工程表の作り方は、5種類の中から現場に合う形式を選び、6ステップで作成します。建設業で最も使われるバーチャート工程表は、Excelテンプレートで30分以内に作成可能です。
ただし、案件数が増えるとExcel管理には限界がきます。人手不足も進んでおり、デジタル化に対応しなければ、間に合わなくなる企業も増えてくるでしょう。
現在でも多くの建設業の企業がExcel中心の管理を続けている一方、ほとんどの企業でデジタル化の必要性を感じています。
本記事は工程表の種類・作成手順・Excelの限界・建設業に合うツール選定軸の順で、現場で使える具体性を重視して解説します。
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工程表とは何か。スケジュール表との違いと作成する目的

工程表とは、工事や作業の着工から完了までの予定を時系列に整理し、誰がいつ何の作業をするかを明示した計画表です。
建設業では特に、職人・協力会社・施主・元請の関係者全員が同じ情報を共有するための中核資料として機能します。スケジュール表との違いを理解した上で、工程表が果たす役割と作成しない場合のリスクを整理します。
- 工程表が果たす役割:進行管理・情報共有・原価コントロールの3つの役割
- 工程表を作らないと起きること:職人ダブルブッキング・資材納入遅延などのトラブル
工程表が果たす3つの役割
工程表の役割は、主に下記の3点です。
- 進行管理で、各作業の予定日と実績を比較し遅延を早期に発見する
- 情報共有で、職人・協力会社・施主の全員が同じスケジュールを把握
- 原価コントロールで、人員と資材の手配タイミングを最適化し手待ち時間を削減
特に建設業では複数の専門業者が現場に出入りするため、入場順と作業期間が明示されていないと「電気配線が終わっていないのに大工が入場してしまう」「断熱が終わる前にボードが搬入される」といった手戻りが発生します。
手戻り1件で1日から数日の遅延が出るため、工程表は単なる予定表ではなく、現場運営の中核資料です。
工程表を作らないと現場で何が起きるか
工程表を作らない現場では、次のトラブルが発生しかねません。
- 職人のダブルブッキング
- 資材の納入遅延
- 検査タイミングの抜け
- 施主への報告漏れ
特に小規模リフォームや改修工事で「頭の中にあるから大丈夫」と工程表を省略するケースが多発します。
工程表がない現場のリスクは、経営にも直結します。手待ち時間が発生すれば人件費が無駄になり、工期直前の突貫工事は品質低下を招くでしょう。
工程表のない現場は経営上大きなリスクを抱えると建設業界の専門メディアでも指摘されており、案件規模に関係なく工程表は必ず作成すべき書類です。
工程表の5種類を比較。どれを選べばいいか一目で分かる

工程表は、主に下記5種類があります。
- バーチャート工程表:日程管理に最適。最も普及している基本形式
- ガントチャート工程表:進捗管理に強い。進捗率を一目で把握
- グラフ式工程表:作業の関連性と進捗を同時に表現
- 工程管理曲線(バナナ曲線):全体出来高の進捗を管理
- ネットワーク工程表:作業の依存関係とクリティカルパスを管理
日本の建設現場で最も普及しているのはバーチャート工程表で、戸建てから中規模リフォームまで広く採用されています。5種類の現場規模ごとの選び方を整理します。
バーチャート工程表
バーチャート工程表は、縦軸に作業項目・横軸に日付を取り、作業期間を横棒で示す形式です。日本の建設現場で最も普及しており、戸建てからリフォーム・中規模工事まで幅広く採用されています。作成と修正が簡単で、建設に詳しくない施主でも一目で工事の流れを理解できる点が最大のメリットです。
デメリットは、作業同士の関連性とクリティカルパスを表現できないことです。1つの作業が遅れたときに後続工程へどう影響するかを直感的に把握できないため、工期が長く工種が多い大規模工事では補助的な手段として使われます。Excelテンプレートも豊富に流通しており、初心者でも30分以内で作成可能です。
ガントチャート工程表
ガントチャート工程表は、縦軸に作業項目・横軸に進捗率(パーセント)を取り、各作業の達成度をバーで示す形式です。「いま、何の作業がどこまで進んでいるか」を一目で把握でき、進捗管理に強い形式として中規模から大規模のプロジェクト管理で活用されています。
ガントチャートとバーチャートは見た目が似ているため、実務では同義で扱われるケースもあります。違いは横軸で、バーチャートは「日付」、ガントチャートは「進捗率」です。進捗管理を重視する場合はガントチャート、日程管理を重視する場合はバーチャートを選びます。複数業者が並行作業する現場では、ガントチャートで進捗を可視化することで「どの業者の作業が遅れているか」が明確になります。
グラフ式工程表
