表示

取引先様はフォームに必要な情報を入力し、「保存」や「送信」ボタンを押すことで、回答を完了します。

「保存」や「送信」ボタンを押すことで、回答を完了

回答内容の社内確認体制構築

取引先様から回答が得られたとしても、入力された登録番号が正しいか、添付されたスクリーンショットが適切かなど、内容を確認する必要があります。特に経理部門など社内での確認作業が必要です。

kintoneの絞り込み機能を活用することで、回答状況が「回答済み」であり、かつ確認状況が「確認OK」となっていないレコードを一覧表示できます。

この一覧を利用して、社内での確認作業を効率的に進めることができます。複数の担当者で分担して確認したり、特定の担当者がまとめて確認したりといった体制を構築しやすくなります。

回答内容の社内確認体制構築

例えば、「中川工業」というレコードに対して、添付された画像と入力された登録番号「701205002」が一致しているかなどを確認します。

確認が完了したレコードから順次ステータスを「確認OK」に更新していくことで、全体の進捗状況を把握できます。

確認が完了したレコードから順次ステータスを「確認OK」に更新していくことで、全体の進捗状況を把握

kintoneの該当レコードのステータスを、例えば「問い合わせ中」などに変更し、取引先様宛てに修正依頼のメールを送信します。

取引先様は、最初に届いたメールに記載されているマイページURLから再度アクセスし、FormBridgeのフォームを修正して再送信します。

取引先様が再送信した内容は、自動的にkintoneの該当レコードに反映されるため、手動で修正内容を転記したり、改めて入力していただく必要はありません。これにより、正確な情報を効率的に再収集できます。

取引先様が再送信した内容は、自動的にkintoneの該当レコードに反映される

システムの応用可能性とまとめ

ここまで、kintoneとプラグインを活用したインボイス登録番号収集システムについて解説しました。

このシステムは、収集業務の効率化と正確性の向上に貢献しますが、さらに応用することも可能です。

API連携によるさらなる自動化の可能性

今回ご紹介したシステムは、取引先様からの入力と、添付画像による確認を主とした比較的簡易的な構築方法です。

しかし、技術的には、国税庁が提供するAPIと連携することで、さらなる自動化を実現することも可能です。

API連携によるさらなる自動化の可能性

API連携を行えば、取引先様が入力した登録番号を自動的に国税庁の公表サイトと照合し、事業者名や登録状況といった情報をkintoneに自動で取り込むことができます。

これにより、現在手動で行っている確認作業を省略し、登録番号の正確性をシステム側で自動検証できるようになります。

収集業務を繰り返し行う場合は、このようなAPI連携による自動化がより効果的と言えます。

収集業務を繰り返し行う場合は、このようなAPI連携による自動化がより効果的

システム構築に必要なもの

このシステムを構築するには、kintoneのライセンスが必要です。加えて、本システムの例では、以下の連携サービスのライセンスを利用しています。

  • kViewer
  • フォームブリッジ
  • kMailer

これらのプラグインはkintoneと連携することで、データの受け渡しやメールの自動送信を実現します。なお、kViewerとフォームブリッジの代わりに、「自分ページ」というサービスでも同様の仕組みを構築することも可能です。

インボイスの登録番号を簡単に収集する仕組み

まとめ

まとめ

インボイス制度への対応、特に取引先からの登録番号収集は、多くの企業にとって避けて通れない重要な課題です。

この課題に対して、手作業や汎用的なツールでの対応は、手間、時間、そしてミスのリスクを伴います。

kintoneと連携サービスを組み合わせることで、インボイス登録番号の収集、確認、管理プロセスをシステム化し、大幅な効率化と漏れのない確実な対応を実現できます。取引先への依頼メール送信から、取引先による入力、そして収集した情報の確認、未回答者へのリマインドまで、一連の作業をkintone上で一元管理できます。

このような仕組みを構築することで、担当者の負担を軽減し、他の重要な業務に時間を活用できるようになります。

なお、ペパコミ株式会社では、「kintone」を活用した業務支援を行っています。業務効率化にお悩みの方は、ぜひ以下からお気軽にご相談ください。

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