グラフ式工程表は、縦軸に進捗率・横軸に日付を取り、各作業の予定と実績を曲線または斜線で示す形式です。バーチャートとガントチャートの両方の性質を併せもち、作業の関連性と進捗の両方を同時に把握できます。中規模工事で活用されることが多く、「どの作業の遅れが、他の作業にどう影響するか」を視覚的に確認できる点が強みです。
デメリットには作成にやや手間がかかることや、慣れるまで読み取りに時間が必要なことなどがあげられます。Excelで作成する場合は専用テンプレートを活用するか、専用ツールを使うほうが現実的です。
工程管理曲線(出来高累計曲線)
工程管理曲線は、縦軸に累計出来高(パーセント)・横軸に日付を取り、工事全体の進捗を曲線で示す形式です。実績曲線が上限線と下限線(バナナ曲線)の範囲に収まっていれば順調、下限を下回れば遅延と判断できます。主に土木工事と公共工事で使われ、発注者への進捗報告書類として求められるケースが多くあります。
デメリットは、個別作業の進捗を表現できないことです。「全体の出来高は順調だが、特定の工程だけが遅れている」という状況を把握できないため、バーチャートやガントチャートと併用するのが一般的です。
ネットワーク工程表
ネットワーク工程表は、作業を丸(イベント)と矢印(アクティビティ)でつなぎ、作業の前後関係と依存関係を明示する形式です。「基礎が終わらなければ躯体に進めない」といった論理関係を正確に表現でき、工期に最も影響を与えるルート(クリティカルパス)を特定できます。大規模ビル建築・プラント工事・公共工事でよく使われます。
デメリットは、作成と読み取りに専門知識が必要なことです。建設業の現場で広く使われているわけではなく、大規模案件で発注者から要求されたときに作成するケースが大半です。中小の工務店や設備業者が日常業務で使うことは多くありません。
5種類の工程表 比較表
| 種類 | 横軸 | 強み | 適した現場規模 |
|---|---|---|---|
| バーチャート工程表 | 日付 | 日程の見える化が簡単 | 小〜中規模 |
| ガントチャート工程表 | 進捗率 | 進捗管理が容易 | 中規模 |
| グラフ式工程表 | 日付 | 関連性と進捗を同時表現 | 中規模 |
| 工程管理曲線 | 日付 | 全体出来高の進捗管理 | 大規模・公共 |
| ネットワーク工程表 | 記号図 | 依存関係とクリティカルパス | 大規模・複雑 |
工程表の作り方を6ステップで解説

工程表の作り方は6ステップで完成します。施工範囲の確定、作業項目の洗い出し、順序整理、所要日数の見積り、人員と資材の割り当て、共有ルール設定の順番です。どのステップを飛ばしても精度が落ちるため、初心者ほど順番に従って作成することが重要です。
- ステップ1:施工範囲と作業項目の洗い出し
- ステップ2:作業順序と依存関係の整理
- ステップ3:各作業の所要日数の見積り
- ステップ4:人員・資材の割り当て
- ステップ5:工程表への落とし込み
- ステップ6:関係者との共有と更新ルールの設定
ステップ1:施工範囲と作業項目の洗い出し
最初に施工範囲を確定し、その中に含まれる作業項目をすべて洗い出します。設計図書と仕様書をもとに「基礎・躯体・外装・内装・設備」のような大分類を作り、各大分類の中に具体的な作業項目を細分化していきます。木造戸建ての例では、大分類が10程度、細分化された作業項目は50から100程度になるのが一般的です。
ここで作業項目を洗い出し切れていないと、後のステップですべて狂います。設計図書を見ながら部位ごとに作業項目を書き出し、設備会社や協力会社の担当範囲もこの段階で確認します。
ステップ2:作業順序と依存関係の整理
洗い出した作業項目を、施工順に並べ替えます。建設工事には「Aが終わらないとBに進めない」という依存関係があるため、順序を間違えると現場が止まります。「基礎工事→建方→屋根→外装→断熱→内装→設備→仕上げ」という基本的な流れを土台に、各作業の依存関係を明確にしていきましょう。
依存関係には3種類あります。終了-開始(Aが終わってBが開始)、開始-開始(AとBがほぼ同時に開始)、終了-終了(AとBがほぼ同時に終了)です。電気配線と給排水配管は同時並行で進められるなど、並行作業できる部分を見つけることで工期短縮が可能になります。
ステップ3:各作業の所要日数の見積り
各作業の所要日数を見積もります。経験値で「だいたい3日」と決めるのではなく、「作業量÷1日あたりの処理量」で計算します。例えば外装工事が200平米で1日あたり50平米施工できるなら所要日数は4日です。天候不良の予備日を10から15パーセント程度上乗せして、現実的な日数に調整します。
見積りが甘いと工期遅延の主因になります。特に経験の浅い現場監督は「やってみないと分からない」と曖昧な見積りをしがちですが、過去の類似工事の実績データを参照して根拠ある日数を設定することが重要です。
ステップ4:人員・資材の割り当て
各作業に必要な人員と資材を割り当てます。職人の人数、協力会社の入場日、資材の搬入日、レンタル機材の手配日まで具体的に書き出します。複数の現場を並行している会社では、同じ職人を複数現場でダブルブッキングするミスが頻発するため、職人ベースで予定を確認する仕組みが必要です。
資材は納入リードタイムを考慮します。工程表に資材納入日のマイルストーンを明示することで、現場担当者と購買担当者の連携が円滑になります。
ステップ5:工程表への落とし込み
ステップ1〜4で整理した情報を、選んだ形式の工程表に落とし込みます。Excelでバーチャート工程表を作る場合は、縦軸に作業項目を並べ、横軸に日付を取り、各作業の開始日から終了日までセルを塗りつぶすか図形でバーを描きます。条件付き書式で土日祝を自動着色し、関数で進捗を自動計算する設定を加えると更新が楽です。
中間検査・施主確認・引き渡しなどの重要日はマイルストーンとして目立つマークで表示します。職人の入場順や材料の納入日、検査タイミングが一目で分かる工程表になっていれば、当日朝のバタつきや「言った言わない」のトラブルが大幅に減ります。
ステップ6:関係者との共有と更新ルールの設定
完成した工程表を関係者全員と共有し、更新ルールを設定します。共有方法はメール添付・クラウドストレージ・チャットツール・専用システムなど複数ありますが、ファイル形式での共有では「最新版がどれか分からない」問題が必ず起きます。
更新ルールは「誰が、いつ、どのタイミングで更新するか」を明確に決めましょう。週次の定例会議で工程表をレビューし、遅延が発生したら24時間以内に修正版を共有するなどのルールが現実的です。雨によるズレや材料遅延を放置せず、更新を継続することが工程表を「使われ続ける表」にする鍵です。
Excelで複数案件を並行管理すると更新が追いつかない方に向けて、ペパコミが工程管理のDX化を一緒に進めます。下記よりお気軽にご相談ください。
工程管理ツールの選び方と建設業に合うシステムの判断基準

工程管理ツールを選ぶときは、機能の多さで判断してはいけません。建設業の現場で実際に使われ続けるツールを選ぶには、下記3つの判断基準で評価します。
- 判断軸1:自社の業務フローに合わせて改修できるか
- 判断軸2:現場でも入力・閲覧できるモバイル対応か
- 判断軸3:内製化・改修できるかが長期コストを左右する
機能ではなく定着を起点に選ぶ視点が重要です。
自社の業務フローに合わせて選ぶ
ツール選定の最初の判断軸は、自社の業務フローに合わせられるかです。多機能だが固定されたパッケージ型のツールは、自社の業務に合わせるために業務側を変えなければなりません。一方、kintoneのようなクラウド型業務改善プラットフォームは、自社の業務に合わせてアプリを構築できます。
具体的な評価ポイントは、下記3つです。
- 現場固有の項目を追加できるか
- 既存のExcel帳票と同じ項目構成を再現できるか
- 元請の指定書式に出力できるか
3つすべてを満たすツールを選ばないと、結局Excelとの二重管理が続いてしまいます。
現場でも入力・閲覧できるモバイル対応か
工程表は事務所のPCだけで管理する時代ではありません。現場の職人や現場監督がスマートフォンやタブレットから直接入力・閲覧できるツールでないと、最新情報の反映が遅れます。建設業界はベテラン層が多く、複雑な操作のアプリは定着しにくいため、入力画面のシンプルさが定着の鍵になります。
モバイル対応の評価ポイントは、主に下記3点です。
- 現場で1回入力したデータが事務所のPCで即時に確認できるか
- 写真や図面を添付できるか
- オフライン環境で入力したデータがオンライン復帰時に同期されるか
建設業の現場は通信環境が不安定なケースも多いため、オフライン対応の有無は実際の運用で大きな差を生みます。
内製化・改修できるかが長期コストを左右する
ツール導入後の長期コストを大きく左右するのが、自社で改修できるかです。業務は時間とともに変化するため、ツール側もそれに合わせて改修が必要になります。改修のたびにベンダーへ依頼が必要な仕組みでは、依頼コストが積み上がり最終的にツール継続が困難です。
kintoneはノーコードで自社アプリを構築・改修できるため、最初の構築は外部に依頼し、運用開始後の改修は自社で対応するスタイルが取れます。運用するなかで改善が必要な際には修正していくことで、自社が抱える課題に沿ったアプリ開発が可能となり、内製化の実現が見えてくると建設業のkintone導入事例でも報告されています。長期で運用するなら、内製化できる仕組みは強い差別化要素です。
よくある質問

工程表の作り方に関するよくある質問にお答えします。
Q1:工程表と行程表の違いは何ですか?
工程表は工事の進行を時系列で管理する表で、行程表は旅行や移動の予定表を指します。読み方は同じですが、建設業で「コウテイヒョウ」と書類に記載する場合は必ず「工程表」を使います。建設業の5種類の工程表すべてが、この「工程表」に該当します。
Q2:工程表の種類は何種類ありますか?
建設業で使われる工程表は5種類です。バーチャート・ガントチャート・グラフ式・工程管理曲線(出来高累計曲線)・ネットワーク工程表に分かれます。日本の建設現場で最も普及しているのはバーチャート工程表で、戸建てから中規模リフォームまで幅広く採用されています。
Q3:バーチャートとガントチャートの違いは何ですか?
バーチャートは横軸が日付で作業期間を示し、ガントチャートは横軸が進捗率で達成度を示します。バーチャートはスケジュール把握、ガントチャートは進捗管理に向きます。実務では両者がほぼ同義で使われるケースもあるため、現場では何を管理したいか先に決めて選ぶことが重要です。
Q4:工程表をExcelで作る手順を教えてください。
Excelでの工程表作成は、下記5ステップで完成します。
- 縦軸に作業項目・横軸に日付のひな型を作る
- 各作業の開始日と終了日を入力
- セルを塗りつぶしまたは図形でバーを描く
- 条件付き書式で土日祝を自動着色
- 関数で進捗を自動計算する
テンプレート活用で30分以内に作成可能です。
Q5:クリティカルパスとは何ですか?
クリティカルパスは、工期を守るために絶対に遅らせてはいけない作業ルートを指します。ネットワーク工程表で特に明確に把握できる概念で、このルート上の作業が1日遅れると工期全体が1日遅れます。バーチャートやガントチャートではクリティカルパスを直接表現できないため、大規模工事では併用が推奨されます。
Q6:工程表が遅延したときに最初にすべき対応は何ですか?
工程表の遅延発生時に最初にすべきは、遅延の影響範囲の特定です。具体的には下記3つの工程で確認します。
- 遅延した作業の後続工程
- 同時並行している関連作業
- 全体工期に影響する作業(クリティカルパス上の作業)
影響範囲を把握した上で人員・資材の再配分、工期延長交渉、並行作業の組み替えのいずれかを選択しましょう。
Q7:工程表の作成は無料テンプレートと専用ツールのどちらが良いですか?
小規模現場や1から2案件並行までなら無料テンプレートで十分対応できます。3案件以上を並行する場合や複数拠点での情報共有が必要な場合は、専用ツールが適切です。
まとめ|工程表を適切に設定してさらに効率化するためのツール導入も検討しましょう

工程表の作り方は、下記5種類の中から現場に合う形式を選び、作成します。
- バーチャート工程表:日程管理に最適。最も普及している基本形式
- ガントチャート工程表:進捗管理に強い。進捗率を一目で把握
- グラフ式工程表:作業の関連性と進捗を同時に表現
- 工程管理曲線(バナナ曲線):全体出来高の進捗を管理
- ネットワーク工程表:作業の依存関係とクリティカルパスを管理
バーチャート工程表は最も普及している基本形式で、Excelテンプレートで30分以内に作成可能です。一方、3案件以上の並行管理や現場との情報共有が必要になると、Excelの単体運用には限界がきます。
ツール導入だけでは解決せず、業務フローの再設計と、自社で改修できる仕組みづくりが定着の鍵になります。
工程管理のDX化を進めたい方は、まず現状の業務フローを整理し、自社に合うツール選定の判断基準を持つことから始めましょう。
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